#48: VisaがAccount Abstractionに関する実証実験を開始

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

VisaがAccount Abstractionに関する実証実験を開始

コメント:宮本

VisaがAccount Abstractionに関する実証実験をEthereumテストネットにて実施し、実験内容に関するレポートを公開しました。

Account Abstraction (AA) は、ブロックチェーンにおける外部所有アカウント (EOA : Externally Owned Accounts) とコントラクトアカウント (CA : Contract Accounts) の区分を抽象化する新しい仕組みのことです。AAの導入によって、公共料金やサブスクリプションサービスなどの自動支払いをブロックチェーン上にて行えるようになることなどが期待されています。

AAの詳細については過去に配信したWEB3ニュースレター#38や、今回Visaが公開したレポートにも記載されていますので、ぜひそちらもご覧ください。

VisaはこれまでにもAAに関する検証を行ってきました。2022年12月にはレイヤー2ブロックチェーンのひとつであるStarkNetを用いて自動支払いに関する検証を行っており、StarkNet上でAAを導入した自己管理型ウォレットによる自動支払いの実行に成功したと発表しています。ただし、この検証にはEthereumは用いられていません。Ethereumが検証に用いられなかった理由としては、当時EthereumにAAが実装されていなかったということが挙げられます。2023年3月にEthereumメインネットにAAが実装されたことで、ようやくVisaとしてもEthereum上でAAの実証実験を行うことが可能になりました。

今回Visaが公開したレポートでは、以前まではユーザーが支払わなければならなかったガス代をAAを用いることでサービス提供側が肩代わりするソリューションが紹介されています。この実証実験に使用されたコントラクトはEthereumのテストネットのひとつであるGoerliテストネットに実装されており、コードは Etherscanから誰でも閲覧することができます。

このソリューションの活用事例としては、ブロックチェーンゲームが考えられます。ブロックチェーンゲームはその性質からゲームプレイ中にガス代が発生することがあるため、プレイヤーは自分のウォレットに残高を常に確保しておく必要があります。こういった要素はUXを損ねる要因となっており、ゲーム会社としてもブロックチェーンゲームへの参入障壁のひとつになっていると考えられます。今回Visaが公開したAAに関するソリューションを用いることによって、ゲームプレイ中に発生するガス代を運営側が肩代わりできるようになるため、UXを損ねやすいというブロックチェーンゲームのデメリットが今後解消される可能性があります。

他にもガス代のERC-20トークン建て支払いなど、AAを用いた様々なソリューションがレポートに記載されています。AAが普及することでオンチェーン上の支払いがさらに使いやすくなることは間違いないでしょう。今後メインネットでも実証されることを期待したいところです。

国内でのトラベルルール対応開始を控え、取引所間の直接送金が制限へ

コメント:中坪

来月予定されている「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正に伴い、日本国内の暗号資産取引所でトラベルルールへの対応が始まります。その一環としてたとえ国内取引所同士での資金の移動であっても直接送金が制限されることが各社から発表されました。そもそもトラベルルールとはAML/CFT(マネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策)の一環として暗号資産交換業者に義務付けられるもので、利用者の依頼を受けて暗号資産の送付を行う場合、暗号資産交換業者は、送付依頼人と受取人に関する一定の事項(受取人が送付依頼人本人かどうか、顧客識別番号等)を、送付先となる受取人側の暗号資産交換業者に通知しなければならないというものです。金融庁が指定する通知対象法域の暗号資産交換業者への送金の際にこのルールが適用されるため、 通知対象外の国・地域の暗号資産交換業者や、アンホステッド・ウォレット(個人が管理するウォレットを含めた通知義務対象外のウォレット)への送金はこれまで通り行うことができます。しかし、なぜ国内の取引所間でも直接送金が制限されるのでしょうか?

その答えは各取引所が加入している枠組みの違いにあります。トラベルルールの徹底を図るために暗号資産業界では業界主導の枠組み作りが行われています。米国のCoinbaseが中心に勧めている「 TRUST」と台湾の企業が中心となっている「 Sygna Alliance」があります。bitbank、GMOコインなど多くの国内取引所はアジア系企業が参画しているSygnaに、一方、米国拠点のクラーケンや米国に進出しているbitFlyer、NASDAQ上場を目指すCoincheckなどはTRUSTに参加をしています。このような枠組みの違いのために、例えばbitbank上の口座からbitFlyerやCoincheck上の口座への直接的な送金ができなくなるわけです。この構図はアライアンス間のマイルの統一ができないという航空会社の所属アライアンスの違いにも似ています。ただ、国内取引所間でも取扱通貨やサービスの違いは大きいために、直接送金ができなくなるのは顧客にとっては利便性が著しく下がることになります。

また、金融庁の資料によれば今回の規制の対象外であるアンホステッド・ウォレットについても今後トラベルルールと合わせて取引経路の可視化に努めていくとされています。国際的に制裁を受けている国家や犯罪組織への資金流入、また違法性の高い資金の移転を防ぐためにもトラベルルールの遵守は必要不可欠な一方、利用者の利便性を落とさないような業界団体の取り組みも重要となってきます。今後、国内取引所間で枠組みを超えた解決策が提示されることに期待したいと思います。なお、国内主要取引所のトラベルルールについての対応は見出しのリンク先記事にまとまっておりますのでそちらも合わせてご確認ください。

注目の資金調達

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Auradine
  • 調達額:8100万ドル
  • ラウンド:シリーズA
  • 投資家:Celesta Capitalなど
  • カテゴリー:Infrastructure

