NFTマーケットプレイスの最大手「OpenSea」は、デジタルアートやコレクターアイテムの売買を可能にするプラットフォームとして世界中で注目を集めています。NFTクリエイターとして作品を出品したい方や、コレクターとしてNFTの売買を始めたい方にとって、OpenSeaは重要な取引の場となっています。
本記事では、OpenSeaでの出品方法や基本的な使い方、取引時に発生するガス代(手数料)について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
目次
OpenSeaとは
OpenSeaとは、2017年にアメリカで創設されたNFTマーケットプレイスです。NFTマーケットが急激な盛り上がりを見せた2021年から2022年にかけて、OpenSeaはNFTマーケットプレイスの代名詞として広く知られるようになりました。NFTマーケットプレイスの中では2024年12月時点で、世界2位の月間取引高を誇ります。
NFTとは
NFT(Non-Fungible Token)は、日本語では非代替性トークンとよばれ、簡単にいうと「替えが効かない唯一のデジタル資産」という意味です。たとえば、現実の宝石や絵画は替えが効かない一方、デジタル作品は簡単にコピーができてしまいます。
このため、価値や所有権を保証するのが難しく、アーティストの保護や投資という観点で課題となっていました。そこで登場したのがNFTという仕組みです。NFTはデジタル作品に関連付けられた識別情報を提供し、所有権や取引履歴の透明性を担保する役割を果たします。
また、NFTは転売も可能です。
一部のNFTマーケットプレイスでは、転売するたびに制作者に一定の報酬が支払われるロイヤリティ機能という仕組みが設定されています。これは、取引履歴がすべて記録されるというブロックチェーンの特徴を活かしたもので、本記事で紹介するOpenSeaでもロイヤリティの設定が可能です。
なお、NFTはデジタルのイラストや音楽に対して活用されることが多いですが、それ以外の用途にも使われており、例えば不動産の所有権などが挙げられます。所有権をNFTにして小口化することによって、透明性の高い取引が可能になる、投資参加者の間口が広がるといったメリットがあります。
また、芸術やエンタメ関連では、ゲーム内アイテムのNFT化や、リアルイベントのチケットのNFT化といった事例も多くあり、先ほど紹介したデジタルアートのNFT化だけに留まらない活用の広がりを見せています。
OpenSeaのメリット
OpenSeaは、NFTマーケットプレイスの中でも特に注目される存在として、多くのユーザーから支持されています。その特長と利点について詳しく解説していきます。
豊富なコンテンツと多様性
OpenSeaの最大の強みは、その圧倒的なコンテンツ量です。8,000万点を超えるNFTが取り扱われており、デジタルアートやイラストにとどまらず、ゲームアイテム、写真作品、音楽コンテンツなど、多岐にわたるジャンルをカバーしています。この豊富な品揃えにより、ユーザーは幅広い選択肢の中から自分の興味に合った作品を見つけることができます。
ユーザーフレンドリーなインターフェース
OpenSeaは初心者にも配慮した直感的なユーザーインターフェースを提供しています。特に日本語対応している点は、英語に不安のある国内ユーザーにとって大きな利点となっています。プロトレーダー向けのBlurとは異なり、NFT取引の初心者でも躊躇なく利用を開始できる環境が整っています。
マルチチェーン対応の柔軟性
OpenSeaは、イーサリアムを中心に、PolygonやSolanaなど、複数のブロックチェーンネットワークに対応しています。これにより、ユーザーは取引コストや処理速度を考慮しながら、最適なブロックチェーンを選択することができます。イーサリアムは安定性と信頼性が高い一方で、取引量の多さから手数料が高騰することもあるため、状況に応じて別のチェーンを選択できる柔軟性は重要な利点となっています。
クリエイター向けの収益機会
クリエイターにとって特に重要な機能として、ロイヤリティ設定があります。販売額の0〜10%の範囲でロイヤリティを設定することで、作品が二次流通市場で取引されるたびに収益を得ることができます。これは継続的な収入源となる可能性を持っていますが、設定率は市場性を考慮して慎重に決定する必要があります。
OpenSeaは、これらの特長を組み合わせることで、NFT市場における総合的なプラットフォームとしての地位を確立しています。初心者からプロフェッショナルまで、様々なユーザーのニーズに応える機能性と使いやすさを提供しているのです。
OpenSeaの始め方
OpenSeaでデジタルアートの売買を始めるにはどういった準備が必要なのでしょうか。以下では、OpenSeaを始めるための手順を分かりやすく説明します。
出典元:OpenSea
暗号資産イーサリアム(ETH)を購入する
