DAO(自律分散型組織)とは?ビジネスモデルやWeb3との関係性についてわかりやすく解説!

By | DAO

DAOとは?

ブロックチェーン技術Web3といった概念が普及するに伴って、新しい組織形態として注目されている『DAO』。

その名前を聞いたことはあるけれど、実際にどのような仕組みでどんなメリットがあるのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、DAOの概念やその仕組み、メリットとデメリット、ビジネスモデルなどを初心者にもわかりやすく解説していきます。記事の後半では実際のDAOの事例も紹介していますので、是非最後までご覧ください。

DAO(自律分散型組織)とは

DAO(自律分散型組織)の定義

DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、中央集権的な管理者や所有者を持たない形で分散的に運営される組織形態を指す言葉です。推進したいプロジェクト毎にDAOが立ち上げられ、そのプロジェクトに関心のある人々が当該DAOに参加します。日本語では分散型自律組織、または自律分散型組織と訳されます。

DAOは、従来の組織運営に代わる新たな形態として、効率性、透明性、民主性を兼ね備えていると期待されており、特にWeb3ブロックチェーン分野で注目を集めています。

DAOの仕組み

DAOは従来の株式会社などの組織とは異なり、特定のリーダーが存在しません。組織の運営に関する意思決定には、DAOに参加する全てのメンバーが関与できます。

この仕組みは、DAOがガバナンストークンと呼ばれる独自のトークン(DAOの意思決定に対して投票できる権利)を発行し、参加者が投票を通じて意思決定を行い、事業やプロジェクトを推進する組織形態であるため成立しています。

トークンの発行や意思決定機構の構築にはブロックチェーン技術を活用しており、これにより透明性が非常に高い組織運営が可能になります。

DAOと従来の組織構造との比較

続いて、この項ではDAOと従来の組織構造がどのように異なっているのかを解説していきます。

イーサリアムブロックチェーンを開発しているイーサリアム財団は、公式ホームページにてDAOと従来の組織構造の比較表を示しています。その表を日本語化し、少し情報を補足したものを以下にご紹介します。

DAO 従来の組織
組織構造 フラットで完全に民主化されている組織 階層的な組織
組織の運営方針の決定方法 運営方針の変更には参加者による投票が必要 運営方針の変更は一部の個人や団体によって変更することもできるし、組織の参加者による投票機会を作ることも可能
投票結果の集計・実施方法 結果は信頼できる仲介者がいなくとも自動的に集計され、投票結果により実行することとなった施策はプログラムで自動実行される 結果は一部の内部者によって集計され、投票結果により実行することとなった施策は手動で実行される
サービスの提供方法 提供されるサービスは、分散化された方法で自動的に処理される(例としては、慈善資金の分配が挙げられる) 人による介入や中央集権的なシステムによる自動実行により提供されるため、何らかの意図的な操作が可能である
情報の公開 すべての活動が透明で完全に公開されている 活動は通常非公開で、公への情報公開は制限されている

出典元:https://ethereum.org/en/dao/

上記の表を見ると、DAOと従来の組織で最も異なる点は自動実行と透明性ということが分かるかと思います。このキーワードはブロックチェーン技術、特にスマートコントラクト(ブロックチェーン上で暗号資産の送金等の処理を自動的に実行する仕組み)の特徴そのものであり、DAOとブロックチェーン技術が強く関係していると理解できます。

DAOとブロックチェーンの関係性

上述したように、DAOとブロックチェーンは非常に密接な関係を持っています。この項では改めて、DAOとブロックチェーンのつながりについて詳細を記載します。

DAOが成り立つための基盤となるのが、ブロックチェーン技術です。ブロックチェーンは、分散型ネットワーク上でデータを一度記録すると、改ざんや削除が不可能になるという性質を持っており、その透明性と信頼性がDAOの運営において不可欠です。

DAOにおける意思決定プロセスには、ブロックチェーン上のスマートコントラクトという技術が関係しています。スマートコントラクトはあらかじめプログラムされた条件に従い、決定事項が自動的に実行される仕組みです。これにより人為的なミスや不正行為を防止することができます。DAOにおける投票権としてガバナンストークンが活用されていることは、スマートコントラクトの活用の一種です。

ブロックチェーン技術に関する詳細は、以下の記事をご覧ください。

ビジネスで活用できるブロックチェーン技術とその仕組みを徹底解説!

