#77:ビットコイン現物ETF、全11銘柄の経費率は?

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

ビットコイン現物ETF、全11銘柄の経費率は?

コメント:宮本

1月10日、米国でビットコイン現物ETFが承認されました。ビットコイン現物ETFのポイントについては同日配信のトピックにて解説されていますので、ぜひそちらもご覧ください。

このトピックでは承認された全11銘柄について、手数料やベンチマーク、カストディアンなどの3つの項目を比較していきたいと思います。

まずは手数料、すなわちETFにおける経費率についてみていきましょう。11銘柄の経費率は以下の通りとなっています。

経費率は0.19%から1.50%の範囲にあり、多くのETFの経費率は0.25%前後に設定されていることがわかります。GBTCとDEFIについては既存の商品を現物ETFに転換したものであるため、他の新規上場銘柄と比較すると経費率が高くなっています。

BlackRockやARK Invest、Invescoなどが発売前に手数料を引き下げるなどといった激しい手数料競争が行われたことで、ビットコイン現物ETFの経費率は当初想定されていたよりも低い水準となっていることが特徴的です。さらに、発売後である1月11日にもFranklinが経費率を0.29%から0.19%に引き下げることを発表しており、手数料競争は今後も継続する可能性があります。

また、これらの手数料競争によって多くのETFに一定条件下での手数料の免除が設定されています。IBITを例としてみてみると、発売から12か月が経過するか、AUM(Assets Under Management:運用資産残高)が50億ドルを超えるまでは経費率は0.12%に設定されていますが、いずれかの条件が満たされなくなった場合には経費率は通常の0.25%に戻ることがわかります。

Bloombergによると、手数料の免除が設定されているETFの1月12日時点でのAUMは、IBITが約5億ドル、FBTCが約4億2700万ドル、BITBが約2億2500万ドル、ARKBが約1億1000万ドル、EZBCとBTCOが約4900万ドル、BRRRが約2800万ドル、BTCWが約300万ドルとなっています。

発売日はいずれの銘柄も1月11日であるため、これらのAUMは初日の取引によるものであると考えられます。このような状況から、免除が適用される条件のうちAUMの方が先に満たされなくなり、表記されている期間よりも早い段階で通常の経費率に戻る可能性があります。

次にベンチマークについてみていきましょう。ベンチマークには、11銘柄のうち5銘柄でCME CF Bitcoin Reference Rate – New York Variant(BRRNY)が用いられています。

BRRNYはドル建てのビットコイン参考基準レートとなっており、複数の暗号資産取引所における取引フローを1時間ごとに集計して、集計された取引フローについて5分ごとに区分してTWAP(Time Weighted Average Price)を算出しているものです。

ベンチマークにBRRを用いていない銘柄としては、BITB、FBTC、GBTC、BTCO、HODLの5つが挙げられます。それぞれベンチマークにBitwise Bitcoin Total Return Index、Fidelity Bitcoin Reference Rate、CoinDesk Bitcoin Price Index、Lukka Prime Bitcoin Reference Rate、MarketVector Bitcoin Benchmark Rateが用いられています。

いずれのベンチマークも複数の暗号資産取引所における取引フローが用いられている点は同じですが、リストされている暗号資産取引所が異なったり、TWAPではなくVWAP(Volume Weighted Average Price)が用いられていたり、算出に用いる時間区分が異なったりするなどの違いがみられます。

最後にカストディアンについてです。カストディアンは、11銘柄のうち8銘柄でCoinbase Custody Trust Companyとなっています。残りの3銘柄については、HODLがGemini Trust Company、FBTCがFidelity Digital Asset Services、DEFIがBitGo Trust Companyとなっています。ほぼ全ての銘柄が暗号資産取引所であるCoinbaseやGeminiをカストディアンとして選択した一方で、FBTCは自社の子会社を、DEFIは暗号資産カストディサービスであるBitGoをカストディアンとして選択しています。

ここまで、今回承認されたビットコインETFの詳細についてみていきました。機関投資家も含めた投資家たちがビットコインETFに対してどのような選択をしていくのか、今後も目が離せません。

ついにビットコイン現物ETFが承認!知っておきたいビットコインETFの2つの話

コメント:中坪

先週10日、ついに米国でビットコイン現物ETFが承認され、翌11日には早速取引が開始されました。SECのSNSアカウントが乗っ取られたことによる承認の誤報の拡散など、直前には相場が乱れた影響もあってか、正式な承認ニュースが報じられたにも関わらず誤報時以下の価格の上昇に留まる場面もありましたが、ETFの取引開始直後には現物ビットコインも49000ドルの高値をつけ、凄まじい盛り上がりを見せました( こちらのサイトでビットコインの各種ETFの価格などの情報がまとめてチェックできます)。今回はそんなビットコインETFについて二つのポイントをご紹介します。

まずは複数承認されたETFのなかでも注目の銘柄についてです。今回承認されたのは11銘柄で、初日の合計取引高は46億ドルを超えました。最も取引高が高かったのは暗号資産資産管理会社のグレイスケール・インベストメンツが提供するグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)で、23億ドルでした。そもそもGBTCは数年前からクローズドエンド型の 投資信託として存在しており、今回のETF申請は新規設定ではなくETFへの転換を希望するものでした。しかしSECからは2021年から複数の先物ビットコインETFは承認するものの、断固として現物ETFを却下し続けていました。これに対してグレイスケールが起こした訴訟においてグレイスケール側に有利な判決が下ったことが今回の現物ETF承認においても重要な役割を果たしたと考えられます。実際、SECのゲンスラー委員長が今回の承認にあたって発表した声明において件の裁判とGBTCのことが言及されています。そんなGBTCは既存の投資家の売りも大きく出たと見られており、そのため取引高も頭ひとつ抜けたようです。

