暗号資産・Web3・ブロックチェーン業界におけるデータ分析は、どのように行われているのでしょうか?
これらの業界では、ブロックチェーン上に記録された膨大なデータを基に市場動向を分析する手法が一般的に使われています。このようなデータ分析をオンチェーン分析と呼び、暗号資産の価格変動や取引の活発度、Web3プロジェクトの成長状況を把握するために不可欠な手段となっています。
本記事では、オンチェーン分析の基礎から具体的な分析手法、活用できる主要なツール、さらにオンチェーン分析事業を行っている企業の事例まで詳しく解説します。本記事を最後まで読んでいただければ、Web3・ブロックチェーン業界におけるデータ分析の全体像を理解し、これからのWeb3時代において実際のビジネスや投資活動に活かせる知識を身につけることができると思います。
目次
オンチェーン分析とは
オンチェーン分析とは、ブロックチェーン上に記録された取引やデータを解析し、有益な洞察を得る行為を指します。オンチェーン分析を行うことで、暗号資産の取引戦略を策定したり、マネーロンダリングなどの金融犯罪捜査に役立てることが可能です。
また、近年ではマーケティング領域でも注目されており、Web3ユーザーの行動パターンや嗜好を把握することで、Web3サービスの改善に繋げる新しい手段としての活用も期待されています。
オンチェーンとは
オンチェーン(on-chain)とは、ブロックチェーン上で行われるすべての取引や処理、記録を指す言葉です。この語は『on(上に)』と『chain(鎖、つまりブロックチェーンを指す)』を組み合わせた造語であり、暗号資産の送受信やスマートコントラクトの実行など、ブロックチェーン上に記録される動作全般を意味します。
一般的な言葉の使われ方としては、オンチェーン分析、オンチェーンデータ、オンチェーン活動(ブロックチェーン上に何かしらの記録として残るトランザクションを発行する動作)などが挙げられます。
オンチェーンに対し、ブロックチェーンの外で行われる取引や処理を『オフチェーン(off-chain)』と呼びます。オフチェーン活動の例としては、暗号資産取引所内での暗号資産の取引や、ブロックチェーン外でのデータ保存などが該当します。
オンチェーンデータとは
オンチェーンデータとは、ブロックチェーン上に記録されたすべての情報を指します。より厳密に表現すると、ブロックチェーン上でユーザーが行った取引の履歴だと言えます。サービス提供側は当該情報を分析することで、ユーザー動向の把握と新たなマーケティング施策の考案に活かすことが可能となります。オンチェーンデータの具体例は『オンチェーン分析の対象となるデータ』でご紹介いたします。
一方で、ブロックチェーン上に記録されていない情報をオフチェーンデータと呼びます。オフチェーンデータには、以下のような情報が含まれます。
- 取引所内の資産移動:中央集権型取引所内での資産の移動はブロックチェーン上には記録されません。
- 個人情報:ユーザーの氏名や連絡先などの個人情報は、プライバシー保護の観点からブロックチェーン上に記録されず、外部システムで管理されます。
- 価格情報:暗号資産のリアルタイム価格や市場動向などの情報は、ブロックチェーン上に直接記録されるものではなく、外部データプロバイダーから取得されます。
オンチェーンデータとオフチェーンデータを組み合わせることで、より深い分析を行うことが可能となります。結果として、トレーディング戦略の立案、市場動向の把握、金融犯罪の取り締まりといった様々な面で役立ちます。
金融庁が公開した『分散型金融システムにおけるオンチェーン/オフチェーンデータを活用した実態把握に関する研究』の調査研究報告書には、オンチェーンデータとオフチェーンデータのつながりが以下のように図示されています。
出典元:https://www.fsa.go.jp/policy/bgin/ResearchPaper_qunie2_ja.pdf
オンチェーン分析に注目すべき理由(メリット)
新たなビジネスの種になる可能性がある
オンチェーン分析は単なる技術的な解析手法にとどまらず、具体的なビジネス価値を生み出す基盤となる可能性があります。オンチェーンデータを深掘りして得られたインサイトを活用することで、Web3ユーザーのニーズを精密に把握し、それに応える形で新しいサービスを展開することができます。
特に暗号資産の普及が進む中で、こうしたデータに基づく意思決定は企業の競争力を大きく左右すると考えられます。ビジネス環境の変化に迅速に対応できるようになるため、オンチェーン分析の導入は、ブロックチェーン関連の事業を展開する企業にとって必要不可欠な要素になる可能性があります。
TradingViewでもオンチェーン分析が可能となる
オンチェーン分析は、一部のブロックチェーン専門家のみならず、一般の投資家にも身近なものになりつつあります。著名なチャート分析プラットフォームであるTradingViewでは、Glassnode(記事後半で詳しく解説します)が提供するオンチェーンデータを使った分析が可能となり、これまでにない投資の意思決定の創出をサポート可能となりました。
こうした機能の普及により、オンチェーン分析はさらに多くの投資家や企業に利用されるようになり、業界全体の透明性と効率性を高めることが期待されています。
オンチェーン分析の対象となるデータ
オンチェーン分析は、ブロックチェーン上に記録されたさまざまなデータを対象に行われます。これらのデータを分析することで、暗号資産の取引動向、ネットワークの健全性、セキュリティリスクなどを把握し、何らかの意思決定に活用可能となっています。オンチェーン分析の対象となるデータを分類すると、以下表に示した4種類のデータとなります。
データ種別 | データの例 | 主な活用例 |
