耐障害性(たいしょうがいせい)とは、システムやネットワークが何らかの障害や故障に直面した際に、その影響を最小限に抑え、正常に機能し続ける能力のことを指します。この概念は、情報技術(IT)だけでなく、金融、製造業、交通システムなど、多くの分野で重要視されています。
耐障害性の高いシステムは、単一障害点(Single Point of Failure: SPOF)を持たないように設計されています。単一障害点とは、その部分が故障するとシステム全体が停止してしまうような箇所のことです。例えば、コンピューターネットワークにおいては、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器が単一障害点になり得ます。これを避けるために、冗長性を持たせることが一般的です。
冗長性(じょうちょうせい)とは、システムの部品や機能が重複している状態を指し、何らかの障害が発生した際に、代替の部品や機能が自動的に作動してシステムの稼働を維持することを可能にします。例えば、データセンターでは、サーバーやストレージの冗長構成を取ることで、一つの機器に障害が発生しても他の機器がその役割を引き継ぎ、サービスの継続が可能になります。
耐障害性は、分散型システムにおいて特に重要な要素です。分散型システムとは、複数のコンピューターがネットワークを介して連携し、一つのシステムとして機能するものです。ブロックチェーン技術もこの分散型システムの一例であり、世界中の多数のコンピューター(ノード)が参加することで、耐障害性を高めています。
ブロックチェーンは、取引記録をブロックと呼ばれる単位でチェーンのように連結して保管する技術です。各ブロックには、多数の取引情報が含まれ、それぞれが暗号技術によって保護されています。ブロックチェーンの耐障害性は、ネットワークに参加している全てのノードが取引のコピーを持っているため、一部のノードが停止してもシステム全体が停止することはありません。これにより、中央集権的な管理者が不在でも、データの改ざんや消失が非常に困難な、安全で信頼性の高いシステムを実現しています。
耐障害性は、暗号資産(仮想通貨)の取引プラットフォームやウェブ3.0の基盤となる分散型アプリケーション(DApps)にも不可欠です。これらのプラットフォームは、ユーザーが世界中どこからでもアクセスし、取引を行うことができるため、システムのダウンタイムを最小限に抑える必要があります。耐障害性の高いシステムは、ユーザーにとって信頼性が高く、サービスの品質を保つために重要な役割を果たします。
要約すると、耐障害性はシステムが障害に強いことを意味し、単一障害点を排除し冗長性を持たせることで実現されます。特に分散型システムにおいて重要であり、ブロックチェーンや暗号資産の取引プラットフォーム、ウェブ3.0の技術においても、そのシステムの信頼性と安定性を保つために不可欠な要素です。