メタバースのやり方・始め方5ステップ!必要な機材とメタバースの作り方も解説

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メタバース始め方・作り方

「次世代のインターネット空間」と呼ばれ、ゲームやビジネスなどさまざまな業界で注目を集めるメタバース。ただ、ネットやテレビで名前を聞くことはあっても、実際にメタバースを利用したことがあるという人は意外と少ないのではないでしょうか?

「メタバースには興味があるけど、やり方がわからない」

「メタバースって、機材とかを揃えるのが大変そう…」

「メタバースサービスを作ってみたい」

この記事では上記のような初心者の方に向けて、メタバースの概要と始め方、始める際の注意点、おすすめのプラットフォームなどについてわかりやすく解説していきます。

そもそもメタバースとは

メタバース(Metaveres)とは、インターネット上に構築された仮想空間のことです。「超越」を意味する”メタ”と「宇宙、世界」を意味する”ユニバース”が組み合わされた造語で、1992年に出版されたニール・スティーヴンスンのSF小説『スノウ・クラッシュ』が起源とされています。

ユーザーはメタバースの仮想空間の中で、自身の分身であるアバターを介して自由に空間内を動き回ったり、他のユーザーとコミュニケーションをしたりして楽しむことができます。また、デジタル空間内で展開されているお店でショッピングをしたり、美術館でアート鑑賞をしたり、音楽イベントに参加したりと、現実世界と同じような娯楽を楽しむことも可能です。

デジタル空間に独自の経済圏を構築できる

メタバースでは、ゲームや遊園地などのアトラクションを作って他のユーザーから利用料をとったり、自分で作ったアバターやアイテムをNFTとして販売することもできます。なお、現実世界では商品やサービスの売買には法定通貨(円やドルなど)が使用されるのが一般的ですが、メタバースでは決済に暗号資産が利用されるケースが多いという点で違いがあります。

デジタル空間上に独自の経済圏を構築できるメタバースは、これから大きく成長していく分野と目されており、新たな収益源を求めてすでにさまざまな企業が参入しています。 その代表格として挙げられるのが、マーク・ザッカーバーグ氏がCEOを務めるMetaです。2021年、当時Facebookという社名だった同社はMetaに社名を変更して、メタバースに本格的に参入しました。

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メタバースを始めるのに必要なもの・機材

メタバースを始める際に必要となるもの・機材は、以下の通りです。

  1. 暗号資産取引所の口座
  2. メタバースで使用する暗号資産
  3. 暗号資産ウォレット
  4. VR対応PC、モニター
  5. VRヘッドセット(ゴーグル)

各内容について、順番に解説していきます。

なお、メタバースの中にはNFTや暗号資産を使用しないサービスも存在します。そのタイプのメタバースを利用する場合、暗号資産やウォレットは使用しないので、上記の1〜3は不要です。

①暗号資産取引所の口座

従来のオンラインゲームでは、ゲーム内で獲得したお金はゲーム外では利用できず、法定通貨と同じような金銭的価値を持つことはありませんでした。その一方で、メタバースでは仮想世界で使用するアバターやアイテム、土地などをNFTとしてマーケットプレイスなどで自由に売買することが可能です。

そして、NFTの取引にはイーサリアム(ETH)などの暗号資産が利用されるのが一般的です。そのため、メタバースを利用するユーザーは、暗号資産を購入するために事前に暗号資産取引所で口座を開設する必要があります。

ただし、前述したようにメタバースの中には暗号資産を利用しないものも存在します。そのため、メタバースをプレイする際には、そのプラットフォームで暗号資産が必要になるのかを事前に確認することが大切です。

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②メタバースで使用する暗号資産

前述したように、メタバース内で取引されるNFTは暗号資産で決済されるのが一般的です。

例えば、人気メタバース・プラットフォームの『The Sandbox』では、ゲーム内で使用されるアイテムや装備品、LAND(土地)などの決済に「SAND」という独自トークンが使用されています。

The Sandbox

The SandboxのNFTマーケットプレイス。出典元:The Sandbox

SANDであればCoincheckなどの国内の取引所で購入することが可能ですが、メタバースの中には国内の取引所では扱っていないトークンを決済用の通貨として採用しているものもあります。そのようなメタバースを利用する際には、海外の暗号資産取引所でトークンを購入する必要があります。

