#49: Ledgerがシードフレーズ復元機能を提供予定か

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Ledgerがシードフレーズ復元機能を提供予定か

コメント:宮本

ハードウェアウォレット大手のLedger社は5月16日、ウォレットのシードフレーズを復元する新機能「Ledger Recover」の追加を含んだファームウェアアップデートを提供する予定であることを発表しました。

ハードウェアウォレットは、ウォレットが持つ秘密鍵を管理することのできる専用のデバイスのことを指します。ハードウェアウォレットはインターネット環境とは切り離されているオフライン下のデバイスであるため、ハードウェアウォレットを用いて秘密鍵を管理することで暗号資産がハッキングされるリスクを低減することができます。

シードフレーズはウォレットを管理するパスワードのような役割を果たしている英単語のことを指します。ハードウェアウォレットを紛失した場合でも新しいハードウェアウォレットにシードフレーズを入力することで以前のウォレットを復元することが可能です。一方で、紛失するとウォレットの復元が不可能になることや、第三者に盗まれるとウォレットが持つ秘密鍵にもアクセスされ保管している暗号資産も失うことから、シードフレーズの管理については細心の注意が必要でした。

今回新機能として発表された「Ledger Recover」は、デバイス内部のチップでシードフレーズを暗号化した上で3つの断片に分割し、Coincover、Ledger、Escrowtechといった3つのバックアッププロバイダーに断片を1つずつ送信することでシードフレーズのバックアップを行うものです。シードフレーズの復元の際には登録した個人情報を用いて本人確認を行い、その上でシードフレーズの3つの断片のうち2つをバックアッププロバイダーに送信してもらい復号化するという仕組みとなっています。「Ledger Recover」はファームウェアアップデートとして提供される予定で、対象製品は同社のハードウェアウォレットである「Ledger Nano X」専用となっていることが明記されています。

今回発表された新機能はシードフレーズの復元という意欲的なものですが、ユーザーからは批判や懸念の声も上がっています。中でも、「ファームウェアがたとえ暗号化されるにしてもシードフレーズをインターネットを通じて外部のデバイスと共有する機能を備えていることは、インターネット環境とは切り離されているオフライン下のデバイスであるというハードウェアウォレットの利点を打ち消している」とする懸念が多く見受けられました。

LedgerのCTOであるCharles Guillemet氏はユーザーの懸念に対して、「Ledger Recover」はあくまでオプションであり、暗号資産取引所やオンラインウォレットよりも高いセキュリティを望んでいるが、シードフレーズしかバックアップ手段がないハードウェアウォレットを持つには経験が浅いと感じているユーザーを対象とした機能であると主張しました。今回の件に限らず、ウォレットに関しては安全性と利便性のトレードオフが成り立っていると考えられます。どこまでのリスクを許容するのか、ウォレットの利用者は改めて考える機会を設けてみても良いかもしれません。

米国財務省が北朝鮮と関係のあるバイナンス上のウォレットに制裁

コメント:中坪

先週火曜日、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が北朝鮮政府と関連があると見られる複数の暗号資産ウォレットを制裁リストに加えたという声明を発表しました。今回対象となったウォレットにはビットコイン、イーサリアム、USDT、USDCの4種類の暗号資産が含まれており、これらを合わせて合計で200万ドルを超える暗号資産が当該ウォレットのアドレスで受け取られ、北朝鮮に送金されたと見られています。

今回のニュースのポイントは大きく二つ。まず一つ目はバイナンスの対応です。今回対象となったウォレットはバイナンスによるホステッドウォレットであり、この制裁にはバイナンスも協力をしています。これは裏を返すとバイナンスが制裁対象者の資産を管理している度合いが大きいのではないかということが考えられます。バイナンスは以前にもこのような悪質なウォレットの制裁回避を援助したとして批判を浴びたことがあります。法務担当者によれば、バイナンスは取引所として北朝鮮関係者をプラットフォームから排除する施策を実施しているとし、またコンプライアンス遵守の観点から法律に沿った情報開示請求と調査に協力する姿勢を表明しています。そのため今回の制裁協力はあくまでガバナンスの一環であるということを強調しています。マネロンやテロ資金供与、制裁回避などに対する厳しい対策は、取引所の利便性を損なう恐れがある一方で、特に機関投資家のような法人主体の投資家の立場からすれば取引の安心感に繋がります。個人であってもAML/CFTに加えて、制裁を加える際のプロセスが適切に踏まれているかという点には注視しなくてはなりません。