DAOとビットコインの関係性

ビットコイン(BTC)は、最も有名なDAOの例として紹介されることがあります。

ビットコインは、世界中の参加者(マイナー)によってそのブロックチェーンネットワークが分散的に維持され、結果として時価総額50兆円以上の市場規模を持つ巨大なプロジェクトに成長しました。

このように、中央集権的な管理がなくとも、コミュニティ全体の協力によって持続可能なネットワーク運営が可能であることが示されています。これがDAOの基本的な考え方となっており、ビットコインはDAOの成功例として捉えられることが多いです。

DAOとWeb3との関係性

DAOはWeb3時代のプロジェクト推進において、不可欠な役割を果たすとされています。Web3とは、中央集権的なプラットフォームに依存せず、個人がデジタル資産やアイデンティティを所有し、自らのデータや権利を管理できるインターネットを差す言葉です。

Web3時代において、DAOは組織を自律的に運営するための手段です。従来の企業や団体では、中央管理者がすべての意思決定を行ってきましたが、Web3時代ではユーザー自身がその決定に関与し、参加者同士が対等な立場で組織を運営することが求められます。

DAOはその理想を体現し、スマートコントラクトによって透明で公平な運営が行われ、Web3の分散型の哲学と完全に一致しています。DAOは、個人がインターネット上でより大きな権限を持ち、自由な組織運営が可能になる未来を実現するためのツールと言えます。

DAOの3つの特徴

特徴1.中央管理者が不在

DAOの最も大きな特徴は、中央管理者が存在しない組織である点です。これは、特定のリーダーや運営者がいないことを意味し、組織全体の運営が分散された形で行われることを意味します。決定権が一部の人に集中せず、すべてのDAO参加者が組織運営に参加できるのが特徴です。

この特徴によって、以下に紹介する2つの特徴が必要となっています。

特徴2.組織の所有権が分散的に管理される

DAOでは、組織の所有権が暗号資産を通じて分散化されています。DAOは独自の暗号資産(ガバナンストークン)を発行し、発行以前・以後のDAOへの貢献者へ分配します。ガバナンストークンには金銭的価値があり、市場で売買することが可能です。DAOの参加者はこのガバナンストークンを保有し、その保有割合に応じて当該DAOに対する影響力を持つことができるのです。

このように所有権の分配を実現することで、幅広いステークホルダーに対してDAOへ貢献するインセンティブを付与し、組織としてではなく所属する個々人がDAOに対して価値を生み出すことができるようになるのです。

ただし実態としては、DAOの発起人や立ち上げ段階からの機関投資家にガバナンストークンの多くが配分される事例が散見されます。多くのDAOでは、これらのトークンの大量保有者もあくまでコミュニティの一員であるという立場を取ってDAOの所有権を保有している、という扱いになっています。

具体例としてUniswapのUNIというガバナンストークンでは、発起人、チームメンバー、機関投資家への配分が合計で40%となっています。

出典元:https://blog.uniswap.org/uni

なお、一般的に機関投資家にガバナンストークンを配分することは、トークンの売り圧の増加、そしてトークンの値下がりを招く要因となり得ます。このような事情により、一部のDAOでは、投資家を入れずに貢献者コミュニティや初期の参加者にのみガバナンストークンを付与する方針のところも存在しています。以下図は投資家へのガバナンストークンの分配を行っていないENS DAOのトークンアロケーションの図です。

 