トランザクションデータ | ・暗号資産の送受信履歴
・スマートコントラクトの呼び出し履歴を含む取引の記録 |
・取引ボリュームの分析
・異常な資金移動の検出 |
ブロックデータ | ブロック生成に関する情報(ブロックが生成された時間、ガス使用量、マイナー情報など) | ネットワークの負荷状況やマイニング活動の分析 |
ウォレット(EAO)のデータ | ・ウォレットアドレスの取引履歴や残高
・アクティブユーザー数 |
・アクティブウォレット数の増加または減少推移の分析
・トークンの集中度や分散度の把握 ・過去に金融犯罪に関与したウォレットかどうかの判定 |
スマートコントラクトのデータ | ・スマートコントラクトのプログラムコード
・実行履歴 ・トークン発行量 |
・DAppの利用状況の分析
・スマートコントラクトのセキュリティリスク評価 |
オンチェーン指標の具体例
オンチェーン分析では、ブロックチェーン上のデータを用いて市場やブロックチェーンの動向を把握します。これにより、投資戦略の立案やリスク管理を行うことが可能です。ここでは、オンチェーン分析における指標(オンチェーン指標)の具体例をいくつか紹介します。
指標1.アクティブアドレス
アクティブアドレスは、一定期間内に取引を行ったウォレットアドレスの数を指す指標です。この指標は、ネットワーク上でのユーザー活動を示し、ネットワークの活性度や普及状況を評価する際に重要な役割を果たします。アクティブアドレス数が増加することは、ブロックチェーンの利用が拡大している兆候と捉えられます。
以下では、2025年1月12日時点の各ブロックチェーンにおけるアクティブアドレス数を示しています。このデータにおけるアクティブアドレスは、1ヶ月間に1回以上トランザクションを発生させたアドレスと定義されています。データによると、当該時点で最も多いアクティブアドレス数を記録したのはBaseで、約2250万アドレスに達しています。この背景には、当時Base上でVirtuals ProtocolなどのAIエージェント利用が活発だったことが考えられます。このように、データが実際のトレンドを反映していることが確認できます。
指標2.発生しているトランザクションの量
トランザクションの量は、ブロックチェーン上で行われた取引の総数を示す指標です。この指標を分析することで、ネットワークの利用状況や取引の活発度を把握できます。トランザクション量が増えることは、ユーザー間での資産移動やスマートコントラクトの利用が活発化していることを示します。
指標3.トークンの供給量
トークンの供給量は、特定の暗号資産の総発行量や流通量を指します。この指標は、トークンの希少性や市場価格に影響を与える要因の1つです。
また、流通供給量に加え、一定期間に新たに発行されたトークンの量も重要です。インフレーション率の高いトークンは価格に下落圧力がかかりやすく、逆に供給が制限されているトークンは価値が上昇する可能性があります。
以下では、2025年1月12日時点におけるEthereumのネイティブトークンであるETHに関する供給量データを示しています。以下のデータを見ると、当該時点でのETHの総供給量は約1.2億ETHであり、過去7日間で1.2万ETHの供給量の増加があったと分かります。
オンチェーン分析のやり方
オンチェーン分析の具体的なやり方としては、次の3つの手法が存在します。①の手法は誰でも手軽にオンチェーン分析ができる一方で、②、③の手法は専門的な知識が必要になります。
- ①既に加工されたオンチェーンデータが閲覧できるサイトを使用する
- ②自分でオンチェーンデータの加工ができるサイトを使用する
- ③オンチェーンデータを自身が管理するデータベースに格納し、その中でデータ加工などを行う
以下に①、②、③の詳細を解説します。
①「既に加工されたオンチェーンデータが閲覧できるサイトを使用する」手法
オンチェーン分析において最も手軽な方法は、既に加工・視覚化されたオンチェーンデータを提供しているサイトを利用することです。たとえば、Etherscan、DappRadar、DefiLlama、Glassnodeといったサイトでは、アクティブアドレス数や取引量、取引所への資金フローといった主要な指標がわかりやすく表示されており、すぐに市場の動向を把握できます。この手法は、複雑なデータ処理を必要とせず、短時間でインサイトを得ることができるため、初心者や迅速な意思決定が求められる場面に適しています。
②「自分でオンチェーンデータの加工ができるサイトを使用する」手法
①よりも高度なオンチェーン分析を行いたい場合は、自分でデータを加工できるプラットフォームを使用します。代表的なサイトとしてはDuneが挙げられます。これらのプラットフォームでは分析の基となるオンチェーンデータがサイト側で用意されているため、ユーザーはクエリ言語(SQLなど)を使用するだけでオンチェーンデータを自由に抽出・加工が可能です。この手法は、①ではカバーしきれない詳細な分析をしたい場合や、自身の仮説をデータを用いて検証し独自のインサイトを得たい場合、などに有効です。
③「オンチェーンデータを自身が管理するデータベースに格納し、その中でデータ加工などを行う」手法
この手法は、自らオンチェーンデータを収集し、データベースに格納して分析を行う方法です。具体的には、EthereumのJSON-RPC APIやThe Graphのようなデータ提供サービスを利用してデータを取得し、自分のデータベースに保存します。その上で、PythonやRなどのプログラミング言語を使ってデータを加工・分析します。この手法は柔軟性が高く、大規模なデータ処理や高度なモデルを用いた分析が可能になりますが、その分専門知識やインフラ環境の整備が必要です。
