メタバースの今後の将来とは?課題や問題点も解説

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メタバース 将来性

仮想空間で人々が交流し、経済活動を行う「メタバース」。Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが提唱して以来、大きな注目を集めているこの技術は、私たちの生活や働き方を大きく変える可能性を秘めています。

しかし、プライバシーの問題やデジタルデバイドなど、解決すべき課題も山積しています。

本記事では、メタバースの現状と将来性を紐解きながら、その実用化に向けた問題点や課題について詳しく解説していきます。

メタバースとは?

メタバースとは、超越を意味する「Meta」と宇宙を意味する「Universe」を組み合わせてできた造語で、インターネット上の仮想空間を指します。確立した定義はありませんが、総務省では「ユーザー間で『コミュニケーション』が可能な、インターネット等のネットワークを通じてアクセスできる、仮想的なデジタル空間」としています。

メタバースでは、ユーザーそれぞれが自分の化身となる「アバター」を作成し、バーチャル空間を楽しむのが特徴です。ユーザーは、アバターの顔や髪形、服装などを自由に選択し、好きなようにアイデンティティを表現できます。

現実世界の自分に近い状態でコミュニケーションや社会活動ができるため、本当に体験しているかのような経験ができたり、物理的な制約を感じることなく世界中とつながれたりするのがメリットです。

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メタバースとブロックチェーンはセットの技術ではない

Web3で多く語られる文脈では、メタバース内の経済圏の確立にブロックチェーン技術を用いることが前提とされています。

ですが、サービス提供者が明確なメタバースであれば、あえてブロックチェーンを用いる必要はありません。たとえば、方法としてメタバース内通貨をプリペイド式で提供することや、はじめから現実通貨とリンクした決済機能を搭載しないことも想定できます。メタバースが浸透する際に、ブロックチェーンを全く用いないものが覇権を握る可能性も留意するべきです。

総務省資料でも「メタバースとブロックチェーン技術を利用したWeb3が当然のセットとして語られることが多いが、これらは独立したものであり、抱き合わせで語ることには慎重にならなければならない。」と述べられています。

引用:総務省「『Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会』中間とりまとめ(これまでの議論の整理)」P.37

今後のメタバースの市場規模予測

一般ユーザーだけでなくビジネスの場面でも利用されるなど、メタバースの勢いは加速傾向にあります。しかし、お世辞にも普及しているとは言えません。そのためメタバースの今後に不安を抱く方もいるでしょう。ここでは、今後のメタバースの市場規模予測について解説します。

下の図表は、世界のメタバース市場規模の推移と予測をまとめたものです。このように、世界のメタバース市場規模は、2024年の744億ドルから2030年には5,078億ドルに達すると予測されています。また、内訳をみると、eコマースやゲームの占める割合が多いことから、今後はさらに消費者向けのサービスが発展してくると予想できます。

引用:総務省「令和6年版 情報通信白書|メタバース

以下は、日本のメタバース市場規模の推移と予測を示した図表です。2022年は1,377億円でしたが、2027年の予測ではおよそ2兆円にまで規模が拡大すると考えられています。日本においてもメタバースは今後ますます活用され、盛んに経済活動がおこなわれていくでしょう。

引用:総務省「令和6年版 情報通信白書|メタバース

メタバースの将来性

2025年1月時点、企業のメタバース利用が少しずつ広まっているものの、まだまだほとんどが一般ユーザー向けのサービスとして提供されている状況です。

ここでは、メタバースの将来性について論点になると考えられるトピックスを紹介します。

プラットフォーマーの動向

メタバースを構築・利用するための基盤となるものをプラットフォームと呼び、プラットフォーマーはプラットフォームを提供する業者のことです。

通常プラットフォーマーは、ワールドと呼ばれるメタバース内で運用できる個々のフィールドを構築する際に、ターゲットユーザーに合うプラットフォームを選択します。そのため、異なるプラットフォームに作られたワールド間には互換性や相互接続性が存在せず、ユーザーにとっては不便です。そこで複数のプラットフォームを連携しようとする動きが始まっています。

また、メタバース内でのデータの取り扱いについては、プラットフォーマーによって定められた規約に依存している状況です。これを打破するためにも、規約の明確化やワールド提供事業者としてユーザーや関係者にきちんと説明の機会を設けることが求められています。

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社会実装への検討

メタバースは、私たちの社会に革新的な可能性をもたらす技術として注目を集めています。現実世界では実現が困難な実験や訓練、さらには危険を伴う作業の安全な再現が可能となり、教育や産業分野における新たな地平を切り開こうとしています。

物理的な制約から解放された仮想空間では、現実では実現できない体験を提供できるだけでなく、年齢や障害の有無に関係なく、誰もが平等に参加できる社会参画の機会を創出します。この特性は、多様性とインクルージョンの観点からも、大きな可能性を秘めています。

一方で、本格的な社会実装に向けては、慎重な検討も必要です。ユーザー数の増加に伴い、デジタルハラスメントやプライバシーの侵害、個人情報の保護など、新たな形のコミュニケーション課題が予想されます。これらの問題に対する適切な規制やガイドラインの整備、技術的対策の確立が、健全なメタバース社会の構築には不可欠となるでしょう。

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国際基準化の動向

データ圧縮技術について、メタバースにおける相互互換性の確保を想定して、セキュリティや有線回線でのコンテンツ伝送、デジタルメディアの符号化と配信などの検討がおこなわれています。また、日本発の3Dアバターの標準規格であるVRMフォーマットを推進するVRMコンソーシアムが、Metaverse Standards Forumというメタバース標準化を推進する協力組織に参加するなど、日本の国際標準化への姿勢は非常に前向きです。

