#73:Chainlinkが新たなステーキングメカニズム「Chainlink Staking v0.2」を発表

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Chainlinkが新たなステーキングメカニズム「Chainlink Staking v0.2」を発表

コメント:宮本

Chainlinkは11月28日、独自のステーキングメカニズムである「Chainlink Staking」をv0.2にアップデートすることを発表しました。

Chainlinkはブロックチェーン上に外部データを取り込む役割を果たす「オラクル」と呼ばれるサービスです。「LINK」というトークンによってオラクルサービスの利用料やノードオペレーターへの報酬などが支払われる仕組みとなっています。

Chainlinkの詳細についてはマネックスクリプトバンクが11月30日に公開したレポート「 Chainlinkオラクルを活用したダイナミックNFTの基礎開発ガイド」にも記載されていますので、ぜひそちらもご覧ください。

Chainlinkは2022年12月からChainlink Staking v0.1を公開し、LINKを用いたステーキングを開始していました。ステーキングメカニズムを導入することによってオラクルネットワーク上のノードを継続的かつ正確に運営するインセンティブを追加することができるため、オラクルサービスそのものの安全性を引き上げることができるとChainlinkは説明しています。

ステーキングメカニズムの導入はノードオペレーターにとっても、LINK保有者にとっても嬉しいものでしたが、その一方でv0.1においてはステーキング可能なトークン数の上限が2,500万LINKに設定されていました。これはLINKの総供給量のうち約2.5%に相当するトークン数となっており、限られたLINK保有者のみがステーキングに参加できるような状況となっていました。

今回発表されたv0.2アップデートでは、ステーキング可能なトークン数の上限が2,500万LINKから4,500万LINKに拡張されたことが明記されています。これによりさらに多くのLINK保有者がステーキングに参加できるようになり、よりChainlinkオラクルの安全性が高まることが期待されます。

また、v0.2ではステーキング報酬率の計算方式に変更が入りました。v0.1ではステーキング報酬率は固定されていましたが、v0.2ではステーキング可能なトークン数の残数が多いほどステーキング報酬率が高くなるように変更されました。ステーキング報酬率を変動制とすることで、現在計画しているオラクルサービスの利用料をステーキング報酬源に充てるアップデートを行いやすくなるとChainlinkは説明しています。

現在、Chainlink Staking v0.2は「Chainlink Data Feeds」におけるETH/USD価格フィードに関するノードにのみ実装されています。Chainlinkは今後もステーキングメカニズムのアップデートを継続し、将来的には他のデータフィードやChainlink Data Feeds以外のオラクルサービスにおいても実装する予定であることを表明しています。

SBIホールディングスが米サークル社と包括的業務提携に向けた基本合意書を締結

コメント:中坪

先週のニュースレターでご紹介した米ドル建ステーブルコインUSDCを発行するサークル社がSBIホールディングスと包括的業務提携に向けた動きを進めていることが両者から発表されました。日本では今年6月に改正資金決済法が施行され、「電子決済手段」としてステーブルコインが法的に認められることになりましたが、法整備がクリアになった日本でUSDCとステーブルコインの利用を普及するためのパートナーシップであることがリリースから読み取れます。両者が共同で日本の金融当局とコミュニケーションを行い、ステーブルコイン関連規制への対応を進めていくとのことです。

具体的な協力体制について、現在公開されている情報を見てみましょう。USDCの日本国内での流通はSBIホールディングスのグループ会社であるSBI VCトレードが行い、電子決済手段等取引業の登録を目指す方針です。また、同じくグループ会社のSBI新生銀行がサークル社の日本国内における銀行口座の開設を行い銀行サービスという側面からも支援します。SBIのもつ金融セクターでの広範な事業をUSDCの日本進出を進めるためにフル活用する構えです。特に、国内事業者がサークル社のSBI新生銀行口座に送金することでUSDCを入手することができるため、銀行サービスの提供は海外事業者であるサークル社にとって大きなメリットだと言えるでしょう。また、USDCに関連するサービス以外に、サークル社の提供するプログラマブルウォレットやブロックチェーンインフラ、スマートコントラクトマネジメントツールなどのweb3サービス全般でも協力していくとされています。

