#43:KDDIが展開する「αU」への入り口となるαU wallet

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

OpenSea Proがリリース、Blurへの対抗策に?

コメント:宮本

NFTマーケットプレイスを提供するOpenSeaは4月4日、NFTアグリゲーターとなる「OpenSea Pro」を公開しました。

NFTアグリゲーターは複数のNFTマーケットプレイスに出品されたNFTを横断的に検索し、価格を比較した上で購入や販売ができるサービスのことです。OpenSeaは昨年4月にNFTアグリゲーターのGemを買収しています。OpenSeaは買収したGemの機能をベースに開発を行い、OpenSea Gem V2という名称にてOpenSeaとは独立したサービスとしてNFTアグリゲーターを展開することを計画していました。

今回発表されたOpenSea Proは、OpenSea Gem V2としてリリースされる予定であったNFTアグリゲーターの名称を変更したものになります。発表では、170のNFTマーケットプレイスに対応していること、利用者にはNFTなどの報酬を予定していることなどが明記されています。

NFT報酬を設定した背景としては、競合NFTマーケットプレイスであるBlurがNFTアグリゲーターとしての機能を備えており、取引量に応じて独自トークンである「BLUR」をエアドロップ(配布)していることが影響していると考えられます。以前のメルマガでも紹介しましたが、今年2月15日には初めてBlurがOpenSeaの1日あたり取引量を上回りました。その後マーケットプレイス手数料に関する競争が激化するなど、直近においてBlur vs OpenSeaの構図が明確になっています。

今回のOpenSea ProのリリースによりBlurに奪われたシェアを取り戻せるかには疑念が残ります。NFTマーケットプレイスのシェアは、保有しているNFTの価値が100万ドルを超えている取引者を指す「クジラ」の売買動向により大きく左右されるといわれています。取引量が増えるほどエアドロップ報酬が増えるBlurのインセンティブシステムは「クジラ」に好まれやすい一方で、今回発表されたOpenSea ProのNFT報酬は取引量に比例するか不明であるため、OpenSea Proリリースによる「クジラ」の移動は現時点ではあまり望むことができないと考えられます。

今後OpenSea Proのインセンティブシステムに関する詳細が発表され、報酬量がNFT取引量に比例するようなものであれば、OpenSea ProはBlurへの対抗策として機能し始めるかもしれません。しかしこのような場合でも、トークンではなくNFTを報酬として採用したことが「クジラ」にとってより魅力的であるかどうかは未知数です。

中国損保大手がクリプトファンド立ち上げ

コメント:宗田

中国損害保険会社大手、中国太平洋保険(集団)有限公司の子会社である中国太保投資管理有限公司が2つのクリプトファンドを立ち上げると発表しました。1つがベンチャーキャピタルファンド、もう1つがPoSのデジタル資産を管理するファンドです。またこれらのファンドの対象は機関投資家や富裕層の予定です。

このニュースで重要なのはPoSの暗号資産に投資対象を限定している点です。米プルデンシャル・ファイナンシャル傘下で約184兆円を運用するPGIMが昨年5月に発表したレポートによると機関投資家による暗号資産への直接投資は課題が山積と見られていました。主な懸念点の1つにあげられていたのがESG面です。保険業界は温室効果ガス排出量削減に特に力を入れている業界の1つです。PoSのデジタル資産に限定することでこの問題に対処しているといえるでしょう。

また、昨年6月のゴールドマン・サックスの調査によると、米国の保険会社の11%が暗号資産に投資している、または投資に関心があるとのことです。したがって保険会社の暗号資産への投資はすでに広まりつつあり、株や債券以外での新たな資産クラスとして注目を集めていることが分かります。中国太平洋保険は中国政府などが所有し、中国で2番目に大きな損害保険会社でありながら、3番目に大きな生命保険会社でもあります。これほど巨大な保険会社でもクリプトファンド立ち上げに踏み切ったということは業界全体に大きなインパクトを与えるでしょう。

しかし、日本の金融業界では規制面やAMLなどの問題があるため、暗号資産ファンドの立ち上げはあまり進んでいません。そのため現在はVCとしての投資やブロックチェーン技術を活用したデジタル証券事業などが主に進められています。今後の日本の金融業界、保険業界での暗号資産投資への動きにも注目したいところです。