③暗号資産ウォレット

暗号資産取引所で購入した通貨は、取引所が管理するウォレット(カストディアルウォレット)に保管されています。そのため、メタバースで暗号資産を使用するには、購入した通貨を個人が管理するウォレット(プライベートウォレット)に送金し、メタバース・プラットフォームと連携させる必要があります。

プライベートウォレットにはさまざまな種類がありますが、中でも特に知名度と汎用性が高いのが、Webブラウザの拡張機能やスマホアプリとして利用できる「MetaMask(メタマスク)」です。

MetaMaskは暗号資産はもちろん、メタバースで手に入れたNFTも保管することが可能です。無料で使用でき、使い方もシンプルでわかりやすいので、暗号資産やNFT初心者の方におすすめのウォレットです。

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④VR対応PC、モニター

メタバースをプレイするには、VRに対応したPCを用意する必要があります。

最近はスマートフォンでプレイできるサービスも増えていますが、3Dグラフィックを動かすメタバースでは膨大な処理能力や計算能力が求められるため、現状ではデスクトップPCでプレイするのが主流なようです。

また、3DCGが利用されているメタバースでは、ディスプレイに「グラフィックボード」を搭載したゲーミングPCが使用されるのが一般的です。グラフィックボードを搭載していないPCだと、画面がカクついたりグラフィックの表示が荒くなったりして、快適にプレイできない場合があるので注意が必要です。

なお、ゲーミングPCの価格はスペックによって異なりますが、価格情報サイト「価格.com」の人気売れ筋ランキング(2024年12月時点)によると、15〜20万円程度の機種が特に人気なようです。

ゲーミングPC 人気売れ筋ランキング

出典元:価格.com

モニター

3Dゲームを快適にプレイするには、リフレッシュレートが高く、応答速度が速い「ゲーミングモニター」を用意することも重要です。

一般的なPCモニターの場合、Webブラウジングや文書・図表の作成などが主な用途であり、メタバースゲームのような3D映像をスムーズに表示させるのには適していません。一方、応答速度やリフレッシュレートに優れたゲーミングモニターであれば、3Dゲームでも滑らかな映像で快適に楽しむことができます。

以下は、「価格.com」における「ゲーミングモニター 人気売れ筋ランキング」(2024年12月時点)です。サイズは27インチのものが人気で、価格としては5〜10万円前後のものが特に売れているようです。

ゲーミングモニター

出典元:価格.com

⑤VRヘッドセット(ゴーグル)

VRヘッドセットは、ゲームプレイ時の臨場感や没入感を高めるために装着するデバイスです。

VRコンテンツを楽しむために装着するデバイスとしては、「VRヘッドセット」と「VRゴーグル」の2種類があります。VRヘッドセットは、PCやゲーム機本体に接続して使用するタイプで、さまざまな機能が付いており、「本格的にVRを楽しみたい」という方に適したデバイスです。一方のVRゴーグルは、スマートフォンを取り付けて使用する安価なタイプで、「手軽にVRを楽しみたい」という方に適したデバイスです。

VRヘッドセット(ゴーグル)の売れ筋としては、Meta(旧Facebook)が販売している「Meta Quest」シリーズが人気で、価格としては5〜8万円前後のものが特に売れているようです(2024年12月時点)。

VRヘッドセット

出典元:価格.com

なお、メタバースの中にはVRヘッドセットがなくても利用できるものも存在します。製品を購入してから、「やっぱり必要なかった」ということにならないように、プレイする前にそのメタバースでVRヘッドセットが必要なのかを調べるようにしましょう。

メタバースの始め方

メタバースは、以下の手順で始めるのが一般的です。ただし、暗号資産やNFTを利用しないメタバースでは、1〜3の作業は不要です。

  1. 暗号資産取引所で口座開設する
  2. 日本円を入金し、暗号資産を購入する
  3. ウォレットを用意する
  4. メタバース・プラットフォームに登録する
  5. ログインしてプレイする

どのような手順なのか、1つずつ見ていきましょう。

①暗号資産取引所で口座開設する

前述したように、メタバースの中にはアイテムの取引やサービスの支払いをする際に暗号資産が必要になるものも存在します。そのため、そのようなプラットフォームを利用する際には、前もって暗号資産取引所で口座開設して必要な暗号資産を用意しておくと、メタバースを利用してからスムーズに決済ができるようになります。

