今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは、堅調な米経済指標を受けて利下げ期待が後退し、売りが強まった。現物ETFの資金フローの停滞や政府押収分の売り圧懸念など悪材料が相次ぎ、BTC=985万円(65,000ドル)付近まで急落した。米雇用統計の発表も控える中でもみ合いの展開が続いた。
- 来週のビットコインは半減期前に買いの勢いを取り戻す可能性はあるが、仮に上昇を再開したとしても上値は限定的か。直近、上値としてBTC=1,121万円(74,000ドル)、下値としてBTC=909万円(60,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:米国政府押収分の売り圧懸念等で下落、利下げ期待も後退
ビットコインは、3月29日の米国市場が休場となる中、薄商いで方向感に乏しい展開となった。ビットコインキャッシュが半減期への期待で強い値動きとなり、ビットコインも連れ高する場面はみられたがBTC=1,076万円(71,000ドル)付近では上値が重くなった。休場明けとなった4月1日の米国市場では、堅調なISM製造業総合景況指数を受けて米国金利が上昇し、利下げ期待の後退により売りが強まった。現物ETFの資金フローが再び流出超過になったことも嫌気された。4月2日には米国政府がシルクロード(※)から押収したビットコインの取引所への大口入金が確認され、その売り圧への懸念からBTC=985万円(65,000ドル)付近まで急落した。4月3日、ISM非製造業総合景況指数は強弱入り交じる結果となったが、ADP雇用統計が市場予想を上回る結果となった。またパウエルFRB議長が講演で利下げ開始に慎重な姿勢を示し、これらを受けてビットコインは米国株とともに買いの勢いが弱まった。その後、ビットコインキャッシュが半減期を無事に通過し堅調に推移したが、米雇用統計の発表も控える中でもみ合いの展開となった。
※シルクロード:通常のインターネットからはアクセスができない闇サイトの一つ。違法取引の決済通貨としてビットコインが使われた。
今週のトピックス
金融市場
- FRBが重視するインフレ指数、前月から伸び鈍化-消費は回復
- 米ISM製造業総合指数、2022年9月以来の拡大圏-予想上回る
- FOMC議決権メンバー2人、年内3回の利下げをなお想定
- パウエル議長、さらなるデータ精査の「時間ある」-利下げ前に
- 米ISM非製造業、2カ月連続の低下-仕入れ価格4年ぶり低水準
- クーグラーFRB理事、今年の「いくらかの」利下げは適切だろう
- 米政府、最新の戦略石油備蓄の補充計画見送る-原油価格が上昇
暗号資産市場
- 仮想通貨銀行カストディアバンクの対FRB訴訟 米地裁で敗訴
- バイナンス関連の仮想通貨取引所HKVAEX、香港でライセンス申請取り下げ
- 200億円相当の送金を確認 米政府、ビットコインをコインベースで売却か
- 米国のビットコイン現物ETF、再び流出超過に
- 仮想通貨ビットコインキャッシュ、2度目の半減期完了
- イーサリアム現物ETFに新たな進展か、米SECが複数の上場申請でパブコメ募集
- 日米欧中銀、トークン化預金とCBDCで国際決済実験へ
来週の相場予想
BTCは半減期前に買いの勢いを取り戻す可能性はあるが上値は限定的か
米国では強い経済指標を受けて6月利下げ観測が後退し、米国金利が再び上昇に転じている。その中、来週は原油価格の高騰もあって米3月消費者物価指数に注目が集まっている。インフレの長期化を示唆する結果になった場合は米国金利の上昇が継続し、米国株とともにビットコインの売りが強まることは考えられる。またFOMC議事要旨の内容を受けて利下げ開始時期に関する不透明感が増した場合は、今月末に予定される次回FOMCにかけて下落リスクが高まるだろう。
今ある暗号資産市場の好材料としては米国の現物ETFによる資金流入のみとなっており、そのペースも徐々に鈍化している。ビットコインキャッシュのように、ビットコインも20日前後に予定される半減期にかけて買いの勢いを取り戻す可能性はある。しかし、米国における暗号資産関連の取り締まり強化や政府が押収したビットコインの売り圧懸念など悪材料が相次いでおり、仮に上昇を再開したとしても上値は限定的になるだろう。
直近、上値として史上最高値付近であるBTC=1,121万円(74,000ドル)、下値として3月初旬の急落時に記録したBTC=909万円(60,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、3月消費者物価指数(4/10)
- 米国、FOMC議事要旨(4/10)
- ユーロ圏、ECB理事会(4/11)
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