代替不可能なトークンであるNFTは、これまで実現が難しかったデジタルデータの仕組みを実装できることで注目を集めています。
しかしNFTというと、なんとなく難解で、これまで調べてもよくわからなかったという方も少なくありません。
本記事では、NFTの基礎から解説し、NFTアートとそれ以外のNFTの作り方の違い、またNFT関連のビジネスモデルをご紹介します。
目次
NFTとは
NFT(Non-Fungible Token)は、代替不可能なトークンのことです。NFTはブロックチェーン技術を使って、デジタルデータに唯一性があると証明できます。
従来はデータを中央管理体で一元管理していましたが、ブロックチェーンの分散管理により多くの人が同時に監視できるようになったため、安全性が向上しました。NFTは芸術作品やゲームアイテム、チケットなど幅広い分野で使われ、資産価値を持てるようになりました。
出典元:総務省|平成30年版 情報通信白書|ブロックチェーンの概要「従来型の中央一元管理とブロックチェーンによる分散管理のイメージ」
NFTアートは、デジタルアートにNFTの技術を結びつけたものです。デジタルアートは、もともと簡単にコピーできてしまうため、希少価値がつきにくいものでした。しかし、NFTアートはブロックチェーンで取引履歴が透明化され、改ざんができません。世界で1つだけのデジタルアートとして資産価値を持てるのです。
NFTアートとその他のNFTとの違いは希少性です。NFTアートでは、唯一無二であることや、芸術的価値が評価されます。一方で、ゲームやチケットなどに使われるNFTは、アイテムの便利さや機能性を重視します。例えば、ゲームアイテムは同じ種類が複数存在することもあり、必ずしも高い希少性を持つ必要はありません。
NFTのなかでもNFTアートは、アートの特性を活かした独自の価値を持つものとして注目されています。
NFTのメリット・注目の理由
NFTが注目を集める背景には、次のような4つのメリットがあり、デジタルコンテンツの新しい可能性が開かれました。
- デジタルデータに唯一性を付加できる
- 売買の自由度が上がる
- 二次流通時にクリエイターに還元できる
- 管理コスト・流通コストが低減する
詳しく見ていきましょう。
デジタルデータに唯一性を付加できる
出典元:消費者庁「NFTと法的課題」
NFTは、デジタルデータに唯一性を加えられる点が大きなメリットです。
従来のデジタルデータは簡単にコピーや改ざんが可能で、資産価値がつきにくいものでした。しかし、NFTの技術を活用することで、ブロックチェーン上で本物としての証明が可能になり、世界に1つの作品として芸術価値や資産価値を持たせることができます。
NFTは、ブロックチェーンの登場によって、デジタルデータに唯一性を付加できるようになりました。
売買の自由度が上がる
NFTは「ERC721」というイーサリアムの規格で発行されることが多く、このほかの規格でも対応するマーケットプレイスやウォレットであれば、どこでも取引が可能です。国内で作ったNFTアートを、海外のマーケットプレイスで販売することもできます。
世界中の誰もが購入できるため、取引の件数が増えて活発化し、作品の価値を正当に評価してもらえる機会が広がるでしょう。
二次流通時にクリエイターに還元できる
NFTの特徴であるプログラマビリティの利用で、作品が転売される度に、クリエイターに収益の一部が還元される仕組みを実現できます。
プログラマビリティとは、情報や機能をプログラムできることです。二次流通時にも自動的にクリエイターに還元される仕組みを組み込め、作品の価値が上がれば上がるほど、クリエイターにも還元される金額が増えていきます。
また、著作権管理団体を介さずに直接収益を受け取れるのも大きな特徴です。
管理コスト・流通コストが低減する
従来の美術品は、保管場所の確保や輸送時の梱包、温度管理など、物理的な管理に多くのコストがかかりました。しかし、NFTアートはデジタルデータのため、物理的な管理は必要ありません。
また、インターネットを通じて世界中どこへでも瞬時に取引ができ、輸送コストもかかりません。購入者も作品の劣化を気にせず、スマートフォンやパソコンで手軽に作品を楽しめる点が魅力です。
NFTの作り方の概要
