「ブロックチェーンの仕組みがわからない」「ブロックチェーンって難しそう…」と感じていませんか？
確かに、ブロックチェーンやWeb3の市場は急速に成長していますが、その仕組みを理解するのは簡単ではないかもしれません。
ブロックチェーンとは、取引履歴を鎖のように結びつけ、暗号技術によってその正確性を保つ画期的な技術です。この技術は、金融業界だけでなく、さまざまなビジネスシーンでも活用が進んでいます。
ブロックチェーンは主に暗号資産の技術的基盤として広く知られるようになりましたが、それだけでなく、さまざまな分野での応用が進んでいます。この技術がなぜ注目されているのか。この記事では、ブロックチェーン業界で5年以上の経験を持つ筆者が以下のポイントについて分かりやすく解説します。
また、ブロックチェーンを活用したビジネス事例も紹介しますので、この記事があなたのビジネスに役立つヒントとなれば幸いです。
ブロックチェーンの基本的な仕組み
ブロックチェーンは、デジタル取引やデータを安全に管理するための分散型台帳技術であり、中央の管理者を必要とせずにネットワーク全体でデータを共有・保存できる仕組みが大きな特徴です。取引データを連続して繋いだチェーン（鎖）のようなもの、という意味で「ブロックチェーン」という名前がついています。
具体的には、ブロックチェーン上に記録される取引データは一定の容量に達すると「ブロック」としてまとめられ、それぞれのブロックには、取引の詳細とともに、前のブロックのハッシュ値と呼ばれるデジタル署名が含まれます。
このハッシュ値によって、各ブロックは前のブロックと連鎖的に結びついており、改ざんを試みるとすべての後続ブロックのハッシュ値を変更する必要があるため、実質的にデータの改ざんが非常に難しくなっています。
分散型ネットワークと透明性
ブロックチェーンは、従来の中央集権型システムとは異なり、分散型ネットワークによって運用されます。すべてのノードが同じデータを保持し、それを独立して検証することで、システム全体が攻撃されるリスクが大幅に低減されます。
さらに、ブロックチェーン上の取引は公開されており、誰でもその取引内容を確認できるため、高い透明性が確保されています。この透明性と分散型構造により、ブロックチェーンは信頼性の高いシステムとなっています。
マイニング
マイニングは、ブロックチェーンネットワークの安全性と一貫性を維持するための重要なプロセスです。マイナー（採掘者）は、複雑な数学的パズルを解くことで新しいブロックを生成し、それをブロックチェーンに追加します。このパズルを解くためには大量の計算リソースが必要ですが、その分だけブロックの生成が難しくなり、ネットワークの安全性が高まります。
新しいブロックが作成されると、前のブロックのハッシュ値が新しいブロックに含まれ、それがチェーン全体の一貫性を維持します。マイナーがパズルを解き、新しいブロックを追加するたびに、取引データが安全にブロックチェーンに記録されます。
もし誰かが取引データを改ざんしようとすると、その改ざんがネットワーク全体に反映される前に、他の正しいノードによって検出されます。このようにして、マイニングはブロックチェーンの堅牢性とデータの一貫性を保証する重要な要素となっています。
マイニングの種類
マイニングには主に「プルーフ・オブ・ワーク（PoW）」と「プルーフ・オブ・ステーク（PoS）」の2種類があります。
プルーフ・オブ・ワーク（PoW）: ビットコインなどで採用されており、マイナーが複雑な計算問題を解くことで新しいブロックを追加します。計算リソースが多いほど有利ですが、大量の電力を消費する点がデメリットです。
プルーフ・オブ・ステーク（PoS）: イーサリアムなどで採用されている方式で、計算能力ではなく、保有する暗号資産の量に応じて新しいブロックを生成する確率が決まります。PoSはPoWに比べてエネルギー消費が少なく、環境に優しいとされています。
ブロックチェーンの歴史
ブロックチェーン技術の起源は、2008年に提案されたビットコインにあります。ビットコインは、サトシ・ナカモトという匿名の人物（もしくはグループ）によって考案され、中央の管理者を必要としないデジタル通貨として登場しました。このビットコインの基盤技術が、現在のブロックチェーンの礎となっています。
ビットコインの登場とブロックチェーンの起源
ビットコインの登場後、ブロックチェーン技術は急速に発展し、他の分野でも応用されるようになりました。特に、2015年に登場したイーサリアムは、スマートコントラクトという新しい概念を導入し、ブロックチェーンの可能性をさらに広げました。
スマートコントラクトとは、契約内容をプログラムとしてブロックチェーン上に記録し、自動的に実行される仕組みです。人間の介入なしで契約が履行され、条件が満たされると即座に取引が行われます。これにより、信頼性が高く、コストの削減や契約の透明性が向上します。
