許可型(Permissioned)という用語は、主にブロックチェーンの文脈で使われます。ブロックチェーン技術には大きく分けて「許可型」と「許可不要型」の二つのタイプがあります。これらは、ネットワークへのアクセス権限や参加の制御の仕方によって区別されます。
まず、ブロックチェーンとは、分散型データベースの一種で、取引記録などのデータをブロックと呼ばれる単位でチェーンのように連なる形で保存する技術です。これにより、データの改ざんが非常に困難になり、セキュリティが高いとされています。
「許可不要型(Permissionless)」ブロックチェーンは、誰でも自由に参加し、取引の検証や新しいブロックの生成(マイニング)に関わることができるオープンなシステムです。ビットコインやイーサリアムなどの公開されている暗号資産(仮想通貨)がこのタイプに当たります。これに対して、「許可型(Permissioned)」ブロックチェーンは、ネットワークへの参加にあらかじめ許可が必要であり、特定の組織やメンバーのみが取引の検証やブロックの生成を行うことができます。
許可型ブロックチェーンの特徴は以下の通りです。
- プライバシーとセキュリティ:
許可型ブロックチェーンでは、参加者が限定されているため、プライバシーが保たれやすく、外部からの不正アクセスのリスクを低減できます。企業間での取引記録など、機密性が求められる情報を扱う場合に適しています。 - 効率性:
全ての参加者が信頼できると見なされるため、取引の検証プロセスが簡略化され、高速で効率的な処理が可能になります。これにより、大量の取引を扱う金融機関などに適しています。 - 管理と制御:
許可型ブロックチェーンは、運営主体が明確であり、ネットワークのルールや参加者の管理を行うことができます。これにより、規制や法律に準拠した運用が求められる業界での利用が考えられます。
許可型ブロックチェーンの応用例としては、金融機関が内部で利用する決済システム、企業間での供給チェーン管理、医療情報の共有などがあります。これらの分野では、信頼性やプライバシーの確保が非常に重要であり、許可型ブロックチェーンがそのニーズに応える形で採用されています。
一方で、許可型ブロックチェーンは、その閉じた性質から、許可不要型に比べて分散化の度合いが低いとも指摘されます。これは、中央集権的な管理が存在するため、ブロックチェーン本来の哲学である「完全なる分散化」からは離れているという見方です。
許可型ブロックチェーンは、特定の環境やニーズに適した形でブロックチェーン技術を活用することを可能にします。しかし、どのタイプのブロックチェーンを採用するかは、その目的や要件に応じて慎重に選択する必要があります。