なお、口座開設に必要なものや手順は取引所によって異なります。例えばCoincheckの場合、以下の3ステップで簡単に口座開設ができます。

  1. アプリをダウンロード(スマートフォンで開設する場合)
  2. アカウント作成
  3. 本人確認

本人確認にかかる日数は混雑状況により変わりますが、Coincheckでは最短1日で審査が完了します。

参考:Coincheck

②日本円を入金し、暗号資産を購入する

口座開設が完了したら、次は取引所に日本円を入金し、暗号資産を購入します。

ここで注意しなくてはいけないのは、メタバースやNFTマーケットプレイスによって使用できる暗号資産が異なるという点です。例えば、世界最大級のNFTマーケットプレイス「OpenSea」では、ETH、AVAX、USDC、 KLAY、DAI(※)などのトークンが利用できます(2024年12月時点)。反対に、それ以外の暗号資産を用意しても、OpenSeaでは利用できないということになります。

そのような失敗をしないためにも、メタバースやNFTマーケットプレイスを利用する際には、事前にそのプラットフォームで何の暗号資産が利用可能なのかを調べておくことが重要になります。

(※)参考:OpenSea

③ウォレットを用意する

取引所で購入した暗号資産は、取引所が管理するカストディアルウォレットで保管されています。

その暗号資産をメタバースなどの外部サービスで使用するには、MetaMaskなどのプライベートウォレットに送金してから、ウォレットをプラットフォームと連携させる必要があります。

そのため、暗号資産を購入した後はそれを取引所の外部で保管するためのウォレットを用意します。プライベートウォレットの代表格ともいえるMetaMaskは、Webブラウザの拡張機能として手軽に利用できるので初心者の方にもおすすめです。

④メタバース・プラットフォームに登録する

続いて、利用したいメタバースを探してユーザー登録をします。

アカウント作成には、メールアドレスやパスワード、ニックネームなどの設定が必要になります。

⑤ログインしてプレイする

ユーザー登録が完了したら、先ほど設定したメールアドレスやパスワードを入力してメタバースにログインします。そして、暗号資産ウォレットをプラットフォームと接続して、メタバース内で暗号資産を使用できるようにします。

その後、アバター作成などの初期設定が完了したら、いよいよ仮想世界を自由に動き回ることができるようになります。

メタバースのやり方・遊び方

次に、メタバースにログインしてからどのような手順でプレイを進めていくのかを解説していきます。

メタバースは、以下の手順で進めていくのが一般的です。

  1. アバターを作る
  2. チュートリアルを読んで操作を覚える
  3. VR空間を探索する
  4. 他のユーザーと交流する
  5. アイテム(NFT)の取引をする

続いて、各手順について解説していきます。

①アバターを作る

最初にアバターを作成します。

アバターは、自身の分身として仮想空間上で使用するキャラクターです。顔や体型、髪型や服装などをカスタマイズして、自分だけのオリジナルキャラクターを作成しましょう。

②チュートリアルで操作を覚える

通常、メタバース・プラットフォームでは初心者向けにチュートリアルを用意しています。歩き方、走り方、アイテムの使い方、他のユーザーとのコミュニケーションの取り方など、基本的な操作方法をチュートリアルを見て覚えましょう。

③VR空間を探索する

基本的な操作を覚えたら、次は実際にVR空間を探索してみましょう。

仮想空間内には、さまざまな建物やアトラクションが用意されています。それらを訪れたり利用したりして、メタバースの世界観を堪能しましょう。仮想空間内でさまざまなアクションをすることで、ゲームに対する理解度を深められるだけでなく、操作も上達させることができます。

④他のユーザーと交流する

メタバースの中には、コンサートやゲーム大会、アート展やバーチャルマーケットなどのイベントを定期的に開催しているものも存在します。そして、プレイヤーはそれらに参加することで、他のユーザーと交流を深めることができます。

仮想空間上で他のユーザーとの交流が楽しめる点は、メタバースの大きな魅力です。VR空間を一緒に楽しむ仲間が欲しいと思ったら、ぜひ積極的にイベントに参加して自分から話しかけてみましょう。

⑤アイテム(NFT)の取引をする

メタバース内で使用するアイテムや装備品などは、OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスで売買することができます。