まずは、OpenSeaで売買に使うための暗号資産(仮想通貨)を準備しましょう。OpenSeaでは、イーサリアムのほかにPolygonやSolanaといった暗号資産を使うこともできますが、ここではイーサリアムを例として説明します。どの暗号資産がよいか分からない方は、流通量が多く、対応しているサービスの多いイーサリアムを選択することをおすすめします。
暗号資産を、例えば円などの法定通貨を使って購入する場所のことを暗号資産取引所といいます。国内にも複数の暗号資産取引所があるため、気になる暗号資産取引所を選んで口座を開設しましょう。口座を開設したら、案内される手順に従って円を入金し、イーサリアムを購入します。
MetaMaskなどのウォレットを用意する
次に、ウォレットを用意しましょう。ウォレットとは、暗号資産を管理するためのウェブ上のお財布のことです。ウォレットを持つことで暗号資産取引所の外でも暗号資産を管理できるようになります。OpenSeaで取引をするときにもウォレットは必要で、ウォレットに管理されている暗号資産でNFTの作品を購入したりするときに使用します。
OpenSeaと互換性のあるウォレットはMetaMaskやCionbaseウォレットなどがあります。特にこだわりがなければ、解説記事などの多いMetaMaskを選ぶとよいでしょう。
MetaMaskは、主にイーサリアムの管理を想定して作られていますが、イーサリアムとのEVM互換性があるブロックチェーンの暗号資産を管理できます。OpenSea以外の多くの分散型アプリケーション(DApps)でも使用する場面があるため、これからブロックチェーンでの取引にチャレンジしたい人は作っておいて損はないでしょう。
ウォレットにイーサリアムを送金する
MetaMaskでウォレットを用意したら、暗号資産取引所で交換した暗号資産をウォレットに送金しましょう。MetaMaskは、Webブラウザ拡張機能とモバイルアプリとして利用できます。
大まかなステップとしてはふたつです。まずMetaMaskの画面で入金用アドレスをコピーし、次にそのアドレスを送金元の暗号資産取引所の出金ページに入力することで送金ができます。MetaMaskのウォレットに入金できたら、ようやくOpenSeaを利用する準備が完了です。
ウォレットをOpenSeaに接続する
ウォレットをOpenSeaに接続させましょう。ウォレットをOpenSeaに接続することですぐ利用できるようになるので、実質的に接続がアカウント登録のような位置付けになっています。OpenSeaのログインボタンを押すと、いずれかのウォレットとの接続を求められます。案内に沿ってMetaMaskのウォレットをリンクさせましょう。
OpenSeaの使い方・機能
次に、OpenSeaの使い方や機能について見ていきましょう。2024年時点で、OpenSeaでは「アート」「ゲーム」「メンバーシップ」「PFP」「写真」「音楽」を購入することができます。
NFTの検索方法
OpenSea内での作品の検索方法を紹介します。まず、ヘッダーの検索バーを利用してフリーワード検索が可能です。気になる作品がすでにある場合や、特定のテーマやモチーフを探したい場合はこれが一番手軽で早い方法です。
検索ページのフィルター機能を使えば、より詳細な検索が可能です。価格帯、作者、購入方式などでフィルターをかけられます。NFT作品ならではのポイントとして、ブロックチェーンによるフィルターもあります。作成日順や価格順で並べ替えて一覧を確認できるので、じっくり探索してみるとよいでしょう。
NFTの購入方法
OpenSeaでのNFTの購入方法は、定額購入(Buy now)、オファー(Make offer)、オークション(Place bid)の3つです。定額購入は、出品者が提示した金額で購入する方法です。操作を進めてその場で即購入できます。NFTもトークンの一種なので、取引が完了すると購入したNFTはウォレットに送られ、OpenSea内の「Collected」タブで確認できるようになります。定額購入はOpenSeaにおいてもっとも一般的な購入方法です。OpenSeaの利用が初めてで使い方に不安のある方は、まず定額購入してみることをおすすめします。
オファーは、NFTの所有者に対して購入金額を提示して、それが了承されたら購入できる方式です。購入したいNFTのページで「Make offer」ボタンを押してオファー額を提示する手続きに進みましょう。イーサリアムブロックチェーン上の作品のオファーではWETHという単位が表示されます。これはWrapped ETHの略で、オファーやオークション方式での購入のときに必要です。
1ETH=1WETHとなるように設計されています。WETHを初めて使用する場合だけ手数料(ガス代)がかかることがあり、2回目以降はWETHを使用することに対する手数料はかかりません。オファーの最低額は、ブロックチェーンごとに決まっており、イーサリアムの場合は5ドル、PolygonやKlaythの場合は1ドルです。金額を決め、ウォレット画面のトランザクションに署名をしたら必要な手続きは完了です。
