今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米FOMCやハイテク大手決算を前に上値が重くなる中、米イラン情勢の不透明感やAI・半導体関連株への警戒感から下落した。
- 来週のビットコインは、米イラン協議の停滞や米雇用統計への警戒感が上値を抑えやすい一方、暗号資産関連企業の決算や米規制整備などの固有材料が下支えとなる展開が予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=80,000ドル(約1,272万円)、下値はBTC=74,000ドル(約1,176万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米FOMCとAI懸念、イラン情勢の不透明感で下落
ビットコインは、米FOMCやハイテク大手決算を前に上値が重くなる中、米イラン情勢の不透明感やAI・半導体関連株への警戒感から下落した。
週前半は、中東情勢を巡る楽観ムードが後退した。米国が25日に予定されていたパキスタンでの対イラン協議に向けた特使派遣を取りやめたことで、協議進展への期待がしぼみ、イラン情勢の先行き不透明感が再び意識された。こうした中、原油高への警戒もくすぶり、直前まで史上最高値圏にあった米国株の上昇も一服。ビットコインもBTC=79,000ドル(約1,256万円)付近では戻り売りが出やすい展開となった。
その後、ウォール・ストリート・ジャーナル誌がオープンAIの売上目標や利用者目標の未達を報じると、AI・半導体関連株に対する見方が悪化した。これを受けてハイテク株が売られる中、ビットコインにも売りが波及し、連日の現物ETF資金流入も途絶えた。ストラテジー【MSTR】やリミックスポイント(3825)など企業による買いが下値を支えた面もあったが、ハイテク大手企業決算やFOMCを前に警戒感は強く、支えは限定的だった。
さらに、29日のFOMCでは政策金利の据え置き自体は市場予想通りだったものの、4人の反対票が出るなど当局内の見解の割れが鮮明となり、金融政策の先行き不透明感が強まった。これに加え、トランプ米大統領がイラン港湾封鎖の長期化を示唆すると原油価格は一段高となった。こうした中、ビットコインはリスク資産として売られ、BTC=75,000ドル(約1,192万円)近辺まで下押しした。
なお、米国やEUが制裁回避を目的とした暗号資産利用への取り締まりを強化したことも、周辺需要の低迷や換金売りを通じて売り圧力につながった可能性がある。
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は米イラン協議と米雇用統計が焦点、暗号資産固有材料が下支えか
来週のビットコインは、米イラン協議の停滞や米雇用統計への警戒感が上値を抑えやすい一方、暗号資産関連企業の決算や米規制整備などの固有材料が下支えとなる展開が予想される。
まず、米国とイランを巡る協議の行方が引き続き相場全体を左右するだろう。核開発計画を巡って双方が譲らず、ホルムズ海峡を巡る緊張も続く中、原油価格の高止まりがリスク資産全般の利益確定売りを誘発する可能性がある。特に次回協議に進展が見られず、対立の長期化や軍事的緊張の再燃が意識されれば、ビットコインにも売り圧力が波及しやすい。
なお、日本市場はGW休暇に入り、国内勢の参加が薄くなりやすい。海外市場が中東情勢などで大きく変動した場合、24時間取引できるビットコインに短期資金が向かう一方、流動性低下によって値幅が出やすくなる点にも注意したい。
これに関連して、制裁国による暗号資産利用を巡る規制強化も意識される。米財務省はイラン産原油取引に関わる制裁を強めており、OFACによる暗号資産アドレスの指定や関連資産の凍結も進んでいる。地政学リスクの高まりがビットコインへの逃避需要を生む面はあるものの、制裁回避目的の利用が抑制されれば、短期的な特需は長続きしないだろう。
また、5月はFOMCが予定されていないため、市場の関心は経済指標に向かいやすい。来週発表される4月の米雇用統計が前回に続いて上振れれば、利下げ観測の後退を通じて米金利が上昇し、ビットコインの上値を抑える要因となり得る。
一方で、米ハイテク大手の決算は総じてAIやクラウド需要の底堅さを示している。利益確定売りが一巡すれば、過度なAI・半導体懸念の後退を背景に米国株が持ち直し、ビットコインにも買いが波及する展開が想定される。来週はストラテジー【MSTR】とコインベース【COIN】が決算を予定しており、ビットコイン保有戦略や取引収益、今後の市場見通しに前向きな発言があれば、暗号資産関連株とともに買い戻しが強まりやすいだろう。
さらに、ホワイトハウス高官がビットコイン準備金を巡り、数週間以内に新たな発表がありうると発言したと報じられたことも、暗号資産業界の固有材料として注目される。CLARITY法案を含む米国の暗号資産規制整備に具体的な進展が見られれば、制度面の不透明感後退を好感し、現物ETFへの資金流入を通じて相場はポジティブに反応しやすい。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=80,000ドル(約1,272万円)、下値はBTC=74,000ドル(約1,176万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標・イベント
- 米国、4月ISM非製造業景況指数(5/5)
- 日本、日銀金融政策決定会合議事要旨(5/7)
- 米国、4月雇用統計(5/8)
決算発表
- 米国、ペイパル・ホールディングス【PYPL】(5/5)
- 米国、ストラテジー【MSTR】(5/5)
- 米国、コインベース・グローバル【COIN】(5/7)