また、プラットフォームによっては無料のテンプレートやツールを使ってオリジナルのアイテムやゲームを自作することも可能です。作成したアイテムやゲームは他のユーザーに販売・レンタルすることで、対価として暗号資産を得られる場合があります。

メタバースでできること

現在、メタバースは以下のような分野で実用化が進んでいます。

  • ゲーム
  • バーチャルオフィス
  • ショッピング
  • イベント・ライブ
  • 旅行・観光
  • 教育
  • 地方創生
  • 役所での手続き
  • 婚活

具体的にどのような活用法なのか、順番に見ていきましょう。

①ゲーム

メタバースの代表的な活用法としては、ゲームが挙げられます。

メタバースゲームの特徴としては、「アバターを使い、3Dの仮想空間で臨場感のある体験ができる」、「大人数のユーザーがリアルタイムで遊べる」、「土地やアイテムをNFTとして売買できる」といったものがあります。

なお、メタバースゲームで有名なタイトルには以下のようなものがあります。

  • Fortnite
  • あつまれどうぶつの森
  • The Sandbox
  • Minecraft
  • Second Life
  • Decentraland

2017年のリリース以降、爆発的な人気を誇る「Fortnite(フォートナイト)」は、2023年末の時点で約6億5,000万人もの登録ユーザーを有しています。

参考:Business of Apps「Fortnite Usage and Revenue Statistics (2024)」

②バーチャルオフィス

2つ目に紹介する活用法は、バーチャルオフィスです。

2021年8月にMetaからリリースされた「Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルームズ)」は、VR(仮想現実)やMR(複合現実)を活用したバーチャルオフィスツールです。利用者はアバターの姿となり、他のユーザーとバーチャルオフィスで共同作業や会議をすることができます。

従来のリモート会議の場合、参加者の表情や雰囲気がつかみにくく、意思の疎通が図りにくいというデメリットがあります。その点、Horizon Workroomを使用した場合、ユーザーは実際のオフィスにいるような臨場感が持て、作業や会議の効率性を上げることができます。

③ショッピング

メタバースアプリ 「REV WORLDS」

出典元:三越伊勢丹オンラインストア「REV WORLDS」

次に紹介する活用法は、ショッピングです。

VR技術を活用して仮想空間内に作られた店舗のことを、「バーチャルショップ」と呼びます。バーチャルショップでは、ユーザーは実際の店舗と同じようにディスプレイされた商品を見たり、気に入ったアイテムを購入したりすることができます。

自宅にいながら友人と一緒に買い物をしている感覚を味わえたり、メタバースならではのユニークで没入感のある店舗演出ができるバーチャルショップは、新たな購買体験を提供できるツールとしてさまざまな企業から注目を集めています。

過去にバーチャルショップを出店したことがある企業としては、以下のようなところがあります。

  • 三越伊勢丹
  • 高島屋
  • 資生堂
  • 大丸松坂屋
  • メゾン クリスチャン ディオール
  • BEAMS
  • H&M

④イベント・ライブ

続いて紹介する活用法は、イベント・ライブです。

上の動画は、2020年にシンガーソングライターの米津玄師さんが「フォートナイト」で行ったライブの模様です。アバター姿でメタバース内のステージで歌う米津さんと、そのライブを楽しんでいるユーザーたちの姿を見ることができます。

フォートナイトでは、これまでに米津玄師さん、星野源さん、トラヴィス・スコットさん、アリアナ・グランデさんといった豪華ミュージシャンがライブを行っています。

近年はフォートナイトの事例のように、実在する歌手がメタバース内でライブをしたり、企業がプロモーションイベントを開催したりするケースが増えてきています。

⑤旅行・観光

ANA GranWhale

出典元:ANA

メタバースは、旅行・観光分野でも実用化が進んでいます。

2023年12月、ANA NEO 株式会社はスマートフォンひとつでバーチャル旅行が体験できる「ANA GranWhale」のサービスを開始しました。

ANA GranWhaleでは、ユーザーはスマートフォンでアバターを操作することで、バーチャル空間に再現された世界中の観光地や文化を体験することができます。なお、バーチャル空間はV-TRIP(旅のテーマパーク空間)と、Skyモール(ショッピング空間)の2つによって構成されています。

