フォーク(Fork)とは、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン、ソフトウェア開発の世界で使われる用語で、ある時点のプロジェクトやコードの状態から新しい方向性を持ったプロジェクトやコードが分岐することを指します。この概念は、一つの道が二つに分かれる「分岐点」という意味の「フォーク」という英語から来ています。
フォークは大きく二つに分けられます。「ソフトフォーク」と「ハードフォーク」です。
- ソフトフォーク
ソフトフォークは、ブロックチェーンのプロトコル(基本的なルールや規約)を、下位互換性を保ちながら更新する方法です。これは、新しいルールを導入しても、古いルールに従っているノード(ブロックチェーンネットワーク上のコンピュータ)も引き続きネットワークに参加できるようにするものです。例えば、セキュリティの強化や効率の改善などのために行われますが、全てのユーザーが新しいソフトウェアにアップデートする必要はありません。 - ハードフォーク
ハードフォークは、ソフトフォークよりも大きな変更を伴い、新旧のプロトコルが互換性を持たない状態を作り出します。これは、新しいルールに従うノードと古いルールに従うノードが完全に分離してしまうことを意味します。結果として、新しい通貨やブロックチェーンが誕生することがあります。例えば、ビットコインからビットコインキャッシュが分岐したのはハードフォークの一例です。ハードフォークが行われると、ネットワークは新しいルールを採用したノードと古いルールを維持するノードの二つに分かれ、それぞれが独立したブロックチェーンを形成します。
フォークは、コミュニティ内で意見の不一致があるときにしばしば起こります。例えば、ブロックチェーンの技術的な方向性や、ブロックのサイズ、トランザクションの処理速度などについて異なる意見がある場合、一部のグループが新しいブロックチェーンを立ち上げることで、それぞれのビジョンに沿ったシステムを作り出すことができます。
フォークが起こると、ユーザーは新しいブロックチェーンに移行するか、元のブロックチェーンに留まるかを選択する必要があります。ハードフォークの場合、新しいブロックチェーンに移行すると、新しい通貨の所有権を得ることができます。これは、分岐する前のブロックチェーン上で持っていた通貨と同じ量が新しいブロックチェーン上でも与えられるためです。
フォークは、技術的な進化やコミュニティの健全な議論を促進する一方で、分裂や混乱を引き起こす可能性もあります。また、新しいブロックチェーンがセキュリティ面で未熟である場合、リスクが伴うこともあります。したがって、フォークは慎重に計画され、コミュニティの合意を得て実施されることが望ましいです。
暗号資産やブロックチェーンの世界では、フォークは進化の一環としてしばしば起こります。それぞれのフォークが新しい技術的な可能性を開く一方で、投資家やユーザーはそれぞれのフォークの意味を理解し、どのように対応するかを慎重に考える必要があります。