#54:暗号資産ETFの承認申請を整理する

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Ubisoftがブロックチェーンゲーム参入、拡大するOasysエコシステム

コメント:宮本

6月28日に開催された「IVS Crypto 2023」にて、大手ゲーム会社のUbisoftがブロックチェーンゲームに参入することが発表されました。
今回ブロックチェーンゲームとして発表されたタイトルは「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」で、PC向けのPvP型戦術RPGであることが公式サイトにて説明されています。また、Oasysをブロックチェーンとして採用することが明らかになっています。リリース時期については未定となっており、最新情報を得る手段としてメールアドレス入力フォームや公式Discordサーバーなどが用意されています。
Ubisoftは、フランスに本社を置く大手ゲームパブリッシャーです。「アサシンクリード」シリーズや「レインボーシックス」シリーズなど、カジュアルなタイトルから競技性の高いタイトルまで幅広く展開しています。2022年度通期における売上高では、約18億1,430万ユーロを記録しています。
Oasysは、ゲーム特化型のサイドチェーンと呼ばれるタイプのブロックチェーンです。ユーザーが支払うガス代を運営側が肩代わりする機能を持っていたり、TPS(Transaction Per Second:1秒間あたりトランザクション処理数)がEthereumと比較して速いことなどが特徴的です。
これまでは国内ゲーム会社の参入に限定されている印象のあったOasysエコシステムですが、海外の大手ゲーム会社であるUbisoftが参入してきたことによってよりグローバルな方向に拡大したといえそうです。また、6月23日にはNTTドコモの子会社である「新領域企画準備株式会社」がOasysのバリデーターとして参画したとの報道もありました。これにより、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの通信キャリア大手3グループがOasysエコシステムに参画したことになります。
Oasysの競合としては、Ethereumなどの既存ブロックチェーンが挙げられます。特にEthereumについてはアップデートによって新機能の追加や改善を繰り返していること、流動性が高いこと、すでに多くのプロジェクトが存在することなどから、かなり有力な競合となりそうです。
また、Oasysの特徴であるユーザーが支払うガス代を運営側が肩代わりする機能についてはAccount Abstractionという新機能にてすでに実現可能となっていたり、TPSについては次期大型アップデート「The Surge」にてレイヤー2に限定されるものの改善予定であるなど、今後の見通しが明確であることもEthereumの強みとなっています。
Ubisoftという海外大手ゲーム会社のブロックチェーンゲーム参入はOasysにとってポジティブな変化ですが、拡大していくOasysエコシステムが持続可能なものであるのか、Ethereumに対抗可能なものであるのかについては今後見極めていく必要性がありそうです。

暗号資産ETFの承認申請を整理する

コメント:中坪

6月15日、世界最大の資産運用会社であるBlackrockが米証券取引委員会(SEC)にビットコインの現物ETFの承認申請を行い話題になりました。暗号資産関連企業の多くがSECから追求されている中、暗号資産への関心を高めている伝統的金融業界からの次の一手が撃たれた形です。
このニュースは単にいち資産運用会社の暗号資産ETF承認申請というだけには終わりませんでした。ETFに特化した運用会社として有名なWisdomTree、S&P500の採用銘柄でもある独立系運用会社Invesco、そしてBlackrockやVanguardなどに並ぶ世界最大規模の投信運用・販売会社のFidelityも続け様にSECヘビットコイン現物ETFの承認申請を提出したのです。それだけではありません。世界最大級の銀行グループであるイギリスのHSBCの傘下、香港上海銀行が同行プラットフォーム上で、昨年から香港証券取引所に上場されているビットコインとイーサリアムによる先物ETFに顧客が投資できるようにしたことがわかったのです。
なぜこのような動きが広がっているのでしょうか?今回は最近の暗号資産ETFの承認申請が相次いでいる現状を整理していきたいと思います。
そもそも、ビットコインによる現物ETFの承認申請が行われたのは今回が初めてというわけではありません。例えば先述のWisdomTreeとFidelityは21年の3月にも同じ承認申請をSECに提出していますが却下されています。その他の会社についてもこれまで現物ETFについては承認されたことはなく鬼門となっていました。暗号資産に対するSECの姿勢が厳しくなるこのタイミングでのBlackrockの動きは一見不可解なように思えます。
しかし、SECがビットコインに関しては証券性がなく完全に分散していると認める姿勢を示していること、そして昨年からの暗号資産市場の冬相場によって暗号資産関連企業の立場が弱まっていることを考えると、意外にも悪手ではないのかもしれません。SECに横槍を入れられる可能性がある他の暗号資産ではなく、ビットコインに限定することで承認される可能性は高くなるでしょう。また、この冬相場によりビットコインでさえも流動性が低下している今、Blackrockほどの著名な資産運用会社がビットコインによる投資商品を提供すれば間違いなく注目が集まるでしょうし、これまで暗号資産投資を控えてきた層からの資金も流れ、流動性の上昇に寄与することが想像できます。これをきっかけに相場が好転すればBlackrockとしても高い利益を期待できます。
もう一つ考えられる理由として示唆されているのが、SECが前向きな姿勢を持っているという情報をBlackrockが持っているのではないかというものです。今回の申請がBlackrockにとっては初であること、後に続いて次々と別の投資信託会社が申請を行ったことを考えると、Blackrockには何らかの打算があり申請に踏み切ったのではないか、それを察知してライバル企業も承認申請をしたのではないかという仮説が成り立ちます。先月23日、米Volatility Sharesが申請したレバレッジビットコイン先物ETF「BITX」がSECに承認されたことも関係している可能性があります。
真相は分かりませんが、仮に現物ETFが承認された場合に暗号資産市場に与える影響は大きなものとなるでしょう。より投資家の層が広がることも期待できます。今年はSECが暗号資産業界の台風の目となっていますが、本件に対してもどう対応するのか注目です。​​​​​​​

