#75:Ethereumの新たな可能性、「enshrined ZK-EVM」とは?

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Ethereumの新たな可能性、「enshrined ZK-EVM」とは?

コメント:宮本

Ethereumの共同創設者であるVitalik Buterin氏は12月14日、ZK-EVMをEthereumに実装する新しいアイデア「enshrined ZK-EVM」を公開しました。

ZK-EVMや今回公開されたenshrined ZK-EVMを理解するためには、まずEVM(Ethereum Virtual Machine)のことを知る必要があります。さっそくEVMについてみていきましょう。

EVMは、Ethereumに実装されているスマートコントラクトを実行できる機能のことです。ただし、EVMによるスマートコントラクトの実行はEthereumブロックチェーンの中で行われるため、実行能力や処理速度に限界があるという問題点がありました。

こうしたEVMの問題点を解決したのがZK-EVMです。ZK-EVMは、スマートコントラクトの実行をEthereumブロックチェーンの外で行い、実行が正しく行われたということをゼロ知識証明を用いて証明した上で、その証明をEthereumブロックチェーンに保存するというものです。このように、ZK-EVMによるスマートコントラクトの実行はEthereumブロックチェーンの外で行われるため、通常のEVMよりも高い実行能力や処理速度を実現することができます。

しかし、ゼロ知識証明の実行には高いハードウェアスペックが必要になるなどの問題点があったために、EthereumそのものにZK-EVMは実装されていません。現状では、ZK-EVMの実装はPolygon zkEVMなどの一部のレイヤー2のみに留まっています。

今回公開されたenshrined ZK-EVMは、ゼロ知識証明を実行できるような新しいクライアントと新しいトランザクション形式をEthereumに導入して、新しいクライアントを実行しているノードにゼロ知識証明とブロック作成を任せることでEthereumそのものにZK-EVMを実装しようとするものです。これによって、すべてのノードに高いハードウェアスペックを要求することなくZK-EVMを実装することができます。

enshrined ZK-EVMに必要な要素のうち、新しいトランザクション形式についてはEthereum次期アップグレード「Dencun」にて実装される「EIP-4844」に類似したものとなっているため、開発は容易であると考えられます。一方で新しいクライアントに関してはゼロ知識証明の実行を数秒以内に行えるようにする必要があるため、開発が難しくなることが予想されます。これについて、Vitalik氏はGPUによる並列処理を用いる方法や、FPGAやASICなどのハードウェアアクセラレーションを用いる方法などを提案しています。

このように、enshrined ZK-EVMの実現にはエンジニアリング上の課題が残っています。しかし、enshrined ZK-EVMがもし実現すれば、Ethereumはレイヤー2を使わなくても安いガス代で高速にトランザクションを処理できるようになるという夢のような進化を遂げることになります。今後しばらくの間はDencunアップグレードによってさらにガス代が安くなる既存のレイヤー2が活躍すると推測されますが、Ethereumの新たな可能性が提示されたことは歓迎できそうです。

格付け機関S&Pがステーブルコインの安定性評価サービスを開始

コメント:中坪

S&P Global Ratingsは、ステーブルコインの安定性評価サービスを開始したことを発表しました。この評価は、ステーブルコインが法定通貨に対して安定した価値を維持する能力があるかどうか評価することを目的としています。伝統的金融(TradFi)と急成長している暗号資産ネイティブの分散型金融(DeFi)クライアントの両方を支援するために、同社が国際的な格付け機関として蓄積してきた強力な分析能力とリスク評価能力を活用して行う新たな事業です。

評価項目は大きく3つ。一つ目は、資産のクオリティリスク(信用、市場価値、保管リスク)。二つ目は過剰担保要件や清算メカニズムが一つ目のリスクをどの程度軽減するか。最後に、ガバナンス、法的・規制的枠組み、換金性と流動性、技術とサードパーティへの依存度、トラックレコードの5つの追加項目です。これらを総合的に考慮し、1(非常に強い)から5(弱い)のスケールでステーブルコインの安定性を評価します。

今回公表された資料では、8つの主要ステーブルコインが公開評価に含まれており、それぞれDAI(4)、FDUSD(4)、FRAX(5)、GUSD(2)、USDP(2)、USDT(4)、TUSD(5)、USDC(2)という結果でした。時価総額では2023年12月15日現在でUSDTが一位でその後にUSDCが続く、という状況ですが、S&Pの評価ではUSDCの方が評価が高く、またUSDTは4という比較的低い評価になりました。

