MCBリサーチ:暗号資産に関する独自の格付評価モデルを考案

マネックスクリプトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表:万代惇史、以下「マネックスクリプトバンク」)は、暗号資産の格付評価をテーマとしたリサーチレポートを配信しました。CoinGeckoの分類法に基づいて30種類の暗号資産を評価対象として選定し、流動性やハッキングリスク、集中リスクなど7つの項目に分けて相対的に最終スコアを付与しました。今後は暗号資産格付けサービスの展開も視野に入れています。

レポート概要

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レポートテーマ

MCBクリプト格付けー30種類の暗号資産を7つの項目別に相対評価

目次

  • はじめに
  • 格付け方法について
    • 前提として
    • 格付けの先行事例
    • MCBクリプト格付けで評価する要素
    • 評価対象の選定
    • 指標となるデータの収集方法
    • 評価方法の概要
  • 格付け結果
  • 考察と今後の改善に向けて
  • 終わりに
  • 参考文献

はじめに

昨今、web3への注目が高まる中、暗号資産の代表格として知られているビットコインやイーサリアム以外の暗号資産の取引が活発になってきている。いわゆるアルトコインと呼ばれるビットコイン以外の暗号資産の種類は日々増加しており、その数は今や25000種類以上にものぼる。暗号資産の中でもそれぞれ性格は異なり、ビットコインのように価値の安全な保存と移転を主眼とするものもあれば、イーサリアムのようにスマートコントラクトの利用によるDAppsの開発などのブロックチェーンの応用を推進するものもある。今後、個人投資家はもちろん、ますます多くの機関投資家がマーケットの情報やプロジェクトの内容を精査し、投機目的ではなく投資目的による暗号資産の購入を進めていく可能性が高い。事実、米国をはじめとして複数のヘッジファンドが直接的に暗号資産への投資をしており、その他の種類の機関投資家も暗号資産に対する高い関心を持っていることが各種調査機関のレポートによって示されている。

このように暗号資産へ投資をしようという気運が高まっている中で、重要になってくるのが暗号資産をどう評価するかということである。暗号資産はその性質上、株式をはじめとする伝統的金融資産と比べて非常に多種多様な要素を持ち、そのトークン価値を表す明確な指標は未だ存在していない。またトークン自体、価値の裏付けとなる資産等が存在しない場合が多いため、価値算定すること自体がかなり困難である。このことが投資家にとっては暗号資産市場に参加する際の大きなハードルとなっている。

だが、価値そのものを測ることは難しくとも、投資判断を行う際に必要な情報が揃っていれば話は変わってくる。そもそも機関投資家を中心に投資家が投資を実行する際に重視する要素とはなんだろうか。弊社で行った国内機関投資家をはじめとする金融関係者へのヒアリングを通して、いくつかの重要な項目が浮かび上がってきた。その性質は大きく二つに分けられる。一つには、流動性や一部の投資家にアセットが寡占されている集中リスクが挙げられる。これは株式をはじめとする伝統的な金融資産でも重視されてきた項目だ。もう一つは暗号資産ならではの項目である。例えば法規制・コンプライアンスリスクや技術的なリスク(ハッキングなど)がその代表例である。

弊社ではこれらの項目を踏まえて暗号資産を格付けすることで投資家へ有益な情報を発信できるのではないかと考えた。格付けの大きな意義として次の二つが挙げられる。

  1. 暗号資産への投資を検討している投資家に対して見るべき重要なポイントをわかりやすい形で情報発信することができる
  2. 要素を絞って格付けすることで性質の異なる通貨に対しても一定の判断基準で比較・評価することができる

まず一つ目だが、これが今回の格付けの主目的である。点数というわかりやすい評価指標を通じてどの通貨がどの側面で優れているのか、不安材料を持っているのかを簡単に把握することができる。また重要ポイントに絞った評価を行うことで、この格付けを通して暗号資産のどこを見るべきか、どうやって見るべきかということも発信できると考えている。特にクリプトに対する深い見識のない投資家にとってはまず何をもってクリプトの良し悪しを判断するかという基準をある程度示せるのではないかと考えている。