新しい形の暗号資産取引:メルコインとN26

コメント:中坪

先週、株式会社メルカリが3月より提供開始してビットコイン取引サービス「メルコイン」の利用者数が10万人を突破したと発表しました。資料によれば、このサービスが初めての暗号資産取引となったユーザーは全体の約77%と、これまで暗号資産とは縁遠かった人たちが暗号資産の世界に足を踏み入れる大きなきっかけとなっています。

現時点では取り扱い暗号資産はビットコインのみであり、別の暗号資産ウォレットへの送金やレバレッジ取引などはできません。しかし、メルカリ上での販売で得た利益やポイントをビットコインの購入に充てたり、ビットコインを売却して得た日本円を手数料無料でメルカリの提供するスマホ決済サービスの残高に移したりすることができ、非常にスムーズに暗号資産の取引をすることが可能です。従来からポイントでビットコインを購入することができるサービスは存在していましたが、前述の売買益をすぐに物品の購入に利用できる点で利便性が圧倒的に高いことからユーザーが一気に増加したことが考えられます。

暗号資産自体の送金はできないが現物売買が可能なサービスは国内ではこれまで見られてきませんでしたが、実は海外では同様のサービスを提供する先行事例が存在します。ドイツを中心にヨーロッパでオンラインバンキングサービスを提供するN26です。N26はユーザー間の即時送金や外国為替手数料が無料、目的別口座の作成、端数の自動貯金といった画期的なサービスで近年非常に人気を集めています。

そんなN26が昨年10月から提供しているのがN26 Cryptoという暗号資産取引サービスです。メルコイン同様に、N26の口座を持っていれば簡単に取引に参加し、アプリ内で全てを完結させることができます。また、現時点では暗号資産の送金ができないという点でもメルコインと共通しています。しかし、N26 Cryptoは150を超える数の暗号資産を提供しているところが特徴です。手数料は1%から2.5%とやや割高ですが、1ユーロから購入することができ、またポートフォリオのUIもわかりやすいことからクリプト初心者には取引を始めるまでのハードルが非常に低いです。さらに、N26の公式ブログでは購入方法だけでなく、暗号資産とは何か、どの銘柄が人気を博しているかなど暗号資産に関する初心者向けの学習記事まで提供しており、N26のクリプトへの本気度が感じられます。

銀行業とクリプトを繋げたN26、eコマースとクリプトを繋げたメルカリ。どちらも多くの人が簡単に暗号資産の世界に踏み出せる環境づくりを目指しています。このように身近なサービスを通して暗号資産取引を可能にするというアイデアは、さらに暗号資産を社会に普及していくための良い実践の一つだと言えます。N26のように金融の面からアプローチすることはクリプトの投資資産として価値を、メルカリのように暗号資産を使ってモノを購入する体験を提供することは、クリプトの通貨としての価値を社会に認知していくきっかけになるかも知れません。

特にメルカリの場合、提供する銘柄数を絞り、手数料をスプレッドのみにすることで、N26に比べて全くクリプトに触れたことがない人々にもかなりハードルを下げています。今後、両者の動向に加え、生活×クリプトという形態がどれほどの人々の関心をクリプトに向けるか注目です。

注目の資金調達

LayerZero Labs
  • 概要:ブロックチェーン間の相互運用プロトコル
  • 調達額:1億2000万ドル
  • ラウンド:シリーズB
  • 主な出資者:a16z、Sequoia Capital、Circle Ventures、Samsung Next、OpenSea、Christie’s

ブロックチェーン間の相互運用を実現するメッセージングプロトコル。これによって異なる仕様のチェーン上の任意のスマートコントラクト間で直接通信できるようになり、トークン発行やDapps開発をチェーン横断的に行うことができる。互いのブロック情報をもとに一方からのリクエストが正しいことを検証し、その有効性が確認できた場合にトランザクションを実行する。

M^ZERO
  • 概要:分散型金融インフラ
  • 調達額:2250万ドル
  • ラウンド:シード
  • 主な出資者:Pantera Capital

従来の金融システムとweb3システムを接続することを目的としたミドルウェアプロトコル。金融機関向けにブロックチェーン上のガバナンス、取引インフラ、トークン発行などの機能を提供しようとしている。詳細は不明。

Bitget
  • 概要:暗号資産デリバティブ取引所
  • 調達額:1000万ドル
  • ラウンド:戦略的出資
  • 主な出資者:Dragonfly Capital