以下のオンチェーン分析ツールのカテゴリと照らし合わせると、①の分析手法はExplore領域、②の分析手法はQuery領域、③の分析手法はIndex領域のオンチェーン分析ツールを用いて行う、というイメージとなります。
出典元:ilemi氏の作成した画像を加工し、筆者による補足を追加(https://x.com/andrewhong5297/status/1747299716063248597)
本記事では、オンチェーン分析を比較的容易に取り組める①、②の手法に主眼を置いています。③の手法に関心がある方は、JSON-RPC APIやインデクサーと呼ばれるツール(代表例としてはAlchemy、Quicknode、The Graphが挙げられます)を用いたオンチェーンデータの収集と分析について調べてみてください。
ビットコインのオンチェーン分析の例
オンチェーンデータの分析方法を理解したところで、実際にビットコインに関する具体的なオンチェーン指標を見てみましょう。今回は①の手法でオンチェーン指標を観察し、ビットコイン市場の動向把握と考察を行ってみます。
ビットコインは2009年に世界で初めて誕生した暗号資産であり、その価格変動や技術の進展は暗号資産市場全体に多大な影響を与えています。本記事をご覧の方でも、ビットコインを保有している方は少なくないと思います。このような特徴を持つビットコインのオンチェーンデータを分析することで、これまでの市場の流れを振り返り、現在の動向を把握し、今後の市場の方向性について洞察を得ることができる可能性があります。
本項ではビットコインに関するオンチェーンデータの中から、代表的な以下4つの指標を紹介します。
- アクティブアドレス
- 取引所へのインフローとアウトフロー
- 取引所へのネットフロー
- 取引所保有残高
分析例1.アクティブアドレス
まずは、ビットコインの中でも重要なオンチェーン指標であるアクティブアドレスについて観察してみましょう。
アクティブアドレスとは、特定の期間内にウォレット間で暗号資産の送受信が行われたアドレスの数を示す指標です。この指標からは、ビットコインネットワークの利用状況や活発度、さらにはネットワークの成長が健全であるかどうかを判断するための手がかりを得ることができます。
以下のグラフは、ビットコインについて2009年1月3日から2024年12月2日までの1週間ごとのアクティブアドレスの推移を示したものです。黒いラインがビットコインの対数価格の推移、オレンジ色のラインがアクティブアドレスの推移を表しています。
出典元:https://studio.glassnode.com/charts/addresses.ActiveCount?a=BTC&resolution=1w
グラフを見ると、ビットコインの価格が上昇する局面において、アクティブアドレス数も増加する傾向が見られます。このことから、ビットコインの市場が活発になるにつれて、ネットワークの利用も増加していることが分かります。
ただし、このデータを解釈する際に注意が必要なのは、数値として計上されているのはあくまでウォレットアドレスの数であり、必ずしも個別のユーザー数を正確に反映しているわけではないという点です。たとえば、1人で複数のウォレットアドレスを持っている場合や、1つのアドレスを複数人で管理している場合が多ければ多いほど、このオンチェーン指標は実態と乖離します。
それでも、長期的にアクティブアドレスが増加しているという事実は、ビットコインというブロックチェーンが徐々に成長し、利用が広がっていることを示しています。このような指標を定期的に観察することで、ネットワークの活性度や市場の盛り上がりを把握することができます。
分析例2.取引所へのインフローとアウトフロー
取引所へのインフローとアウトフローも、ビットコインのオンチェーン指標として抑えておくべき知識です。インフロー(inflow)とは中央集権取引所(CEX)が管理するウォレット宛てに送金された暗号資産の量、アウトフロー(outflow)とはCEXが管理するウォレットから別のウォレットに引き出された暗号資産の量を指します。
一般的にインフローの増加は売却圧力の高まりを意味し、直近で起こる価格下落の兆候だと解釈されることが多いです。なぜならば、いままでノンカストディアルウォレットで所有していた暗号資産を取引所に送金するのは、当該資産を取引所で売却するための行為である可能性が高いためです。逆にアウトフローの増加は逆の理由で、投資家の保有意欲が高まっていると解釈され、今後の価格上昇の兆候だと考えられる場合が多いです。
以下のグラフは、ビットコインについて2022年1月13日から2025年1月13日までの1日ごとの取引所へのインフローの推移を示したものです。白い折れ線グラフがビットコインの対数価格の推移、緑色の棒グラフがインフローの推移を表しています。
このグラフを見ると、全体的にインフローが高まっている時は価格が下落している傾向が見て取れると思います。ただし、インフローだけを見て市場の傾向を考察するのは早計です。
次にアウトフローのグラフを見てみましょう。以下のグラフは、ビットコインについて2022年1月13日から2025年1月13日までの1日ごとの取引所へのアウトフローの推移を示したものです。白い折れ線グラフがビットコインの対数価格の推移、緑色の棒グラフがアウトフローの推移を表しています。
インフローとアウトフローの2つを見比べてみると、インフローとアウトフローがほぼ同じ推移をしていることが分かると思います。この理由は、インフローとアウトフローは市場参加者の行動に直接影響されるため、相互に関連して動くことが多いからです。
