#72:Binanceが米国財務省と合意、約43億ドルの罰金支払いへ

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Binanceが米国財務省と合意、約43億ドルの罰金支払いへ

コメント:宮本

米国財務省は11月21日、暗号資産取引所最大手であるBinanceが43億6800万ドル(約6483億円)の罰金を支払うことで合意したと発表しました。

Binanceは以前からAML/CFTに関する法律である銀行秘密法(BSA:Bank Secrecy Act)への違反の疑いで当局から調査を受けていました。また、今年3月には米国商品先物取引委員会(CFTC)がBinanceに対して民事訴訟を起こすなど、米国財務省以外からも追及を受けていました。今回の合意により、米国財務省だけでなく米国司法省、CFTCとの関連問題も解決されることになりました。

今回の罰金は米国財務省傘下の法執行機関である金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と財務省外国資産管理局(OFAC)に向けてBinanceが支払うものであり、罰金の内訳についてはFinCENに対して34億ドル、OFACに対して9億6800万ドルとなっています。FinCENとOFACの概要と、Binanceの違反内容について詳しくみていきましょう。

まずはFinCENについてです。FinCENは米国財務省のテロリズム・金融犯罪部門に位置する財務次官直属の組織で、BSAに基づいて不審な取引についての情報収集および分析を行っている法執行機関です。米国内のマネーサービス事業者(MSB)は、不審な取引を発見した場合にはFinCENへ報告を行うことが義務付けられています。「不審な取引」にはマネーロンダリングおよびテロ資金供与に加えて、ランサムウェアに関する取引、児童ポルノに関する取引、ダークウェブ市場での取引などが含まれています。不審行為報告書(SAR:Suspicious Activity Report)はこれらの不審な取引を記録した文書で、FinCENへの報告の際に用いられるものです。今回の発表では、Binanceのプラットフォーム上にて10万件以上の不審な取引が行われていたにも関わらず、BinanceはFinCENに対して過去一度もSARを提出していなかったことが明らかになっています。FinCENへの罰金は、このようなBSAの違反に対するものです。

次にOFACについてみていきましょう。OFACは米国財務省のテロリズム・金融犯罪部門に位置する組織で、IEEPAなどの連邦法に基づいて対外資産管理・通商規制を行っている法執行機関です。米国ではIEEPAなどの連邦法により制裁対象地域が定められており、該当の地域との取引は禁止されています。今回の発表では、2017年8月から2022年10月にかけて、Binanceのプラットフォーム上にて167万件以上の制裁対象地域との取引が行われていたことが明らかになっています。また、Binanceは米国および制裁対象地域のユーザーにVPNを利用することを提案しており、これによって故意に違反行為を継続していたと判断されています。OFACへの罰金は、このような連邦法の違反に対するものです。

今回の合意に際して、罰金の他に5年間の監視期間を設けること、Binance(Binance.USを除く)は米国から完全撤退を行うことが合わせて明記されています。また、米国司法省との司法取引の一環として、Binance CEOであるChangpeng Zhao(CZ)氏が辞任することも発表されています。

今回の発表により、米国財務省はAML/CFTに準拠しない暗号資産取引所に対して厳しい姿勢を貫くことが改めて示された形となりました。Binanceは今後AML/CFTに準拠する姿勢を公式発表で見せており、世界最大の暗号資産取引所の変遷に注目したいところです。

米サークル社がブリッジ型USDCの標準規格を導入

コメント:中坪

米ドル建ステーブルコインで時価総額2位のUSDCを発行するサークル社が、21日、ブリッジ型USDCに標準規格「Bridged USDC Standard」を導入すると発表しました。今回はそもそもブリッジ型USDCとはなんなのか、そしてなぜ標準規格導入に至ったのか解説します。

USDCはERC-20規格で発行されている米ドル建ステーブルコインで、実は異なる2種類のタイプが存在しています。

一つ目はネイティブ型USDCです。一言で言うとサークル公式USDCとも言うべきトークンで、サークル社自身によって発行され、米ドルを裏付け資産として持っており、いつでも1対1で交換可能となっています。ちなみにサークルは安全性、インターオペラビリティ、透明性を重視しており、この裏付け資産となるUSD準備金の保有量は週次で公開されています。また監査をBig4から受けているという徹底振りです。

このように情報公開を丁寧に行っており安全性が担保されているネイティブ型USDCですが、次々と生まれるL1やL2ロールアップチェーンで即座に導入するのは難しいのが現状です。ネイティブ型が対応しているのは2023年11月22日現在で15のブロックチェーンです。これは昨年比で+7チェーンと対応速度を上げてはいるもの、USDCの実装を求めるチェーン数の増加にはとても対応できていません。

そこで重要な役割を果たしているのがブリッジ型USDCです。ブリッジ型は発行者がサークル社ではないサードパーティーで、裏付け資産が別のブロックチェーン上にロックされているUSDCとなっているのが特徴です。ブリッジ可能なエコシステムで拡張可能性を持つUSDCとして、立ち上げ当初のブロックチェーン上でのステーブルコインの流動性をDappsに提供し、ユーザーの利便性を高めています。