NFTの作り方は、用途によって大きく異なります。特に、NFTアートと、会員権やチケットなどのNFTプロジェクトでは、必要な知識や技術が大きく異なってきます。アート作品用のNFTはマーケットプレイスの機能を使って比較的簡単に作れますが、アート作品以外のNFTは専門的な知識が必要です。
個人クリエイターがNFTを始める場合は、まずアート作品から取り組むのがおすすめです。OpenSeaなどのマーケットプレイスを利用すれば、プログラミングの知識がなくてもNFTを作れます。
大規模なNFTプロジェクトはNFT自体の設計から始める必要があり、より専門的な準備が求められるでしょう。
NFTアートの特徴
NFTアートの特徴は、従来のデジタルアートとは異なる著作権の取り扱いにあります。
ユーザーがNFTアートを購入しても、得られるのは所有権であり、著作権はクリエイターに帰属します。購入者は作品を所有し、転売できますが、無断で複製や変更はできません。
著作権が譲渡されない点は、物理的なアート作品と同様です。例えば、絵画を購入しても、その絵のポストカードを作って販売する権利は得られないことと同じです。NFTアートでも、作品の商業利用や二次創作には、クリエイターの許可が必要となります。
著作権が譲渡されない仕組みにより、クリエイターの権利を守りながら、デジタルアートの価値を適切に評価して取引できるのです。
NFTアートで利益を出す方法
NFTアートで利益を得る方法は、以下の2つに分かれます。
- デジタルアートを制作して販売する
- 高値が付きそうなものを買って売る
それぞれの方法を見ていきましょう。
デジタルアートを制作して販売する
NFTアートで利益を出す方法の1つ目は、デジタルアートを制作し、NFTマーケットプレイスで販売する方法です。NFTアートの特徴として、作品が転売されるたびに収益の一部を受け取れる仕組みである、プログラマビリティ機能があります。
NFTを利用すると、作品の所有権をデジタル上で証明でき、売買のたびに権利が移行されます。クリエイターには、初回の販売収益だけでなく、作品が転売されるたびに収益が発生するプログラマビリティにより、長期的に収益を確保できるのです。
自分でイラストやVRアートを制作し、買い手が見つかれば、利益を得られます。また、初回販売だけでなく、転売時にも利益を得られる可能性があるのがNFTアートの魅力です。
高値が付きそうなものを買って売る
NFTアートを安く買い、高値がついたタイミングで売却する方法もあります。
NFTアートの価格は、暗号資産と同様に時間とともに変動します。将来価値が上がりそうな作品を購入し、価格が高くなったタイミングで売却できれば、購入価格との差額で収益を得られるのです。
例えば、人気が出そうなイラストや動画などのNFTを、NFTマーケットプレイスで安く購入し、注目が集まり値上がりしたときに売って利益を得ます。
しかし、NFTアートの価格変動は予測が難しく、購入額を下回ることも少なくありません。投資は余裕資金の範囲内にとどめ、慎重に判断する必要があります。
NFTアートの作り方
NFTアートを作るには、デジタルアートを作成するか、ジェネレイティブアートのプログラムを使って作品を作り、NFTとして発行します。
デジタルアートの場合、PhotoshopやIllustratorなどの画像編集ソフトを使えば制作可能です。画像編集ソフトの操作方法は、開発会社公式のチュートリアルや、YouTubeなどでクリエイターが発信しているチュートリアルなどが参考になります。
すでにデジタルクリエイターとして活動している場合は、制作環境を変えなくとも、NFTマーケットプレイスに適合した形式でデータをエクスポートすれば、NFTアートが完成することが多いでしょう。
NFTアートとして扱える形式は、静止画や動画、3DCGなどさまざまです。OpenSeaの例では、JPG、PNG、GIF、SVG、MP4に対応しています。完成した作品は、NFTマーケットプレイスを通じてNFT化します。
ジェネレイティブアートは、コンピュータのプログラムによって自動的にアートを生成する手法です。例えば、線や図形の配置をプログラムで制御し、実行するたびに異なる作品が生まれる仕組みを作ります。プログラミング言語のProcessingは、比較的シンプルなコードで、プログラミングの知識に自信がない人でも作品を作れるでしょう。
