#81:SEC、イーサリアムのスポット上場投資信託(ETF)に関する決定を延期

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

SEC、イーサリアムのスポット上場投資信託(ETF)に関する決定を延期

コメント:青木

アメリカ証券取引委員会(SEC)は2月6日、インベスコとギャラクシー・デジタルが共同で申請したイーサリアムのスポット上場投資信託に関する決定を延期しました。

フィデリティやグレイスケール、ブラックロックが申請したイーサリアムのETFに関する決定についても1月に延期されているものの、これらの延期は専門家の間では想定内とされており、VanEckのイーサリアムETFの申請の最終期限日である5月23日までこうした流れは続いていくと考えられています。ここからは、なぜ米国でイーサリアムETFが承認されないのか、また承認された時の市場への影響について考えてみましょう。

まず、イーサリアムETF承認の大きな論点として挙げられているのは、イーサリアムには証券性があるか否か、ということです。イーサリアムには2014年7月にICO(Initial Coin Offering)によって資金調達名目で発行されたという背景があるものの、現在では分権化が進んでいるため、特定の組織が利益を目的として販売しているものではないと考えられます。この観点から見ると、イーサリアムは証券ではないといえます。

実際に、SECは「ビットコイン以外の大半の暗号資産は証券である」と述べているものの、他のアルトコインのようにイーサリアムを名指しで批判してはいません。また、SECのゲンスラー委員長は2月14日のインタビューでビットコインETFと全く同じ方法で処理されるだろうとだけ言及するなど、全体的にグレーな対応をとっており、イーサリアムが証券か否か、に対する明確な回答はない状況が続いています。

次に、米国でイーサリアムETFが承認された場合に市場へどのような影響を与えるかについて考えてみましょう。

イーサリアムETFが承認されると、まずイーサリアムの価格に大きな変化が生まれると考えられています。ファンダメンタルズ的にもイーサリアムへの需要が高まり、価格が大幅に上昇するといわれています。ビットコインETFの承認により、機関投資家の暗号資産市場への資金流入が増加したことから、イーサリアムETFの承認でも暗号資産市場の活性化が進むことが予想されています。

ただし、イーサリアムETF承認の前後でのイーサリアム現物の売買には注意が必要かもしれません。 ビットコインETFの承認前後の価格変動に現れたように、イーサリアムの価格への過剰な期待の影響で乱高下し、トレーダーに恐怖心を与えてしまう事が懸念されています。ビットコインと同じくある程度の期間が経過した後に価格を回復し、緩やかな上昇傾向に転じる可能性はありますが、承認されるかもしれないといわれている5月頃のイーサリアムの値動きには注意が必要であると考えられます。

ビットコインETF承認で賑わいを見せた暗号資産市場において、イーサリアムETFは新たな追い風を吹かせる事ができるのでしょうか。注目が高まります。

ワールドコインが過去最高値:動画生成AI「Sora」のローンチが大きく影響か

コメント:中坪

OpenAI社のCEOであるサムアルトマン率いるワールドコインが過去最高値をつけ、さらに上昇を続けています。19日13時現在で6.39ドルと先週比で1.5倍程度高騰していますが、この背景にはOpenAIが16日にローンチしたテキストから動画生成するAIモデル「Sora」の存在が大きいようです。今回は注目が集まるSoraとはどのようなモデルなのか、そしてSoraが今後ワールドコインにどのような影響を与えうるのか見ていきたいと思います。

SoraはChatGPTと同様に文章をAIに入力することでその文章に則した最長1分の動画を生成することが可能です。その動画の品質は非常に高く、このことはOpenAIの公式Xアカウントで公開されたデモ動画からも分かります。現在は一般のユーザーに公開はされておらず、悪影響を及ぼす可能性を検証している他、ビジュアルアーティストやデザイナー、映像制作者などに利用してもらい、このような芸術分野でのプロフェッショナル人材にとってより良いモデルに改善できるよう、フィードバックを収集しているとしています。

Soraの特質すべき点は、単にユーザーの指示した通りの動画を生成するだけでなく、生成した動画の中に含まれる事物が実際に現実世界で存在するような形で表現することができます。例えばこれまで画像生成を生成AIに依頼した場合には「それっぽい画像」を生成してくれましたが、ディテールの部分で実在しないものが描かれており、それが画像に対する不自然さを感じさせる原因となっていました。しかし、デモ動画でも示されているようにSoraの生成する動画は細かな部分まで緻密に現実世界に即して描かれており、リアリティが徹底的に追求されています。

