今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、FOMC後に米国株とともに大幅下落したが、トランプ次期大統領の暗号資産推進への根強い期待により底堅く推移した。
- 年末年始のビットコインは、機関投資家参入の影響で動意の薄い状況が続くと予想。直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,648万円(105,000ドル)、下値はBTC=1,413万円(90,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米トランプ政策への根強い期待で底堅く推移
ビットコインは、FOMC後に米国株とともに大幅下落したが、トランプ次期大統領の暗号資産推進への根強い期待により底堅く推移した。
パウエルFRB議長の会見で米国の利下げペース鈍化が示唆されたことで、米国金利が急上昇し、ビットコインは売りが強まった。米国のつなぎ予算を巡って政府閉鎖懸念が一時的に高まったことも嫌気され、BTC=1,444万円(92,000ドル)付近まで大幅下落した。
しかし、11月の米PCE物価指数が低い伸びにとどまり、金融政策に対する過度な懸念が後退する中で、ビットコインの買い戻しが強まった。マイクロストラテジー【MSTR】やメタプラネット【3350】による追加購入の発表もみられた。
その後、トランプ次期大統領が諮問委員会の新たな人事を発表し、委員長が暗号資産支持派だったことから、同氏が年明けの就任初日に暗号資産を含む大統領令を発する可能性があるとの思惑が強まった。これを受けてビットコインは急上昇したが、欧米諸国がクリスマス休暇に入る中、BTC=1,570万円(100,000ドル)付近では上値が重くなった。
今週のトピックス
金融市場
- バイデン大統領、つなぎ予算案に署名-年末の政府機関閉鎖を回避
- 米PCEコア価格指数、5月以来の低い上昇率-広範に伸び減速
- フランス新内閣、財務相に預金供託公庫トップ-赤字GDP比5%目指す
- 米消費者信頼感、予想外の低下-トランプ政策不透明で見通し曇る
暗号資産市場
- 2025年度税制改正大綱に「仮想通貨の税制見直し検討」を明記、分離課税の道筋示す
- 米大手ヘッジファンドアーク、6億円相当のコインベース株売却
- 「IMF融資契約後もビットコイン購入は継続」エルサルバドル大統領下の組織の幹部が表明
- メタプラネット、95億円でビットコイン追加購入 平均取得単価を開示
- マイクロストラテジー、7週連続でビットコイン追加購入
- 仮想通貨推進に本腰、トランプ次期大統領が主要ポストの人事を発表
- ビットコイン準備金に関する質問について、日本政府が公式回答
年末年始の相場予想
年末年始のBTC(ビットコイン)は機関投資家参入の影響で動意薄か
年末年始のビットコインはもみ合いの展開を予想する。取引参加者が減って薄商いになる中、一部の大口投資家による売買で相場が上下する可能性はある。しかし、機関投資家層の参入が進んでいる今では、個人投資家主導で価格が大きく動くことは考えづらいだろう。ETF取引も年末年始に市場が休場となるため、動意の薄い状況が続くと思われる。
前回のレポートでも述べたように、ビットコインがもみ合う状況では、投資家がより大きなボラティリティを求めてアルトコインへの関心を強める傾向にある。SNSではビットコインだけでなく個別銘柄に関するやりとりが賑わう可能性があるが、取引参加者の少ない年末年始は特に目先の情報や値動きに惑わされないように注意すべきである。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,648万円(105,000ドル)、下値はBTC=1,413万円(90,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、ISM製造業景況指数(1/3)
※ニュースレターを無料購読していただくと、毎週月曜日の17:00に最新のニュースレターをお届けいたします。