#107:Google CloudがJSON-RPCサービスをリリース、AlchemyやInfuraへの対抗になるか

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注目トピックス解説

Google CloudがJSON-RPCサービスをリリース、AlchemyやInfuraへの対抗になるか

コメント:宮本

Google Cloudは9月18日より、EthereumにおけるJSON-RPCサービスである「Blockchain RPC」の提供を開始しました。

JSON-RPCサービスは、Ethereum上で動作するアプリケーションである「DApps」を開発するために必要となるサービスです。サービスについて詳しく知るために、まずはJSON-RPCがどういったものかについて見ていきましょう。

JSON-RPCは、Ethereumネットワークを構成する「ノード」と呼ばれるコンピュータに対して、データを取得・送信する際に必要となる取り決めのことです。たとえばウォレットから新しいトランザクションを実行したい場合、ウォレットはノードに接続してEthereumネットワークに実行したいトランザクションを送信する必要があります。このとき、ウォレットはJSON-RPCによって決められた形でトランザクション送信リクエストをノードに送る、といった作業を行っています。

ウォレットに限らず、DEX(分散型取引所)などのすべてのDAppsが、このJSON-RPCを利用してノードに接続し、Ethereumネットワークからデータを取得したり、データを送信したりしています。

DAppsを開発・動作させるためには、このようにJSON-RPCを利用してノードからデータを取得・送信する必要がありますが、接続先となるノードについては別途用意しておく必要があります。このノードは自分で用意することもできますが、ハードウェアのコストがかかったり、保守運用が必要になるといった欠点があります。

こうした欠点を解消して、自分でノードを用意することなくDApps開発を行えるようにしているのがJSON-RPCサービスです。JSON-RPCサービスは、ノードの運用を代行した上で、JSON-RPCで接続するための情報をAPIとして提供しているものです。JSON-RPCサービスはノードプロバイダーと呼ばれることもあり、代表的なものとしてAlchemyやInfuraなどといったサービスがあります。自分でノードを用意するよりもはるかに安いコストでDApps開発に必要となる環境を用意することができるため、AlchemyやInfuraはDApps開発において欠かせないサービスとなっています。

今回Google Cloudが提供を開始した「Blockchain RPC」も、こうしたAlchemyやInfuraと同様に、DApps開発に必要となる環境を提供するJSON-RPCサービスです。

Blockchain RPCは現時点ではプレビュー版のみの提供となっており、1秒当たり最大100 Requestsまで無料で行えるようになっています。このRequestsについては、取得・送信するデータの種類によって必要となる量が異なることが 公式ドキュメントに示されています。

AlchemyやInfuraについても同様の仕組みが採用されていますが、Requestsの代わりにAlchemyではCUs、InfuraではCreditsという単位が用いられています。AlchemyとInfuraについても無料プランが用意されており、Alchemyでは 1秒当たり330 CUsまで、Infuraでは 1秒当たり2,000 Creditsまで行えるようになっています。

使用できる量ではInfuraが最も多そうに見えますが、それぞれのサービスによって必要となる量の割り当てが異なるという点に注意が必要です。たとえば、Ethereumにおける現在のガス価格を取得するリクエスト「eth_gasPrice」に対するそれぞれのサービスの割り当てを見てみると、 Blockchain RPCでは1 Requestsになっているのに対して、 Alchemyでは19 CUs Infuraでは80 Creditsになっています。このため、ガス価格のみを取得したい場合では、Blockchain RPCが1秒間当たりに取得できる回数については最も多いということになります。

このように、取得・送信したいデータの種類によってはBlockchain RPCが優位となる可能性があります。開発したいDAppsの機能にもよりますが、今後Blockchain RPCはJSON-RPCサービスの中でも有力な選択肢となってくることが推測されます。

また今回発表されたサービスは、すでにWeb2領域において実績のあるクラウドサービスを提供するGoogle Cloudが、JSON-RPCサービスを開始することで本格的にWeb3領域に参入してきたものと捉えることもできます。AWSについても「Amazon Managed Blockchain」というノードホスティングサービスを提供しており、今後もクラウドサービスのWeb3領域への本格参入が続くかもしれません。​​​​​​​

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Chainalysis「The 2024 Global Adoption Index」を発表、市場はどのような動きを見せている?

コメント:青木

Chainalysisは9月に「The 2024 Global Adoption Index」というレポートを発表し、世界各国における暗号資産の採用状況や市場動向を詳細に分析しました。ここでは、レポートに記載された主要なポイントと市場全体の動向をいくつか見ていきます。

まず、このレポートではオンチェーンとオフチェーンの両方のデータを分析し、暗号資産の普及が進んでいる国々を特定しています。各国の経済規模の違いが結果に影響を与えないように、1人あたりのGDPなどを用いて調整された加重平均を算出し、ランキングを出しています。

算出された「The 2024 Global Adoption Index」の結果を見ると、アジア太平洋地域と南アジアの国々が上位にランクインしています。インドは取引所や決済サービスなど中央集権的サービス受入額が1位になったことが要因で、2024年の採用指数で総合1位を獲得しました。インドネシアやフィリピンも急速な成長を見せており、特にDeFi(分散型金融)の利用が活発です。対照的に、アメリカは4位にランクインしましたが、大統領選などの影響やGDPの大きさが順位に影響しています。さらに、ケニアやナイジェリアを中心とするアフリカ地域でも暗号資産の利用が広がり、金融包摂の促進が進んでいます。

市場全体を見渡すと、もともと暗号資産に関心の強かった個人投資家に加えて、機関投資家の暗号資産投資への参入が加速しており、暗号資産ファンドの設立や、既存の金融機関による暗号資産関連サービスの提供が増加しています。これにより、市場の流動性が向上し投資機会の多様化が進んだことで、2023年第4四半期から2024年第1四半期にかけて、世界の暗号資産の総価値は急増し、2021年の強気相場を超える水準に達しました。

一方、2024年は各国で暗号資産に対する規制が一段と厳格化され、整備が進んだ年でもあります。例えば、米国のSECによる暗号資産関連商品の規制強化や、EUのMiCA(Markets in Crypto-assets)規制の施行、日本における暗号資産交換業者への監視強化が進行中です。これらの規制は短期的には市場に一時的な混乱をもたらす可能性がありますが、中長期的には市場の透明性と信頼性を高め、持続可能な成長を促進すると期待されています。

暗号資産市場への資金流入と規制の整備が進むとともに、先進国以外での暗号資産の利用も顕著になってきています。今後世界各国で暗号資産がどのように拡大していき、市場にどのように影響を与えるのか、目が離せない状況が続きそうです。

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注目の資金調達(9/23~9/29

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

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担当:松嶋

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