V-TRIPでは、日本国内61カ所、海外3カ所、全64カ所のツアーを楽しむことができます。また、Skyモールでは実際の商業施設のように各ショップを歩いて見て回り、EC商品やデジタルアイテムを購入することができます。なお、アプリ内で獲得できる「グランチップ」(アプリ内アイテム)は、ANAのマイルに交換することも可能です。

参考:ANA「バーチャルトラベルプラットフォームアプリ『ANA GranWhale』日本でサービスを開始!!」

⑥教育

Stanford Report

出典元:Stanford Report

メタバースは、教育分野でも活用されています。

スタンフォード大学では、Metaが販売するVRヘッドセット「Oculus Quest 2」を利用して行われるコース「Virtual People」を実施しています。

Virtual Peopleでは、大衆文化、エンジニアリング、行動科学、コミュニケーションなどの分野におけるVRの拡大と進化の役割について、リモート講義の形式で学びます。2021年の夏から実施されている同講義は、ほぼ完全にVRで教えられるコースとして人気を博しており、夏と秋のコースには数百人の学生が参加します。

参考:Stanford Report「Stanford course allows students to learn about virtual reality while fully immersed in VR environments」

⑦地方創生

伊那市メタバース

出展元:PR TIMES

メタバースは、自治体による地方創生の手段としても活用されています。

2024年4月、長野県伊那市は伊那市観光協会、デジタルハリウッド大学と協力し、メタバースプラットフォーム「XR CLOUD」上に「伊那市メタバース」を公開しました。

伊那市メタバースでは、高遠城址公園の桜をパノラマビューで体感できるほか、特産物の紹介ブース、高遠石工を360度視点で見ることができるなど、メタバースならではの観光体験が実現されています。

地域の豊富な観光資源や食文化の魅力が若者に届きにくい状況が続いている問題を解決するため、同市では行楽やグルメの魅力をメタバースならではの体験価値に落とし込むことで、若者世代に向けて伊那の魅力を発信しています。

参考:伊那市「観光視点で表現された「伊那市メタバース」が公開されました」

⑧役所での手続き

メタバース区役所

出典元:江戸川区

メタバースは、役所での各種相談や電子申請手続きにも活用されています。

東京都江戸川区では、インターネット上の仮想空間に区役所を開設するための実証実験を、2024年9月20日から開始しました。このサービスでは、アバター姿の利用者がメタバース上の区役所で、子育てや教育、健康や福祉などに関する相談を、同じくアバター姿の担当職員にすることができます。

この江戸川区が取り組んでいる「メタバース区役所」は、お年寄りや身体に障害がある方など、身体的な理由により役所を訪れるのが困難な人たちにとって特に役立つサービスになるのではないかと期待されています。

参考:江戸川区「メタバース区役所」

⑨婚活

メタバース婚活

出典元:奈良市

人口減少や少子化問題などの対策として、アバターを使用して仮想空間上で交流する「メタバース婚活」を実施する自治体が増えています。

奈良市では、2024年9月に市内在住・在学・在勤または将来的に奈良市への移住を検討している20〜40歳くらいの独身男女を対象に、メタバース婚活を実施しました。その際には、7組14人のカップルが成立し、82.4%という高いマッチング率を実現しました。

アバターを使って交流するメタバース婚活は、見た目にとらわれずに会話から内面を知ることができる、自宅から手軽に参加できるといった点がメリットで、従来の婚活イベントに参加するのは抵抗があるいう人も参加しやすい内容となっています。

同市では、2024年12月に第2弾となるメタバース婚活を企画しており、こちらでも多くのカップルが成立することが期待されています。

参考:奈良市「【12月開催】第2回奈良メタバース婚活を開催します!」

メタバースを始める際の注意点

メタバースを始める際には、以下のような点に注意する必要があります。

  • 依存症、健康被害のリスクがある
  • 初期費用が高額になる場合がある
  • パスワードの流出(暗号資産やNFTの盗難リスク)
  • 不当に高額な価格でNFTが販売されている場合がある
  • 個人特定、ストーキングのリスクがある

どのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。

依存症、健康被害のリスクがある

娯楽性が高く没入感があるメタバースは、つい時間を忘れて長時間プレイしてしまいがちです。ゲーム依存に関しては、すでに「ゲーム障害」という病名で世界保健機関(WHO)によって依存症の1つとして正式に認定されていますが(※)、メタバースに関しても同様の症状を引き起こす可能性が高いと指摘されています。

