ブロックチェーンの活用事例を紹介!ビジネスで活用するメリットは?

By | ブロックチェーン

ブロックチェーン活用事例

ビットコインなどの暗号資産の代表的な技術として知られているブロックチェーン。もともと金融業界で利用されていたブロックチェーンは、その透明性と安全性の高さから、現在は幅広い領域で実用化が進んでいます。

また、高度な技術が使用され高い利便性を誇るブロックチェーンは、業務効率化・コスト削減のためのツールとしてもさまざまな業界から注目を集めています。

「ブロックチェーンってよく耳にするけど、実際どんなことに使われているの?」

「ブロックチェーンのメリットや活用事例が知りたい」

この記事では、上記のような疑問をお持ちの方に向けて、ブロックチェーンの特徴とメリット・デメリット、市場規模・将来展望、活用事例などについてご紹介します。

仕組みやメリットなどの基本的な情報はもちろん、ビジネス活用に役立つ情報も紹介しているので、自社の業務効率化のためにブロックチェーンの導入を検討している方はぜひご覧ください。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、暗号技術によってネット上の取引履歴を記録・管理する仕組みのことです。「ブロック」と呼ばれる取引データを鎖のように次々とつないでいく構造を持つことから、ブロックチェーンという呼び名がついています。

特定のサーバーが情報を一元管理する従来の中央集権的なシステムとは異なり、ブロックチェーンではネットワークに参加する個々のノードが分散して取引履歴のデータを管理します。さらに、ブロックチェーン上での取引では、分散型台帳技術(DLT)公開鍵暗号技術といった高度な技術が使われおり、特定の管理者が不在でも安定・安全に取引を行うことができるシステムが構築されています。

このような特徴を有するブロックチェーンには、情報の改ざんやハッキング、システム障害などに対する耐久性が高いといった利点があります。また、高額なサーバーを用意する必要がないため、運用コストを抑えられる点もメリットとして挙げることができます。

ビジネスで活用できるブロックチェーン技術とその仕組みを徹底解説!

ブロックチェーンの4つの特徴

さまざまな最先端技術が駆使されているブロックチェーンは、情報の改ざんやハッキングなどに対する耐久性が高い技術です。実際に、2009年に世界で初めて発行された暗号資産であるビットコイン(BTC)で利用されているブロックチェーンは、これまでに一度もハッキングや改ざんの被害を受けたことがありません。

ここでは、ブロックチェーンの利便性や安全性の高さを実現している、以下の4つの特徴についてご紹介します。

分散型台帳技術(DLT)/ P2Pネットワーク

ブロックチェーンには、分散型台帳技術(DLT=Distributed Ledger Technology)と呼ばれる情報管理技術が利用されています。分散型台帳技術とは、その名の通り台帳(記録簿)の情報を分散して保持する技術のことです。

一般的な台帳とは、取引や契約などの情報を記録しておくシステムのことを指します。銀行口座の取引記録や、不動産の登記情報などがそれにあたります。これらの情報は、従来は特定の機関や企業によって一元管理されていました。

一方で、特定の管理者が存在しない分散されたネットワーク上で、同一の台帳を不特定多数のノード(参加者)が共同で保存・管理する仕組みを、分散型台帳技術(DLT)もしくはP2Pネットワークといいます。

出典:Coincheck.inc

このような特徴を有するDLTを活用しているブロックチェーンは、「誰が・いつ・どのような」情報を台帳に書き込んだのかを明確に記録することが可能です。これにより、悪意のある第三者によるハッキングや偽造が防止でき、安全に取引データを保存・管理することができるのです。また、特定のサーバーによって情報が一元管理されているわけではないので、もし一部のノードにシステム障害が起こっても、ネットワーク全体が停止してしまうようなリスクもありません。