もう一つのポイントは米国の北朝鮮に対する姿勢です。元々、米国は北朝鮮に対して厳しい姿勢をとってきましたが、昨今は北朝鮮によるサイバー攻撃の件数が増えていることや資金調達のために暗号資産が利用されていることを受けて、暗号資産に関連する北朝鮮への動きにも目を光らせています。例えば、以前のメルマガでもご紹介しましたが、昨年の8月には北朝鮮が支援するハッカー集団によって盗み取られたお金の資金洗浄に利用されたとしてミキシングサービスを提供するTornado CashがOFACから制裁を受けました。北朝鮮は暗号資産をハッキングによって盗み出し軍事等への資金にしているため、このようなマネロンを幇助しうるサービスに対しては米国もかなり強い対応をしています。G7サミットにおいても焦点となったこの問題。世界的な法規制も進んでいく中で米国中心に北朝鮮やロシアへの暗号資産による資金流入をどこまで防げるか、またどこまで厳しくサービスを取り締まっていくのかが今後のテーマとなっていきそうです。

注目の資金調達

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Anthropic
  • 調達額:4億5000万ドル
  • ラウンド:シリーズC
  • 投資家:Spark Capitalなど
  • カテゴリー:Others

Anthropicは、人工知能を活用して大規模なAIシステムの安全性を向上させる研究会社です。自然言語、人間のフィードバック、スケーリング則、強化学習、コード生成、解釈可能性など、多岐にわたる研究分野に取り組み、より信頼性の高い安全なAIシステムの開発を目指しています。特に自然言語と人間のフィードバックに注力しており、人間と機械の効果的なコミュニケーションに不可欠な要素です。また、スケーリング則と強化学習の研究により、AIシステムの効率と効果を向上させる可能性があります。コード生成と解釈可能性における同社の取り組みも重要であり、AIシステムが人間にとって透明で理解しやすいものになるようにすることができます。全体的に、Anthropicの研究はAI分野に重要な貢献をする可能性があり、AIシステムの安全性と信頼性を向上させることができます。

Worldcoin
  • 調達額: 1億1500万ドル
  • ラウンド: シリーズC
  • 投資家:Blockchain Capitalなど
  • カテゴリー: Infrastructure

Worldcoinは、グローバルな開発者、経済学者、個人、技術者のコミュニティに支えられたオープンソースのプロトコルです。このコミュニティの目的は、グローバル経済への参加を増やし、誰にでもアクセス可能にすることです。プロトコルは透明性と包括性を備え、誰でもネットワークに参加し、その機能を利用することができます。Worldcoinのコミュニティは、誰もが参加し、利益を得る機会があるより公正で公平なグローバル経済を作り出すことに取り組んでいます。オープンソースの性質とグローバルなサポートにより、Worldcoinはグローバル経済について考える方法を革新し、より包括的でアクセス可能な金融システムをすべての人々に提供する可能性があります。

Growminer
  • 調達額: 4800万ドル
  • ラウンド: ストラテジック
  • 投資家:-
  • カテゴリー:CeFi

GrowMinerは最新のプラットフォームであり、ユーザーが簡単に暗号通貨をステーキングし、収益を得ることができます。プラットフォームは主に機関投資家と個人投資家向けの取引ツールを提供しています。GrowMinerを使用すると、ユーザーは積極的に投資を管理する必要なく、暗号通貨をステーキングして報酬を獲得できます。プラットフォームはシームレスでユーザーフレンドリーな体験を提供するよう設計されており、幅広いユーザーにアクセス可能です。GrowMinerの取引ツールは、機関投資家と個人投資家のニーズに合わせて調整され、情報を基にした投資決定を行うための必要なツールを提供しています。全体的に、GrowMinerは暗号通貨ステーキングを通じてユーザーが簡単かつ効果的に収益を得るための最先端のプラットフォームです。

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マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Addresses with Non-Zero Balance

概要

Addresses with Non-Zero Balance(以下ANBと略す)とは、ゼロでない量のコインを保有する固有のアドレスの数を指します。

ANBと似た指標として単純な「アドレス数」が挙げられますが、こちらの指標だと、アドレス自体はいくらでも発行できてしまうので、数値を過大評価してしまう場合があります。一方でANBは、少量でもコインを保有する必要があるので、市場におけるアドレス数の規模をより適切に測ることができる指標となっています。

ANBは市場への新規参入者が増える時には増加し、逆に市場から撤退する人が増える時には減少すると考えられます。そのため価格と合わせて見ることで市場全体の動きを捉えるのに役立ちます。

上図は、ビットコインの価格とこれまでのANBを対数で示したものです。これを見ると、ビットコインのANBは価格の成長とともに順調に増加しています。特徴的な動きとしては、2018年1月に価格が天井に達したタイミングでANBもピークを迎え、その後、価格の暴落とともにANBも大幅に減少しています。これは、価格の天井付近にかけてビットコインに飛び付いた人たちが価格の下落とともに市場から一斉に退場したことを表していると考えられます。

このようなアドレスデータは、たとえば0.01BTC以上、0.1BTC以上、1BTC以上というように下限ごとに確認することができます。これらは、10,000BTC以上のアドレス数の推移によって大口保有者の動きを探るなど、様々な視点で市場分析に活用することができます。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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