プルーフ・オブ・スペース・アンド・タイム(Proof of Space and Time、PoST)は、ブロックチェーンネットワークにおけるコンセンサスメカニズムの一種です。このメカニズムは、特定の量のディスクスペースを一定期間保持することで、ネットワークのセキュリティを維持し、トランザクションを検証するために使用されます。ここでいう「スペース」とはストレージの空き容量のことで、「タイム」とは時間の経過を指します。
従来のブロックチェーンでは、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)やプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake、PoS)などのコンセンサスメカニズムがよく使われています。これらのメカニズムはそれぞれ異なるリソース(PoWは計算能力、PoSは保有通貨量)を基にネットワークの合意形成を行います。しかし、これらのメカニズムはエネルギー消費が大きい(PoW)や、富の集中を引き起こす(PoS)といった批判も受けています。
プルーフ・オブ・スペース・アンド・タイムは、これらの問題を解決するために提案された新しいメカニズムです。このメカニズムでは、参加者が自身のハードドライブの一部をネットワークに提供することで、新しいブロックの生成やトランザクションの検証に参加することができます。参加者は、自分のストレージをネットワークに貸し出すことで報酬を得ることができます。
プルーフ・オブ・スペースは、参加者がどれだけのストレージスペースを提供しているかを証明することに基づいています。参加者は、ネットワークに対して自分が提供しているストレージスペースに関する証明を提出する必要があります。これにより、ストレージスペースを多く提供している参加者ほど、新しいブロックを生成する権利を得やすくなります。
プルーフ・オブ・タイムは、ストレージスペースが実際に時間をかけて使用されていることを証明するメカニズムです。これにより、参加者が一時的に大量のストレージスペースを提供して報酬を得るといった不正行為を防ぐことができます。参加者は、一定期間ストレージスペースをネットワークに提供し続けることで、その貢献を証明します。
プルーフ・オブ・スペース・アンド・タイムを採用しているブロックチェーンの一例は、Chia(チア)です。Chiaは、エネルギー消費を大幅に削減しつつ、分散化とセキュリティを維持することを目指しています。Chiaネットワークでは、参加者が自分のハードドライブに「プロット」と呼ばれるデータの塊を生成し、これをネットワークに提供することで、ブロック生成のプロセスに参加します。
プルーフ・オブ・スペース・アンド・タイムは、エネルギー効率の良いブロックチェーンの運用を可能にするための革新的なアプローチです。しかし、このメカニズムが広く採用されるためには、ストレージスペースの過剰な集中や、新たなセキュリティリスクの発生など、さまざまな課題を克服する必要があります。それでも、プルーフ・オブ・スペース・アンド・タイムは、ブロックチェーンの持続可能性を高めるための有望な手段として注目されています。