このように、プラットフォーム間の相互接続性の確保やデータ圧縮、3Dデータの規格などについて我が国では積極的な取り組みを進めています。そのなかで今後どのように標準化を推進していくかが議論の鍵になりそうです。

メタバースにおけるセキュリティの確保

メタバースのシステムやアプリケーションは、これまでのゲームプラットフォームやWebサービスと同じものを使っているため、新規にメタバース専用のセキュリティ対策をおこなう必要はないとされています。

とはいえ、視界やVR機器などへの攻撃やユーザーへの不正行為が発生する可能性も考えられます。これらの危険性に対して、制度を作るなどの対応やその実効性を確保する手段を検討していかなくてはなりません。

メタバースが抱える課題や問題点

メタバースの勢いは年々加速していますが、まだまだ課題や問題点は残っている状況です。

  • 現実世界への影響
  • 仮想空間内におけるアバターの扱いと倫理的問題
  • メタバース上のアイデンティティ
  • ユーザーと事業者等とのプライバシーやデータ開示に関する問題関係
  • ユーザーへの負荷

この章では、メタバースが抱える課題や問題点について解説します。

現実世界への影響

メタバース空間は現実世界との関連が非常に深いため、仮想空間で起こったことが現実世界に影響を与える可能性があることを念頭に置く必要があります。

現在でも、SNSやゲーム上でのトラブルが現実世界でも反映しうるため、より没入感の強いメタバースでは、影響が大きいと考えられるでしょう、

また、メタバースで教育やビジネスをおこなう場合、効果を観察するために仮想空間内のアバターだけでなく現実世界での反応を観察したいというニーズが出てくるかもしれません。そのいっぽうで、現実世界とメタバースでアイデンティティを使い分けているユーザーが多いという事実もあり、メタバース上でのアイデンティティと、現実世界のアイデンティティのギャップを周囲に周知してしまうことになるため、教育現場でのトラブルに発展しうるでしょう。

メタバース上での現実世界のデータの取得については、どこまで許容されるのか慎重に判断していかなくてはなりません。

仮想空間内におけるアバターの扱いと倫理的問題

現在、メタバース内のアバターを操る人が存在するかどうか、今参加しているのかどうかが容易にわからない時代が来ています。アバターへのコミュニケーションや接触が、操る人が存在していなければ問題とならないこともあります。

しかし、実在の人物がそのアバターを操作している場合、同じ行為が不適切とされることがあります。これは、現実の人間関係におけるプライバシーや尊厳の問題に類似しています。

メタバース上での倫理的基準や規範を確立し、参加者全員が安心して利用できる環境を整える必要があるでしょう。

メタバース上のアイデンティティ

メタバース内ではアバターに自己を投影する者もいれば、現実世界の自分と切り離したアバターを作成する者もいます。後者のように仮想空間で新たなアイデンティティを想像し、それが特定のユーザーの象徴になる場合、現実世界のユーザーだけでなくメタバース内のアイデンティティも法的保護を受けるべきとの声が上がっています。

アバターを利用するユーザーのアイデンティティやプライバシー保護について検討する際には、現実世界のユーザーとメタバース内のアバターを同一のものとして捉えるべきかどうかを考えなければいけません。なお、現実世界の自分をどの程度アバターに投影しているかはそれぞれであるため、第三者からは判断しづらいという側面があります。

また、他者がある特定の人物の氏名や外見を利用してアバターを作成し、メタバース内で使用するといった「なりすまし」の対策も必要です。たとえば、プラットフォーマーの定める規約やID管理、第三者からの承認などのアプローチが考えられます。

ユーザーと事業者等とのプライバシーやデータ開示に関する問題関係

現在プラットフォーマーやワールド提供業者はユーザーの行動履歴など多くのデータを取得しています。そのため、ユーザー情報の把握がどの程度許容されるのか、また、データ開示に関する対応の在り方についても一考の余地がありそうです。

とくにバーチャルオフィスを利用し重要なデータを取り扱う場合、事業者にくわえてビジネスユーザーである企業とエンドユーザーの従業員との関係にも注意を払わなくてはいけません。ユーザーと事業者間で起こりうる問題には臨機応変に対応していく必要があります。

ユーザーへの負荷

メタバースの関連機器を使用する際のユーザーへの負荷が危惧されています。具体例として挙げられるのは、HMDの重量や長時間利用、デバイスを揃えるためにある程度の金額を要することなどの身体的・金銭的な負担です。

このようなメタバースユーザーにかかる負荷をどのように解消していくのか、問題解決につながる新技術やビジネス動向に注目が集まっています。

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まとめ

メタバースとは、インターネット上に存在する仮想空間のことです。ユーザーそれぞれがアバターと呼ばれるデジタルキャラクターを作成し、交流やゲームなどをリアルに近い形で楽しめるとして注目を集めています。娯楽としての利用も多いですが、仮想通貨を用いた経済活動や新商品イベントの開催などビジネス利用も増えており、メタバースの活用方法は無限大です。

また、メタバースはさまざまな技術を活用して構築されています。ネットワークやAIなどの関連技術が進歩することで今以上にリアリティのある空間やサービスなどが生み出され、仮想体験をより豊かなものにしてくれるでしょう。

2025年1月現在、まだまだメタバースが普及しているとは言えませんが、2030年には世界のメタバース市場規模が5,078億ドル、日本では2兆円を超えるとの見方があります。今後ますます私たちの生活に大きな影響を与えるのではないかと期待が高まるばかりです。

今後さらに急速に普及していくことが予想されるメタバース。「どんなものなのか気になる」という方は、まずは自分の興味のあるジャンルで触れてみてはいかがでしょうか?

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