マネックスクリプトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表:万代惇史、以下「マネックスクリプトバンク」)は、「ブロックチェーンゲームのビジネスモデル分類と収益推定」と題し、Axie InfinityやSplinterlandsなど人気ゲームの収益モデルを分析したレポートを配信開始しました。本レポートの購読者にはブロックチェーンゲームの損益計算シュミレーションシートも配布します。
レポート概要
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レポートテーマ
ブロックチェーンゲームのビジネスモデル分類と収益推定
目次
- ブロックチェーンゲームとは?
- BCG収益モデルにおける2つの型
- マーケットプレイス型
- Axie Infinity
- Alien Worlds
- NFT販売型
- Splinterlands
- Benji Bananas
- その他の収益ポイント:トークンセール
- マーケットプレイス型
- BCGの優位性は?
- 実務者のためにー財務会計上の課題
- 今後のBCGのあり方は?
- さいごに
ブロックチェーンゲームとは?
ブロックチェーンゲーム(BCG)とは、ブロックチェーン技術を利用して作られたゲームのことです。ブロックチェーン技術にはNFTやトークンといった要素が含まれています。
BCGではこれらのブロックチェーン技術がゲーム内アセットを構成する要素として用いられていますが、ブロックチェーン技術自体が比較的新しい技術であること、既存のゲーム会社にとってはあまり馴染みのない技術であることから、プロジェクト全体としてどこに収益ポイントが存在するのか、どこにコストが発生するのかが分かりづらくなっています。
どのような収益モデルをとっているのかが見えにくいということは、既存BCGについての評価や新規BCGプロジェクトの企画を実施する上での大きな障壁になっていると考えられます。これらの現状から、私たちはBCGにおける収益モデルを明確にする必要があると考えました。
本レポートでは、まず現状のBCGの収益モデルを2つに分類することから始めます。次に、それぞれの収益モデルについて損益計算書(PL)の形で詳細に分析していきます。同時に各収益モデルの特徴から、それぞれの型のメリット・デメリットについても検討していきます。財務会計上の課題やBCG特有のメリットについても説明した上で、総括として今後BCGをどのように展開すべきかについて考察を加えていきます。
BCG収益モデルにおける2つの型
本レポートでは、「どの収益ポイントによる売上高が最も大きいか」によって収益モデルの「型」を決定することができると考えてみることにします。収益モデルの型の分類基準を「どの収益ポイントを採用しているか」に定めなかったのは、複数の収益ポイントを合わせて収益モデルを構築しているBCGが存在するためです。
収益モデルの型を分類するために、さっそくBCGにおける収益ポイントを見てみましょう。現状のBCGには、以下の3つの収益ポイントが存在すると考えられます。
- NFTマーケットプレイスでの二次流通によるロイヤリティ収益
- 新規NFTコレクションの販売益
- トークンセールによる収益
ただし、これらの収益ポイントのうち「トークンセールによる収益」については資金調達手段としての側面が強く、ゲーム性にあまり関与しない補助的な収益ポイントとなっています。単体では収益モデルを構築しづらいという点においても、「トークンセールによる収益」は収益モデルの分類を決定するための要素からは除外するべきであると考えられます。トークンセールの詳細については、その他の収益ポイントとして後ほど解説します。
以上より、収益モデルの型の分類基準として用いられる収益ポイントは「NFTマーケットプレイスでの二次流通によるロイヤリティ収益」と「新規NFTコレクションの販売益」の2つであると考えられます。したがって、現状のBCGにおける収益モデルには以下の2つの型が存在すると推測できます。
マーケットプレイス型
- NFTマーケットプレイスでの二次流通によるロイヤリティ収益が最も大きい収益モデル
NFT販売型
- 新規NFTコレクションの販売益が最も大きい収益モデル
BCGタイトルのひとつであるSplinterlandsを例として、収益モデルの型に分類する過程を見てみましょう。SplinterlandsはNFTマーケットプレイスでの二次流通によるロイヤリティ収益、新規NFTコレクションの販売益、トークンセールによる収益の3つの収益ポイントを合わせた収益モデルを構築しています。また、各収益ポイントごとの売上高を参照すると新規NFTコレクションの販売益が最も大きくなっています。したがって、Splinterlandsは「3つの収益ポイントが存在するNFT販売型の収益モデル」を採用していると解釈することができます。
