今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインはアルトコイン物色が広がる中でドミナンスの急落とともにBTC=573万円(40,500ドル)付近まで急落した。しかし、FOMCがハト派的な内容になったことを受けて米国株とともにBTC=608万円(43,000ドル)付近まで急上昇した。
- 来週のビットコインはFOMC後の米国金利の急低下を受けて米国株とともに強い値動きとなるか。あるいはビットコイン現物ETFの年内承認への期待が後退し上値の重い展開となるか。直近上値としてBTC=637万円(45,000ドル)、下値としてBTC=566万円(40,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC：一時は急落するもFOMCを受けて依然強い
ビットコインは、注目された11月米雇用統計が市場予想を上回る強い内容となり、市場の早期利下げ観測が後退したことを受けて上値の重い展開となった。米国司法省がバイナンスに対する監視体制を発表し、SECも同社との訴訟を継続する姿勢を示したことも嫌気された。ビットコインの価格が停滞する中、ボラティリティを求めてアルトコインを物色する動きが広がり、ミームコインを中心に一部では投機的な値動きが見られた。11日には、過熱感が意識されてか、ドミナンスの急落とともに価格もBTC=573万円(40,500ドル)付近まで急落した。その後、11月米消費者物価指数はインフレの高止まりを示唆する内容となったが、米国株が年初来高値を更新する中で底堅く推移した。12-13日に開催された年内最後のFOMCでは市場予想の通り3会合連続で金利の据え置きが発表された。またパウエルFRB議長は2024年に複数回の利下げの可能性を示し、ハト派的な内容を受けて米国株とともにBTC=608万円(43,000ドル)付近まで急上昇した。
今週のトピックス
金融市場
- 11月の米雇用統計、広く力強さ示す－市場の早期利下げ期待くじく
- 米ＣＰＩ、11月に上振れ－インフレ低下への険しい道を浮き彫りに
- ＦＯＭＣ、３会合連続で金利据え置き－24年に複数回利下げを予想
- ＥＣＢ、利下げ議論せずと総裁－コロナ購入債の保有縮小加速へ
暗号資産市場
- グーグルが仮想通貨の広告ルール更新へ
- エルサルバドルのビットコイン担保債券「ボルケーノ債」が規制認可を取得
- ドイツ銀行DWS、ギャラクシーデジタルらとユーロ建てステーブルコイン発行へ
- S&P、ステーブルコイン評価システムを発表──USDTは低スコア
- 2024年度の税制改正大綱発表、法人（発行者以外の第三者）による「期末時価評価課税」も対象外へ
来週の相場予想
BTCは米国株の勢いにのるか、ETF期待の息切れとなるか
12月最終週はクリスマス休暇や年末休暇に入るため、実質は来週が金融市場がアクティブな最後の週となる。FOMCで2024年の利下げが示唆されたことで米国金利も急低下しており、その傾向が続くことで暗号資産を含むリスクアセットの買いが強まる可能性はある。逆に米国金利が下げ渋れば上値の重い展開になることが予想される。
しかしながら、ダウ平均に続いてS&Pとナスダックも同様に史上最高値を更新することがあれば、金融市場全体でリスクオンムードが広がり、暗号資産も一層勢いを増すことは考えられるだろう。
一方、米国におけるビットコイン現物ETFの続報が見られず、年内承認に対する期待が後退しており、投資家は大きな値動きを求めてアルトコインに資金を向けている。これまでもビットコインはドミナンスが急低下するタイミングで価格も大きく下落する傾向があり、アルトコイン物色の過熱感による反動売りには警戒したい。
直近上値として2022年3月高値付近であるBTC=637万円(45,000ドル)、下値として節目であるBTC=566万円(40,000ドル)を意識する。
来週のトピックス：暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 日本、日銀金融政策決定会合（12/18-19）
- ユーロ圏、11月消費者物価指数<改定値>（12/19）
- 米国、7-9月四半期GDP（12/21）
- 日本、11月全国消費者物価指数（12/22）
- 米国、11月個人消費支出（12/22）
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