今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインはBTC=1,515万円(100,000ドル)を目前にして利益確定売りに押される展開となった。
- 来週のビットコインは上昇相場の継続を予想するが、トランプ・トレードの巻き戻しリスクには警戒したい。直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,515万円(100,000ドル)、下値はBTC=1,363万円(90,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):買いは継続するも10万ドル手前で失速
ビットコインはBTC=1,515万円(100,000ドル)を目前にして利益確定売りに押される展開となった。
米国では、去就が注目されていたゲンスラーSEC委員長が退任を表明し、暗号資産規制緩和への期待が高まった。また、マイクロストラテジー【MSTR】やマラソン・デジタル【MARA】など企業によるビットコイン購入が相次いだ。その中、連日でビットコイン現物ETFへ数億ドル規模の資金流入があり、BTC=1,507万円(99,500ドル)付近まで大きく上昇した。
しかし、ビットコインは節目となるBTC=1,515万円(100,000ドル)手前で失速し、上値が重くなった。市場ではより大きなボラティリティを求めてアルトコインを物色する動きが強まり、ビットコインは次第に売りを強めた。その後、イスラエルとヒズボラの停戦報道を受けて中東リスクが後退すると、金が急落し、ビットコインもデジタルゴールドとしての魅力が薄れて下落した。短期的な調整売りも意識されてか、BTC=1,378万円(91,000ドル)付近まで大きく値を下げた。
米国でトランプ次期政権の重要ポストに暗号資産支持派が就くことが次々に報じられる中、ビットコインはBTC=1,469万円(97,000ドル)付近まで大きく反発した。カナダやブラジルでビットコイン準備金について議論する動きがあったことも好感された。しかし、FOMC議事要旨やPCE指数を受けて追加利下げ観測が後退したこともあり、上値の重い展開が続いた。
今週のトピックス
金融市場
- 「ウォール街の敵」ゲンスラー米SEC委員長、来年1月で退任
- トランプ氏、ベッセント氏を次期財務長官に指名-経済政策指揮
- トランプ次期大統領、中国に10%追加関税へ-メキシコとカナダは25%
- 米ミネアポリス連銀総裁、12月に0.25ポイント利下げ検討は依然妥当
- 米政策金利は中立水準に向け低下へ、過熱なければ-シカゴ連銀総裁
- バイデン米大統領、イスラエルとヒズボラの停戦合意成立を発表
- FOMC議事要旨、「緩やかな」利下げに対して幅広い支持
- 米SEC次期委員長、アトキンス氏が有力-移行チームが面接と関係者
- 米PCEコア価格、前年比の伸び加速-FRBの慎重姿勢を裏打ち
暗号資産市場
- トランプ氏の暗号資産プロジェクト、トロン創業者から3000万ドル確保
- 米マラソン、転換社債販売で1500億円を調達 5771BTCのビットコインを取得
- 8300億円でビットコインを追加購入、米マイクロストラテジー
- トランプ新政権、米CFTCの仮想通貨監督権限を拡大の意向か=報道
- ブラジル下院、ビットコイン準備金の設立を提案
- カナダバンクーバーの市長、ビットコイン財務戦略の採用を提議
- 自民党デジタル社会推進本部、web3担当を新設 塩崎議員が就任へ
- 金融庁、無登録の仮想通貨取引所5社に警告書を発出
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は上昇相場の継続を予想するが、トランプ・トレードの巻き戻しリスクには警戒
米国では、トランプ次期大統領が中国、カナダ、メキシコに対する関税強化を表明したが、ベッセント氏の財務長官指名に対する期待もあり、株式市場の動揺は限定的となっている。引き続き、次期政権の政策や人事に関する発表を受け、相場が一喜一憂する展開になるだろう。
来週も上昇相場の継続を予想するが、トランプ・トレードの巻き戻しリスクは警戒しなければならない。
11月雇用統計がFOMCでの連続利下げを否定する内容となった場合、米国株や暗号資産の売り圧力が強まる恐れがある。また、中東情勢の安定化により、金の反動売りがさらに強まった時は、ビットコインも同様に下落するリスクがある。12月に入れば税金対策の売りも本格化するため、市場が売りに傾いた時は下げ幅が大きくなることも考えられるだろう。
暗号資産市場では、ビットコインの上昇が一服し、アルトコインの売買が活発になっている。リップルやソラナなど個別銘柄で大きな利益が期待できる一方で、アルトコイン物色が一巡した後はビットコインの急落が起こる傾向がある。そのためビットコインのドミナンス低下の動向には注意したい。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,515万円(100,000ドル)、下値はBTC=1,363万円(90,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、11月ISM製造業景況指数(12/2)
- 米国、11月ISM非製造業景況指数(12/4)
- 米国、11月雇用統計(12/6)
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