暗号技術

ブロックチェーンの安全性と機密性を高めているもう1つの技術としては、暗号技術挙げられます。

暗号技術とは、データの内容を第三者に解読できない形式に変換したり、変換したデータを元の状態に戻したりする技術のことを指します。暗号技術では、「公開鍵」と「秘密鍵」の2つを利用してデータをやり取りします。また、公開鍵と秘密鍵はペアになっており、暗号化したデータはこの2つがないと復号できない仕組みになっています。なお、ビットコインなどの暗号資産のブロックチェーンには、この暗号技術が利用されています。

公開鍵は第三者にも公開されますが、暗号の解除は秘密鍵がないと行うことができません。そのため、秘密鍵さえ盗まれなければ、暗号化されたデータの安全性は確保されます。しかし、もし秘密鍵が外部へ流出してしまった場合、データを漏えいさせてしまったり、暗号資産が盗まれてしまうなどの危険性があります。

コンセンサスアルゴリズム

ブロックチェーンでは取引の透明性を確保するために、コンセンサスアルゴリズムと言われる技術も導入しています。

コンセンサスアルゴリズムとは、不特定多数が参加するブロックチェーンのネットワーク内において、取引を承認する際のルールとなる合意形成を行うアルゴリズム(方法)のことを指します。

特定の管理者がいないブロックチェーンの場合、参加者の中からトランザクションを承認する人を決めて、その承認者に対して取引終了後に一定の報酬を与える仕組みを採用しています。その際に、誰が・どのような基準に則って取引を処理し、処理した際にどの程度の報酬が受け取れるかといったルールを決め、参加者はそのルールに従う形でトランザクションの処理を行います。

ブロックチェーン・ネットワークでは、このように事前に参加者の合意をもとにルールを決めておくことで、取引処理の公平性と透明性を確保しています。なお、トランザクションの承認を行うことを英語で“採掘”を意味する「マイニング」と呼び、承認を行う人のことを「マイナー」といいます。

ビットコイン(BTC)はPoWを採用

コンセンサスアルゴリズムにはいくつか種類があり、どれを採用しているかはブロックチェーンによって異なります。

例えばビットコインのブロックチェーンの場合は、PoW(プルーフ・オブ・ワークというコンセンサスアルゴリズムが採用されています。Powでは、ブロックの生成に必要な計算を最初に終えた参加者がトランザクションの承認を行う権利を得る仕組みとなっています。

他にも、暗号資産の保有量によってトランザクションの承認者を決めるPoSプルーフ・オブ・ステーク)や、通貨の保有量だけでなく、保有期間や流動性なども評価基準に加えて承認者を選任するPoI(プルーフ・オブ・インポータンス)などのコンセンサスアルゴリズムがあります。

スマートコントラクト

スマートコントラクトも、ブロックチェーンを象徴する技術の1つです。

スマートコントラクトとは、人の手を介さずに契約内容を自動で実行してくれる仕組みのことです。

出典元:Coincheck.inc

 

スマートコントラクトの代表的な特徴としては、あらかじめプログラミングされた契約内容と実行条件に従い、トランザクションを自動で行える点が挙げられます。また、ブロックチェーン特有の安全性も備えているので、第三者により契約内容が改ざんされない点もメリットといえるでしょう。

従来のシステムの場合、サービスの提供者が管理者となり、サービスが円滑に行われるよう管理するのが一般的です。一方、スマートコントラクトでは管理者不在でも安定したサービスの運営が可能なので、従来のシステムで必要だった人件費などのコストを削減することが可能です。

このような利便性が評価されているスマートコントラクトは、昨今、業務効率化のツールとしてさまざまな業界から注目を集めています。

ブロックチェーンが活用されている技術・サービス

ブロックチェーン活用事例

新たなイノベーションとして大きな注目を集めているブロックチェーンは、すでに多岐にわたる技術やサービスで活用されています。

具体的な用途としては、主に以下のようなものが挙げられます。

どのような内容なのか、1つずつ見ていきましょう。

暗号資産

ブロックチェーン技術が最も広く知られているのは暗号資産の分野です。ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、ブロックチェーンを基盤として運用されています。これにより、従来の金融システムを介さずに、安全かつ効率的な取引が可能となりました。

