今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、中東リスクや中国株の不安定な動きを背景に、上値の重い展開となった。
- 来週のビットコインは様々な懸念材料が重なる中で上昇余地は限定的か。直近の価格レンジとして、上値はBTC=968万円(65,000ドル)、下値はBTC=864万円(58,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):中東リスクや中国株の乱高下を背景に上値の重い展開
ビットコインは、中東リスクや中国株の不安定な動きを背景に、上値の重い展開となった。
9月の米雇用統計は市場予想を大きく上回る結果となり、米国経済のソフトランディング期待が高まった。しかし、その一方で、大幅な追加利下げの可能性が低下し、ビットコインは方向感に乏しい状態となった。
その後、トランプ氏の演説にイーロン・マスク氏が応援に駆けつけ、予測市場でトランプ氏が優位に立つと、トランプ氏勝利への期待でビットコインは上昇した。また、ビットコイン現物ETFの資金流入もプラス材料となり、BTC=954万円(64,000ドル)付近まで値を伸ばした。
しかし、10月7日がハマスによるイスラエル襲撃から1年が経過する日であったこともあり、イスラエル首相が戦闘継続の意志を表明すると、中東情勢の悪化が警戒され、ビットコインは売り圧力が強まった。加えて、米国の当局者発言やFOMC議事要旨により追加利下げ観測が後退し、米国金利が上昇したことも相場に悪影響を与えた。さらに、国慶節後の中国株の乱高下に伴い、市場全体でリスクオフの姿勢が強まり、ビットコインはBTC=901万円(60,500ドル)付近まで下落した。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用者数の伸び、9月は全予想上回る-失業率は4.1%に低下
- FOMC「漸進的利下げ望ましい」、忍耐が妥当-セントルイス連銀総裁
- マスク氏、激戦州ペンシルベニアでトランプ氏応援へ-今月遊説計画
- クシュタール、7&iHDに7兆円に引き上げ買収再提案-関係者
- 米FRB副議長、インフレと雇用のリスクバランス「ほぼ均衡」と認識
- SF連銀総裁、年内1回ないし2回の0.25ポイント追加利下げ見込む
- 「ガザ同様の破壊」の可能性あるとレバノン国民に警告 イスラエル首相
- 中国株、4年余りで最大の下げ-12日の財政相会見に注目
- FOMC議事要旨:利下げ幅巡り活発な議論、大幅利下げに異論も
暗号資産市場
- グローバル金融機関、2025年にSWIFTでデジタル通貨取引を試行
- 仮想通貨取引所コインベース、欧州でUSDTなどのステーブルコイン廃止へ MiCA法準拠で
- ビットコイン発明者「サトシ・ナカモト」の正体に迫るHBOドキュメンタリー公開へ
- ソラナプロジェクトへの投資需要が堅調推移、3Q(7ー9月)に250億円以上調達
- FTX返済計画承認、米裁判所が約2年越しの破産手続きに終止符
- 金融庁、アンホステッド・ウォレット向けサービス事業者を暗号資産交換業から除外
- ブラックロック「仮想通貨の普及速度はインターネットや携帯電話を凌駕している」
- ビットコイン・プロトコルのバビロンがステーキング上限を引き上げ──預金が15億ドルに到達
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は様々な懸念材料が重なる中で上昇余地は限定的か
米国における大幅利下げ観測の後退や、イランとイスラエルの対立激化、中国経済の減速懸念が重なり、世界的なリスクオフの動きが広がっている。また、米国大統領選挙ではトランプ氏とハリス氏の支持率が拮抗しており、政治的な不透明感も続いている。これらの要因により、ビットコインを含むリスク資産への需要は引き続き抑えられる可能性がある。大きな下げも考えづらいが、今ある懸念材料が解消されないことにはビットコインの上昇余地は限定的となるだろう。
一方で、HBOがビットコイン創設者「サトシ・ナカモト」の正体に関するドキュメンタリーを公開し、世間の注目を集めることでビットコインに対する投資家の関心を呼び起こす可能性がある。また、FTXグループの破産計画が承認となり、今後予定されている弁済資金が将来的な買い圧力になることも期待される。さらに、ビットコインのステーキングを実現するバビロンが2000億円超のビットコインを集めたことも注目であり、このようなビットコインを活用した新しい金融サービスの利用が拡大する中で価格が上昇することも考えられる。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=968万円(65,000ドル)、下値はBTC=864万円(58,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- ユーロ圏、9月消費者物価指数<改定値>(10/17)
- ユーロ圏、ECB理事会(10/17)
- 米国、9月小売売上高(10/17)
- 日本、9月全国消費者物価指数(10/18)
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