出典元:https://ens.mirror.xyz/-eaqMv7XPikvXhvjbjzzPNLS4wzcQ8vdOgi9eNXeUuY

特徴3.組織のルールがDAO参加者全体によって決定される

DAOでは、組織の意思決定に参加する機会がすべての参加者に与えられています。ガバナンストークンを保有するメンバーは、提案に対して投票を行うことができ、その結果に基づいて組織が運営されます。

この仕組みは、従来の組織が持つ権力の集中や独裁的な意思決定を避け、民主的な運営を促進します。DAO参加者の投票はブロックチェーン上に刻まれるため不正の実行は難しく、全体の投票状況もリアルタイムに公開されます。

従来の組織では往々にして年齢や国籍の問題で制度的に意思決定に参加できないケースがありますが、DAOにおいては定められたルール(スマートコントラクト)の上で参加者全員がフラットな存在となります。

DAOのガバナンストークンを購入する資金がないという参加者は、自らが当該DAOに対して何らかの貢献をすることでガバナンストークンを獲得できるケースがあります。貢献の形はドキュメントの翻訳やDAOにとって有用なツールの開発など多岐に渡っており、自分のスキルや当該DAOへの熱量に応じて貢献度合いを調整することが可能です。

DAOのメリット

メリット1.組織運営に関する透明性が高い

DAOの大きなメリットは、組織運営に関して高い透明性がある点です。すべての取引や意思決定のプロセスはブロックチェーン上で公開されており、誰でも確認することができます。これにより、従来の中央集権的な組織と比べ、不正や隠蔽が行われにくくなっています。

また、DAOの運用方針などの議論は公の場(DiscordやForum、Snapshot等のツール)で行われる場合が多く、DAOの参加者であれば誰でも参加可能です。

メリット2.資金調達が容易

DAOはスマートコントラクトを活用して資金を集めることができるため、従来の組織構造と比べて資金調達の効率が高いです。

DAOはイーサリアムといったパブリックブロックチェーン上に構築されるケースが多いため、ガバナンストークンやNFTの発行を通じて迅速な資金調達を行うことが可能です(実際に資金調達を行う場合は、事前のマーケティング活動が重要です)。

こうしたプロセスは、従来の資金調達方法と比較するとハードルが低く、費用も抑えることが可能です。

DAOのデメリット(問題点)

デメリット1.法整備が整っていない

DAOは全く新しい組織形態であり、現行の法律や規制に適合していません。多くの国や地域でDAOに対する法的な枠組みがまだ整っておらず、トラブルが発生した場合の法的な保護が不足していることが問題です。特に、責任の所在や税制面での不確実性が課題となります。

ただし、この問題点は特定の地域では徐々に解決されてきています。

2021年7月、アメリカのワイオミング州にて世界で初めてDAOに特化した法律が施行されました。これは俗にDAO法と呼ばれており、DAOに対して有限責任会社としての法人格を認める法案が承認されています。
参考元:https://www.wyoleg.gov/Legislation/2021/SF0038

それ以前にも、2018年にアメリカのバーモント州でブロックチェーン基盤の有限責任会社(BBLLC)の設立を認める法律が制定されていましたが、明確にDAOに言及した法律としてはワイオミング州が初でした。

さらに2024年4月には、日本でも合同会社型DAOを設立することが可能になりました。合同会社型DAOとは、日本の会社法における合同会社の枠組みを利用しつつ、DAO的な運営を行う新しい組織形態を指す言葉です。合同会社型DAOを設立することで、日本においてもDAOに法人格を付与できたり、税務上の取り扱いを明確化することができるようになりました。
参考元:https://www.fsa.go.jp/news/r5/shouken/20240401/20240401.html#bessi1

ここまで解説してきた事項を踏まえると、DAOに関する法整備は着実に進んでいると理解できます。

デメリット2.意思決定や施策の実行に時間がかかる

DAOは、参加者全員の意見を反映して運営されることを目指しています。このため、意思決定のプロセスは、全体の合意を得るまでに時間がかかることが一般的です。特に、DAO内での投票プロセスは、各メンバーが提案を十分に検討し、意見を述べる時間が必要です。投票が完了するまでに定められた期間(数日〜数週間)を設けている場合が多く、迅速な意思決定を妨げる要因となります。

