#76:Ethereum次期アップグレード「Dencun」、1月中旬にテストネット実装へ

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Ethereum次期アップグレード「Dencun」、1月中旬にテストネット実装へ

コメント:宮本

Ethereum Foundationが12月21日に開催したミーティングにて、Ethereumの次期大型アップグレード「Dencun」が来年1月中旬からテストネットにて順次実装される予定であることが明らかになりました。ミーティングはEthereum開発者コミュニティによって隔週で開催されているもので、その様子は YouTubeに公開されています。

通常Ethereumの大型アップグレードはテストネットから実装が始まり、テストネットにて問題がないことを確認した上でメインネットに実装されるというプロセスを取ります。次期アップグレード「Dencun」についても同様で、現存する3つのテストネット「Goerli」「Sepolia」「Holesky」への実装が行われた後、検証などを経てメインネットへ実装されることになります。

今回のミーティングでは、各テストネットへのDencunアップグレード実装日時の決定が行われました。Goerliテストネットへの実装は日本時間(JST)1月17日 15:32、Sepoliaテストネットへの実装は1月31日 7:51、Holeskyテストネットへの実装は2月7日 20:34であることが決定されています。メインネットへの実装スケジュールについては、通常通りHoleskyテストネットへの実装が行われた後に決定されるものとみられます。

前回の大型アップグレード「Shapella」では、最後のテストネットへの実装が3月15日に行われた上で、約1か月後となる4月13日にメインネットへの実装が行われました。これらの背景を踏まえると、Dencunアップグレードのメインネットへの実装は3月初旬頃になると推測されます。

Dencunアップグレードの目玉は間違いなく、レイヤー2におけるガス代を大幅に削減する「EIP-4844」でしょう。EIP-4844は「プロトダンクシャーディング」とも呼ばれておりよく話題になる新機能ですが、その技術的側面についてはあまり知られていません。せっかくなので、EIP-4844について詳しくみていきましょう。

EIP-4844は、レイヤー2のための新しいトランザクション形式をEthereumに導入して、新しいトランザクション形式専用のガス代を設けることで、レイヤー2におけるガス代を安くしようとするものです。具体的には、既存のトランザクション形式に「blob」というデータ領域を追加した新しいトランザクション形式「BLOB_TX_TYPE」を導入するものになります。

現在、レイヤー2内のトランザクションデータはEthereumにおける「calldata」という部分に保存されています。しかし、このcalldataはトランザクションの引数になっているため、ブロックチェーンに永久に保存されてしまうという特徴を持っています。こうした特徴は一見メリットにも見えますが、レイヤー2のトランザクションデータは検証が終わった後は不要となるため、不必要にガス代を引き上げる要因となっていました。

レイヤー2のガス代を安くする方法として、過去にcalldata専用のガス代を設ける方法も考えられていました。しかし、calldataは1ブロックあたりの最大数が決まっていないため、calldataのガス代を安くするとcalldataが膨大な数になり、ブロックサイズを増大させてしまうという問題があります。前述した永久に保存されてしまうという特徴も含めて考えると、専用のガス代を設けても結局はガス代が高騰してしまう可能性があるため、この方法を採用することは見送られていました。

blobは、こうした問題の解決策として用意されたレイヤー2のトランザクションデータ専用のデータ領域です。blobは一定期間後に削除されるため、calldataのように永久に保存されることはありません。また、blobは1ブロックあたりの最大数が決まっているため、calldataのようにガス代を安くしてもブロックサイズを増大させることはありません。これらの特徴から、専用のガス代を設けても安価であり続けられ、結果として安定的にレイヤー2のガス代を安くできると考えられています。

EIP-4844が実装されるDencunアップグレードを無事に終えることができれば、スケーラビリティの問題を解決する希望が見え、Ethereumのブロックチェーンとしての価値はさらに高まると推測されます。まずはテストネットでの成功を心待ちにしたいところです。

2024年に向けて暗号資産投資家の期待高まる~投資家への暗号資産投資情勢調査より~

コメント:中坪

今月14日、デジタル資産に特化した銀行サービスを提供するSYGNUMが様々な大口投資家に行った暗号資産に関するレポートを公開しました。平均10年を超える投資経験を持つ150以上の投資家からの回答を得て作成されており、回答者のうち89%はすでに暗号資産に投資を行っています。暗号資産やブロックチェーンに明るい投資家の声を収集した本レポートでは、5つの重要セグメントについて詳細な分析が行われています。今回はその中から「投資戦略」に関する部分を抜粋してご紹介します。

まずは回答者の暗号資産に対する認識を見てみましょう。回答者の60%が暗号資産に対する高いリスク選好を持っています。依然、リスクが高いと考えられている暗号資産ですが、多くの投資家がハイリスク資産として取れないリスクではないと考えていることが伺えます。また、暗号資産を保有していない11%の投資家は非常にリスク許容度が中立的または低いことが示されており、この原因としてそのような投資家は暗号資産市場へのアプローチが保守的で遅れており、理解のレベルが低いことが挙げられています。当然、投資家ごとのスタンスや役割に応じて取れるリスクは異なるため、一概に暗号資産にエクスポージャーがないことが知識のなさの裏付けであるとは言えないでしょうが、暗号資産をポートフォリオに含めている投資家とそうでない投資家での考え方が一層広がっていることは間違いなさそうです。

