#103:MetaMaskが暗号資産デビットカード「MetaMask Card」の先行リリース版を提供開始

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注目トピックス解説

MetaMaskが暗号資産デビットカード「MetaMask Card」の先行リリース版を提供開始

コメント:宮本

MetaMaskを提供するConsensysは8月14日、MetaMask内の暗号資産を用いて支払いができるデビットカード「MetaMask Card」の先行リリース版を提供開始しました。

MetaMask CardのブランドはMasterCardとなっており、現時点ではEUおよび英国の一部ユーザーのみが発行可能となっています。支払い方法として用いることができる暗号資産についても、Consensysが展開するレイヤー2であるLinea上のUSDC、USDT、WETHに限定されています。

また、MetaMask Cardの発行にあたり、英Baanx社と提携を行ったことも発表されています。Baanxは以前からハードウェアウォレットを提供するLedgerと提携して「Crypto Life Card」という暗号資産プリペイドカードを発行しており、 このシステムを一部利用する形でMetaMask Cardについても発行されることが明らかになっています。

MetaMask Cardが持つ従来の暗号資産カードとは異なる特徴として、MetaMaskから直接暗号資産が引き落とされるようなデビットカードになっているということが挙げられます。これまで暗号資産を支払い方法として用いることができるカードとしては、先述したCrypto Life Cardや、分散型暗号資産取引所(DEX)アグリゲーターである1inchが提供する1inch Card、Coinbaseが発行するCoinbase Cardなどがありました。一方で、これらのカードはすべて事前にチャージを行うプリペイドカードとなっており、MetaMask Cardのようにチャージなしで支払いを行うことができるデビットカードはほとんど存在しませんでした。

MetaMaskが暗号資産カードに参入した背景としては、暗号資産から法定通貨への交換が発生するため、スプレッドによる収益を確保できるということと、自社保有レイヤー2であるLineaの利用を促進できるということの2点があると推測されます。1点目のスプレッドによる収益については従来の暗号資産カードの発行元にも共通するメリットとなっており、このメリットが存在するために暗号資産カードの発行元は暗号資産取引所(CEX)やDEX、ウォレットなどの法定通貨と暗号資産との交換が行われるようなサービスを同時に展開していることがほとんどです。

このように、発行元については様々なメリットがある暗号資産カードですが、ユーザーサイドにとってはデメリットも存在すると考えられます。デメリットの1つとして挙げられるのは税金の問題です。暗号資産を支払い方法として用いるカードを利用した場合、暗号資産から法定通貨への交換が行われるため、その時点における価額と取得価額に差がある場合には損益が発生します。こうした損益は課税対象となるため、ユーザーにとっては金銭的・時間的コストが発生する可能性があります。

2つ目のデメリットとして挙げられるのはガス代の問題です。MetaMask Cardの場合、取引の決済のためにガス代が発生するため、 少量のETHをLinea上に確保しておく必要があることが明記されています。Lineaはレイヤー2であるためEthereumほどガス代は高額ではありませんが、それでも取引に追加のコストがかかるため、ユーザーにとってはこれもデメリットであると考えられます。

MetaMask Cardは今後EUおよび英国以外の地域にも拡大することを表明していますが、上記のようなデメリットも存在するため、需要は限定的なものになるかもしれません。

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経済産業省のWeb3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業に6つの事業者が採択

コメント:勝山

Web3・ブロックチェーン技術の社会実装と受容を加速させることを目的とした経済産業省の実証事業において、6つの事業者の提案が選ばれた。

この事業が行われる背景として、Web3.0・ブロックチェーン技術は将来的なポテンシャルを秘めた技術であるものの、「実利で動く民間事業者にとって価値が見えづらい」「インフラ構築は公共性が高く民間事業者のみで取り組む経済合理性が低い」「ルール整備は進んでいるが依然として複雑・不明瞭な部分も多い」といった課題により、社会実装/社会受容が十分に進んでいない状況がある。

これらの課題を解決するために、本事業では、産業や社会における課題解決に資する公共性の高いユースケースを設定し、各業界または業界横断的にWeb3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財の構築を支援する。この支援を通じて、民間事業者にとっての具体的なメリットや手法を明確にし、業界全体のコストやリスクを低減させることを目指す。また、デジタル公共財としてのデータ標準やデータ連携基盤の構築、ガイドラインやルールの整備を進め、投機的なビジネスにとどまらない新たなユースケースの創出を促進し、Web3.0・ブロックチェーン技術の社会実装と受容の加速を図る。

これらの目的を達成するために、5つのテーマが事前に定められ、事業者からの提案型で公募が行われた。以下、選出された6つの事業者とテーマタイトルである。なお、テーマ②「資源循環システムの自律化・強靱化のための情報プラットフォーム構築」 は該当企業無しとなっている。

例えば、NTTドコモの子会社であるNTTDigitalは、同事業の公募テーマ①-2「現物資産や無形資産のデジタル化市場(発行・流通市場)構築」に対して、NTTDIgitalが賛同企業と取り組む共創プロジェクト「web3 Jam」の取り組みを提案し、実証事業業務を受託した。

 「web3 Jam」とは、複数の賛同企業がブロックチェーン技術を活用して連携することにより、社会的なテーマにおける共創の方法を検討・実施するプロジェクトである。NTTドコモの他、味の素、アサヒ飲料、コナミデジタルエンタテインメント、JR九州、三菱地所、サンリオ、東京ドーム、ヤマハ発動機など大手企業14社が同プロジェクト発足時より参画している。

活動例として、JR九州では、web3 Jamプロジェクトの一環で、NFTを活用した地方創生の取り組みを検討している。NFTの配布や販売を通じて、九州の魅力や楽しみ方を新たな形で提案し、地域の活性化や観光促進に貢献することを目指している。

このようにweb3 Jamでは、異業種の企業が協力し、各社の強みを生かすことで、単独では実現が難しい革新的なソリューションが生まれることが期待されている。

他にも、今回の経済産業省の実証事業では、国内におけるWeb3.0・ブロックチェーン技術を活用した代表的なプロジェクトが選ばれている。官民連携で推進されている内容がどのようなものなのかを知ることで、日本のWeb3・ブロックチェーン技術の課題感や立ち位置も見えてくるだろう。

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※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

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担当:松嶋

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