今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米国大統領選挙におけるトランプ氏勝利への期待を織り込む形で急上昇し、日本円建てで史上最高値を記録した。
- 来週のビットコインは、米国大統領選挙とFOMCの結果次第では半減期アノマリーの再現が意識され、さらに高騰する可能性がある。直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,125万円(74,000ドル)、下値はBTC=1,018万円(67,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):トランプ氏勝利への期待を織り込み、日本円建てで史上最高値を記録
ビットコインは、米国大統領選挙におけるトランプ氏勝利への期待を織り込む形で急上昇し、日本円建てで史上最高値を記録した。
イスラエルがイランの軍事施設を攻撃したことで地政学リスクが高まったものの、イランの被害が限定的だったため、ビットコインの相場への影響は一時的にとどまった。また、米国当局によるテザー社への捜査疑惑が報じられたが、同社CEOが報道を即座に否定したことで、市場の不安は抑えられた。
その中、米国の世論調査でトランプ氏優勢の報道が相次ぐと、予測市場ではトランプ氏の勝率が約67%まで上昇し、ビットコインはトランプラリーへの期待から大きく上昇した。個人投資家に人気の投資アプリ「ロビンフッド」でも米国大統領選挙に関する予測市場が提供され、投票日を前に投機熱が高まる中で、ビットコインの買い意欲が一段と強まった。
この時、金の価格が史上最高値を更新し、ビットコインもBTC=1,117万円(73,500ドル)付近まで高騰し、日本円建てで史上最高値を更新した。その後は強いインフレ指標やハイテク企業の業績見通しの悪化などを受け、米雇用統計の発表を前に利益確定売りにより上昇が一服した。
今週のトピックス
金融市場
- 米消費者信頼感、2021年3月以来の大幅上昇-全ての予想を上回る
- イスラエル首相が会合開催へ-レバノンとの外交的解決の可能性巡り
- アップル、中国販売が依然低調-7-9月総売上高は市場予想並み
- 米PCEコア価格指数、4月以来の大幅上昇-消費支出も上向く
- 米失業保険申請が減少、5カ月ぶり低水準-ハリケーン影響薄れる
- マイクロソフト株大幅安、クラウド見通しに失望感-増収率鈍化へ
暗号資産市場
- ロビンフッドも参入、米大統領選予測市場を提供開始
- 香港証券取引所、ビットコインとイーサリアムの新インデックスを提供へ
- テザー社、8万BTC以上のビットコインと48トンのゴールド保有
- ステーブルコイン発行の環境整備か JVCEAが電子決済手段の自主規制団体に
- マイクロストラテジー、420億ドル調達に動く-ビットコイン購入が目的
- ビットコインETF、30日に1,370億円の純流入 ブラックロックが一銘柄で過去最大
- 米投資会社がソラナETF申請、DeFiの成長性アピール
- 仮想通貨交換業者クラーケンが人員削減、新共同CEO就任に伴い改編
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は米国大統領選挙とFOMCの結果次第でさらに高騰する可能性
いよいよ米国大統領選挙の投票日を迎える。ビットコインの相場はトランプ氏の勝利をすでに織り込み始めており、投票日を待たず米ドル建ての史上最高値を更新する可能性がある。投票日の前後はボラティリティが高まることが予想されるが、トランプ氏再選が現実になった場合、米国における暗号資産推進の方向性が明確になり、上昇の勢いをさらに強めることが考えられる。一方、ハリス氏が勝利した場合、失望売りによって大きく下落する恐れがあり、暗号資産に対する姿勢が見えるまでは相場が上向きづらい状況になるだろう。
FOMCでは、当局者の間で見解が分かれる中、0.25ポイントの利下げが決定された場合はビットコインにも追い風が吹くだろう。一方、利下げの見送りとともにパウエルFRB議長がタカ派寄りの発言をした場合は、リスク資産全体の売りが強まり、上値を抑えられることが考えられる。
トランプ氏の勝利と米国の追加利下げが重なれば、2020年と同様、今回も、半減期後の年末に上昇するというパターンを繰り返す可能性がある。FOMOが意識されれば、ビットコインは11月以降に史上最高値を超えて大きく上昇することが期待される。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,125万円(74,000ドル)、下値はBTC=1,018万円(67,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、ISM非製造業景況指数(11/5)
- 米国、大統領選挙(11/5)
- 米国、FOMC(11/6-7)
- 英国、金融政策委員会(11/7)
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