しかし、ブリッジ型USDCはやはり安全性や管理体制で見るとネイティブ型に劣ってしまいます。いざネイティブ型に移行するとなっても、すでに大量にブリッジ型が発行されてしまっているがために、大規模な移行作業が発生してしまうなど、ユーザーにとってもデベロッパーにとっても負担になっていました。さらにネイティブ型はCCTPと呼ばれる複数のブロックチェーンに転送可能なプロトコルに対応しているのに対して、ブリッジ型はそれぞれのチェーンで独自に規格を作っているためにインターオペラビリティが低いことも問題となっていました。

これを解決するためにサークル社が今回示したのが「Bridged USDC Standard」と呼ばれる標準規格です。この規格を用いてブリッジ型USDCを発行することで、EVMを利用したブロックチェーンやロールアップはいざネイティブ型に移行を行う際にブリッジ型USDCトークンコントラクトの所有権を安全にサークル社に受け渡すことができます。さらにこの作業はコントラクトアドレス、ユーザーの残高、アプリケーションの統合などが全て維持されるシームレスなものであるため、ユーザー、デベロッパー双方に負担のないものとなります。

これによりブロックチェーンは早期にUSDCのようなポジションを確立したステーブルコインを導入する恩恵を受けられます。早速 Linea Scrollの二つのプロジェクトが標準規格に合わせたブリッジ型USDCをテストネットとメインネットで実装しているということも発表されています。

今月に入ってサークル社は来年初めにIPOを検討しているとの報道もありました。企業理念に沿った安全性と相互運用性の高いステーブルコインの実装を拡大するための今回の施作は、IPOに向けた布石の一つかもしれません。

 

注目の資金調達(11/20~11/26

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Poglin

日付: 11月21日
調達額: —
ラウンド: Undisclosed
投資家: Animoca Brandsなど
カテゴリー: Others
プロジェクト概要: POGLINは東京とサンフランシスコに本社を置くプログレッシブなゲーム会社で、魅力的で報酬のあるゲーム体験を創造することに取り組んでいます。チームは、数年間にわたり数百万人のゲーマーに製品を提供してきた経験豊富な業界のプロフェッショナルで構成されています。POGLINは先見の明を持ったアプローチで、業界の限界を押し広げる没入型で豊かなゲーム体験を開発することを目指しています。豊富な専門知識を活用し、革新的で最先端のゲームを提供することで、プレイヤーを魅了し、忘れられない冒険を提供します。品質とユーザーの満足度に重点を置いたPOGLINは、プレイヤーに深い感銘を与えるゲームを作り出すことで、ゲーム界に大きな影響を与えることができるでしょう。

Blur

日付: 11月21日
調達額: $40.00M
ラウンド: Undisclosed
投資家: –など
カテゴリー: NFTs
プロジェクト概要: Blurは、プロのトレーダー向けに特別に設計されたNFTマーケットプレイスです。Blurを作成する動機は、チームがNFTを取引するためのより速いプラットフォームを望んだからです。Blurを使用することで、ユーザーは複数のマーケットプレイスで効率的にNFTをナビゲートし、リストすることができ、トレーディングの機会を迅速に活用することができます。さらに、Blurは「スナイプリベール」というユニークな機能を提供しており、ユーザーは新たに公開されたNFTを素早く特定し、利益を得ることができます。また、プラットフォームは高度なポートフォリオ管理ツールも提供しており、トレーダーは効率的にNFTの保有状況を追跡・管理することができます。速さと効率性を重視したBlurは、他のプラットフォームと比較してトレーダーに優れた取引体験を提供することを目指しています。

Blast

日付: 11月21日
調達額: $20.00M
ラウンド: Undisclosed
投資家: Paradigmなど
カテゴリー: Infrastructure
プロジェクト概要: ブラストは、EVM互換のオプティミスティックロールアップソリューションであり、暗号通貨愛好家にとって馴染みのある体験を維持しながら、ユーザーと開発者の両方の収益を向上させることを目指しています。レイヤー2(L2)ソリューションとして動作することで、ブラストはEthereum(ETH)とステーブルコインのネイティブな収益機会を提供します。収益の統合により、革新的な収益ストリームの創造とエンドユーザーへのユニークなリワードの提供が可能となります。ブラストでは、ユーザーは基準となる収益が向上し、エコシステム内での収益性とエンゲージメントが確保されることが期待できます。一方、開発者はブラストの機能を活用してアプリケーションを強化し、より大きなユーザーベースを引き付けることができます。EVM互換のインフラストラクチャ、オプティミスティックロールアップ技術、ネイティブな収益機会の利点を組み合わせることで、ブラストはすべての関係者にとってシームレスで報酬のある体験を提供し、暗号通貨の景色を革新することを目指しています。

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担当:松嶋

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