画像形式でNFTアートを簡単に頒布したい場合は、「NFT配布くん」などのサービスもオススメです。
パーソナルプランでは1件500円でNFTの作成・発行、コントラクト発行ができるため、小規模なイベント等にも活用できます。
NFTアート販売の始め方
NFTアートの販売を始めるには、次の3つのステップを順番に進めます。
- 暗号資産とウォレットを用意
- NFTマーケットプレイスに登録
- NFTマーケットプレイスに手数料を払い販売
順番に見ていきましょう。
暗号資産とウォレットを用意
NFTアートを販売するための第一歩は、暗号資産とウォレットの準備です。主流となる暗号資産はイーサリアムで、暗号資産を保管する電子財布のような存在であるデジタルウォレットで管理します。
ウォレットは、NFTの売買に不可欠なツールです。多くのNFTマーケットプレイスで使用できるMetaMaskがおすすめで、ブラウザの拡張機能やスマートフォンのアプリとして、無料でインストールできます。
イーサリアムは、暗号資産取引所で日本円を使って購入し、MetaMaskに送金して保管します。NFTの出品時には「ガス代」と呼ばれる手数料が必要になるため、多めの額を用意しておくことが重要です。
NFTマーケットプレイスに登録
出典元:消費者庁「NFTの動向整理」
NFTマーケットプレイスは、NFTを売買する場所です。世界大手のOpenSeaや、Rarible、Foundation、SuperRareなど、複数のNFTマーケットプレイスが存在します。それぞれ特徴が異なるため、自分の作品に合った場所を選びましょう。
はじめはメジャーでユーザー数が多いマーケットプライスがおすすめです。
アカウント登録には、ウォレットやメールアドレスなどが必要になります。
NFTマーケットプレイスに手数料を払い販売
NFTの販売には、次のような複数の手数料が発生します。
- ウォレットへの送金手数料
- ガス代(ブロックチェーン利用手数料)
- 販売手数料
NFTを発行する際のガス代は、ブロックチェーンネットワークの利用料で、取引の混雑状況によって変動することが特徴です。安い時間帯を狙って出品するのがコスト削減のコツです。
販売手数料はマーケットプレイスによって異なり、OpenSeaの場合は、販売価格の2.5%が手数料として徴収されます。作品の出品時には価格設定も重要で、固定価格で販売するか、オークション形式にするかも選べます。
また、初めて出品する際は、マーケットプレイスの利用承認のための手数料も必要です。様々な手数料を考慮し、作品の価格を設定して販売します。
NFTアートを高く売るコツ
NFTアートで成功するためには、作品の質だけでなく販売戦略も重要です。以下の5つのポイントを意識すると、より効果的な販売が可能になるでしょう。
- 価格設定を見極める
- イーサリアムなどの主要通貨で販売する
- 知名度を獲得する
- 定期的な作品の発表
- トレンドを把握する
詳しく解説します。
価格設定を見極める
NFTアートの価格設定は、作品の評価と販売戦略において重要な要素の1つです。特に新規クリエイターの場合、最初から高額な価格設定をすると購入のハードルが高くなり、作品の良さが伝わらないまま埋もれてしまう可能性があります。
はじめは購入しやすい価格帯から始めることで、多くの人に作品を見てもらえるでしょう。実際に取引が成立し、評価が定まってきたら、徐々に価格を上げていきます。定期的に作品を出品し、コンスタントに売れる実績を作ることで、プロのクリエイターとしての信頼も築けます。
また、コレクション形式で複数の作品を展開する場合は、希少性の高い作品とそうでない作品で価格に差をつけることで、様々な購入者層にアプローチが可能です。価格を下げすぎると作品の価値を損なう可能性もあるため、価格は慎重に設定する必要があります。
イーサリアムなどの主要通貨で販売する
NFTアートの販売には、取引に使用する暗号資産の選択も重要です。NFTの市場では、イーサリアムが一般的な取引通貨として使われています。主要な暗号資産を使用することで、より多くの購入者に買ってもらいやすくなります。