次に二つ目に関してだが、先にも述べたように暗号資産と一口に言ってもそれぞれ性質は大きく異なる。株式の場合、発行する会社の性質は異なるかもしれないが株式という証券としての性質で見れば同一といえる。だが、暗号資産の場合はそもそもトークン自体の仕組みがトークンごとに異なっている。そのため横一列で並べて比較することはなかなか難しい。そのことを踏まえて、今回の格付けでは、投資家が重視する要素、言い換えると投資をする上で必要条件となりうる要素に絞って評価を行った。必要不可欠な要素に限って考えれば比較することが可能であり、またその意義も大いにあると考えている。

以上のようなコンセプトのもと、弊社独自の格付け指標の開発を行なった。以下でその詳細を説明していきたい。

格付け方法について

評価方法の概要

評価のプロセスの概要を以下に示す。

  1. 各要素を評価するための指標を収集する(ある日付時点までの情報で判断する)
  2. 各指標を一定の基準とパーセンタイルで区切り、各区分に10段階で得点をつける(相対評価)
  3. 各指標ごとに比率を設定し加重平均してその要素の評価を決定する
  4. 各要素ごとに比率を設定し加重平均してその暗号資産としての総合評価を決定し順位づけする
  5. 順位をつける際に、同順位の場合は時価総額が高い方を上の順位とする

要素ごとの比率は以下の通りである。なお、この比率は今後格付けの見直しの際に変動する可能性があるため、あくまで参考としてもらいたい。

格付け結果(抜粋)

※2023年6月8日時点

 

MCB RESEARCH刊行にあたって

最近では「web3」と呼ばれる次世代のインターネットが世界的に注目され、日本においても政府が骨太方針の中でweb3環境の整備を推進している。web3とは、人によって捉え方は様々だが、ブロックチェーンを基盤とするP2P型のインターネットを指し、その上では暗号資産の技術を活用した様々なデジタル資産がやり取りされる。

今やweb3は暗号資産やブロックチェーンを盛り上げるインターネットのトレンドワードとして存在している。世界中の企業がweb3における新しい事業の可能性を模索する中、分散型金融(DeFi)やノンファンジブルトークン(NFT)、自律分散型組織(DAO)、メタバース、ブロックチェーンゲームなどといった多くのテーマが登場している。しかし、これらのテーマを含むweb3の到来によって各業界のビジネスがどのように変化しうるかについては明らかではない。

そこでマネックスクリプトバンクではweb3の各テーマに関するリサーチおよび研究内容をまとめたレポート「MCB RESEARCH」を刊行することにした。本誌ではweb3全般の技術動向に着目した「TECH」シリーズと、暗号資産のマーケット動向に関連した「CRYPTO」シリーズなどに分けて内容をお届けする。

なお本誌は、価格変動の伴う暗号資産やNFTについて取り上げるが、客観的な情報提供を第一義としており、ここで取り上げる暗号資産等の売買を推奨するものではない。読者が本誌の内容を投資判断に活用する場合には、弊社は一切の責任を負わないものとする。

レポート概要(再掲)

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問い合わせ先

info●cryptobk.jp(●を@に変えて送信してください)

担当:松嶋、中坪

マネックスクリプトバンク株式会社について

マネックスクリプトバンク株式会社は、2017年12月に設立され、暗号資産やブロックチェーンのサービスに関する調査、研究、企画、開発及びコンサルティングを提供しています。東証一部上場企業であるマネックスグループ株式会社の100%子会社であり、暗号資産・WEB3・ブロックチェーンに関するニュースレターやリサーチ、相場展望を配信している他、ビットコインがもらえる二ュースアプリ「Cheeese」などのサービスを運営しています。

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