なお2022年に国内でも話題となったBCGタイトルであるSTEPNについては、STEPNが利用しているブロックチェーンであるSolanaがEVM(Ethereum Virtual Machine)互換性を持たないこと、NFTのコントラクトアドレスが公開されていないこと、二次流通市場がアプリ内の独自マーケットプレイスに限定されることなどの要因からNFT取引高に関するオンチェーンデータを取得することが困難であったため、本レポートでは分析対象から除外しています。
しかしながら、STEPNが次世代のBCGにおける収益モデルの型を発明したというわけではないということは留意しておく必要があります。STEPNも他のBCGタイトルと同じようにNFTマーケットプレイスでの二次流通によるロイヤリティ収益、新規NFTコレクションの販売益、トークンセールによる収益の3つの収益ポイントを利用しており、収益モデル自体はマーケットプレイス型とNFT販売型のどちらかに分類することができます。収益モデルの分類を確定させることができないのは、前述したようにNFT取引高に関するオンチェーンデータを取得することが困難であるためです。STEPNにおけるロイヤリティやマーケットプレイス手数料はそれぞれ4%と2%であることが公開されているため、NFT取引高を取得することができれば、各収益ポイントごとの売上高を推定して収益モデルの分類を確定させることができます。STEPNは、既存のBCGにおける収益モデルの型を流用しながら、Move to Earnという新しいゲームシステムを採用したことによってマスアダプションに成功したBCGであるといえるでしょう。
さて、以上を踏まえて2つの収益モデルの型にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれの型について、代表的なBCGの損益計算書(PL)と合わせて詳しく見ていきましょう。
Splinterlandsの損益推定(抜粋)
MCB RESEARCH刊行にあたって
最近では「web3」と呼ばれる次世代のインターネットが世界的に注目され、日本においても政府が骨太方針の中でweb3環境の整備を推進している。web3とは、人によって捉え方は様々だが、ブロックチェーンを基盤とするP2P型のインターネットを指し、その上では暗号資産の技術を活用した様々なデジタル資産がやり取りされる。
今やweb3は暗号資産やブロックチェーンを盛り上げるインターネットのトレンドワードとして存在している。世界中の企業がweb3における新しい事業の可能性を模索する中、分散型金融(DeFi)やノンファンジブルトークン(NFT)、自律分散型組織(DAO)、メタバース、ブロックチェーンゲームなどといった多くのテーマが登場している。しかし、これらのテーマを含むweb3の到来によって各業界のビジネスがどのように変化しうるかについては明らかではない。
そこでマネックスクリプトバンクではweb3の各テーマに関するリサーチおよび研究内容をまとめたレポート「MCB RESEARCH」を刊行することにした。本誌ではweb3全般の技術動向に着目した「TECH」シリーズと、暗号資産のマーケット動向に関連した「CRYPTO」シリーズなどに分けて内容をお届けする。
なお本誌は、価格変動の伴う暗号資産やNFTについて取り上げるが、客観的な情報提供を第一義としており、ここで取り上げる暗号資産等の売買を推奨するものではない。読者が本誌の内容を投資判断に活用する場合には、弊社は一切の責任を負わないものとする。
レポート概要(再掲)
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問い合わせ先
info●cryptobk.jp(●を@に変えて送信してください)
担当:松嶋、宮本
マネックスクリプトバンク株式会社について
マネックスクリプトバンク株式会社は、2017年12月に設立され、暗号資産やブロックチェーンのサービスに関する調査、研究、企画、開発及びコンサルティングを提供しています。東証一部上場企業であるマネックスグループ株式会社の100%子会社であり、暗号資産・WEB3・ブロックチェーンに関するニュースレターやリサーチ、相場展望を配信している他、ビットコインがもらえる二ュースアプリ「Cheeese」などのサービスを運営しています。