このように日本の巨大金融コングロマリットとステーブルコイン業界の雄がタッグを組むことはいいことづくめのように思えますが、課題も抱えています。セキュリティトークンやステーブルコイン(SC)の開発にかかる基幹インフラを提供するprogmatのCEO 齋藤氏のnoteによれば、海外籍のSC発行者が日本で自社発行SCを流通させるスキームには、ローカルパートナーが顧客預かりのSCを持っておくか、各利用者が自分でSCを自分のウォレットに受領して管理する方法があるとされていますが、前者に関しては仲介者であるローカルパートナーに資金保全のための大きな負担が、後者に関しては利用者が利用者自身のウォレット(アンホステッドウォレット)を使いこなせる人に限られるという無視できないデメリットがあります。また、両者共通して現状の規制では1回あたりの送金上限が100万円とされているために、個人/小口取引にしかSCを利用できないというところも難点です。

ステーブルコインの時価総額で見るとUSDCは第二位ですが、一位のUSDTの3分の1以下と水を開けられている状態です。これには米国での規制当局との衝突の歴史も関わっているでしょう。このような現状を打破するべく、規制面で進んでいる日本進出を選んだという背景もありそうですが、ビジネスとしてより大きな可能性を掴むためには日本でも規制当局との対話が重要となってくるでしょう。SC周りでは最近リリースが増えています。2024年はSCの年となりそうです。

注目の資金調達(11/27~12/3

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Wormhole

日付: 11月29日
調達額: $225.00M
ラウンド: Undisclosed
投資家: Brevan Howardなど
カテゴリー: Web3Infrastructure
プロジェクト概要: ワームホールは、さまざまなブロックチェーンネットワーク間の協力と進歩を促進する有名なプラットフォームです。開発者には、20以上の主要なブロックチェーンネットワークから流動性にアクセスし、ユーザーとの関与の機会を提供します。このアクセシビリティにより、分散型金融(DeFi)、非代替トークン(NFT)、ガバナンスなどのさまざまな領域で多様なアプリケーションの作成が可能です。ワームホールの提供する中心的なオファリングは、ワームホールメッセージングプロトコルであり、さまざまな製品の基盤となっています。その中の1つであるワームホールコネクトは、開発者にアプリ内ブリッジングウィジェットを提供する貴重なアセットレイヤーツールです。このウィジェットは、たった3行のコードを使ってシームレスにアプリケーションに統合することができます。ワームホールネットワークは、CircleやUniswapなどの優れたチームからの信頼と採用を得ています。これまでに、数億のクロスチェーンメッセージを通じて、350億ドル以上の取引を容易にしてきました。

MITH

日付: 11月30日
調達額: $3.50M
ラウンド: Seed
投資家: Point72 Venturesなど
カテゴリー: Others
プロジェクト概要: MITHは、ジャック・ハーロウ、エミリア・クラーク、ハル・ベリーなどのエンターテイメント業界の著名人に支持された、Polygonブロックチェーン上に構築されたファンエンゲージメントプラットフォームです。その主な目的は、クリエイターに統合されたプラットフォームを提供し、彼らの創造的プロセス、ファンとの相互作用、コンテンツの配信において前例のない自律性を与えることです。さらに、MITHはソーシャルメディアショッピングの成長トレンドを活用し、インフルエンサーやアーティスト、コンテンツクリエイターが自らのフォロワーに直接商品を提供することを含む、電子商取引機能の組み込みを目指しています。ブロックチェーン技術の力を活用することで、MITHはクリエイターがファンベースとの関わり方を革新し、オンライン商取引の利益を追求しながら、彼らの芸術的な活動においてより大きな制御力と柔軟性を提供します。

Web3Labs

日付: 12月01日
調達額: $2.00M
ラウンド: Strategic
投資家: Foresight Venturesなど
カテゴリー: Web3
プロジェクト概要: Web3Labsは、インキュベーション、アクセラレーション、投資機会を含むさまざまなサービスを提供する包括的なプラットフォームです。その主な目的は、香港特別行政区政府の政策宣言と一致し、香港でのグローバルなWeb3企業の設立を支援することです。これを実現するために、Web3Labsは着陸サービス、投資アクセラレーション、技術協力、コンプライアンス支援など、さまざまな形でサポートを提供しています。このプラットフォームは、香港、シンガポール、韓国、杭州、北京など、いくつかの主要な場所で既に開始されており、オフラインのインキュベーターを運営しています。Web3Labsは、広範なネットワークと専門知識を活用し、Web3企業と香港市場のギャップを埋め、彼らがこのダイナミックなエコシステムで繁栄し成功することを目指しています。

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担当:松嶋

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