次に、暗号資産投資を行っている回答者はどのような資産に投資しているかみてましょう。87%の回答者はブロックチェーンプロトコルトークン、すなわちBTCやETHのようなレイヤー1プロトコルのトークンを保有しているようです。DAppsトークン、ステーブルコインNFTなどが続きます。驚くべき点としてはNFTをポートフォリオの一部に保有している投資家が28%もいる一方、日本で今話題の不動産等のトークン化を含むトークン化資産が16%にとどまるという点です。これには流動性の低さが原因として考えられます。日本でも先日セキュリティトークン(ST)の私設取引システムとしてSTARTがリリースされましたが、このような市場が存在しなければいくら裏付け資産があるとは言っても流動性が担保されないために投資家としてはST投資には二の足を踏んでしまうことは否めません。一方、NFTはベアマーケットであるとはいえ二次流通市場が確立されており、STなどと比較すれば取引の自由度は高いため、このような結果となったのではないでしょうか。また、もう一つ特筆すべき点としては、単一の暗号資産を保有している投資家は非常に少ないというところです。リスクの高い投資であると理解した上でそれをヘッジするために、複数の暗号資産でポートフォリオを構成し、分散を効かせているようです。単なる投機的金融資産として暗号資産という見方から、投資的確なリスク資産という認識に移り変わっていることが伺えます。

最後に、「いつ暗号資産へのアロケーションを増やす予定ですか/暗号資産への投資を開始する予定ですか」という質問の回答を見てみたいと思います。なんと54%ものすでに暗号資産を保有している投資家が一年以内にアロケーションを増やすと答えており、また来年には新規で暗号資産を投資したいと考えている投資家も合計で37%もいるという結果になりました。このように投資家の関心が非常に高まっている暗号資産市場。ついに2024年は本格的な春の到来が予感されます。

 

注目の資金調達(12/18~12/24

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

DM2C Studio – Seamoon Protocol

日付: 12月20日
調達額: $2.30M
ラウンド: Debt Financing
投資家: Galaxy Interactiveなど
カテゴリー: Web3NFTs
プロジェクト概要: DM2Cスタジオは、DMM.com LLCの子会社であり、2023年1月に設立されました。DMMのWeb3イニシアチブを推進することを目的としており、ブロックチェーンゲームやNFTプロジェクトを含んでいます。日本を代表するゲーム会社であるDMM.com LLCは、DM2Cスタジオを設立し、Web3ビジネスの開発を牽引しています。今年6月、DM2Cスタジオは「Seamoon Protocol」というWeb3プロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、独自のトークンを活用してデジタル領域で革新的なエンターテイメント体験を提供します。Seamoon Protocolは、ブロックチェーン技術とNFTを活用することで、ユーザーがデジタルコンテンツと関わる方法を革新することを目指しています。ゲーム業界での専門知識と新たな領域の探求への取り組みを持つDM2Cスタジオは、Web3の進化に重要な貢献をすることが期待されており、デジタルエンターテイメントの限界を再定義するでしょう。

ALEX

日付: 12月20日
調達額: —
ラウンド: Strategic
投資家: LK Ventureなど
カテゴリー: DeFi
プロジェクト概要: ALEXは、ビットコインネットワーク上でエコシステムを作成したい開発者向けに、分散型金融(DeFi)のビルディングブロックを開発するスタートアップです。同社の主な集中領域は、ビットコインを決済層、Stacksをスマートコントラクト層として利用したデジタル資産の取引、貸出、借入です。彼らの提供の重要な要素は、中間業者の必要なく、ユーザーが安全に異なる暗号通貨を交換できる自動市場メイキング(AMM)プロトコルです。ALEXは、Chiente HsuとRachel Yuによって設立されました。彼らは共にウォールストリートで量的アナリストとしての豊富な経験を持っています。彼らの専門知識とビジョンにより、ALEXはStacksの機能を活用し、ビットコインネットワーク上で革新的なDeFiアプリケーションを構築するための必要なツールとインフラを開発者に提供することを目指しています。

Academic Labs

日付: 12月20日
調達額: —
ラウンド: Seed
投資家: HTX Venturesなど
カテゴリー: Web3
プロジェクト概要: アカデミックラボは現在、AI WEB 3教育プラットフォームの開発に取り組んでいます。このプラットフォームは、英語学習やブロックチェーン、プログラミングの知識を習得する方法を革新することを目指しています。ACADという独自のデジタル通貨を利用して、クイズ、動画、インタラクティブなコンテンツなど、魅力的でゲーム化された学習教材を作成するコンテンツ開発者をモチベートします。コンテンツ開発者はPUBLISHER NFTを使用して自分の作品を収益化し、ユーザーフィードバックに基づいてREPUTATION NFTを獲得することもできます。 コンテンツ開発者だけでなく、学習者も学習の異なるレベルを進むにつれてACADトークンとACHIEVEMENT NFTを報酬として受け取ります。これらのインセンティブは、学習者が積極的にプラットフォームに参加し、教育体験を向上させるための動機づけとなります。さらに、学習者はACADトークンをACADメタバース内で利用することもできます。そこではプレミアムコンテンツにアクセスしたり、学習の旅をサポートするためにAIチャットボットを利用することも可能です。

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担当:松嶋

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