デフォルトリスクとは

デフォルトリスクとは、貸し手が貸付金や与信を提供した際に、借り手が約束された期日までに利息や元本を返済できないリスクのことを指します。これは金融取引において避けられないリスクの一つであり、クレジットリスクとも呼ばれます。

金融市場において、デフォルトリスクは様々な形で存在します。例えば、企業が発行する債券に投資する場合、その企業が経営破綻などにより債務不履行（デフォルト）に陥ると、投資家は投資した本金を回収できない可能性があります。また、銀行が顧客に融資を行う場合も、顧客がローンを返済できないリスクが存在します。

デフォルトリスクは、借り手の信用度によって異なります。信用度が高い借り手は低いデフォルトリスクを持ち、そのために低い利息で資金を借りることができます。逆に、信用度が低い借り手は高いデフォルトリスクを持ち、高い利息でしか資金を借りることができません。この信用度は、クレジットスコアやレーティングといった指標で評価されることが一般的です。

デフォルトリスクを管理するために、金融機関や投資家は様々な手法を用います。例えば、リスクプレミアムを設定して高リスクの貸出には高い利息を要求する、担保や保証を求める、信用情報を基にした厳格な審査を行う、または信用デリバティブなどの金融商品を利用してリスクを転嫁するなどの方法があります。

デフォルトリスクは、経済全体にも影響を及ぼすことがあります。多くの企業や個人がデフォルトすると、金融機関の貸し倒れが増加し、金融システムに大きな負担をかけることになります。これが連鎖反応を引き起こし、金融危機に至ることもあります。2008年のサブプライムモーゲージ危機は、デフォルトリスクが顕在化し、世界的な金融危機を引き起こした例です。

暗号資産（仮想通貨）やブロックチェーン、Web3の世界においても、デフォルトリスクは重要な概念です。特に、分散型金融（DeFi）では、スマートコントラクトを介して融資や借入が行われますが、これらの取引においても借り手が返済不能になるリスクは存在します。ただし、デフォルトリスクの管理方法は伝統的な金融システムとは異なり、しばしば過剰担保や自動化された流動性プールなどのメカニズムが用いられます。

デフォルトリスクを正しく理解し、適切に管理することは、安定した金融システムを維持し、投資家や貸し手の資産を守る上で非常に重要です。金融機関や投資家は、リスク評価や管理手法を常に更新し、新しい市場環境や技術の進展に適応していく必要があります。