イーサリアムでは、この仕組みを使って様々なアプリケーションが開発されています。現在では金融だけでなく、医療やサプライチェーン管理、ゲーム領域など、多岐にわたる分野でブロックチェーン技術が活用されています。
ブロックチェーンのメリットとデメリット
ブロックチェーンのメリットとデメリットにはそれぞれ重要なポイントがあります。特に、セキュリティとスケーラビリティのバランスが求められるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
主要なメリット
ブロックチェーンの主なメリットはセキュリティの高さです。分散型ネットワークによりデータの改ざんが非常に難しく、また、取引の透明性が確保され、信頼性の高いシステムとして機能します。さらに、中央の管理者が不要であるため、運用コストの削減が可能です。
主要なデメリット
ブロックチェーンにはデメリットもあり、その一つにスケーラビリティの問題があります。ネットワークが拡大すると、取引の処理速度が低下する傾向があります。
イーサリアムなどでは、取引手数料で利用されるGas代が高騰する事態など度々指摘されています。
ブロックチェーンの活用事例
出典元：https://stepn.com/
ブロックチェーン技術は多岐にわたる分野で応用されており、その活用事例は日々増えています。暗号資産をはじめ、サプライチェーン管理やDApps、NFT、国際送金など、さまざまな用途で利用されています。
暗号資産
ブロックチェーン技術が最も広く知られているのは暗号資産の分野です。ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、ブロックチェーンを基盤として運用されています。これにより、従来の金融システムを介さずに、安全かつ効率的な取引が可能となりました。
暗号資産の取引は、国境を越えて迅速に行うことができ、多くの人々に利用されています。
サプライチェーン管理
サプライチェーン管理においても、ブロックチェーン技術は大きな可能性を持っています。商品が生産されてから消費者に届くまでのプロセスをブロックチェーン上に記録することで、商品の追跡が可能になり、品質管理が向上します。
特に、食品や医薬品の分野では、ブロックチェーン技術を利用することで、偽造品の排除や消費者への安心感の提供が期待されています。
DApps
Dappsとは、Decentralized Applicationの略で、スマートコントラクトを利用したアプリケーションを指します。例として、Solanaブロックチェーン上で2022年5月時点で70万人程のアクティブユーザーがいたモバイルアプリで、歩く歩数に応じて暗号資産が付与されるSTEPNというサービスや、ゲームをプレイして暗号資産が貰えるAxie Infinity等があります。
NFT
NFTとは、Non Fungible Tokenの略で、ブロックチェーンの特性を活用したコピーできないデジタル上のアイテムやアート、証明などを指します。具体的には、アート作品や、ウイスキーの所有権証明などにも活用されています。
国際送金
PayPalなどの金融サービスで、暗号資産を活用した国際送金サービスも利用されています。従来の銀行送金よりも手数料が安く、ボーダーレスに素早く送金ができる利点から、暗号資産とブロックチェーンを活用した国際送金サービスもこれから益々増えていくと想定されます。
電子投票
ブロックチェーン技術は、電子投票システムにおいても活用されています。従来の投票システムでは、透明性や改ざん防止が課題となっていましたが、ブロックチェーンを利用することで、投票記録の改ざんが難しくなり、透明性の高い投票システムが実現可能となります。例えば、エストニアではブロックチェーンを利用した電子投票が実施（※1）されており、選挙の公正性を高めています。
（※1）：参照元
不動産取引
不動産取引においても、ブロックチェーン技術が応用されています。不動産の所有権や取引履歴をブロックチェーン上に記録することで、取引の透明性が向上し、詐欺や二重登記のリスクが軽減されます。また、スマートコントラクトを利用することで、売買契約の自動化や取引の効率化が実現され、不動産取引がより迅速かつ安全に行われるようになります。
セキュリティトークン
まとめ
ブロックチェーンは、データの透明性とセキュリティを高める技術として、さまざまな分野での活用が進んでいます。その基本的な仕組みや歴史を理解することで、今後の技術発展やビジネスチャンスに対する洞察が得られるでしょう。
ブロックチェーン技術は、今後ますます社会において重要な役割を果たしていくことが予想されますので、その動向に注目していくことが重要です。
web3ニュースレター