注目の資金調達

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Celestial AI
  • 調達額: $100.00M
  • ラウンド: Series B
  • 投資家: IAG Capital Partnersなど
  • カテゴリー: Others

Celestial AIは、コンピュートとメモリシステム向けに設計された最先端の光インターコネクト技術プラットフォームであるPhotonic Fabricを開発しました。この革新的なプラットフォームは、光スケーラブルで非統合化されたデータセンターのコンピュートとメモリの基盤となり、人工知能(AI)の大幅な進歩を促進しながら、持続可能で利益を生むビジネスモデルを推進します。 Celestial AIが開発したPhotonic Fabric技術プラットフォームは、10年以上も前の既存の技術提供に比べて、比類のない光接続性能を提供します。この先進のプラットフォームを活用することで、組織はAIの運用においてデータ転送速度を向上させ、効率を改善することができます。 Photonic Fabricを用いることで、Celestial AIはデータセンターの運用方法を革新し、AIアプリケーションの増大する要求に追いつくことが可能となります。コンピュートとメモリに対してスケーラブルで非統合化されたアプローチを提供することで、この技術は企業にAIの全ての可能性を引き出す力を与え、長期的な収益性と持続可能性を確保します。Celestial AIのPhotonic Fabricは、AIの大幅な進歩を推進し、データセンターテクノロジーの未来を形作ることになるでしょう。

Mythical Games
  • 調達額: $37.00M
  • ラウンド: Series C
  • 投資家: Scytale Venturesなど
  • カテゴリー: Web3

Mythical Gamesは、ブロックチェーンとゲームを組み合わせた最先端のゲームテクノロジースタジオです。彼らの主な目標は、ゲーム体験を通じて分散型台帳技術の普及を促進する一流の製品を開発することです。彼らの高く評価されているゲームには、NFL RivalsとBlankos Block Partyがあり、2022年9月にEpic Games Storeでリリースされました。

OneDegree
  • 調達額: $27.00M
  • ラウンド: Extended Series B
  • 投資家: Gobi Partnersなど
  • カテゴリー: Others

ワンディグリーは2016年に設立され、保険業界の技術革新を推進し、保険の利用可能性を向上させることを目指しています。香港、台北、深セン、シンガポールに拠点を持ち、子会社のワンディグリー香港は2020年4月に香港保険庁から仮想保険業者のライセンスを取得しました。同社はペット、eコマース、住宅、重大疾病、デジタル資産など、個人や企業向けの多様なデジタル保険商品に特化しています。もう一つの子会社であるワンディグリーグローバルは、業界で高い評価を受けている最先端の保険技術ソリューションを提供しています。これらのソリューションはアジアの主要な保険会社によって採用され、デジタル変革を加速させるために活用されています。

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マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Network Value to TransactionRatio

 

概要

Percent of Supply Held by Top 1% Addressesは、そのチェーン上のアドレスを資産が大きい順に並び替えて、その中で上位1%のアドレスが総供給に占める割合と定義されます。
この指標が高くなった場合、そのチェーンの富は一部の人に集中していると判断され、逆に低くなった場合、富が全体に分散していると判断されます。

上の図はイーサリアムの上位1%アドレスが保有する供給量の割合です。これを見ると、この指標は、2015年から2017年にかけて急激に上昇していることが分かります。見方を変えれば、この時期に参入した人によって現在の供給量の大半が保有されていることが推測できます。また直近の2022年11月に大幅に上昇している部分があります。これはFTX事件による大幅な下落に対し大口が買いを入れた可能性を示しています。この指標は2022年の下落相場において上昇傾向にあり、一般投資家が撤退する一方で、大口保有者は底付近で買い集めていたと考えられます。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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