改ざん耐性（かいざんたいせい）とは、情報が第三者によって不正に変更されることを防ぐ能力のことを指します。この用語は、特にブロックチェーン技術や暗号資産（仮想通貨）の分野で重要視されています。
ブロックチェーン技術は、その改ざん耐性の高さが大きな特徴の一つです。ブロックチェーンは、一連の情報（ブロック）がチェーンのように連なって構成されており、それぞれのブロックには取引データやその他の情報が含まれています。そして、各ブロックは独自のハッシュ値と前のブロックのハッシュ値を持っています。
ハッシュ値とは、データから計算される一意の指紋のようなもので、どんなに小さなデータの変更もハッシュ値を大きく変えるため、データが改ざんされたかどうかを検出するのに非常に有効です。ブロックチェーンでは、各ブロックが前のブロックのハッシュ値を含んでいるため、一つのブロックを改ざんすると、それに続く全てのブロックのハッシュ値も変わってしまいます。これにより、改ざんを試みた場合には、それがすぐに検出されやすくなります。
さらに、ブロックチェーンは分散型台帳技術（Distributed Ledger Technology, DLT）としても知られており、同じデータのコピーが世界中の多数のコンピュータ（ノード）に保存されています。改ざんを行うには、ネットワーク上の過半数以上のノードに保存されているデータを同時に変更する必要がありますが、これは実際には非常に困難です。このように、ブロックチェーンの持つ分散性とハッシュ値を用いた連鎖的なデータ構造が、高い改ざん耐性を実現しています。
暗号資産（仮想通貨）もブロックチェーン技術を基盤としているため、改ざん耐性は非常に重要です。例えば、ビットコインなどの暗号資産は、取引記録がブロックチェーン上に保存されており、一度確定した取引は後から変更することができません。これにより、ユーザーは自分の資産が不正に操作される心配なく、安心して取引を行うことができます。
改ざん耐性は、金融分野に限らず、医療記録の管理、供給チェーンの追跡、投票システムなど、さまざまな分野でのデータの信頼性とセキュリティを確保するためにも重要です。データが改ざんされるリスクを減らすことで、それらの情報を基にした意思決定や、法的な証拠としての信頼性が高まります。
改ざん耐性の高いシステムを構築することは、デジタル社会における信頼の基盤を築く上で不可欠です。ブロックチェーン技術はその一例であり、今後も改ざん耐性をさらに向上させるための研究開発が進められています。