一方で、このような現実に即した描画について、現時点ではまだモーションに限定されているように感じられます。こちらのデモ動画では女性が東京のネオン街の通りを歩いている様子が生成されていますが、背景に映り込む店舗の看板には見たことのない文字が書かれており、現在の画像生成と同様の限界がSoraにも依然あることが伺えます。

今後、Soraが一般に公開され、またさらに精度や機能が改善されていけば、OpenAIへの期待はさらに高まります。ワールドコインはOpenAIの動向と非常に相関が強く、実際、サムアルトマンがCEOを解任されるという騒動があった際には大きく取引価格を下げています。例えばSoraが生成可能な動画の最長時間が延長されたり、音声まで生成できるようになれば、ワールドコインもさらに価格を上げていく可能性が高いでしょう。モデルのポテンシャルがワールドコインの上げ幅とも見ることができるかもしれません。

もっとも、今後もワールドコインの価格とOpenAI社が巻き起こすイノベーションが相関し続けるかは分かりませんが、少なくとも双方のプロジェクトをサムアルトマンが率いている限り、一定の相互作用があることは避けられないでしょう。AIをテーマにするプロジェクトとトークンが増えている今、AIの成長に賭ける手段としてのクリプトという選択肢の存在はますます大きくなっていると言えるかもしれません。

注目の資金調達(2/5~2/18

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Nibiru

日付: 02月05日
調達額: $12.00M
ラウンド: Private
投資家: Krakenなど
カテゴリー: DeFi
プロジェクト概要: Nibiruは、プルーフオブステークのコンセンサスメカニズムで動作するブロックチェーンプラットフォームです。オープンソースのプラットフォームであり、相互接続されたブロックチェーンから成るCosmosエコシステムの一部です。Nibiruは、レバレッジデリバティブ取引、スポット取引、ステーキング、およびボンデッド流動性提供を統合することで、ユーザーに統一された体験を提供することを目指しています。この統合により、40以上の異なるブロックチェーンのユーザーが分散型アプリケーションを使用してレバレッジを活用した取引に参加することができます。Nibiruの目標は、これらの機能を1つのプラットフォームに組み合わせることで、シームレスなユーザー体験を作り出し、ユーザーがさまざまな金融サービスにアクセスし利用することを容易にすることです。

carbcoin

日付: 02月06日
調達額: —
ラウンド: Seed
投資家: Amber Groupなど
カテゴリー: Others
プロジェクト概要: Carbcoin.ioは、炭素オフセット業界を革新する画期的なデジタルプラットフォームです。世界初のデジタル炭素クレジットの取引所として、Carbcoin.ioはブロックチェーン技術を活用して安全で変更不可能な取引を実現しています。このプラットフォームは、個人、企業、プロジェクト開発者、ブローカーが炭素クレジットの売買を支援することを目指しています。 Carbcoin.ioは、最初は緑のエネルギーを通じた分散型エネルギー貯蔵に集中していますが、そのビジョンはそれ以上に広がっています。気候変動への世界的な懸念と、インターネット・オブ・シングス(IoT)ブロックチェーン技術の急速な普及を考慮し、Carbcoin.ioは包括的な解決策の必要性を認識しています。 ブロックチェーン技術を活用することで、Carbcoin.ioは炭素クレジットの透明性と追跡性を保証し、炭素オフセットの信頼性と効率性の高いマーケットプレイスを提供します。この革新的なアプローチは、持続可能な実践を支援するだけでなく、再生可能エネルギーの採用を促進します。 Carbcoin.ioの使命は、個人や組織が積極的に炭素オフセットに参加できるようにし、低炭素経済への移行を支援することです。

Startale Labs

日付: 02月06日
調達額: $3.50M
ラウンド: Series A
投資家: UVM Signum Blockchain Fundなど
カテゴリー: Web3Infrastructure
プロジェクト概要: Startale Labsは、Web3インフラストラクチャの開発と公共財の提供に特化した企業です。彼らの主な専門分野は、Astar Networkに統合されたWeb3のコアインフラストラクチャとアプリケーションの作成です。幅広い研究開発を通じて、彼らはWeb3とトークンエコノミクスのさまざまな側面をカバーする先進技術を実装しています。Startale Labsは、インキュベーションプログラムを通じてWeb3スタートアップの育成にも重要な役割を果たしており、加速したイノベーションを促進することを目指しています。さらに、Startale Labs内でシナジーを促進するエコシステムの育成にも積極的に取り組んでいます。なお、Startaleは、日本の著名なパブリックブロックチェーン企業であるAstar Foundationのスピンアウト企業であることに言及する価値があります。

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担当:松嶋

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