ただし、インフローとアウトフローの推移がほぼ同じであっても、特定の時点においてどちらの量が多いのかによって市場の状況は全く異なります。インフローがアウトフローを上回っている場合は、売却圧力が優勢であることを示し、短期的な価格下落のリスクが高まると考えられます。一方で、アウトフローがインフローを上回る場合は、保有意欲が強く、価格の安定や上昇につながる可能性があります。
このように、取引所へのインフローとアウトフローは市場の流動性や投資家心理を把握するための重要な指標ですが、それぞれ単独で見るのではなく、両方を組み合わせて総合的に判断することが大切です。そのための指標が、次に解説するネットフローとなっています。
分析例3.取引所へのネットフロー
ネットフロー(Netflow)はインフローとアウトフローの差分であり、市場への資金流入・流出のバランスを示す指標となっています。ネットフローがプラスの状態は、売却圧力の高まりを意味し、直近で起こる価格下落の兆候だと解釈されます。逆にネットフローがマイナスの状態は、投資家の保有意欲が高まっていると解釈され、今後の価格上昇が期待できる可能性があります。
以下のグラフは、ビットコインについて2022年1月13日から2025年1月13日までの1日ごとのネットフローの推移を示したものです。白い折れ線グラフがビットコインの対数価格の推移、緑色と赤色の棒グラフがネットフローの推移を表しています。
このグラフを見ると、ビットコインの価格が大きく動くときには、ネットフローの絶対値が大きくなっていることが理解できると思います。大きな下落が起きる時や下落トレンドが一定期間続く前段階で、大きなネットフローのプラスが伴っていることが確認できます。ネットフローを定期的に観察することで、短期的な価格変動を予測する手がかりをつかめる可能性があります。
その他にも、ネットフローから読み取れることがあります。それは、時間の経過に伴って(2025年1月13日に近づくに連れて)ネットフローがマイナスになっている日時が多くなっている、ということです。これは、取引所からビットコインが流出していることを示しています。ではこのデータを、別の切り口のオンチェーン指標から見てみましょう。
分析例4.取引所保有残高
取引所保有残高(Exchange Reserve)とは、取引所で保有されている暗号資産の総数を示すオンチェーン指標であり、取引所で売却される可能性がある量を把握するための重要な数値です。この指標は、各取引所が管理するウォレットアドレスに保管されている暗号資産の量を集計することで算出されています。
取引所保有残高はネットフローと似た特徴を持つオンチェーン指標です。取引所保有残高値が高いほど取引所に多くの暗号資産が保管されていることを意味し、その分の売り圧力が存在すると解釈されます。逆に値が低い場合は取引所で売却可能な暗号資産の供給量が減少していることを意味するため、売り圧力が少ないと解釈される場合が多いです。
以下のグラフは、ビットコインについて2022年1月13日から2025年1月13日までの1日ごとの取引所保有残高の推移を示したものです。白い折れ線グラフがビットコインの対数価格の推移、青い折れ線グラフが取引所保有残高の推移を表しています。
このグラフを見ると、取引所保有残高は下落トレンドにあることが分かります。これは、投資家がビットコインを取引所から引き出し続けている状況だということです。このデータは、短期的な売買を目的とせずにビットコインを長期保有する意思を持つ投資家が増加している可能性を示しており、将来的な価格上昇の兆候と考えられます。
ビットコインのオンチェーン分析の例は以上となります。暗号資産のデータを用いて市場の傾向を把握する行為のイメージが掴めたでしょうか。なお、実際にオンチェーン分析を行う際は、基となるデータの出所にも注意を払う必要があります。例えば、インフロー、アウトフロー、ネットフロー、取引所保有残高という指標における『暗号資産取引所』とは具体的にどの取引所を指しているのか、という点などです。
イーサリアムのオンチェーン分析の例
次にイーサリアムのオンチェーン分析の例を記載します。ビットコインと同様の手法でオンチェーン指標を観察し、同じように市場の動向把握と考察を行ってみます。
イーサリアムは分散型アプリケーション(DApps)の開発や利用を可能にするプラットフォームとして広く知られています。2013年にヴィタリック・ブテリン氏によって構想され、開発が進められました。
暗号資産市場におけるイーサリアムの時価総額は常にトップクラスであり、その価格変動や技術革新はビットコインと並んで市場全体に大きな影響を与えています。ここでは、そのような特徴を持つイーサリアムのオンチェーンデータの中から、代表的な3つの指標をご紹介します。
- アクティブアドレス
- トランザクション数
- DEX(分散型取引所)における取引高
アクティブアドレス
まずは、ビットコインと同じようにアクティブアドレスについて観察してみましょう。
ビットコインにおけるアクティブアドレスと同様に、この指標を分析することで、イーサリアムネットワークの利用状況や活発度、盛り上がりの傾向、さらにはネットワークの成長が順調であるかどうかを把握することができます。
以下のグラフは、イーサリアムについて2015年7月30日から2024年12月9日までの1日ごとのアクティブアドレスの推移を示したものです。黒いラインがイーサリアムの対数価格の推移、青色のラインがアクティブアドレスの推移を表しています。
出典元:https://studio.glassnode.com/charts/addresses.ActiveCount?a=ETH&mScl=lin&pScl=lin
グラフを見ると、イーサリアムの価格が上昇する局面ではアクティブアドレスの数も増加傾向にあることが確認できます。この結果から、価格の上昇とネットワークの利用活性化が連動していると考えられます。
