#52:Uniswapの新プロトコル「Uniswap v4」が公開

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Uniswapの新プロトコル「Uniswap v4」が公開

コメント:宮本

大手分散型取引所(DEX)であるUniswapが6月13日、新しいプロトコルバージョンである「Uniswap v4」のドラフトコードおよびホワイトペーパーを公開しました。

Uniswapはコントラクトを用いたAMM型(自動マーケットメイカー方式)のDEXです。2つのトークンの組み合わせによる流動性プールをコントラクトで管理することによって、第三者を介さずにトークンのスワップ(交換)などの取引を可能にしています。プロトコルは定期的にアップデートされており、これまでにv1、v2、v3という3つのバージョンが公開されています。

今回公開されたUniswap v4のホワイトペーパーでは、主に「Hooks」「Singleton」「Flash Accounting」の3つが新機能として取り上げられています。

Hooksは、プールのパラメータを変更したり、新しい機能の追加を実行できるコントラクトのことです。v4でHooksが実装されることによって、TWAMM(後述)の実装や、指値注文の実行、ボラティリティに連動する動的な手数料などの新機能をプールに実装することが可能になります。TWAMMはtime-weighted average market makerの略で、長期にわたって注文を分割して実行する方式を指しています。従来のAMMは、大口取引を実行する場合に多額のコストが発生するという設計上の問題がありました。TWAMMが導入されることで、従来よりもコストを抑える形で大口取引を実行できるようになります。

Singletonは、単一のコントラクトで複数のプールを展開することを可能にする新しい設計パターンのことです。v3などの以前のバージョンでは1つのプールごとにコントラクトを作成する必要がありましたが、v4では複数のプールを1つのコントラクトで展開できるようになりました。これにより、プール作成にかかるコストが99%削減されることが想定されています。

Flash Accountingは、新しいトークンの移管システムのことです。Uniswapでは、スワップを行う際に多数の異なるプールを介するルーティングと呼ばれる取引が行われることがあります。v3ではこのルーティングの際にプール外にトークンが持ち出されていたため、余分なガス代が発生していました。Flash Accountingは、ルーティングを行う際にプール外にトークンを持ち出さないことでガス代の削減を図るシステムとなっています。Flash Accountingの実装には、Ethereumの次期大型アップデート「Dencun」で実装が予定されているEIP-1153という一時ストレージ規格を用いることが検討されているようです。

また、コアプロトコルにおいてネイティブETHのサポートが復活することもv4の大きな特徴です。ネイティブETHはv1ではサポートされていましたが、v2やv3ではWETHというETHをERC-20にラップしたトークンのみのサポートに留まっていました。これは、WETHとETHのペア間の流動性が損なわれることに対する懸念や、実装が複雑であることに起因するものです。v4では新たに実装されるSingletonやFlash Accountingによってこれらの問題を軽減することができるため、ネイティブETHのサポートを復活させても問題ないという判断に至ったようです。ラップ/アンラップするためのコストが削減されることで、ETHのスワップを行うユーザーや流動性プロバイダーが支払わなければならないガス代が削減されることが想定されています。

Uniswap v4は、コストの削減とプール機能の柔軟性の強化を図ったアップデートであるといえるでしょう。ドラフトコードはオープンソース化されており、今後数ヶ月間にわたる監査やテストが行われた後にリリースされる予定となっています。

ステーキングで成長するイーサリアムエコシステム

コメント:中坪

この一年間でイーサリアムは二度の大規模アップデートを行いました。まず1つ目が、昨年9月の「The Merge」。もう1つが今年4月に行われた「The Shanghai and Chapella」です。特に後者ではこれまでロックされていたステーキングした暗号資産の引き出しが可能となり、ますます低リスクでステーキングの恩恵を受けられるようになりました。その影響もあって今月に入ってからは、最初の10日間だけで100万ETH(直近のレートで約2300億円)以上が新規でステーキングされており、これは先月に月間流入額で最高を記録した約300万ETHを上回る勢いです。今人気のステーキングですが、そのやり方にも大きく4種類があります。今回はMessariのレポートを参考にこの4つの方法を比べてみます。

まず1つ目はLiquid Staking Protocolsの利用です。この方法の最大の特徴は、ステーキングした資産の代わりにLiquid staking Token(LST)を受け取ることができる点にあります。このトークンを使って別の取引や投資を行うことができるため、資金を預けても流動性を確保することができ、また資産効率を高めることができます。最低投資額がないこと、高い専門知識を必要としないこと、手数料が低いことも魅力です。これらの利点からステーキング全体の37%を占めています。

次はCEXを利用するというものです。アクセシビリティは高いですが、手数料もそれに伴って高いものとなっています。また法規制面での情勢が現在急激に悪化しており、このステーキングサービスは米国において証券性の指摘がされているため、一部の地域では提供することが難しくなるリスクがあります。

3つ目はStaking Poolです。これは複数のユーザーが資金を集めて共同でステーキングする仕組みです。Liquid Staking ProtocolとCEXの中間に位置付けられるものですが、特徴としてはホワイトラベル製品のサービスプロバイダーへの提供や機関投資家向けのステーキングなど独自のサービスを展開しているところにあります。一方で今後の成長は企業や機関の需要に依る部分が大きいため、クリプトの冬と呼ばれる現在の市場環境では成長幅はかなり制約を受けていると言えそうです。

