今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインはミームコインの下げが一服し、ネットワークの混雑も改善される中で買戻しが強まった。その後、米国当局者の発言によって米国金利が上昇し、金とともに売られたが、米国のデフォルト回避への期待が高まったことを受けて急回復した。
- 来週のビットコインは米政府債務上限問題の進展によりリスクオン買いが強まる可能性がある一方で、金利上昇が重しか。直近上値として今年4月以降の下落から半値戻しとなるBTC=392万円(28,500ドル)、下値として今週の底付近となるBTC=357万円(26,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:ミームコインブームが一服、米デフォルト回避期待により急回復
ビットコインは、ペペコインをはじめとするミームコインが急落し、過熱感による売りが強まった。12日には、米国株が銀行セクターや政府債務上限問題などの不透明感から5日続落する中、一時BTC=357万円(26,000ドル)を割り込んだ。イーサリアム上の取引確認で一時的な問題が生じたことも嫌気された。ミームコインの下げが一服すると、取引混雑にともなう手数料高騰や送金遅延などが徐々に改善され、ビットコインも買い戻しが強まった。15日にはBTC=378万円(27,500ドル)付近まで上昇したが、ゲンスラーSEC委員長が暗号資産の証券性について改めて言及したこともあり、上値を抑えられた。また米国当局者が追加利上げの可能性に言及し、米国金利が上昇したことで金利の付かない金とともに売りが強まった。金が1オンス=2,000ドルを割り込む中、ビットコインもBTC=364万円(26,500ドル)付近まで価格を下げた。しかし、バイデン大統領の発言によって米国のデフォルト回避への期待が高まり、これを受けてBTC=378万円(27,500ドル)付近まで急回復した。
今週のトピックス
金融市場
- 米財務省「Xデー」6月4-12日とバークレイズ-JPモルガンは7日
- バイデン大統領、債務交渉の妥結「確信」-デフォルト回避に自信
- G7広島サミット開幕、各国首脳が原爆資料館を視察へ-タイムライン
- 米債務上限問題、下院議長と民主上院首脳は6月1日前の採決視野
暗号資産市場
- イーサリアムが2日連続でファイナライズの一時停止、問題とその影響は?
- EU指令「DAC」改正案、暗号資産の課税強化の方向性で合意
- G7財務相、暗号資産規制を議論──FSBとIMFの規範に従うと表明
- テザー社、ビットコインの購入継続を発表
- 米SEC、ファイルコイン(FIL)を有価証券と判断
来週の相場予想
BTCは米政府債務上限問題の進展により買いが強まる可能性、金利上昇が相場の重しか
米バイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長との協議によって政府債務上限問題の解決が近いとの見方が強まっている。週末にも合意に至る可能性があり、これを受けてリスクオンの買いが強まることは考えられる。逆に合意が後ろにずれ込むことになれば再び軟調な推移になるだろう。また米国当局者の間で追加利上げの議論が再燃しており、米国金利がさらに上昇すればビットコインは売られやすい状況が続くだろう。来週はFOMC議事要旨の発表も控えており、その内容を受けて次回会合での利上げ停止期待が高まれば暗号資産も上昇に向かうことは考えられる。
過度なミームコインブームが落ち着き、市場の関心は再び暗号資産規制に向いている。週末にかけて開催されるG7広島サミットでは、個人のウォレットを含めたトラベルルールの強化などが議論される見込みだが、国際的な規制が厳格化されることで短期的に売りが強まることはあるだろう。また、バイナンスがカナダから撤退したように、規制の不透明さから北米を離れる暗号資産関連企業は増えており、北米市場の停滞によってしばらくは相場にもブレーキがかかることが予想される。一方、北米を離れた先がどこになるかは今後の業界の発展を占う上で要注目である。
直近上値として今年4月以降の下落から半値戻しとなるBTC=392万円(28,500ドル)、下値として今週の底付近となるBTC=357万円(26,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- G7広島サミット閉幕(5/21)
- 米国、FOMC議事要旨(5/24)
- 米国、1-3月期四半期実質GDP<改定値>(5/25)
- 米国、4月個人消費支出(5/26)
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