ただし、これは単純に『アクティブアドレス数の増加が価格上昇を引き起こした』といった一方的な因果関係ではなく、価格の上昇がネットワーク利用を促進し、さらにその活性化が価格に影響を与えるという双方向の要因が絡んでいる可能性が高いです。
このように、アクティブアドレス数と価格の関係は相互作用を伴う複雑なものと捉えることが重要です。単に一方の要因がもう一方を引き起こすという単純なモデルではなく、両者が影響を与え合っている可能性を意識する必要があります。
トランザクション数
アクティブアドレスに加えて、イーサリアムブロックチェーン上で発行されるトランザクション数の推移も確認してみましょう。
一般的に、トランザクション数が多いほど、ネットワークが活発に利用されていると考えられます。これは、ユーザー同士の資産移動やスマートコントラクトの実行など、様々な活動が行われていることを示す指標となります。
以下のグラフは、イーサリアムについて2015年7月30日から2024年12月9日までの1日ごとのトランザクション数の推移を示したものです。黒いラインがイーサリアムの対数価格の推移、青色のラインがトランザクション数の推移を表しています。
出典元:https://studio.glassnode.com/charts/transactions.Count?a=ETH&mScl=lin&pScl=lin
グラフを見ると、前述のアクティブアドレス数とトランザクション数の推移にほぼ一致する傾向が見られます。このことから、イーサリアムネットワークが活発化する際には、アクティブアドレスとトランザクション数が相互に影響を与え合いながら増加していると考えられます。
オンチェーンデータを分析する際には、このように複数の指標が相互に関連しているケースが多いため、単独のデータだけで判断するのではなく、関連する複数の指標を組み合わせて総合的に考察することが重要です。
DEX(分散型取引所)における取引高
次に、イーサリアムブロックチェーン上で構築されている分散型取引所(DEX)の取引高を確認してみましょう。DEXは、DAppsの中でも特に重要なユースケースの一つであり、その取引量の推移を把握することは、ネットワーク全体のトレンドを理解する上で欠かせません。
取引高とは、特定の期間内に取引された暗号資産の総量を指します。一般的に、市場が活発な時期には取引高が増加し、市場の取引活動が停滞している時期には減少する傾向があります。そのため、取引高は市場の活性度や流動性を示す重要な指標です。取引高は通常価格データと組み合わせて表示され、取引の勢いを判断する際に役立ちます。市場の状況を的確に把握するためには、価格動向とともに取引高の推移を観察することが重要です。
以下のグラフでは、2019年1月から2025年1月までの各DEXプロジェクトにおける取引高を月ごとに示したものです。各DEXの取引高が合計されることでDEX全体としての取引高も把握できるような、積み上げ棒グラフとして表現されています。
出典元:https://dune.com/hagaetc/dex-metrics
グラフを見ると、DEX全体の取引高は2021年12月まで上昇トレンドで推移し、その後2023年9月まで下降トレンドに入り、再び上昇トレンドに入っているという傾向が読み取れます。また、データ期間全体を通して灰色で示されているプロジェクト(UniswapというDEX)の取引高が圧倒的なシェアを占めていることも理解できます。
ここで注目すべきは、前回の上昇トレンドではシェアが少なかった(もしくは存在しなかった)にも関わらず、今回の上昇トレンドでシェアを拡大しているプロジェクトです。グラフを見ると、2024年の夏ごろからオレンジ色で示されているプロジェクト(aerodromeというDEX)が取引高全体に占めるシェアを拡大していることが分かります。このようなプロジェクトを見つけ出して深堀って調査してみることで、新たな投資機会や有益なインサイトを得られる可能性があります。
DEXに関する詳細を知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
オンチェーン分析サイトの具体例
オンチェーン分析を効率的に行うためのツールとして、さまざまなオンチェーン分析サイトが用意されています。本項では、代表的なオンチェーン分析サイトをいくつか紹介します。
『オンチェーン分析のやり方』でご紹介した①の手法(既に加工されたオンチェーンデータが閲覧できるサイトを使用してオンチェーン分析を行う手法)を用いる時に使用するサイトを紹介しているとご認識いただければと思います。
CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)
出典元:https://coinmarketcap.com/ja/
CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)は、暗号資産の時価総額、取引量、価格情報などを一元的に提供しているウェブサイトです。基本的な価格情報だけでなく、特定の暗号資産の市場動向や取引所の情報も簡単に確認することができます。
同ウェブサイトではオンチェーンデータも一部提供しているため、ブロックチェーンネットワークの状態を簡単に把握する上で便利なツールとなっています。
出典元:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/ethereum/#Analytics
Etherscan(イーサスキャン)
Etherscan(イーサスキャン)は、Ethereumブロックチェーン上の取引やスマートコントラクトに関するデータを確認できるブロックチェーンエクスプローラーです。ブロックチェーンエクスプローラーとは、ブロックチェーンに記録されたトランザクションやブロック、ウォレットアドレスの情報を簡単に検索・閲覧できるツールを指します。