最後は直接ステーキングするというやり方です。すなわち、自分でPoSのステーキングシステムに参加するということなのですが、これには相当の専門知識、資本、そしてコミットメントを必要とするため一般ユーザーには容易く手が出せる手段ではありません。ステーキング報酬を総取りできるメリットはあるものの、ステーキング中の流動性が失われてしまうこともデメリットです。一方で、イーサリアム全体の分散性を高めるためには参加者を増やすことも重要であり、現在参入のハードルを下げる試みが進められています。

今後のイーサリアムエコシステム成長の鍵を握るステーキング。各サービスのさらなる進化、そして新しい形のステーキングサービスの登場にも目が離せません。

注目の資金調達

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Gensyn
  • 調達額: $43.00M
  • ラウンド: Series A
  • 投資家: Andreessen Horowitz(a16z)など
  • カテゴリー: Infrastructure

Gensynは、世界中のコンピュータを統合してグローバルな機械学習スーパークラスターを作成することを目的とした機械学習コンピュートプロトコルです。このプロトコルにより、開発者は小規模なデータセンターやパーソナルゲームコンピューターなどの接続されたハードウェア上でAIシステムを構築し、必要に応じて支払うことができます。Gensynは、中間業者を必要とせずに、プロトコル上で共有された機械学習作業が正しく完了したことをユーザーが確認できる暗号化検証ネットワークを使用しています。このプロトコルは、場所やコンピューティングリソースのサイズに関係なく、誰でもいつでも機械学習を利用できるように設計されています。機械学習へのアクセスを民主化することで、Gensynは、様々な産業において革新的な機会を開拓し、AIシステムの開発を加速する可能性があります。

Bit2Me
  • 調達額: $15.00M
  • ラウンド: Undisclosed
  • 投資家: Investcorpなど
  • カテゴリー: CeFi

Bit2Meはスペインに拠点を置く仮想通貨取引プラットフォームであり、ユーザーは仮想通貨や伝統的な通貨を購入、売却、送信、受信、保管することができます。Bit2MeはBitcoin、Ethereum、Cardano、Solanaなど200以上の仮想通貨をサポートしています。また、Bit2Me Card、Bit2Me Wallet、Bit2Me Earn、Bit2Me Web3MBA、Bit2Me Newsなどの他の製品やサービスも提供しています。

Maverick Protocol
  • 調達額: $9.00M
  • ラウンド: Undisclosed
  • 投資家: Founders Fundなど
  • カテゴリー: DeFi

Maverick Protocolは、分散型金融を革新するために設計された最先端のインフラストラクチャです。主な目的は、トレーダー、流動性提供者、DAOトレジャリー、および開発者に対応する高度な流動性市場を作成することです。プラットフォームは革新的な自動市場メーカー(AMM)によって駆動されており、シームレスな取引と流動性提供を可能にします。AMMは、従来の市場メーカー手法に比べてより効率的で費用対効果に優れた代替手段を提供するように設計されており、ユーザーが市場に参加しやすくなっています。プラットフォームは分散型アーキテクチャに構築されており、セキュリティ、透明性、検閲耐性が確保されています。Maverick Protocolを使用することで、ユーザーは幅広い市場や資産にアクセスし、よりシームレスで効率的な取引体験を楽しむことができます。このプラットフォームは、世界中のユーザーに新しいレベルの流動性とアクセシビリティを提供し、分散型金融の世界を変革することが期待されています。

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マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Bridges TVL

概要

指標の説明に入る前に、「ブリッジ」と「TVL(Total Value Locked)」について簡単に説明します。ブリッジとは、あるブロックチェーン上の暗号資産を別のブロックチェーンに移動させること、もしくはその機能を提供するプロトコルを意味します。またTVLとは、ブリッジを含むDeFiプロトコルに預け入れられた資産の合計金額を表します。

BridgesTVL(以下、BTVL)とは、ブリッジを利用する際に、イーサリアム側のスマートコントラクトアカウントにロックされる資産価値の合計をUSD換算したものです。ロックされたトークンは、イーサリアム側では利用できませんが、ブリッジ先のチェーンでは利用できます。

BTVLの増加は、資産がイーサリアムから他のブロックチェーンに流出していることを意味し、BTVLの減少は、資産がイーサリアムに流入していることを意味します。注意してほしいのは、ここで紹介されたブリッジ先はL1、L2のブロックチェーンの両方を含んでいることです。

上の図を見ると、2021年の暗号資産市場の大幅な盛り上がりの後半にBTVLが大幅に増加していることがわかります。これは、DeFiプロトコルのマルチチェーン対応あるいはL2対応が進む過程で、イーサリアム側から他のブロックチェーンへ資産が流出していったためと考えられます。テラショックが起きた2022年5月以降、BTVLは右肩下がりとなり、現在では徐々にイーサリアムに資産が戻りつつあります。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

ブリッジ先のBTVLを総TVLで割ることで、ブリッジごとのBTVLを相対値(Relative)として示すこともできます。これを見ると、2021年8月頃にAvalancheが台頭してシェアを奪ったものの、現在にかけてはPolygonとArbitrum、次いでOptimismといった主要なL2が大きなシェアを誇っている。

 

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