また提案の数や複雑性が増すと、意思決定に関与するメンバーのリソースも限られてくるため、効果的に意思疎通や実行が行われなくなるリスクもあります。結果として、緊急事態や短期間での対応が求められる状況では、DAOの構造は中央集権型の組織に比べて遅れを取る可能性があります。

DAOのメリット、デメリットのまとめ

上記で紹介したDAOのメリット、デメリットについて、補足事項を追加して表にすると以下のようになります。

メリット デメリット
ガバナンス 中央集権的な管理者が存在せず、参加者全員が組織の意思決定に関与できる 中央集権的な組織よりも、意思決定までに時間がかかることがある
透明性 ブロックチェーン上で運営されるため、すべての取引や投票が公開され、改ざんが困難 スマートコントラクトにバグや脆弱性がある場合、資金や運営が危険に晒される可能性がある
コスト 管理者や中間業者が不要なため、運営コストが削減される DAOの法的地位が不明確であり、規制が不十分な場合もある
インセンティブ ガバナンストークンで参加者に報酬を与えることで、積極的な貢献を促進できる ガバナンストークンが一部の大口保有者に集中すると、実質的に一部の人々だけが意思決定を行える状況になってしまう

DAOのビジネスモデルと具体事例

事例1.DAO × NFT

DAOはNFT分野で活発に利用されています。特にNFTプロジェクトはコミュニティを作ることが必要不可欠であり、その特性がDAOとマッチしていると言えます。ここでは、NFT関係のDAOの事例として、Nouns DAOとNinja DAOをご紹介いたします。

Nouns DAO

出典元:https://nouns.wtf/

Nouns DAO(ナウンズダオ)は、NFTプロジェクト『Nouns』のNFTを軸に立ち上げられたDAOです。Nounsとは、32×32ピクセルのドット絵をモチーフにしたNFTアートが毎日1つ発行され、それがオークション形式で販売されるNFTプロジェクトです。

NFTの販売収益がNouns DAOの運営資金として使われます。なおNouns DAOには2024年10月時点で、約4,258ETH(約15億円)の運営資金が存在しています。Nouns DAOでは、Nouns NFTの所有者のみがDAO内での提案や意思決定に投票する権利を持っています。

Nouns DAOの目的は、DAOの収益を有効活用してNounsブランドを広めたり、Nounsコミュニティの活動を支援することになっています。具体例としては、野良猫や野良犬用のアニマルシェルターを提供するチャリティー活動が挙げられます。

出典元:https://x.com/NounsShelter/status/1813360609255096402

Ninja DAO

出典元:https://www.ninja-dao.com/

Ninja DAOは、キャラクターブランド『Crypto Ninja』の運営を行うDAOです。CryptoNinja NFTやCryptoNinja PartnersというNFTプロジェクトのコミュニティでもあり、Crypto NinjaのIPを利用したマンガ、ゲーム、小説、音楽、舞台などの展開を盛り上げるためのDAOとなっています。

実際にアニメ化プロジェクトやマンガ化プロジェクトが進行したりと、DAOの意思決定に基づくさまざまなクリエイティブな試みが活発に行われています。また、NFT所有者だけでなく、クリエイターや開発者としてプロジェクトに貢献することが奨励され、コミュニティ全体が盛り上がっています。Crypto Ninja関連のNFTを所有せずとも、イラストや動画編集、デザインといったクリエーターとしてのスキルを用いてDAOに貢献する形が根づいています。

事例2.DAO × DeFi

DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)とは、中央集権的な金融機関や仲介者を必要とせず、ブロックチェーン技術を利用して金融サービスを提供する仕組みを指します。