Etherscanは、Ethereum関連のデータ参照ツールとして最も信頼されています。特定のトランザクションやスマートコントラクトの動作状況をリアルタイムで確認できるため、開発者や投資家にとって欠かせないツールです。
Etherscanは、一般的なオンチェーンデータの閲覧に加え、オンチェーンの統計情報の確認やスマートコントラクトの機能解析など、より高度な分析にも対応しています。そのため、利用者は一般投資家に限らず、事業者、開発者、トレーダーなど幅広い層にわたります。
例えば、EtherscanのEthereum Node Trackerのページでは、稼働しているイーサリアムブロックチェーンのノードに関する統計情報や、国別のシェアが閲覧可能となっています。以下では2025年1月時点におけるEthereum Node Trackerのページを示しています。このデータを見ると、イーサリアムブロックチェーンのノードはアメリカ合衆国でのノード数が全体シェアの半分以上を占めていることが分かります。
出典元:https://etherscan.io/nodetracker
Etherscanを通したスマートコントラクトの機能解析の例として、USDTを用いて解説します。USDTとは、ステーブルコインにおいて最もシェアの高いトークンです。Etherscanでは以下のように、USDTのスマートコントラクトのコードが閲覧でき、どのような機能が実装されているかを分析することが可能となっています。
出典元:https://etherscan.io/token/0xdac17f958d2ee523a2206206994597c13d831ec7#code
DappRadar(ダップレーダー)
DappRadar(ダップレーダー)は、主にDAppsの情報を提供するウェブサイトです。オンチェーンデータを基にDAppsの利用状況や人気度をランキング形式で表示しています。特に、DeFiやNFT、ブロックチェーンゲーム関連のアプリケーションのオンチェーン指標を評価する際に役立つツールとなっています。
DefiLlama(デファイラマ)
DefiLlama(デファイラマ)は、DeFi関連プロジェクトに特化してオンチェーンデータを提供しているウェブサイトです。DEX(分散型取引所)、レンディング、ブリッジなどの主要なDeFiプロジェクトを対象に、TVL(Total Value Locked)や収益などの定量指標をオンチェーンデータに基づいて算出しています。
ユーザーは特定のブロックチェーンごとにTVLランキングを調べたり、カテゴリー別にDeFiプロジェクトを比較したりすることが可能となっており、DeFiに関する詳細なオンチェーンデータを調査する際に非常に役立つ多機能なツールとなっています。
Glassnode(グラスノード)
出典元:https://studio.glassnode.com/dashboards/financial-data-metrics
Glassnode(グラスノード)は、暗号資産トレーダー向けに高度なオンチェーン指標とマーケット情報を提供するサービスです。
Glassnodeはその信頼性と豊富なデータにより、暗号資産市場に限らず、伝統的な金融機関からも高い評価を得ています。特に、世界的な金融機関であるGoldman Sachsは、暗号資産に関するレポートでGlassnodeのデータを引用しています。これにより、Glassnodeは暗号資産業界の企業のみならず、伝統的な金融業界の企業が暗号資産業界の動向をキャッチアップするためにも不可欠なツールの一つとなっています。
出典元:Goldman Sachsの資料中の画像を筆者により加工(https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/crypto-a-new-asset-class-f/report.pdf)
さらに、Glassnodeはユーザー向けに視覚的に分かりやすいダッシュボードを提供しており、複雑なオンチェーンデータを効率的に分析できるよう設計されています。こうした特徴から、暗号資産市場の短期的な動向から長期的なトレンドまで、幅広い視点での分析が可能となり、初心者から上級者まで多くの利用者に支持されています。
オンチェーン分析ツールの具体例
これまで紹介してきたオンチェーン分析サイトは、各サイトの開発者がオンチェーンデータを収集し、ユーザーが見やすい形に加工した上で表示しています。しかし、これまで紹介してきたようなサイトだと、特定のニーズに応じたオンチェーン分析を行うのは不可能です。例えば、知名度の低いプロジェクトに関するオンチェーン分析や、複数の指標を組み合わせた高度な分析を行いたい場合、などです。
このような高度なオンチェーン分析を効率的に行うためのツールとして、さまざまなオンチェーン分析ツールが用意されています。本項では、代表的なオンチェーン分析ツールをご紹介します。
『オンチェーン分析のやり方』でご紹介した②の手法(自分でオンチェーンデータの加工ができるサイトを使用する)を用いる際に使用するサイトを紹介しているとご認識いただければと思います。
Dune(デューン)
Dune(デューン)は、ユーザー自身がSQLクエリを用いてオンチェーンデータを自由に抽出・加工し、可視化できる高度な分析プラットフォームです。ここで言うSQL(Structured Query Language)とは、データベースから情報を抽出・操作するための言語であり、Dune上ではこれを用いて、ブロックチェーン上の膨大なデータから必要な情報を迅速に引き出すことが可能です。
