今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは米国における現物ETFへの期待によって左右される展開となった。SECが現物ETFに関する申請書類を不備として返却するも、ブラックロックが修正版を再提出し、期待は継続している。
- 来週のビットコインは現物ETFへの期待が相場を下支える展開を予想。米雇用統計と米CPIの内容次第では売りが強まることも考えられる。直近、上値としてBTC=461万円(32,000ドル)、下値としてBTC=403万円(28,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:現物ETFへの期待によって左右される展開
ビットコインはもみ合いの展開となった。米国でフィデリティも続いてビットコイン現物ETFを申請し、現物ETFへの期待から堅調に推移した。しかし、米WSJ誌によって「SECがブラックロックなどが提出したビットコイン現物ETFの申請書類を内容不十分で返却した」と報じられると、失望売りによりBTC=432万円(30,000ドル)を割り込んだ。3日には、ブラックロックが修正版の申請書類をSECに再提出したことで現物ETFへの期待が再燃し、買いの勢いが回復した。6月米ISM製造業景況指数が3年ぶりの低水準に落ち込み、米国における追加利上げ懸念が後退したことも相場を後押しした。その中で一時はBTC=446万円(31,000ドル)を上抜けたが、シンガポールで暗号資産のレンディングやステーキングを制限する方針が発表されたこともあり、上値が重くなった。米国独立記念日開けとなった5日には、中国経済指標の悪化が警戒されて株式市場が下落し、ビットコインも売り優勢となった。米FOMC議事要旨では利上げ停止に関して参加者間の意見が分かれていたことが明らかになり、年内追加利上げへの懸念が強まった。一方、ブラックロックのCEOが「ビットコインは国際的な資産である」と発言したことが話題となり、週末にかけても売り買いが交錯した。
今週のトピックス
金融市場
- 大企業製造業の景況感は7期ぶり改善、自動車が回復-日銀短観
- 米ISM製造業景況指数、3年ぶり低水準-生産や雇用など低調
- NY原油上昇、サウジとロシアが供給抑制発表-米独立記念日で薄商い
- 6月の米利上げ休止巡り、意見の相違明らかに-FOMC議事要旨
- 米ISM非製造業景況指数、6月は4カ月ぶり高水準-受注が加速
暗号資産市場
- ブラックロック、ビットコイン現物ETF上場書類を再提出
- NFT価格、ここ1週間で大幅下落-「アズキ」新コレクションが発売
- 香港の有識者、政府にステーブルコイン「HKDG」を発行するよう提言
- ブラックロックCEO、より低コストのビットコイン取引実現を望む
来週の相場予想
BTCは現物ETF期待が相場を下支える展開、米CPIに注目
今週発表されたFOMC議事要旨で参加者間の意見相違が確認され、米国における追加利上げの不透明感が強まっている。今日発表される6月米雇用統計が景気の底堅さを示し、来週発表される6月米消費者物価指数がインフレの根強さを示唆する内容となった場合は、今月FOMCでの追加利上げ観測によってリスク資産の売りが強まることは考えられる。ただし、CMEのフェドウォッチではすでに今月会合での追加利上げが大方予想されているため、FOMC前の下げは限定的と予想する。その後のパウエルFRB議長会見までは不透明ながら方向感に乏しい展開が続くだろう。
一方、米国におけるビットコイン現物ETFへの期待が引き続き相場を支えている。今回のウォールストリート・ジャーナル誌の報道のように、その期待を裏切るような動きがあった場合に急落するリスクはあるが、SECが数ある現物ETFの申請を正式に否決するまでは市場でポジティブな材料として意識され続けるだろう。SECによる審査が長引き相場が停滞した際には、これまでビットコインに集まっていた資金がボラティリティを求めてアルトコインに流れる可能性があるため、ドミナンスが下げに転じた時は注視したい。
直近、2022年5月高値付近であるBTC=461万円(32,000ドル)、下値として今年6月以降のレンジ半ば付近であるBTC=403万円(28,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、6月消費者物価指数(7/12)
企業決算
- 米国、ブラックロック【BLK】(7/14)
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