暗号資産の取引は、国境を越えて迅速に行うことができ、多くの人々に利用されています。

サプライチェーン管理

サプライチェーン管理においても、ブロックチェーン技術は大きな可能性を持っています。商品が生産されてから消費者に届くまでのプロセスをブロックチェーン上に記録することで、商品の追跡が可能になり、品質管理が向上します。

特に、食品や医薬品の分野では、ブロックチェーン技術を利用することで、偽造品の排除や消費者への安心感の提供が期待されています。

DApps(分散型アプリケーション)

Dappsとは、Decentralized Applicationの略で、スマートコントラクトを利用したアプリケーションを指します。例として、Solanaブロックチェーン上で2022年5月時点で70万人程のアクティブユーザーがいたモバイルアプリで、歩く歩数に応じて暗号資産が付与されるSTEPNというサービスや、ゲームをプレイして暗号資産が貰えるAxie Infinity等があります。

NFT(非代替性トークン)

NFTとは、Non Fungible Tokenの略で、ブロックチェーンの特性を活用したコピーできないデジタル上のアイテムやアート、証明などを指します。具体的には、アート作品や、ウイスキーの所有権証明などにも活用されています。

国際送金

PayPalなどの金融サービスで、暗号資産を活用した国際送金サービスも利用されています。

従来の銀行送金よりも手数料が安く、ボーダーレスに素早く送金ができる利点から、暗号資産とブロックチェーンを活用した国際送金サービスもこれから益々増えていくと想定されます。

電子投票

ブロックチェーン技術は、電子投票システムにおいても活用されています。

従来の投票システムでは、透明性や改ざん防止が課題となっていましたが、ブロックチェーンを利用することで、投票記録の改ざんが難しくなり、透明性の高い投票システムが実現可能となります。例えば、エストニアではブロックチェーンを利用した電子投票が実施(※1)されており、選挙の公正性を高めています。

(※1):参照元

不動産取引

不動産取引においても、ブロックチェーン技術が応用されています。

不動産の所有権や取引履歴をブロックチェーン上に記録することで、取引の透明性が向上し、詐欺や二重登記のリスクが軽減されます。また、スマートコントラクトを利用することで、売買契約の自動化や取引の効率化が実現され、不動産取引がより迅速かつ安全に行われるようになります。

セキュリティトークン

セキュリティトークンは、ブロックチェーン技術を利用したデジタル資産で、伝統的な金融商品の特性を持っています。具体的には、株式や債券、不動産などの資産をブロックチェーン上でデジタル化したものです。これにより、資産の分割所有や取引が容易になり、より多くの投資家がアクセスできるようになります。

セキュリティトークンの大きな利点の1つは、スマートコントラクトを活用して取引の自動化と効率化が図れることです。また、取引履歴がブロックチェーン上に記録されるため、透明性が高まり、不正や改ざんのリスクが低減されます。さらに、セキュリティトークンは国境を越えた取引が容易であり、従来の金融市場では難しかった国際的な資金調達も可能になります。

セキュリティトークンの例としては、不動産投資信託(REIT)のトークン化や、ベンチャー企業の株式をトークンとして発行するケースが挙げられます。これにより、資産の流動性が高まり、投資機会が広がることが期待されています。

他にもチケット取引やアート作品など、多くの事例が存在し、その用途は拡大し続けています。

ブロックチェーンを活用する3つのメリット

ブロックチェーンには、主に以下の3つのメリットがあります。

  1. ハッキング・改ざんに強い
  2. 運用コストを削減できる
  3. システム障害が起こりにくい

それぞれどのような内容なのか、順番に解説していきます。

1.ハッキング・改ざんに強い

1つ目のメリットは、「ハッキング・改ざんに強い」点です。

前述したように、ブロックチェーンではネットワーク内で発生した取引の記録を「ブロック」と呼ばれる箱に格納し、それを鎖状に繋げていきます。その際に、ブロックとブロックの間の連結部分には「ハッシュ値」という特殊な文字列が使用されています。