Duneの大きな特徴は、対応するブロックチェーンネットワークが非常に豊富である点です。Ethereumをはじめ、Polygon、Optimism、Arbitrum、Binance Smart Chain(BSC)など、主要なブロックチェーンに対応しており、複数チェーンを横断したデータ分析を行うことができます。
さらに、Duneは単なるデータ抽出ツールに留まらず、分析結果をグラフや表として視覚的に分かりやすく表示し、それをダッシュボード形式で保存・公開できる機能を備えています。これにより、ユーザーは自分の分析結果を他のユーザーと簡単に共有でき、効率的に知見を共有できます。多くのユーザーが作成したダッシュボードは公開されており、他のユーザーがそれを参考にしたり、自分の分析に活用することも可能です。
Duneは、オンチェーンデータを活用した高度な調査を行いたい開発者やアナリスト、データサイエンティストにとって非常に人気のあるツールです。既存のツールでは対応できないようなニッチなプロジェクトのデータ分析や、独自の指標を作成する際に最適なプラットフォームとして広く利用されています。
ブロックチェーンを活用してファンが運営に関与できるK-POPアイドルプロジェクト『tripleS』でも、Duneの活用例を見ることができます。tripleSでは運営チームがDuneを活用し、発行した暗号資産やNFTに関するデータダッシュボードを作成して、ユーザーにオンチェーン指標を公開しています。このように、DuneはWeb3プロジェクトの動向を効率的に公開するためのツールとしても活用されています。
出典元:https://dune.com/hashed_official/triples
Arkham(アーカム)
出典元:https://info.arkm.com/research/on-chain-analysis-guide
Arkham(アーカム)は、オンチェーンデータを視覚的に分析するための高度なプラットフォームで、特にウォレットアドレスの特定や資金の流れを追跡する機能に優れています。従来のオンチェーン分析ツールが提供する定量的なデータに加え、Arkhamはウォレット間の関係性をネットワークグラフとして視覚化し、ユーザーにわかりやすく提示する点が特徴的です。
このプラットフォームを利用することで、特定のウォレットがどのような取引履歴を持ち、他のウォレットとどのように関連しているのかを直感的に理解することができます。これにより、不審な取引や大口投資家の動きをいち早く察知することが可能となり、トレーダーや機関投資家にとって有用な情報源となっています。
このように、Arkhamはウォレット追跡や取引フローの分析に特化したツールであり、オンチェーンデータを使った高度な調査を行う際に欠かせないプラットフォームとして、暗号資産業界で広く利用されています。ちなみに、同ツールを提供している会社にはサム・アルトマン氏が出資しています。同氏はChatGPTを提供しているOpenAI社の創業者であることから、暗号資産関係者からの注目度が高いツールとなっています。
オンチェーン分析事業を展開している企業
Chainalysis(チェイナリシス)
出典元:https://www.chainalysis.com/company/
Chainalysis Inc.(チェイナリシス)は2015年4月にニューヨークで設立されたWeb3企業であり、ブロックチェーンデータ分析ツールの提供を行っています。政府機関や金融機関向けにレグテック(Regulation × Technology)ソリューションを提供しており、主な取引先にはアメリカ司法省、日本の国税庁、オーストラリア連邦警察といった政府関係機関、Coinbase、Crypto.com、Bitget等の暗号資産取引所、BARCLAYSやBNY MELLONなどの国際的な金融機関が含まれます。
同社が提供しているツールの例としては、暗号資産アドレスの資金流入・流出を可視化する『Reactor(リアクター)』と、複数の暗号資産移転記録を時系列で追跡できる『Storyline(ストーリーライン)』があります。Web3事業を営む事業者はこのようなツールを導入することで、自社サービスを利用したマネーロンダリングへの対策と追跡が可能となり、コンプライアンスリスクを軽減することが可能となります。
同社は犯罪捜査ツールの提供だけでなく、関連知識を習得する訓練プログラムや調査代行サービス、調査レポートの公開も行っており、オンチェーン分析や暗号資産関連の犯罪取り締まりに関する啓蒙活動を、グローバルに展開しています。2024年4月には同社の日本法人であるChainalysis Japan株式会社が『2024 暗号資産犯罪動向調査レポート(日本語版)』を公開しており、暗号資産犯罪に関するファクトデータを公表しました。
出典元:https://go.chainalysis.com/crypto-crime-2024-japanese.html
Etherscan(イーサスキャン)
出典元:https://etherscan.io/aboutus
Etherscan(イーサスキャン)は、前述したオンチェーン分析サイトであるEtherscanの開発と運営を行っている企業です。2015年にマレーシアで設立されました。Etherscanのユーザーには個人の投資家から開発者、取引所、Web3企業といった幅広い層が含まれており、Ethereum上の暗号資産やスマートコントラクトのトラッキングに欠かせない存在となっています。
オンチェーン分析サイトはWeb3ユーザー(toC)に対して無料で提供されている一方、同社は別の手法で事業者(toB)向けにマネタイズを行っています。同社のマネタイズは、主に①広告収入、②ブロックチェーンエクスプローラーの受託開発、から成り立っていると考えられます。
