今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは、トランプ・ラリーへの期待が高まり、米国株とともに堅調に推移した。米国のビットコイン現物ETFに連日で数億ドル規模の資金が流入しBTC=1,017万円(65,000ドル)を上抜けた。
- 来週のビットコインはトランプ氏の再選への期待で買いが継続する可能性がある。S&Pやナスダックの急落には要警戒。23日にイーサリアム現物ETFは上場なるか。直近、上値としてBTC=1,095万円(70,000ドル)、下値としてBTC=939万円(60,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:トランプ・ラリーへの期待で堅調に推移
ビットコインは、トランプ・ラリーへの期待が高まり、米国株とともに堅調に推移した。
米国では、トランプ氏がペンシルベニア州での演説中に銃撃されるという衝撃的な事件が起こり、社会的な動揺が広がった。しかし、同氏の無事が大々的に報じられると再選への期待が高まり、米国株が続伸する中でビットコインの買いも強まった。これまで下落要因として懸念されてきたドイツ政府による売りも一服し、市場では安心感が広がった。
15日には米国の共和党大会でトランプ氏が正式に大統領候補者として決定した。また、パウエルFRB議長が講演で米国のリセッション回避やインフレ抑制について前向きな発言を行い、9月利下げ観測が高まった。ブラックロックCEOがビットコインをデジタルゴールドとして評価する発言も注目された。これらにより米国のビットコイン現物ETFに連日で数億ドル規模の資金が流入しBTC=1,017万円(65,000ドル)を上抜けた。金が高騰して史上最高値を更新する中、一部ではデジタルゴールドとしての買いも入り一時BTC=1,033万円(66,000ドル)まで価格を伸ばした。
その後は、マウントゴックス関連の売り圧力への懸念が再燃したことや、S&Pとナスダックが対中半導体規制の強化に関する報道を受けて急落したことなどを理由に、上値が重くなった。
今週のトピックス
金融市場
- トランプ氏を共和党の大統領候補に正式指名、副大統領候補にバンス氏
- パウエルFRB議長、最近のデータでインフレに関する自信深めた
- 米、対中半導体規制で最も厳格な措置検討と同盟国に警告-関係者
- バイデン氏への撤退圧力増す、立候補継続危ぶまれる様相-米大統領選
暗号資産市場
- 「BUSDは有価証券ではない」パクソス、米SECの調査が終了したことを発表
- イーサリアム現物ETF、23日に米国で取引開始か=報道
- ドイツ政府売り終了か、ビットコイン残高ゼロに
- ブラックロックCEO、ビットコインの「デジタル・ゴールド」としての役割を評価
- DMMビットコインの不正流出、北朝鮮ハッカー集団「ラザルス」が関与か
- マウントゴックス、5000億円相当のビットコインをクラーケンに送金か
来週の相場予想
BTCはトランプ氏再選への期待で買いが継続する可能性、ETH現物ETFは上場なるか
米国では、トランプ氏の再選への期待が高まり、それを織り込む形で株式市場の堅調な値動きが続いている。共和党が政策綱領案で暗号資産を支持する姿勢を正式に表明し、共和党勝利のムードが広がる中で暗号資産も同様に買いが継続することは考えられる。一方でS&Pやナスダックについては大型株から小型株へのシフトが強まっており、物色買いが一服した後に急落し、暗号資産も連れ安する可能性には警戒が必要である。
米国では23日にもイーサリアム現物ETFの取引がスタートすると報じられている。取引開始日については、今月に入ってからアナリストの予想が度々後ろ倒しになっており、その信ぴょう性が薄れつつある。そのため8月にずれ込む可能性も念頭に置いた方が良いだろう。いずれにせよ正式に上場するのは時間の問題であり、新たな資金流入によって相場全体を押し上げることが期待される。
直近、上値としてBTC=1,095万円(70,000ドル)、下値としてBTC=939万円(60,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、4-6月期四半期実質国内GDP<速報値>(7/25)
- 米国、6月個人消費支出(7/26)
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