ハッシュ値とは、元となるデータから特定の計算方法によって算出される不規則な文字列のことを指します。

ブロックチェーンでは、各ブロックが「1つ前のブロックのハッシュ値情報」を保持しています。そのため、特定のブロックのデータを改ざんするためには、過去のブロックのデータも改ざんして、書き換わったハッシュ値に合致するようにして整合性を保たなくてはなりません。つまり、1つのブロックの情報を改ざんするためには、これまで生成されてきたすべてのブロックの情報を書き換えるという、途方もない作業をこなさなくてはいけないのです。

また、ブロックの情報が改ざんされハッシュ値が違うものに書き換わると、すぐに改ざんされたことが他のネットワーク参加者たちに知れ渡るようになっている点も、改ざんを困難にしている要因として挙げることができます。

このように、ブロックチェーンはトランザクションにハッシュ値を活用することで、データの改ざんを防いでいます。

2.運用コストを削減できる

2つ目のメリットは、「運用コストを削減できる」点です。

前述したように、多くのブロックチェーンでは特定の管理者を置かずに、ネットワークに参加している不特定多数のノードによってデータの管理・運用が行われています。

情報を一元管理する従来のシステムでは、多額の運用コストがしばしば問題視されてきました。ビジネスで利用する法人向けのサーバーの場合、構築費やレンタル料、運営・保守費などでかなりのコストが必要となります。

その点、ブロックチェーンのように世界中のノードが分散管理するシステムであれば、そうした費用がかかりません。例えばビットコインの場合、ネットワーク上で行われる取引の検証・承認をするマイナーたちが、少しずつマシンパワーを提供することで、膨大な量のトランザクション情報の処理を可能にしています。

このように、運用コストが削減できる点はブロックチェーンをはじめとする分散型システムの大きなメリットといえるでしょう。

3.システム障害が起こりにくい

3つ目のメリットは、「システム障害が起こりにくい」点です。

情報を一元管理する中央集権型システムの場合、サーバーやネットワークに障害が生じた際にサービスの停止を強いられるなど、システム障害の影響が広範囲に及びやすくなります。

一方、ブロックチェーンでは不特定多数の参加者によって情報が分散管理されているため、一部のノードに問題が発生しても、ネットワーク全体が停止することはありません。

システム全体の安定性は、取引の信頼性を大きく左右します。その意味では、世界中のノードによって支えられて高い安全性を誇るブロックチェーンは、取引において信頼性の高いツールといえるでしょう。

ブロックチェーンを活用するデメリット

前述したような利点がある一方で、ブロックチェーンには次のようなデメリットもあります。

  1. 送金の遅延が起こることがある
  2. 法整備が整っていない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.送金の遅延が起こることがある

1つ目のデメリットは、「送金の遅延が起こることがある」点です。

ブロックチェーンでは、取引量が増加することでシステムに負荷がかかり、送金遅延が発生することがあります。この現象は、システムの規模(スケール)に関する問題という意味合いで、「スケーラビリティ問題」と呼ばれています。

出典:Coincheck.inc

例えばビットコインの場合、通常の送金時間は約10分と言われています。しかし、多くの投資家やトレーダーが取引を行っていてネットワークが混雑しているときには、送金にそれ以上の時間を要します。

また、通常マイナーは得られる報酬が高い取引を優先して処理します。そのため、取引量が増加しているときには、早く送金してもらいたいために手数料を高く設定する利用者が増えるため、必然的にマイナーに支払う送金手数料が高くなる傾向があります。

2.法整備が整っていない

2つ目のデメリットは、「法整備が整っていない」点です。

利便性の高いブロックチェーンは、すでにさまざまな業界で実用化が進んでおり、その一部では技術の進歩に法整備が追いついていないケースが発生しています。また、日本では合法でも他の国では違法とされるケースもあるため、国境を超えた法整備も課題となっています。