①広告収入については、Etherscanのサイト上には、事業者(主に暗号資産関連企業)が出稿する広告が表示されており、この広告の掲載料が収益源の一つとなっています。
出典元:https://etherscan.io/(元画像に筆者が文字等を追加している)
Etherscanのマネタイズ方法として特筆すべきなのは、②ブロックチェーンエクスプローラーの受託開発サービスです。同社はこのサービスをExplore as a Service(EaaS)と呼称しており、これが同社の収益の柱だと考えられます。ブロックチェーンエクスプローラーとは、ブロックチェーン上に記録された取引、ブロック、ウォレットアドレスなどの情報を、誰でも簡単に検索・閲覧できるツールです。
2025年1月の時点で合計34個のブロックチェーンエクスプローラー開発を実施していることが確認でき、その中には、Solana、Avalanche、Aptos、Base、World Chainなどの著名なブロックチェーンのブロックチェーンエクスプローラーも含まれています。
ブロックチェーンエクスプローラーは、ブロックチェーンを利用するユーザーにとって利便性を向上させる重要なツールです。しかし、ブロックチェーンプロジェクトの運営チームにとっては、ブロックチェーン自体の開発にリソースを集中させた方が、プロジェクトの成長性の観点から合理的です。このような背景から、ブロックチェーンエクスプローラーは必要なツールですが、プロジェクトチームのリソースを使用して開発するには負担が大きすぎる、という課題があると考えられます。
この課題を解決する手段として注目されるのが、Etherscanが提供するEaaSです。ブロックチェーンプロジェクトの運営チームにとって、Etherscanにブロックチェーンエクスプローラーの開発を委託することで、エクスプローラーを迅速に導入し、UXを向上させつつ開発リソースの最適な分配が可能となります。Etherscanにとっても、サイトのアップデートや保守でストック型の収益源となる、新しいブロックチェーンが誕生するたびにブロックチェーンエクスプローラーの需要が発生する、という特徴により持続可能なビジネスモデルとして成り立ちます。
なお、EaaSの料金は公表されていません。ただし、参考までにお伝えすると、Tradingprotocolの共同創設者であるMikko氏の情報では、EaaSのサービス料金は年間100万〜200万ドル(約1.6〜3.2億円)であるとされています。
出典元:https://x.com/moo9000/status/1718898843805188193
オンチェーン分析の相談ができる企業のご紹介
キリフダ株式会社
キリフダ株式会社(元synschismo株式会社)は2022年に設立されたWeb3スタートアップです。設立以降はNFT関連の自社プロダクトをリリースし、NFTの新たなユースケースを推し進める中で必要になる基盤を展開しています。具体例としては、NFTの賃貸借を実現するサービス『RentaFi』や現場でのNFTの所有認証を簡単に認証できる『NFTauth』が挙げられます。
同社は法人向けサービスとして、NFTの受け取りに必要なウォレット生成から配布・所有確認などの機能をLINEを通して一元的に提供するSaaS『キリフダ』を提供しています。同サービスを利用することで、マスマーケティングやセグメントマーケティングへのNFT活用が可能となります。キリフダを利用することで、Web3施策に必要な機能をLINEに統合することでリーチできる顧客とLTVの最大化が見込めます。
同社はオンチェーン分析で課題を抱えている企業に対するコンサルティングも提供しています。前述したオンチェーン分析ツールであるDuneの日本コミュニティ『Dune Japan』を展開しており、日本におけるオンチェーン分析の普及活動も積極的に行っています。
項目 | 内容 |
会社名 | キリフダ株式会社 |
会社所在地 | 東京都港区六本木4-2-45 高會堂ビル 2F |
設立年月日 | 2022年3月14日 |
対応領域 | ・NFTの発行や活用支援
・オンチェーン分析に関するトータルサポート |
実績 | ・日本電気株式会社(NEC)によるweb3コミュニティのオフラインイベントにおける参加証明NFTの配布ツールとしてキリフダを提供
・株式会社TBSラジオが行う、ブロックチェーン技術を活用した音声コンテンツにおける新たな体験の創出に向けた実証実験を支援 ・東急リゾーツ&ステイ株式会社が運営するスノーリゾート施設と連携したNFT保有者向けの特典付与企画において、NFTの所有認証ツールとしてキリフダを提供 |
まとめ
オンチェーン分析は、暗号資産市場やWeb3・ブロックチェーン業界の動向を把握し、より深い洞察を得るために不可欠な手法です。ブロックチェーン上に記録されたデータを基に、市場の活性度や投資家の行動を分析することで、単なる価格チャートでは見えない市場の実態を理解することが可能となります。
本記事では、オンチェーン分析の基礎から具体的な分析手法、活用できるツール、さらに実際にオンチェーンデータを使った分析事例について詳しく解説しました。紹介したサイトやツールを活用すれば、自身のビジネスや投資戦略に役立つオンチェーン分析が可能です。
これからWeb3・ブロックチェーン業界で競争力を高めていくためには、オンチェーン分析を活用したデータドリブンな意思決定が必要不可欠です。ぜひ本記事を参考に、オンチェーン分析を日常的な業務や投資活動に取り入れてみてください。
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