DeFiを実現するためにDAOが設立される事例も散見されます。特に以下でご紹介するThe DAOとMaker DAOは、必ず頭に入れておきたい事例です。

The DAO

The DAO(ザ・ダオ)は世界で初めて作られたDAOであり、DeFiの要素を有していました。The DAOは2016年4月にイーサリアムブロックチェーン上で立ち上げられたDAOで、分散型のベンチャーキャピタルのような仕組みを提供することを目指していました。投資家はDAOというトークンを購入することで、The DAOを通して実施するプロジェクトへの出資や投資先の選定に参加することができるようになる、という設計でした。

The DAOは、DAOという新しい組織形態への期待も相まって、ICOとして当時最大規模の約1,200万ETH(当時のレートで約144億円)を集めました。しかし、ICOから約2ヶ月後の2016年6月17日、The DAOのスマートコントラクトに存在した脆弱性が突かれました。この結果、ハッキングにより約360万ETHが盗まれる事件が発生しました。
参考元:https://www.gemini.com/cryptopedia/the-dao-hack-makerdao#section-the-dao-hack

この事件は最終的に、イーサリアムのハードフォークを実施して盗まれたETHの移動をなかったことにすることで、ハッカーの手に渡らないようにする措置が取られました。このような背景によりThe DAOのハッキング事件はDAOのリスクを象徴するプロジェクトとなり、今日のDAO運営に対する教訓となりました。

MakerDAO

出典元:https://makerdao.com/en/

MakerDAO(メイカーダオ)はDAIというステーブルコインの管理を行うためのDAOです。2015年にデンマークの起業家であるRune Christensen氏によって設立され、Ethereum上に構築された分散型のステーブルコイン発行システムとして2017年に最初のバージョンがリリースされました。

MakerDAOは米ドルに連動したステーブルコイン『DAI』の発行を行うシステム『Maker Protocol』を管理しています。ユーザーはMaker Protocolに対してETHなどの暗号資産を担保として預け入れることで、預入額に応じたDAIが発行されユーザーに渡されます。DAIには米ドルの価格と連動するように各パラメータ(金利、清算レートなど)が設定されており、これにより価格の安定化を図っています。

MakerDAOは、上記のようなDAIの価格安定化を実行する役割を担っています。Maker DAOの参加者は、MKRというガバナンストークンを用いてMakerの重要な意思決定やアップデート(パラメータの変更など)を行う際のガバナンス投票に参加可能です。

なおMakerDAOは2024年9月18日からSkyというプロジェクトとしてリブランディングされています。これを受けて、DAIをUSDS(Sky Dollar)というステーブルコイン、MKRをSKYというガバナンストークンに交換する選択肢をユーザーに提供しています。

出典元:https://sky.money/

事例3.その他のDAO

ここではその他のDAOの応用例をご紹介いたします。

DAO × 地方創生:美しい村DAO

出典元:https://beautiful-village.org/

美しい村DAOは、株式会社ガイアックスと「日本で最も美しい村」連合が共同で推進している、地方創生を目的としたDAOプロジェクトです。このプロジェクトは、Web3技術を活用し、各地域の森林、棚田、名産品などを基にしたサービスを提供し、その収益の一部を地域の運営や保全活動に充てられるようなエコシステムの構築を目指しています。加えて、複数の地域がDAOを通じて連携することで、より広範囲にわたる地方活性化モデルを構築しようとしています。なお、2024年10月時点では、鳥取県智頭町と静岡県松崎町が当該連合に加盟しています。

美しい村DAOは、デジタル村民証というNFTや、地域の魅力を反映したコンテンツNFTを販売するプラットフォームを運営しており、これらのNFTを購入することで、DAOメンバー(デジタル村民)として活動することが可能になります。DAOに参加することでメンバーは美しい村の魅力を広めるためのコンテンツ企画を提案できるようになり、その承認可否がデジタル村民による投票によって決定されることでDAO運営が行われます。このプロセスを通じて、DAOは美しい村のビジョン形成と地方創生の推進に重要な役割を果たしています。