セイシェルを拠点とする暗号資産デリバティブ取引所。現物、先物、コピートレード、利回り商品など多様な取引を提供している。取引所トークンとしてBitgetトークンを発行している。

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注目のWeb3関連サービス

KDDIが展開する「αU」への入り口となるαU wallet

KDDIが展開する「αU」

国内大手通信会社KDDIが2023年3月に開始したメタバース・web3サービス。メタバース、ライブ配信、バーチャルショッピングなどを提供する。αUの世界では、リアルとバーチャルの境界がなくなり、音楽ライブやアート鑑賞、友人との会話やショッピングなどの日常体験を、いつどこにいても楽しむことができる。
今後は、国内外のパートナーと連携し、日本のクリエイターやコンテンツのグローバル展開をサポートしながら、クリエイターが価値を生み出しその対価を得られるクリエイターエコノミーを創出する。

αUで提供するサービス

  • αU metaverse(オープンなメタバース)
  • αU live(リアル×ヴァーチャルなライブ)
  • αU market(NFTマーケットプレイス)
  • αU place(リアル×ヴァーチャルなショッピング)
  • αU wallet(web3ウォレット

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今週のビットコイン相場

BTCはETHの大型アップグレード前後の売りに警戒、米CPIとFOMC議事要旨にも注目

金融市場では米経済指標の鈍化を受けて5月以降の利上げ停止観測が高まっている。今週、豪州では約1年ぶりに利上げ停止を決定した。今後は景気の先行きが懸念される中で同様の措置をとる国も出てくるだろう。そのような中、金が再び上昇しており、ビットコインもこれに追随する動きを見せている。来週に発表される米3月消費者物価指数がインフレ鈍化を示唆する内容であった場合には、米国金利低下とともに買いが強まり、BTC=380万円(29,000ドル)を上抜ける可能性もあるだろう。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でタカ派寄りの印象が強まるか否かにも注目である。

来週いよいよイーサリアムの大型アップグレードを迎える。これによりイーサリアムのステーキング資産の引き出しが可能になるため、一部では売り圧力の上昇が警戒されている。直近のイーサリアムは強い値動きとなっているが、イベント前後には短期的に売りが強まる恐れはあるだろう。その他のアルトコインも物色される中、ビットコインのドミナンスが低下しており、過熱感から急落が起こることも考えられる。

一方で、我々は、イーサリアムのステーキング資産の引き出しによる相場への影響は限定的と予想する。ビットコインのマイナーのように、イーサリアムのステーキング参加者が一部報酬を売って手元資金を確保する動きはあるだろう。しかし、イーサリアムへの信頼が損なわれないうちはステーキングから完全撤退することは考えづらい。むしろステーキングの制限が解消されることで新規参入が増えることが考えられる。

ビットコインのマイニングが中核事業として成立していることを踏まえると、ステーキングも然り、暗号資産では取引検証者としてエコシステムに貢献することが最もリスクを抑えて収益を上げる方法ともいえる。

直近上値としてBTC=380万円(29,000ドル)、下値としてBTC=341万円(26,000ドル)を意識する。

※1ドル=131.00円で換算(2023年4月7日執筆時)

今週のオンチェーン指標:Total Value Staked

概要

Total Value Staked(TVS)は、現在合計でどの程度の資産がステーキングされているかを見ることができる指標です。

ステーキングとは、一定量以上の資産をブロックチェーン上に預け入れる(コントラクトにロックする)ことで取引検証者としてエコシステムに参加することを指します。参加者は取引検証の報酬として新たに発行されるトークンとブロックに含まれる取引手数料を受け取ることができます。

TVSが大きいほど、ネットワークが堅牢化するため、ブロックチェーン全体のセキュリティが高いということができます。またステーキングの参加者が分散しているほど、単一障害点51%攻撃のリスクが小さいと評価することができます。ステーキングすなわち売り圧力の減少と捉えることもできるため、TVSの大きい暗号資産ほど、価格変動に強いとみなすこともできます。

イーサリアムがステーキングによる取引検証の仕組み(Proof of Staked)を採用する暗号資産としては最も有名です。イーサリアムでは、現在ステーキングしているETHを解除することができませんが、4月13日に実施される「上海(Shapella)」アップデート」によって参加者が資産を引き出せるようになります。イベント通過後にイーサリアムのTVSがどのように変化するのか要注目です。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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