今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは、米国でイーサリアム現物ETFが晴れて上場したが、米国株が大きく下落する中で上値の重い展開となった。
- 来週のビットコインは米国企業決算とFOMCの内容次第で上値の重い展開が継続すると予想。8月に入ってからのイーサリアム現物ETFへの本格的な資金流入が待たれる。直近、上値としてBTC=1,064万円(70,000ドル)、下値としてBTC=912万円(60,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:米国でイーサリアム現物ETFが承認されるも、米国株の大幅下落により上値の重い展開
ビットコインは、米国でイーサリアム現物ETFが晴れて上場したが、米国株が大きく下落する中で上値の重い展開となった。
親クリプト派として見られるトランプ共和党大統領候補の再選への期待が高まり、ビットコインは堅調に推移した。マイクロソフト関連のシステム障害が世界中に広がったことで、ブロックチェーンを活用する分散型システムの堅牢性が相対的に注目され、思惑的な買いも入った。このような中、米国ではビットコイン現物ETFへの資金流入が継続し、一時はBTC=1,034万円(68,000ドル)付近まで価格を伸ばした。
しかし、米国株が主要テック銘柄の決算発表を前に下落し、ビットコインも同様に売りが強まった。バイデン大統領が撤退を発表したことで米国大統領選挙の不確実性が高まり、金と同様に買われる場面も見られたが、米国政府関連アドレスからの大口送金が観測されたこともあり上値が重くなった。23日には米国でイーサリアム現物ETFの取引がスタートし、初日出来高は10億ドルを超える規模となったが、ビットコインの時と同様に事実売りが先行した。
その後、テスラ【TSLA】とアルファベット【GOOGL】の決算発表が冴えない内容となり、ナスダックが大幅下落する中、ビットコインもBTC=973万円(64,000ドル)付近まで下落した。
今週のトピックス
金融市場
- システム障害で世界的大混乱、救急電話も不通-航空は2万便余り遅延
- ハリス氏、民主大統領候補指名勝ち取る意向-バイデン氏が選挙戦撤退
- 金スポット価格が上昇、安全資産に需要-バイデン氏撤退で不確実性
- 米国のクレジットカード延滞率、統計開始以来の最高水準に上昇
暗号資産市場
- Mt.Goxの弁済進捗65%、ウォレット残高に1000億円相当のビットコイン
- JBAが暗号資産関連の税制改正要望(2025年度)を政府に提出
- 香港当局がステーブルコイン規制法案を発表 今年中に立法会提出予定
- 韓国で「仮想通貨ユーザー保護法」が施行 保険加入など義務付け
- 米政府、6.26億円相当のビットコインをコインベースへ送金
- ブラックロックのビットコインETF、ナスダックETF上回る年初来資金流入額4位に
- イーサリアム現物ETFの初日出来高1550億円超 取引開始に米議員や業界が反応
- トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
- SBIが米資産運用大手と新会社設立へ ビットコインETF参入準備か=日本経済新聞
- 150億円超えのビットコインを購入、米仮想通貨マイニング大手マラソン
- 米ジャージー市の年金基金、ビットコインETF投資へ
来週の相場予想
BTCは米国企業決算とFOMCの内容次第で上値の重い展開が継続か、ETH現物ETFへの本格流入が待たれる
市場の関心は米国企業の決算発表に移っている。来週はマイクロソフトやメタ、アップル、アマゾンといった主要ハイテク銘柄の他、マイクロストラテジーやコインベース、マラソン・デジタルといった主要暗号資産関連銘柄の決算発表も控えている。これらの企業業績が不振だった場合には米国株とともにビットコインの売りが強まる恐れがある。
また来週は米国でFOMCが開催される。7月は政策金利の据え置きが予想されているが、パウエルFRB議長が9月利下げ開始を示唆する発言をした場合、米国金利の低下により米国株、ビットコインの買いが強まることは考えられる。一方、利下げ期待が大方織り込み済となり、7月米雇用統計が悪化した時には景気後退懸念が意識されてリスク資産が急落する可能性には注意したい。米国ではクレジットカードの延滞率が過去最高水準に達するなど米国経済への不安が高まっている。
米国でイーサリアム現物ETFが上場したが、直近は米国株の下落もあって売りが強まっている。ビットコイン現物ETFが成立した時と同様に、しばらくはイベント通過後の売りをこなす必要があるかもしれないが、個人投資家を中心に新規買いも入るだろう。遅れて大手金融機関でも富裕層顧客からの要望を受けてイーサリアム現物ETFを仕入れることが予想される。本格的な資金流入が始まるのは8月入ってからになるか。
直近、上値としてBTC=1,064万円(70,000ドル)、下値としてBTC=912万円(60,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- ユーロ圏、4-6月期四半期域内GDP<速報値>(7/30)
- 日本、日銀金融政策決定会合(7/30-31)
- 米国、FOMC(7/30-31)
- ユーロ圏、7月消費者物価指数<速報値>(7/31)
- 米国、7月ISM製造業景況指数(8/1)
- 米国、7月雇用統計(8/2)
決算カレンダー
- 米国、ペイパル・ホールディングス【PYPL】(7/29)
- 米国、マイクロソフト【MSFT】(7/30)
- 米国、メタ・プラットフォームズ【META】(7/31)
- 米国、アップル【AAPL】(8/1)
- 米国、アマゾン・ドットコム【AMZN】(8/1)
- 米国、マイクロストラテジー【MSTR】(8/1)
- 米国、コインベース【COIN】(8/1)
- 米国、マラソン・デジタル・ホールディングス【MARA】(8/1)
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