さらにデジタル村民証には、リアルな村民と同じように村民向けのサービスを受ける権利や、企画で生まれた収益の一部が分配される権利などの特典が付与されます。

DAO × 採用:三井住友海上火災保険社の採用DAOプロジェクト

DAOの事例として最後に、三井住友海上火災保険株式会社と株式会社ガイアックスが共同で実施した、採用DAOプロジェクトについて紹介します。このプロジェクトは、DAOを活用した採用活動の有効性を検証する試みで、2023年11月の1ヶ月間に行われました。

就活生7名と同社社員9名が参加し、Discordなどのオンラインツールを使った『採用DAO』で、匿名かつ学歴・年齢に依存せず、DAOメンバーが意見交換や意思決定を行いました。活動は「いいね!」機能によって評価され、トークン化されます。このトークンが最終的な評価材料となり、参加者の貢献度を測る基準となりました。

この試みは、採用活動の透明性や公平性の観点で参加者から高い評価を受けています。一方で、従来の採用プロセスに比べ、学生と採用側の双方にとって労力がかかる点も指摘されています。

三井住友海上火災保険株式会社による本件に関する公式ニュースリリースはこちらからご覧いただけます。

DAO・コミュニティ構築支援企業のご紹介

株式会社ガイアックス:DAOX

出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000596.000003955.html

株式会社ガイアックスは1999年に設立されて以来、ITサービスの受託開発・運営、自社サービスの開発・運営、ソーシャルメディアを使用したマーケティング、およびコンサルティングを行っている上場企業です(証券コード:3775)。

同社では、DAOに特化したコンサルティング及びツールである『DAOX』の提供を行っています。これまでDAOを立ち上げるためには複数サービスの導入が必要であり、社内担当者とDAO参加者の双方にとって大きな障壁となっていました。

DAOX(ダオエックス)ではツールの導入だけで組成から運用までのDAO組織作りがワンストップで実現可能となっています。既存事業のDAO化やDAOによる事業検証をサポートを提供しており、スムーズなDAO立ち上げとメンバーの巻き込み、自律的に推進されていくコミュニティ作りを実現します。

加えて同社は、2015年からブロックチェーン技術に特化したメディア『Blockchain Biz』の運営もしているため、ブロックチェーン業界での最新の知見を積極的に発信している点も魅力です。

項目 内容
会社名 株式会社ガイアックス
会社所在地 東京都千代田区平河町2-5-3 MIDORI.so NAGATACHO
設立年月日 1999年5月21日
対応領域 ・DAOやコミュニティの構築支援
実績 ・三井住友海上火災保険株式会社と共同で、DAOを活用した新たな新卒採用プロセスの構築を行う

・日本郵船社において、社内のコミュニケーション課題を解決することを目指した社内DAOの立ち上げ・運用を支援

・地方自治体の連合DAO(鳥取県智頭町、静岡県松崎町)である『美しい村DAO』のプロダクト開発・コミュニティ育成を支援

DAOXの詳細はこちら

株式会社Unyte:Unyte

出典元:https://unyte.team/

株式会社Unyteは、ブロックチェーン技術を用いてコミュニティやDAOの構築および高度な運用管理を支援することを可能とするプラットフォーム『Unyte(ユナイト)』を提供しています。

Unyteでは、DAOの構築に不可欠である会員権・投票権・貢献ポイントのNFTをすべて新規に発行し、DAOの構築を行うことが可能です。これにより、意思決定のためのガバナンス投票やタスク遂行など貢献に応じたインセンティブ設計を行うことができ、参加者が役割を分担することで成立しているDAOでの持続的な活動を促進します。