イーサリアムを使用するメリットは、世界中の購入者が簡単に取引できる点に加え、取引の安全性や信頼性も確保されている点です。ポリゴンなどのサイドチェーンは取引手数料が安いものの、まだ利用者が限られており、取引の機会が少なくなる可能性があります。
販売時には、購入者が持っている可能性が高い通貨を選ぶことで、取引の成立率を高められます。
知名度を獲得する
NFTアートで成功するには、作品の露出を増やし、認知度を高めることが重要です。SNSは知名度獲得の強力なツールとして活用できます。
X(Twitter)では、作品の制作過程や完成作品を定期的に投稿し、NFT関連のハッシュタグを使用することで、興味を持つ人々に作品を見てもらえる機会が増えるでしょう。また、X(Twitter)でGiveawayを活用することも効果的です。Giveawayは、作品を無料でプレゼントするキャンペーンで、フォロワーやリツイートを条件にすることで、より多くの人に作品を知ってもらえます。
知名度を上げるために、SNSを活用しファン数を増やすことが高く売るコツです。
定期的な作品の発表
定期的な作品発表は、アーティストとしての信頼性を高める大切な要素です。作品を継続して発表すると、次の作品を楽しみに待つファンが生まれ、クリエイターとしてのモチベーションも維持できます。
技術の向上も、作品を重ねることで見える形で示せます。表現力や完成度が上がっていく過程を購入者に実感してもらうことで、将来性の観点からも評価されやすくなるのです。
また、NFTの世界では新しい作家が次々と参入するため、定期的な発表がないと埋もれてしまう危険があります。無理のないペースで継続的に作品を発表することが重要です。
トレンドを把握する
市場のトレンドを把握することは、作品の価値を高める要素となります。
NFTアートの市場では、芸術性の高いアートよりも、SNSのアイコンとして使えるアート作品や、スマートフォンやパソコンの壁紙として活用できる作品が好まれる傾向にあります。また、同じテーマで複数の作品を展開するコレクション形式も人気です。
市場のトレンドを知るには、OpenSeaなどの主要なマーケットプレイスで、取引量の多い作品を定期的にチェックすることが有効です。高額で取引される作品の特徴や、人気アーティストの作風を知ることで、市場が求める要素が見えてきます。
ただし、トレンドを意識しすぎると独自性が失われる可能性もあるため、バランスを取ることが大切です。
高額取引されたNFTアートの代表例
NFTアート市場では、高額取引されて世界的に注目を集めている作品があります。この記事では以下の作品を紹介します。
- BAYC(Bored Ape Yacht Club)
- Nyan Cat
- CryptoPunks
高額取引された作品は、NFTアートの可能性と価値を示す重要な事例です。代表的な作品を見ていきましょう。
BAYC(Bored Ape Yacht Club)
出典元:経済産業省|令和4年度コンテンツ海外展開促進事業報告書「Bored Ape Yacht Club」
BAYCは、全1万点のNFTアートコレクションです。2021年4月のリリース時、1点あたり約2万円で販売されたあと、急激に価値が上昇しました。約3.9億円で落札された事例もあります。猿をモチーフにしたユニークなデザインと、保有者限定のコミュニティ特典が人気の要因です。
BAYCの特徴は、コンピュータープログラムによって自動生成されるジェネラティブNFTである点です。顔のパーツや服装などがランダムに組み合わされ、同じ絵柄は存在しません。また、著名人やアーティストが次々と購入したことで知名度が上がり、価格が急騰しました。
商用利用権が付与される点も、BAYCの重要な特徴です。所有者は自分の持つBAYCの画像を、商品化やプロモーションに活用できます。商用利用権により、NFTアートの新しい活用方法が示されました。
参考:https://boredapeyachtclub.com/
Nyan Cat
Nyan Catは、インターネットミームがNFT化される可能性を示した象徴的な事例です。2011年にYouTubeで公開された人気動画のNyan Catは、クリストファー・トーレスが制作したGIFアニメが原点となっています。