暗号資産の規制は着実に進んでいる

一方で、ブロックチェーンの代表的な活用事例である暗号資産は、時間をかけて法整備を進めてきました。

暗号資産はその匿名性の高さから、犯罪や脱税に使用されることがあります。また、暗号資産の交換業がスタートし始めた2015年前後には、取引所のハッキング被害による暗号資産の盗難事件も何度か起こりました。

このような問題を解決するために、2017年4月に施行されたのが「改正資金決済法」です。この法改正では、暗号資産交換業者に対する登録制の導入や、口座開設時における本人確認等の義務付けなどが明文化されました。

さらに、続く2019年5月には「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。この法律では、暗号資産交換業者に対する広告・勧誘規制等の導入、顧客資産の分別管理の強化、暗号資産に対する金融商品取引法の適用などが制定されました。

このような形で、暗号資産に関する規制は時間をかけて整備されてきました。そして規制が強化されたことで、以前まで多発していた事件やトラブルも現在は大分減少しました。

ブロックチェーンの市場規模と将来展望

2022年2月、矢野経済研究所は国内におけるブロックチェーン活用サービス市場を調査し、2019年から2025年までの市場規模の推移予測を発表しました。

出典元:株式会社矢野経済研究所

 

同社では、ブロックチェーンの国内市場は2024年には4,579億3,000万円、2025年には7,247億6,000万円に達すると予測しています。2019年には市場規模が171億円ほどだったことを考えると、予測とはいえいかに急速に市場が成長しているかがおわかりいただけるでしょう。

ブロックチェーンの将来展望

さらに、矢野経済研究所はブロックチェーンの今後の展望について以下のように予想しています。

2025年度のブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は7,247億6,000万円に達すると予測する。2021年度から大手企業を中心にブロックチェーンの活用において普及期に突入し、2025年度には中堅企業や自治体においても普及期を迎えるとみられることから、効果検証から本番稼働に向けた案件が増えていくと考える。

領域の面でもトレーサビリティや認証に留まらず、住宅の賃貸契約と公共料金などとのデータ連携をブロックチェーン基盤で構築し、水道や電気の利用開始を入居時に可能にするなど、さまざまな領域へと広がりをみせていくものとみる。

引用元:株式会社矢野経済研究所

同社はブロックチェーンの今後の展望について、実証段階から実用化段階へと移行しており、これまで限定的だった用途もさらに広がっていくと考えているようです。

このような調査やこれまでの驚異的な成長ぶりを見る限り、今後ブロックチェーンは既存の技術を代替する形で各業界に普及していき、市場規模もさらに拡大していくことが予想されます。

ブロックチェーンの適用範囲の広がり(ブロックチェーン1.0~3.0)

ブロックチェーンは、もともとビットコインをはじめとする暗号資産のために開発されました。しかし、近年は暗号資産以外の金融領域や非金融領域でも幅広くブロックチェーンは活用されています。

そして、ブロックチェーンはその適用領域においてブロックチェーン1.0、2.0、3.0と分類されています。このことは、もともと金融という限定的な用途しかなかったブロックチェーンが、次第に利便性や汎用性が認められるようになり、さまざまな領域で使われるようになったことを意味しています。