S&P Global RatingsのChief DeFi OfficerであるChuck Mounts氏はリリース資料で、「この新サービスの開始は、デジタル資産市場のトレンドの最前線に立ち続けることへのコミットメントを強調し、クライアントが情報に基づいた意思決定を行うための洞察を提供することを目指しています。市場の主要参加者や関係者との広範な議論では、S&P Globalのような歴史と地位を持つ企業がこの市場で専門知識を活用することに対して、彼らも私たちも興奮しています」と述べています。

米国でのビットコイン現物ETF承認にあたり、今後ますます急速に伝統的金融機関のデジタルアセットへの進出は進んでいくと考えられます。日本でも改正資金決済法が今年施行され、ステーブルコインの法律上での立ち位置が明確化されました。これを機にステーブルコインを発行しようという動きが加速しています。現時点ではJPYC社とSBI VCトレード社が発行に必要な認可の取得を目指す旨を明らかにしている他、ウォレット開発などを行うGinco社とセキュリティトークンやステーブルコイン基盤を提供するProgmat社と共同でプロジェクトを開始するなど、2024年はステーブルコインが熱い一年になりそうです。そんな中だからこそ、今回のようなステーブルコイン格付けによって客観的評価を得られることは利用者拡大を目指す上でも非常に重要であり、今後どのように現場で活用されていくかに注目したいと思います。

注目の資金調達(12/11~12/17

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Liquidium

日付: 12月11日
調達額: $1.25M
ラウンド: Pre-Seed
投資家: Bitcoin Frontier Fundなど
カテゴリー: NFTs
プロジェクト概要: リキディウムは、Discreet Log Contracts(DLC)と部分的に署名されたビットコイントランザクション(PSBT)を使用して、借入と貸出の体験を革新する画期的なピアツーピアの貸付プラットフォームです。これらの技術の力を活用することで、リキディウムはユーザーに対して、ネイティブなビットコインを担保としてネイティブなオーディナルに対して借り入れや貸し出しを可能にします。 オーディナルは、ビットコインの最小単位であるサトシにデータを刻み込むことで作成される新しい形式のデジタルアセットです。リキディウムでは、オーディナルの所有者は、オーディナルアセットの所有権とエクスポージャーを維持しながら、担保として自分の刻印をロックしてビットコインを借りることができます。 リキディウムの特徴は、信頼度の最小化とカストディアンフリーのアプローチです。プラットフォームはビットコインブロックチェーン上でのみ動作し、すべての参加者に対して透明性とセキュリティを保証します。貸付プロセスはPSBTを介して容易かつ効率的に行われます。 ローンの結果の正確性と信頼性を確保するために、リキディウムはDeepLakeオラクルを利用しています。この統合により、プラットフォームの信頼性と信頼性がさらに向上します。

GFO-X

日付: 12月11日
調達額: $30.00M
ラウンド: Strategic
投資家: M&G Investmentsなど
カテゴリー: CeFi
プロジェクト概要: GFO-Xは、英国で先駆的な取引プラットフォームであり、デジタル資産デリバティブに特化しています。このプラットフォームは、英国初の規制された中央クリアリング取引所であるという特徴を持っています。GFO-Xは、英国金融行動監視機構(FCA)の認可と規制の下で運営されており、厳格な規制基準に準拠しています。このプラットフォームは、主要なグローバル金融機関との強力なつながりを誇り、幅広い参加者ネットワークへのシームレスなアクセスを可能にしています。さらに、GFO-Xは、優れたクリアリングハウスであるLCH SAと戦略的パートナーシップを結んでおり、クリアリング業務のセキュリティと信頼性をさらに向上させています。この協力関係により、デジタル資産デリバティブに関連するすべての取引とクリアリング要件を、高度に安全で規制された環境内で満たすことが保証されています。GFO-Xは、デジタル資産デリバティブ取引に参加したい個人や機関に対して、信頼性の高い効率的なプラットフォームを提供することに取り組んでいます。

LINE NEXT

日付: 12月13日
調達額: $140.00M
ラウンド: Undisclosed
投資家: Crescendo Equity Partnersなど
カテゴリー: Web3NFTs
プロジェクト概要: LINE NEXT Corporationは、韓国に拠点を置く企業であり、Web3ビジネスイニシアチブの戦略的計画と実施に専念しています。同社の主な焦点は、Web3エコシステムの成長を促進し、より広い観客にアクセス可能にすることにあります。この目標を達成するため、LINE NEXTは、米国の子会社を通じてグローバルなNFTプラットフォームビジネスを運営しています。さらに、同社は日本にオフィスを設立し、Web3領域での影響力をさらに拡大しています。国際的な存在と専門知識を活用することで、LINE NEXTはWeb3テクノロジーの普及を図り、デジタル領域でのイノベーションを推進することを目指しています。

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担当:松嶋

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