Nyan Catの原点であるGIFアニメは、虹を出しながら飛ぶ猫のキャラクターで、YouTubeで1.9億回以上再生される人気コンテンツとなりました。2021年2月、制作10周年を記念してNFT化され、約6,000万円という高額で取引されています。
Nyan CatのNFT化は、過去に流行したインターネットミームが、NFTによって新たな価値を生み出せることを証明しました。NFT化を成功させたNyan Catにより、他の人気ミームもNFT化される流れが生まれています。
Crypto Punks
出典元:経済産業省|令和4年度コンテンツ海外展開促進事業報告書「Crypto Punks」
CryptoPunksは、24×24ピクセルのドット絵で描かれたキャラクターのNFTコレクションです。2017年にLarva Labs社が制作し、全1万点が発行されました。2022年には約27億円の取引額を記録しました。
CryptoPunksの特徴は、5種類のタイプと87種類の属性を組み合わせて生成される点です。エイリアン、猿、ゾンビなどのタイプと、帽子やメガネといった属性で、それぞれのキャラクターの希少価値の高さが決まります。
世界最古のNFTアートとして知られるCryptoPunksは、コレクターからの人気が高く、現在でも高額で取引されているのです。
地方自治体によるNFTアート活用例
地方自治体でもNFTアートの活用が始まりました。従来のふるさと納税に加え、地方創生や地域コミュニティの活性化にも活用されています。
特徴的な2つの事例を紹介します。
余市町のふるさと納税NFT
北海道余市町は「余市町ふるさとCNP2022」として、ふるさと納税の返礼品にNFTを取り入れました。地元の風景や特産品をモチーフにしたデジタルアートを制作し、寄付者に配布しています。
北海道余市町のNFTは、単なる返礼品としてだけでなく、町のファンコミュニティを作る役割も果たしています。NFTの保有者同士が交流できるオンラインイベントも開催され、地域との継続的なつながりを生み出しました。
山古志住民会議の取り組み
出典元:デジタル庁「Web3タウンの取組について」
新潟県長岡市山古志地域では、山古志住民会議が「Colored Carp」というNFTプロジェクトを展開しています。地域の名産である錦鯉をモチーフにしたNFTアートを発行し、国内外で購入可能です。
Colored Carpプロジェクトでは、NFTの所有者に電子住民票を発行し、地域の意思決定に参加できる権利を付与しています。過疎化が進む山古志地域で、新しい形の住民参加を実現し、地域活性化につなげる試みです。
地方自治体によるNFTアートを活用する取り組みは、地域と都市部の新しいつながりを生み出し、関係人口の増加にもつながっています。
NFTアート以外のNFTの作り方
NFTは芸術作品だけでなく、メンバーシップや権利証明など、様々な用途で活用されています。NFTアート以外のNFTを作る場合、より専門的な知識と技術が必要です。一般的なNFTマーケットプレイスでの発行ではなく、独自のスマートコントラクトを開発するためです。
NFTの設計から発行までには、次のような複数のステップがあります。
- NFTの仕様を決定する
- 発行するブロックチェーンを選定する
- テスト等を行いNFTを発行する
また、NFTユーティリティ設計を行う事業者についても紹介します。
NFTの仕様を決定する
NFTの仕様決定では、ターゲットを明確にし、用途やサービス内容を決めることが重要です。
NFT市場は競争が激しく、ユーザーに選ばれるには独自の価値や特典を備えたNFTが求められます。興味や関心、購買力などのターゲット分析を行い、ニーズに応える設計が必要です。
ターゲットのニーズに応えられるよう、用途と価値を明確にしてNFTを設計しましょう。
発行するブロックチェーンを選定する
NFTを発行するブロックチェーンの選択は、コストと利便性のバランスが重要です。
イーサリアムはメジャーな通貨として普及していますが、ガス代が高額になる傾向があります。ポリゴンやソラナなどは取引手数料が安く、高速な取引が可能ですが、利用ユーザーが少ない点があります。