さらに、VRゴーグルなどのデバイスを装着してメタバースにアクセスしていると、めまいや吐き気といった「VR酔い」を引き起こす可能性もあります。また、日常的にメタバースを利用していると運動不足になりやすく、生活習慣病などのリスクが増大する可能性がある点もデメリットと言えるでしょう。

(※)参考:WHO「Gaming disorder」

初期費用が高額になる場合がある

前述したように、メタバースをプレイするにはVRに対応したPCとモニターが必要になります。PCとモニターの価格はスペックやサイズによって異なりますが、大体PCが15〜20万円、モニターが5〜10万円が相場です。

つまり、PCとモニターを合わせると20〜30万円程度の費用がかかることになります。それにVRヘッドセットやコントローラーなどを購入するとなると、さらに費用が高額になります。

「そこまでお金をかける余裕がない」という方は、まずはスマートフォンで手軽にプレイできるメタバースから始めてみることをおすすめします。

パスワードの流出(NFT、暗号資産の盗難)

メタバースの中には、仮想空間内の土地やキャラクター、装備品などをNFTとして販売しているものがあります。そして、通常それらの取引には暗号資産が使用されます。ユーザーはMetaMaskなどのウォレットに保管している暗号資産と、目当てのNFTを交換する形でNFTを入手します。

そして、もしハッキングなどによってウォレットのパスワードが外部に漏れてしまった場合、ウォレットに保管している暗号資産やNFTは盗難されてしまう可能性があります。

詐欺の加害者の中には、プラットホームの関係者になりすましてメールなどを送り、もっともらしい理由をつけてユーザーにウォレットのパスワードを入力させ、暗号資産やNFTを盗もうと企む者も存在します。そのような詐欺に遭わないためにも、少しでも怪しいと感じたら、絶対にウォレットのパスワードなどの情報を伝えないことが大切です。

ブロックチェーンウォレット(暗号資産ウォレット)とは?仕組みや種類、選び方のポイント

不当に高額な価格でNFTが販売されている場合がある

メタバースで使用するアイテムをNFTマーケットプレイスで購入する際には、販売されている価格が適正なのか確認することが大切です。

NFTの販売方法には、主に以下の2種類の形式があります。

  • 定額形式…一定の価格で販売する形式
  • オークション形式…複数の購入希望者の中から、最も高い価格を提示した者に販売する形式

このうち定額形式に関しては、原則として売り手が自由に価格を設定することができます。そして、NFTの売り手の中にはこの定額形式の特徴を利用して、平均価格より高値でアイテムを販売しようと考える人もいます。

NFTの取引に慣れてない初心者の方の中には、販売価格が適正なのか判断できず、平均価格より高値で購入してしまう人もいらっしゃるようです。そのような失敗をしないためにも、定額形式でNFTを購入する際には、類似するアイテムがどのくらいの価格で販売されているのかを調べて、販売価格が適正であることを確認してから購入するようにしましょう。

個人特定、ストーキングのリスクがある

アバターを使って行動するとは言いつつ、それを操作しているのは生身の人間です。同じメタバース内で他のユーザーとコミュニケーションを重ねていく中で、特定のユーザーと仲良くなったり、逆に何かがきっかけとなり敵視されたりするようなことは往々にして起こります。

その一方で、メタバースでは匿名性が保たれており、原則として仮想世界での出来事や人間関係は現実世界には影響を及ぼしません。例えば、もしメタバース内であるユーザーから恨みを買うようなことがあったとして、その仕返しを現実世界でされるような危険性があるなら、誰も安心して仮想世界を楽しむことはできないでしょう。

しかしその匿名性も、もしメタバースにアクセス中に自分の身分が特定されるような情報を発信してしまうようなことがあれば、一気に効力を失ってしまいます。例えば、仲良くなったユーザーに自分の本名や勤めている会社などの情報を伝えたら、そのユーザーから他のユーザーにその情報が伝わり、さらにそのユーザーから別のユーザーに…と、気づいたら大勢のユーザーに自分の個人情報が知れ渡っていた、というような事態も十分に起こり得るのです。