最後にオークションの入札方法を説明します。購入したいNFTの画面で販売期間や最低入札額を確認します。「Place bid」が入札するボタンです。ここでも、先ほど紹介したWETHが必要ですので、初めての方はお持ちのETHをWETHに交換しましょう。WETHをウォレットに用意できたら、再度「Place bid」ボタンで入札を確定します。ここからは一般的なオークションと同じで、オークション終了時点で最も高い入札額を提示していた人が落札することになります。
OpenSeaの出品方法
OpenSeaの基本的な使い方がわかったところで、次にOpenSeaに出品する方法を見ていきましょう。想定される場面としては、クリエイターとして「自分で作成した作品をNFTとして販売する」か、NFTのオーナーとして「すでに所有しているNFTを販売する」パターンが挙げられます。
自分で作成した作品をNFTとして販売する
まずは自分で作成した作品をNFTとして販売する場合の方法を解説します。
「Create an NFT」での出品方法
まずは、シンプルな方法である「Create an NFT」です。デジタルデータをNFT化することを、日本語では鋳造を意味する言葉で「ミントする」といいます。「Create an NFT」は、1つの作品を、名前やコレクションを設定してミントするアクションです。コレクションとは作品を置くOpenSea上の箱のようなもので、必ず作成しなければなりません。ミントが完了したら、案内に沿って作品を出品します。
「Drop a Collection」での出品方法
「Drop a Collection」は、2023年10月にローンチされた機能です。「Drop a Collection」は、NFTの配布の方式、配布期間などを設定してコレクションを作成し、購入者がミントをする仕組みです。
なお、「Drop a Collection」で作成されるコレクションは「Create an NFT」で紹介したコレクションとは互換性がないことに注意しましょう。条件を細かく設定できるのがメリットですが、若干玄人向けの機能なので、ある程度OpenSeaに慣れてからの利用をおすすめします。
すでに所有しているNFTを販売する
所有しているNFTを販売したい場合は、ミントする設定が不要です。ウォレットに保存されているNFTアートを、各種設定をして出品するという流れなので、自分の作品を出品するときより手順が少なく済みます。以下では、出品までの手順を簡単に見ていきましょう。
出品ページへ遷移
画面右上に表示されているプロフィールアイコンをクリックしましょう。ウォレットから出品したい作品をクリックし、作品画面上の「List for sale」を選択することで出品ページに遷移します。
販売方法の設定
次に販売方法を設定しましょう。先ほど3種類の購入方法を説明しましたが、ここでは定額販売か、時間指定オークションのどちらかを選択できます。デフォルトは定額販売です。出品期間も設定し、内容に誤りがなければ署名をして出品完了です。
販売手数料について
2024年12月時点、OpenSeaでは出品時には手数料はかかりません。NFTが購入されたときに2.5%の販売手数料がかかります。また、売買ごとに制作者が設定できるロイヤリティ手数料が発生する場合があります。
OpenSeaのガス代とは?
ガス代とは、販売手数料やロイヤリティとは別に、ブロックチェーン上でのいくつかのアクションにともなって発生する手数料です。ガス代がかかるアクションはあらかじめ決まっており、本記事で紹介した「ETHとWETHの変換」や「Drop a Collectionでコレクションを作成する」ことなどが該当します。
ほかには「NFTの購入」「オファーの受け入れ」などでもガス代が発生します。ガス代は使用する暗号資産で支払うことになっています。ガス代は変動するもので、取引の混雑具合などの複合的な要因でシステムが自動的に決定します。このため、自分で調節することは難しいですが、ヨーロッパやアメリカの平日昼間の時間帯を避けるなど、節約するための工夫はある程度可能です。
まとめ
OpenSeaは、デジタルアートなどのNFTを売り買いできるNFTマーケットプレイスです。2021年頃、NFT売買が盛り上がりを見せた時に急成長し、世界最大級のNFTマーケットプレイスのひとつとなりました。
その後も初心者にもやさしいUIで機能を拡張させており、取り扱う作品数も多く、カテゴリも幅広いのが魅力です。本記事では、そんなOpenSeaでの販売開始方法や、購入方法を解説しました。
NFTはOpenSeaで取引する以外にも、ビジネスシーンにおいて様々な活用事例があります。詳しくは『【2025年最新版】NFTのビジネス活用事例11選』をご覧ください。
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