選定の際は、セキュリティ、取引速度、手数料、利用者数などを総合的に判断することが大切です。
テスト等を行いNFTを発行する
NFTの発行前には、ベータテストやエアドロップなどを通じて検証します。ユーザーの意見や反応を確認し、サービスの改善と効率化で利用価値を高められます。
テストでユーザー体験の確認を実施し、問題があれば改善することが重要です。
NFTユーティリティ設計を行う事業者も存在する
NFTの設計や開発には専門的な知識が必要なため、NFTユーティリティ設計を支援する事業者が存在します。事業者は、NFTの企画や開発、運用支援などをサポートし、ユーティリティの設計を得意としています。
NFTユーティリティ設計を行う事業者を活用することで、ブロックチェーンやプログラミングの知識がなくても、独自のNFTプロジェクトを作り出すことが可能です。
NFTを用いたビジネスの事例
NFTは様々なビジネスシーンで活用されています。従来のビジネスモデルにNFTを組み合わせることで、新しい価値や体験を生み出せるためです。
特に、実物との連動や会員権としての活用など、独自の展開が見られます。
注目すべき事例として、以下の3つを紹介します。
- 日本酒のNFT化:Sake World NFT
- 会員権としての活用:SBT会員権 / 会員証「Spize PASS」
- 観光分野での活用:POWP(ポープ)
NFTの可能性を広げる新しいビジネスモデルを見ていきましょう。
Sake World NFT
Sake World NFTは、日本酒とNFTを組み合わせたプロジェクトです。販売中の日本酒と引き換え可能な酒チケットをNFTとして発行し、これから醸造する日本酒の予約や、熟成させたあとの引き取りにも対応しています。
Sake World NFTでは、NFTの所有者が好みの日本酒を選び、自分で決めた期間、熟成させたあとに受け取ることが可能です。また、NFTの取引を通じて酒蔵を応援する仕組みも備えており、日本酒文化の新しい楽しみ方を提供しています。
SBT会員権 / 会員証「Spize PASS(スパイズパス)」
Spize PASSは、譲渡不可能なSBT(Soul Bound Token)を活用した会員権・会員証システムです。ゴルフ場やホテルなどの施設利用証や、飲食店の会員証、学校の学位証明書など、様々な証明書としての活用が可能です。
SBTは通常のNFTと異なり、転売や譲渡ができない特徴があり、本人証明や資格証明などの用途に適しています。また、ブロックチェーン上で記録が保持されるため、改ざんの心配もありません。
Spize PASSを利用すると、譲渡や改ざんが不可能で、社会的な証明として活用できます。
POWP(ポープ)
POWP(Proof Of Worship Protocol)は、聖地巡礼の証明をNFT化するプラットフォームです。指定の場所を訪れたユーザーだけがNFTを受け取れる仕組みを採用し、位置情報による認証を行っています。
POWPの特徴は、ウォレット発行機能が実装されており、ユーザーはアプリをインストールすることなく、Webブラウザだけで利用できる点です。
観光地の活性化や、ファンの聖地巡礼を促進する新しい形のサービスとして注目されています。
まとめ
NFTは、デジタルデータに唯一性を付与することを可能にしました。ブロックチェーン技術により、クリエイターは自身の作品に新しい価値を見出し、世界規模で取引できるようになっています。
NFTアートの作成方法は、大きく2つに分かれます。デジタルアートを作成してNFT化する方法と、プログラムを使ってジェネラティブアートを生成する方法です。どちらの方法を選ぶにしても、作品の独自性と品質が重要になります。
販売を始める際は、暗号資産とウォレットの準備から始めましょう。マーケットプレイスに登録し、適切な価格設定と手数料を支払うことで、世界中の購入者に作品を届けられます。
BAYCやCryptoPunksなどの成功事例は、NFTアートの可能性を示しています。また、地方自治体での活用や、様々なビジネスでの応用も始まっており、NFTの活用範囲は今後さらに広がっていくでしょう。
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