今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米国の主要経済指標の発表および大統領選テレビ討論会を経て、底堅く推移した。
- 来週のビットコインは、FOMC会合でのパウエルFRB議長の発言次第では買い戻し優勢を予想。日銀金融政策決定会合で追加利上げが言及されて場合には下落リスクを警戒。直近、上値としてBTC=926万円(65,000ドル)、下値としてBTC=741万円(52,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):イベント通過で一喜一憂も底堅い
ビットコインは、米国の主要経済指標の発表および大統領選テレビ討論会を経て、底堅く推移した。
米国の8月雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を下回る結果となり、景気後退懸念が強まった。この結果、ハイテク株の売りが強まる中でビットコインはBTC=755万円(53,000ドル)付近まで急落した。しかし、イエレン財務長官が米国経済のソフトランディングの見通しを示したことで、安心感が広がり、買い戻しが進んだ。
第2回の米国大統領選挙テレビ討論会にかけてはトランプ氏勝利への期待でBTC=826万円(58,000ドル)付近まで大きく上昇した。これは、トランプ氏が直近の選挙集会で米国を暗号資産の中心地にすると改めて表明したことや、投資会社のバーンスタインがトランプ氏勝利の場合はビットコインが高騰する見通しを示したことが、トランプラリーへの期待を一層高めた。
しかし、日本時間11日に行われたテレビ討論会では、ハリス氏優勢との見方が広がり、失望売りが強まった。日銀の中川審議委員が追加利上げの可能性を示唆したことで円高が進み、日経平均株価が大幅下落したことも相場を下げた。
その後、米国の8月消費者物価指数を受け、来週FOMC会合での大幅利下げの可能性が低下し、0.25%の利下げが濃厚となった。これにより市場の不透明感が薄れ、ビットコインは再びBTC=826万円(58,000ドル)付近まで回復した。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用者数の伸び、市場予想に届かず-利下げ幅巡る議論活発化へ
- テレグラムCEO、悪用への対応改善を約束-逮捕後初投稿
- イエレン米長官「これこそソフトランディング」、赤信号点灯せず
- アップルiPhone16、生成AI搭載-主要機能は来年にかけ提供
- 見通し実現なら緩和調整、市場はしばらく不安定な状況-中川日銀委員
- 米大統領選討論会、支持者の反応は対照的-マスク氏は司会者を批判
- 米CPI、コア指数が予想外に伸び加速-大幅利下げの可能性低下
暗号資産市場
- トランプ氏「米国を仮想通貨の中心地に」再選時の経済政策を演説
- 2026年までに米国企業が最大1.5兆円のビットコインを購入か=レポート
- 仮想通貨決済簡素化へ、米PaypalとVenmoがイーサリアムのENSを導入
- 3つの新しい仮想通貨関連ETF、米ステート・ストリートとギャラクシー・デジタルが共同で立ち上げ
- コインベース、仮想通貨ビットコインの代替資産「cbBTC」をローンチ
- 仮想通貨XRP投資信託、米グレースケールが再開 価格急上昇
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はFOMC会合でのパウエルFRB議長の発言次第では買い戻し優勢を予想
いよいよ米国でFOMCが開催される。市場では0.25%の利下げが確実視されており、パウエルFRB議長の今後の景気動向と利下げ方針に関する発言次第で、相場が大きく動くことが予想される。イエレン財務長官と同様に米国経済のソフトランディングの見通しを示した場合、リスク資産の買い戻しが強まると考えられるが、景気後退リスクに触れた場合には、不透明感から軟調な動きが続くだろう。
また、日銀金融政策決定会合で追加利上げの可能性が示唆された場合、円高がさらに進み、日経平均株価とともにビットコインが下落するリスクには警戒したい。
米国大統領選挙ではトランプ氏の勢いが失速し、暗号資産市場には相場を押し上げる要因が乏しい状況だが、シンガポールで開催される暗号資産関連の大型イベント「Token2049」での新しい発表には注目が集まる。
直近、上値としてBTC=926万円(65,000ドル)、下値としてBTC=741万円(52,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、8月小売売上高(9/17)
- 米国、FOMC開催(9/17-18)
- ユーロ圏、8月消費者物価指数<改定値>(9/18)
- 日本、日銀金融政策決定会合(9/19-20)
- 日本、8月全国消費者物価指数(9/20)
暗号資産関連イベント
- シンガポール、Token2049(9/18-19)
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