今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは売りが継続し、米SEC規制によりアルトコインが大きく下落する中、ドミナンスが約50%付近まで上昇した。米FOMCでは利上げ停止が決定されたが、年内の追加利上げの可能性が示唆されたことでBTC=352万円(25,000ドル)付近まで急落した。
- 来週のビットコインはFOMCを受けて年内の追加利上げの懸念が残るも底堅い推移を予想。米国の暗号資産規制リスクによるアルトコイン売りも一服か。直近、上値としてBTC=359万円(25,500ドル)、下値としてBTC=338万円(24,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:米FOMCでは年内追加利上げの可能性が示唆されて下落
ビットコインは米国の暗号資産規制リスクへの懸念によって売りが継続した。米SECによる証券性の指摘を受けてロビンフッドが主要銘柄の一部上場廃止を発表し、アルトコインが軒並み大きく下落した。その中、アルトコインからビットコインへ逃避する動きが強まり、ビットコインのドミナンスはおよそ1年ぶりに約50%付近まで上昇した。米5月消費者物価指数(CPI)およびFOMCの前には様子見ムードが広がり、BTC=367万円(26,000ドル)付近でもみ合いの展開となった。その後、米5月CPIでは前月比で伸びが大きく鈍化し、続くFOMCでは予想通り利上げ停止が決定された。しかし、FOMC参加者の大半がインフレ抑制のために追加利上げが必要との考えで一致していることが明らかになり、パウエルFRB議長が利上げ再開の可能性に言及したことでBTC=352万円(25,000ドル)付近まで急落した。米国ではSECとコインベースおよびバイナンスの間で規制対応を巡る協議が続いた。
今週のトピックス
金融市場
- 米消費者物価指数、5月は前年比で伸び鈍化-利上げ休止の余地
- FOMC金利据え置き、ほぼ全員が利上げ再開予想とパウエル議長
- ECB、0.25%利上げ 22年ぶり高水準 総裁「7月も継続の公算大」
- 日銀が大規模金融緩和の維持を決定-円が下落
暗号資産市場
- バイナンスUSが米ドル入出金を一時停止、ステーブルコイン建ての取引サービスに注力へ
- 米ロビンフッド、ソラナ・ポリゴン・エイダを上場廃止へ
- 米国の超党派ステーブルコイン草案、最新版が公開
- 米議員、SECの再編とゲンスラー委員長の解任を求める法案を提出
- 米SEC、バイナンスUSの全資産凍結を回避するために協議へ=報道
- 米SEC、コインベースの規制制定請願への回答拒否
- バイナンスUS、人員削減-高額な法廷闘争となる可能性に備え
- 米ブラックロック、ビットコインETFを申請
来週の相場予想
BTCはFOMCを受けて年内追加利上げの懸念が残るも底堅い推移を予想
注目された米FOMCでは、年内にあと2回の追加利上げを行う可能性が示され、ターミナルレート予想が引き上げられた。これを受けて市場では再び利上げに対する懸念が強まっているが、主要経済指標より雇用環境の強さとインフレの鈍化傾向が確認されているため、リスク資産の売りが急速に強まることは考えづらいだろう。米国の利下げ転換について市場が楽観視しすぎていた部分があり、今回のパウエルFRB議長の発言によって釘を刺された形である。ただし、来月のFOMCにかけては変わらず利上げ再開の思惑によって相場が左右される展開が予想される。
米国経済への懸念が後退する中で株式は堅調な値動きとなっているが、暗号資産は米国におけるSEC とコインベースおよびバイナンスの対立が収まるまでは規制リスクにより軟調な推移が続くだろう。暗号資産支持派の議員がSECの体制見直しを求める法案を提出し、政府内でも見解が分かれて不透明感が強まっている。一方、アルトコインからビットコインへの逃避が強まる中で、ビットコインのドミナンスはおよそ1年ぶりの高値を記録しており、アルトコイン売りが一服しつつある様子も伺える。そのため底を拾う動きによってビットコインは相応に底堅く推移するだろう。
直近、上値として前回支持線として見られていたBTC=359万円(25,500ドル)、下値として2023年3月高値付近であるBTC=338万円(24,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 日本、日銀金融政策決定会合議事要旨(6/21)
- 日本、5月全国消費者物価指数(6/23)
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