相場展望:BTCはぺぺコインブームの反動売りに警戒、G7広島サミットの内容にも注目

今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。

  • ビットコインはミームコインが投機的に値上がりする中、一時はBTC=402万円(30,000ドル)付近まで上昇したが、それらが一転して急落すると同様に大きく下落した。米4月消費者物価指数は予想通り伸び鈍化となり、発表直後は一時的に買いが強まったが、米債務上限問題への懸念も残る中でたちまち下落し、乱高下する展開となった。
  • 来週のビットコインはミームコインの投機的な盛り上がりの反動売りに警戒する。19日から開催されるG7広島サミットでの暗号資産規制の議論にも注目である。直近上値としてレンジ半ば付近のBTC=389万円(29,000ドル)、直近下値として2023年2月高値付近のBTC=335万円(25,000ドル)を意識する。

今週の相場動向

相場回顧 BTC:ミームコイン高騰の反動で売りが強まる、米4月CPIは10か月連続で鈍化

ビットコインは、パックウエスト・バンコープ銀行やウエスタン・アライアンス銀行など米国の地方銀行の破綻懸念が意識され、金が逃避的に買われて高騰する中、同様に買いを強めた。またペペコイン【PEPE】をはじめとするミームコインが投機的に値上がりし、ビットコインはBTC=402万円(30,000ドル)付近まで価格を伸ばした。しかし、堅調な4月米雇用統計を受けて利上げ懸念が強まり、上値が重くなった。その後、ミームコインが一転して急落し、ミームコインの取引急増に伴いトランザクションの混雑や手数料の高騰が発生すると、ネットワークが不安定化する中でBTC=368万円(27,500ドル)付近まで急落した。バイナンスがビットコインの入出金を一時停止したことも投資家の不安を煽った。米4月消費者物価指数の発表前には市場全体で様子見姿勢が強まり、その発表後には、予想通り10か月連続の伸び鈍化となったことから、次回FOMCでの利上げ停止観測が高まり一時的に買いが強まった。しかし、米債務上限問題への懸念も残る中でたちまち下落し、乱高下する展開となった。ジェーン・ストリートやジャンプ・クリプトといった大手マーケットメイカーの米国撤退が報じられ、週末にかけては軟調な推移となった。

 

今週のトピックス

金融市場

暗号資産市場

 

来週の相場予想

BTCはぺぺコインブームの反動売りに警戒、G7広島サミットの内容にも注目

米国では連邦政府の債務上限引き上げに関してバイデン大統領と共和党の協議が難航しており、デフォルト懸念が強まっている。現実にデフォルトに陥る可能性は低いとの見方が優勢だが、「Xデー」とされる6月1日直前までは政治的な駆け引きが継続することが予想される。インフレと景気後退、銀行セクターに対する不安と合わさって金融市場の不安定さが増し、しばらくは暗号資産も売られやすいだろう。来週は日欧の4月消費者物価指数が発表される。米国に続いてどちらも伸びが鈍化し、世界的なインフレ鈍化を示唆する内容となれば暗号資産市場はポジティブに反応する可能性がある。

「BRC-20」というビットコイン関連のトークン規格に準拠したミームコインが数多く発行され、個人投資家を中心にそれらのコインを買い漁る動きが増えている。ペペコインをはじめ一時的に値上がりすることはあるが、そのほとんどは投機色の強い銘柄にすぎないため、過熱後の急落に備える必要がある。ミームコインの急落とともにビットコインも売りが強まることが予想され、BRC-20トークンブームがおさまるまではビットコインの大きな上昇も期待できないだろう。また来週19日からG7広島サミットが開催される。暗号資産の個人間取引の規制を検討するなどの報道もあり、どのような議論が行われるか要注目である。

直近上値としてレンジ半ば付近のBTC=389万円(29,000ドル)、直近下値として2023年2月高値付近のBTC=335万円(25,000ドル)を意識する。

 

来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ

経済イベント・指標

  • 米国、1-3月期四半期域内GDP(5/16)
  • 日本、1-3月期四半期実質GDP(5/17)
  • 欧州、4月消費者物価指数<改定値>(5/17)
  • 日本、4月全国消費者物価指数(5/19)
  • G7広島サミット(5/19-21)

 

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