そして、もしメタバース上での発言などがきっかけとなり個人が特定されてしまった場合、現実世界で嫌がらせをされたり、ストーキングをされたりする危険性も生じてきます。そのような事態に陥られないためにも、メタバース内では個人の特定につながるような情報は発信しないように注意しましょう。

おすすめの人気メタバース8選

ここからは、人気・知名度ともに高い以下の8つのメタバース・プラットフォームをご紹介します。

  1. Minecraft(マインクラフト)
  2. ZEPETO(ゼペット)
  3. The Sandbox(ザ・サンドボックス)
  4. Decentraland(ディセントラランド)
  5. OASIS TOKYO(オアシス トウキョウ)
  6. VRChat(VRチャット)
  7. Roblox(ロブロックス)
  8. cluster(クラスター)

1.Minecraft(マインクラフト)

Minecraft

出典元:Minecraft

Minecraftは、Microsoft傘下のMojang Studiosが2011年11月に正式リリースしたオンラインゲームです。プレイヤーは3Dのブロックで構成された仮想空間の中で、他のプレイヤーとチャットをしながら冒険や建築をして楽しみます。

世界中にユーザーがいるMinecraftは、2014年には「世界で最も売れたインディーズゲーム」としてギネス世界記録に認定されました。そして、ギネス認定から約10年が経過した現在も、月間アクティブユーザー数が2億人(※)を超えるほどの人気を博しています(2024年12月1日時点)。

なお、2025年にはMinecraftに着想を得た実写映画が公開される予定もあり、ゲーム以外の分野でも注目を集めています。

(※)参考:ACTIVE PLAYER「Minecraft」

2.ZEPETO(ゼペット)

ZEPETO

出典元:ZEPETO

ZEPETOは、スマートフォンで自分好みの3Dアバターを作り、メタバース空間で他のユーザーと交流が楽しめるバーチャルSNSアプリです。韓国のNaver Z Corporationが運営しており、Z・α世代を中心に5億人以上(※)のグローバルユーザーを抱えています。

アジア最大規模のメタバース・プラットフォームであるZEPETOは、さまざまな分野の企業から注目を集めており、これまでに多くの企業やブランドとコラボレーションを行なってきました。具体的には、人気アニメの「ONEPIECE」や「セーラームーン」、GucciやAmi Pariなどのファッションブランドとコラボイベントを開催しています。また、最近では2024年11月に大人気K-POPグループのaespaともコラボをし、話題を呼びました。

(※)参考:PR TIMES「株式会社V、5億人超のグローバルユーザーを抱えるメタバースプラットフォーム「ZEPETO」の公式開発パートナーに認定」

3.The Sandbox(ザ・サンドボックス)

The Sandbox

出典元:The Sandbox

The Sandboxは、2012年にゲーム開発会社のPixowlによってリリースされた、イーサリアムブロックチェーン技術を基盤としたゲームプラットフォームです。

ユーザーは、仮想世界に存在するLAND(土地)を購入またはレンタルすることで、LANDの上でイベントやコンテストを開催したり、オリジナルのゲームや住居を作ったりすることができます。

そして、それらのコンテンツを他のプレイヤーが利用することで、LANDの所有者は使用料として暗号資産を得ることができます。また、LAND自体を売却したり、他のユーザーに貸し出してレンタル料を得ることも可能です。なお、The Sandboxには「SAND」という暗号資産が存在し、アイテムを売買する時やサービスを利用する際にはSANDを使って決済します。

4.Decentraland(ディセントラランド)

Decentraland

出典元:Decentraland

Decentralandは、2020年に正式版がリリースされたイーサリアム・ブロックチェーンをベースとしたバーチャルリアリティプラットフォームです。

プレイヤーは独自トークンである「MANA」を使うことで、メタバース内のLAND(土地)やアバターの衣服といったアイテムをNFTとして取引することが可能です。また、LANDの所有者はLAND内にオリジナルゲームやランドマークなどのコンテンツを作ることができ、それらを他のプレイヤーに貸し出すことで使用料を得ることができます。

5.OASIS TOKYO(オアシス トウキョウ)

OASIS TOKYO

出典元:Coincheck

OASIS TOKYOは、マネックスグループが「The Sandbox」上で開発・展開しているメタバース都市です。

”2035年の近未来都市”がコンセプトのOASIS TOKYOは、日本を連想させる象徴的な街並みの中に美術館やステージなどの施設を設置し、さまざまな分野のアーティストとファンとの交流や企業のコミュニティ育成の場として活用してもらうことを目指しています。