Auradineは、インターネットインフラストラクチャの未来のための革新的なソリューションを開発することに焦点を当てた企業です。彼らの主な目標は、ブロックチェーン、セキュリティ、ゼロ知識、AIなどの最先端技術によって可能になる、画期的なスケーラビリティ、持続可能性、セキュリティソリューションを作成することです。これらの技術を活用することで、Auradineはインターネットインフラストラクチャについての考え方を革新し、より安全で持続可能な未来をすべての人々に提供することを目指しています。彼らの仕事は、インターネットの重要性が日々増しており、安全で信頼性の高いオンラインサービスの需要が高まっていることから、特に重要です。革新に焦点を当て、最新の技術を使用することにコミットメントを持つAuradineは、インターネットインフラストラクチャの未来に重要な影響を与え、長年にわたってデジタルランドスケープを形作るのに適しています。

Applied Digital
  • 調達額: 5000万ドル
  • ラウンド: デッドファイナンス
  • 投資家:-
  • カテゴリー: Infrastructure

Applied Digital (Nasdaq: APLD)は、北米で先進的なデータセンターの設計、開発、運営に特化した企業です。彼らの焦点は、急速に拡大する高性能コンピューティング(HPC)産業にデジタルインフラソリューションを提供することにあります。同社は以前はApplied Blockchain, Inc.として知られており、その後Applied Digital Corporationに再ブランド化されました。 Applied Digitalの次世代データセンターは、HPCアプリケーションのホスティングに適しています。これらのデータセンターは、従来のデータセンターよりも低コストで高いコンピュートパワーソリューションを提供します。さらに、AI / MLワークロードに必要な電力密度を提供する能力があり、これはほとんどの現行施設では通常利用できません。 全体的に、Applied Digitalの次世代データセンターとデジタルインフラソリューションへの焦点は、HPC産業の成長ニーズに対応するために彼らを有利な立場に置いています。彼らのデータセンター設計と運用に対するユニークなアプローチは、従来のデータセンターよりも競争優位性を提供し、コンピューティングパワーを最適化しコストを削減したい企業にとって魅力的なオプションです。

NewLimit
  • 調達額: 4000万ドル
  • ラウンド: シリーズA
  • 投資家:DIMENSIONなど
  • カテゴリー:Others

NewLimitは細胞をエピジェネティックに再プログラムする転写因子のセットを発見することにより、老化を治療することを目的とした会社です。同社の製品は老化を治療することを目的としており、線維症、感染症、神経変性疾患など、老化に関連する様々な疾患の予防や治療の可能性があります。エピジェネティック再プログラミングに焦点を当てることは、老化や老化に関連する疾患の根本原因に対処する有望なアプローチです。NewLimitの製品は老化の基本的なメカニズムをターゲットにすることで、個人や社会全体に長期的な利益を提供する可能性があります。同社の研究開発の努力は、効果的に細胞を再プログラムできる転写因子を特定することに焦点を当てており、人間の健康と福祉を向上させるために老化の科学を進めることに取り組んでいます。全体的に、NewLimitの老化の治療と老化に関連する疾患の予防の使命は、世界中の人々の生活の質を向上させるための重要で革新的なアプローチを表しています。

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マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Total Value Locked(TVL)

 

概要

Total Value Locked(TVL)とは、分散型金融(DeFi)サービス上に預け入れられた資産の合計金額を表します。DeFiサービスが提供する主な機能としては、ステーキング・レンディング・流動性プールが挙げられます。これらの機能に預け入れられた資産の合計がTVLとなります。

TVLは、DeFiサービスの規模を測ることや、その推移によって利用状況を確認することなどに使えます。またTVLは、あるサービス単体だけでなく、ブロックチェーンごとに計測することもできるため、どのチェーンが最も利用されているかを見ることができます。DefiLlamaによれば、イーサリアムのTVLがチェーン別で最も大きく、その中でも流動性ステーキングサービスであるLidoが約43%の最も大きいシェアを占めています。

ただし、ドルを通貨の価値基準として用いる場合、TVLは暗号資産の価格変動の影響を受けることに留意すべきです。

上の図は、イーサリアム全体に対するTVLと価格の推移を示したものです。2020年から始まる大幅な価格上昇によってTVLも大きく上昇していることが確認できます。逆に2022年に入ってからの暴落局面ではTVLも低下しています。

一方、TVLはチェーンごとの通貨建てで見ることで別の捉え方ができます。一部の暗号資産投資家は相場の下落時にDeFiサービスに預け入れることによって法定通貨建ての価格変動リスクを回避します。実際にイーサリアムの価格が急落したタイミングではETH建てのTVLが上昇する動きが確認できます。

この点について、マネックスクリプトバンクが2022年12月に発表した価格指標レポート「PAVA 指標のレイヤー 1 トークンへの適用可能性の検討」でも触れていますので、ぜひご一読ください。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

その他のニュース

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レポート例

  • 「GameFiとはなにか――DeFiの重要性と課題、CEXの役割」
  • 「VR普及はいつ頃達成されるのか?―現状の問題点と関連技術を探る」
  • メタバースのデジタルLANDを開発する方法ーDecentraland開発」
  • 「ブロックチェーンゲームのビジネスモデルと収益推定」
  • 「PAVA指標のレイヤー1トークンへの適用可能性の検討」
  • 「金融バブルを検知するLPPLSモデルの暗号資産への応用」

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