またUnyteを用いることで、オンボーディングプロセスの簡易化にもつながります。DAOの組成時および参加にあたって取得が必要になる暗号資産ウォレットは、メールアドレスやGoogle、Xのソーシャルアカウントでログイン時に自動で作成することができ、これまでDAOの普及に向けた課題とされていた暗号資産管理の手間や学習コストを削減することが可能です。この特徴により、手軽にトークンやNFTの保有ができ、自身のDAOでの貢献履歴を透明かつ改竄できない形で証明できます。

項目 内容
会社名 株式会社Unyte
会社所在地 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル2F-C
設立年月日 2022年10月14日
対応領域 ・DAOやコミュニティの構築支援
実績 ・東急不動産株式会社および、東急不動産SCマネジメント株式会社が運営管理する商業施設『あべのキューズモール』において開始する、DAOを活用し学生の挑戦を応援するプロジェクト『登Q門』において、DAOの構築・運用プラットフォームとしてUnyteを採用

・国内初の合同会社によるAI研究開発支援DAO『AiHUB Community合同会社』の設立・運営を支援

Unyteの詳細はこちら

株式会社IndieSquare:HAZAMA BASE

出典元:https://indiesquare.co.jp/

株式会社IndieSquareは、2015年9月に設立されたブロックチェーンスタートアップであり、主にトークンエコノミー関連の取り組みを主軸としてサービスを展開してきました。

同社は、ノーコードでNFTやトークンの発行、DAOを展開可能なweb3ダッシュボードサービス『HAZAMA BASE』を展開しています。HAZAMA BASEでは、ウォレットや暗号資産を事前準備する必要が無く、さらに利用料も0円から利用可能となっています。

加えて同サービスは、同社が開発する特許取得済みの次世代ブロックチェーン技術『HAZAMA(ハザマ、特許第6788875号)』上でのトークン発行にも対応しており、独自のブロックチェーン上で、NFTの販売方法、決済手段、手数料形態などのカスタマイズが可能となっています。

HAZAMA BASEは2022年5月にローンチしてから、内閣官房や自民党青年局等の政府案件などでのNFT及びDAOプラットフォームとして採用されています。特に2022年5月28日に自民党青年局の集会で配布されたNFTは、岸田首相や小泉進次郎衆議院議員の顔画像が付いたトークンとして注目を集めました。

項目 内容
会社名 株式会社IndieSquare
会社所在地 東京都渋谷区渋谷2-2-17
設立年月日 2015年09月02日
対応領域 NFTやトークンの発行、DAO展開ツールの提供
実績 ・自由民主党青年局が、2022年5月28、29日に開催された会議・研修会の参加者に向けて参加を証明する譲渡不能のNFT『POAP(Proof of Attendance Protocol)』を配布する際にHAZAMA BASEを採用

・内閣官房初のNFT活用として、『HAZAMA BASE』を用いて令和4年度夏のDigi田甲子園における受賞証明NFTを発行

HAZAMA BASEの詳細はこちら

まとめ

DAOはまだ新しい概念ですが、さまざまなプロジェクトやコミュニティが登場し、各国での法整備も進展しているため、注目度が急速に高まっています。特に、Web3時代の分散型組織として、多くの企業や個人がその可能性を模索し始めており、従来の中央集権的な組織形態に代わる新しい形態として期待されています。

一方でDAOはまだ試行錯誤の段階にあり、その運営方法や実際の成果にはばらつきがあります。実態として、ガバナンスや意思決定のプロセスがうまく機能しておらず、コミュニティ形成に失敗しているDAOも少なくありません。

しかしながら、これらの課題を解決するために、DAOを運営するためのツール類などが進化を遂げており、各プロジェクトが実際の事例から学びを得ながら改善を図っています。法整備の進展と共に、より多くの国や地域でDAOが社会的に受け入れられるようになれば、DAOの活用範囲はさらに広がり、革新的なプロジェクトが増えることが期待されます。

本記事を通じて、DAOの基本的な仕組みやメリット・デメリットについての理解を深め、自社のプロジェクトに適したDAO構築の方法を考えるきっかけにしていただければ幸いです。

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