「OASIS」プロジェクトは、2022年1月のスタート以来、バーチャルファッションショーや音楽ライブの実施など多くの著名人や企業とのコラボレーションを進めてきました。独自に立ち上げたweb3コミュニティの公式Discordには約5,000名が参加(2024年12月時点)し、交流を楽しんでいます。

(※)OASIS TOKYOは現在開発中です。OASIS TOKYOの詳細はこちらをご覧ください。

OASIS KYOTO

OASIS KYOTO

出典元:Coincheck

OASIS KYOTOは、マネックスグループがDecentralandのLANDに建設したメタバース都市です。”2035年の近未来都市”をコンセプトにした「メタバース×NFT」のコミュニティ拠点で、神社仏閣など日本の古都を連想させる街並みになっています。

(※)OASIS KYOTOの詳細はこちらをご覧ください。

6.VRChat(VRチャット)

VRChat

出典元:STEAM

VRChatは、バーチャル空間で大勢のユーザーとコミュニケーションが楽しめるソーシャルVRプラットフォームです。通常のSNSと同じように他のユーザーと自由に交流ができるため、「ソーシャルVR」という呼び名がついています。

VRChat内には「ワールド」と呼ばれる空間がいくつも存在し、好きな場所で他のユーザーとの交流を楽しめます。周囲にいるプレイヤーとは、ボイスチャット機能を通して会話ができるほか、自身の身体の動きをアバターに反映させてボディーランゲージで交流することも可能です。

また、VRChatでは随時イベントが開催されており、個人だけでなくさまざまな企業もVR空間内で出展しています。特に有名なものとしては、株式会社HIKKYが主催する「バーチャルマーケット」や、サンリオが主催する「SANRIO Virtual Festival」などがあります。

7.Roblox(ロブロックス)

Robloxは、ゲームを自作して公開したり、他のユーザーが制作したゲームをプレイしたりできるゲーミングプラットフォームです。2004年に『DynaBlocks』という名前でβ版が公開され、2005年に名称をRobloxに変更し、2006年9月に正式にサービスを開始しました。

2024年の時点で月間アクティブユーザー数が約2億714万人、1日のアクティブユーザー数が約7,950万人(※)もいるほど人気を集めています。世界中にユーザーを抱えるRobloxは企業のマーケティングの場としても注目を集めており、過去にはGucciやNIKEなどの企業ともコラボをしています。

(※)参考:DemandSage

8.cluster(クラスター)

clusterは、PCやスマートフォン、VR機器などさまざまな環境でVR体験ができる国内最大級のメタバース・プラットフォームです。音楽ライブや発表会などのイベントのほか、いつでも参加できるバーチャルワールドでチャットやゲームを楽しめます。

clusterのVR空間には2,000を超えるゲームが存在し、ユーザーはアバターを操作してそれらをプレイすることができます。また、自分でオリジナルゲームやワールドを作ったり、友達とテキストチャットやボイスチャットでコミュニケーションを取ったりすることも可能です。

2024年にはアプリのダウンロード数が200万(※)を突破したclusterは、国内だけでなく海外ユーザーからも高い人気を集めています。

(※)参考:PR TIMES

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  • IEO支援/トークンエコノミクス設計

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「メタバースのやり方」まとめ

ここまで、メタバースのやり方・始め方、始める際の注意点、おすすめのプラットフォームなどについて解説してきました。

これまでメタバースは、主にゲームなどのエンタメ分野で活用されてきました。しかし、その活用の幅は急速に広がっており、現在はショッピング、イベント・ライブ、観光、教育など幅広い分野で実用化が進んでいます。

今後さらに急速に普及していき、私たちの生活に多大な影響を与えることが予想されるメタバース。「どんなものなのか気になるけど、機材などを揃える余裕がない」という方は、まずはスマートフォンで手軽に始められるメタバースサービスを利用してみてはいかがでしょうか?

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「メタバース事業に挑戦してみたい」「国内の暗号資産規制に準拠したWeb3の活用方法から事業化までの支援を受けたい」など、導入を検討中の事業者様にぴったりのサービスやソリューションが見つかるMCB Web3カタログを、ぜひご活用ください。

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