ブロックチェーンの活用事例5選

前述したように、ブロックチェーンはすでにさまざまな業界で活用されています。ここでは、数ある活用事例の中から厳選した5つの事例をご紹介します。

事例1.「デジタルコンテンツの権利情報処理システム」:ソニー

2018年10月、ソニーグループはブロックチェーン技術を応用したデジタルコンテンツの権利情報処理システムの開発を発表しました。

デジタルコンテンツの権利情報の管理を行う業界団体や作者に対して、同システムでは以下のような機能を提供しています。

  • 電子データの作成日時を証明する機能
  • 改ざんが困難な形で事実情報を登録する機能
  • 過去に登録済みの著作物を判別する機能

システムの利用者はこれらの機能を利用することで、電子データの生成日時と生成者を参加者間で共有・証明することが可能になります。

同システムはデジタル教科書などの教育コンテンツをはじめとし、音楽、映画やVRコンテンツ、電子書籍など幅広い分野での活用が検討されています。

参考:SONY「ブロックチェーン基盤を活用したデジタルコンテンツの権利情報処理システムを開発」

事例2.「QRコードを活用したトレーサビリティシステム」:デンソー

出典元:DENSO

自動車部品メーカーのデンソーは、1994年に自社で開発したQRコードとブロックチェーン技術を組み合わせることで、サプライチェーン全体の流れを追跡できるトレーサビリティシステムを構築しました。

日本語で「追跡可能性」を意味するトレーサビリティとは、製品の製造工程や荷物の受発注などについて追跡すること、および追跡可能な状態にすることを指します。トレーサビリティは、流通のプロセスを可視化しサプライチェーンの透明性を高めるための技術として、すでにさまざまな業界で導入されています。

デンソーでは、ブロックチェーン技術とQRコードをかけ合わせることで、従来のトレーサビリティで問題視されていたデータ改ざんのリスクを防ぐことが可能なシステムを開発しました。

参考:DENSO「商品のトレーサビリティに革新を起こす「QRコード×ブロックチェーン」」

事例3.「臨床試験効率化のためのシステム」:サスメド

治療用アプリの開発などを手がけるサスメドは、ブロックチェーン技術を活用して、治験データの効率的な管理を実現するモニタリングシステムを開発しました。このシステムにより、データの改ざんを防止し、従来のシステムで問題となっていた膨大な時間とコストを削減することが可能です​。

従来のシステムでは、臨床試験で得られた治験データと医療機関のデータを照合するのに膨大な時間と労力がかかり、それが医薬品開発のコストを押し上げる要因となっていました。サスメドはこの問題を解決するために、データ改ざんに強い特性をもつブロックチェーンを活用することで、データの照合作業をスムーズかつ正確に行えるシステムを開発しました。

出典:サスメド

参考:サスメド「臨床試験効率化のためのシステム開発」

事例4.「国際的なデジタル認証プログラム」:アクセンチュア

総合コンサルティング企業のアクセンチュアは、国際的な認証プログラム「ID2020」支援の一環として、ブロックチェーンと生体認証技術を活用したデジタルIDをマイクロソフト社と共同で開発しました。

ID2020は、現在世界に11億人以上いると言われている身分証明書を所持していない人たちに対して、認証手段を提供するために立ち上げられたプロジェクトです。ID2020は、2030年までに安全で永続性のあるデジタルIDシステムを普及させることを目標にしています。

参考:アクセンチュア、マイクロソフト社と共同で、国際的なデジタル認証プログラム「ID2020」を支援するブロックチェーン・ソリューションを開発

事例5.「不動産ブロックチェーン登記システム」:ツバイスペース・ジャパン

不動産テック企業のツバイスペース・ジャパンは、2018年4月からブロックチェーンを活用した不動産売買管理システム「レジスターナイト」の提供を行っています。

レジスターナイトでは、同社が開発した「ツバイチェーン」と呼ばれるブロックチェーン上で権利記録を行います。改ざんに強いブロックチェーン上で権利記録が行われるので、従来のシステムで必要だった権利証明などの手続きが不要になり、取引コストを削減できる点がメリットです。

参考:ブロックチェーンの不動産登記、日本でも協会設立へ

まとめ

ここまで、ブロックチェーンの特徴やメリット・デメリット、活用事例などについてご紹介してきました。

もともと暗号資産のために開発されたブロックチェーンは、その利便性と安全性の高さから、現在は物流や不動産、製造、医療など幅広い分野での実用化が進んでいます。

また、高い透明性と安全性を保ちながらさまざまな業務を効率化できるブロックチェーンは、コスト削減ツールとしても高い評価を得ています。

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