もう一つは大きなメリットの陰でつい忘れがちな「取引時間」という点です。各種サーベイにおいて多くの機関投資家が暗号資産に関心を持っている一方、資産管理やレピュテーションリスクの観点から暗号資産ポートフォリオに組み込むことは難しいことがわかっていました。しかし、ブラックロックをはじめとする実績を持った大手金融機関が設定するETFという形であれば、機関投資家にとっても投資対象として視野に入ってくるでしょう。このような機関投資家の資金の流入によりビットコイン価格はさらに上がっていくことが期待されています。アナロジーとして挙げられるのが金で、こちらの現物ETFが承認された際には以降に金価格が上昇した歴史があります。

このようなETF化のメリットがある一方、暗号資産の最大の特徴の一つである24時間365日取引可能であるという良さが失われることは忘れてはなりません。依然ボラティリティが大きいということは今回の一連の承認可否の報道直後のチャートを見れば一目瞭然ですが、このような乱高下は市場が閉まっている土日祝日などにも起こりうります。現物ビットコインを持つ投資家は休日でも取引可能ですが、ETFの場合は次の市場営業日までポジションの整理ができません。ビットコイン現物ETFを日本でも購入可能になる際には暗号資産の税制変更などが必要となると考えられるため、このような点に日本の投資家が注意すべき状態になるのはもう少し先になりそうですが、頭の片隅においておくといいかもしれません。

早くも次は5月にイーサリアムの現物ETFが承認か?などと早速新しいトピックが現れています。相場の波になることで得られる利益は大きいですが、くれぐれも間違った情報や知識で重大な判断をしてしまわないように気をつけたいものです。

注目の資金調達(1/1~1/14

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Memecoin (MEME)

日付: 01月04日
調達額: —
ラウンド: Strategic
投資家: Binance Labsなど
カテゴリー: NFTs
プロジェクト概要: メムコイン(MEME)は、メムランド内のNFTエコシステムを推進する独占的なデジタル通貨です。9GAGによって設立されたWeb3ベンチャースタジオであるメムランドは、SocialFiとクリエイターエコノミーの構築とサポートに専念しています。その主な目的は、MEMEトークンとNFTを活用して、クリエイターとコミュニティのつながりを促進することです。ネイティブトークンであるMEMEは、メムランドプラットフォーム内でのさまざまな活動(NFTの購入や取引など)をユーザーに可能にします。メムランドの焦点は、クリエイターエコノミーの社会的および金融的側面を向上させるプロジェクトの開発と投資の両方にあります。ブロックチェーン技術、メムコイン、NFTの潜在能力を活用することで、メムランドはクリエイターとコミュニティの相互作用と協力を促進する活気あるエコシステムを創造することを目指しています。

TrendX

日付: 01月08日
調達額: $1.00M
ラウンド: Seed
投資家: Foster Labsなど
カテゴリー: Web3
プロジェクト概要: TrendXはAI技術と大規模な言語モデルを組み合わせた包括的なプラットフォームで、Web3のトレンドを追跡・分析します。知的な取引とシームレスに統合することで、TrendXは次世代のAI駆動取引のためのプラットフォームとなることを目指しています。数十億人のユーザーに焦点を当て、TrendXはWeb3プロジェクトの探索、ホットスポットの特定、トレンドのモニタリング、一次投資と二次市場取引の両方を可能にします。AIの能力を活用することで、TrendXは急速に進化するWeb3市場でユーザーに貴重な洞察と機会を提供します。使いやすいインターフェースと高度な機能を備えたTrendXは、ユーザーがWeb3エコシステムをナビゲートし参加する方法を革新することが期待されています。

Ta-da

日付: 01月09日
調達額: $3.50M
ラウンド: Undisclosed
投資家: Morningstar Venturesなど
カテゴリー: Web3
プロジェクト概要: ターダは、クラウドソーシングを活用して従来のデータ収集方法を革新するAIデータマーケットプレイスです。世界中から多様なユーザーコミュニティを集めることで、高品質なデータを公正な価格で入手できるプラットフォームを提供しています。ターダの革新的なアプローチは、倫理的なヒューマンインザループプロセスの統合により、収集されたデータの正確性と信頼性を確保しています。 クラウドソーシングにより、ターダはユーザーがデータを収集するだけでなく、検証することも可能にし、コミュニティ参加を促進する協力的な環境を作り出しています。このアプローチにより、さまざまな視点と場所からデータを収集することができ、包括的で多様なデータセットが得られます。 ターダの主な利点の一つは、価格の柔軟性です。ユーザーは必要なデータに対して支払いたい価格を自由に選ぶことができ、あらゆる規模のビジネスや組織にとって費用効果の高いソリューションとなっています。 要約すると、ターダは革新的なAIデータマーケットプレイスであり、クラウドソーシングの力を活用して高品質で検証済みのデータを公正な価格で提供しています。

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