#99:EU暗号資産規制(MiCA)のステーブルコイン規制が適用開始、対応分かれる発行体

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注目トピックス解説

EU暗号資産規制(MiCA)のステーブルコイン規制が適用開始、対応分かれる発行体

コメント:宮本

EUにおける暗号資産規制であるMiCA(Markets in Crypto Assets)のうち、ステーブルコインに関する規制の適用が6月30日から開始されました。

MiCAは2023年5月に欧州理事会により承認された暗号資産規制に関する枠組みです。MiCAでは暗号資産について、電子マネートークン(EMT:e-money tokens)と資産参照トークン(ART:asset-referenced tokens)、その他の暗号資産という3つに分類した上でそれぞれに対して規制を定めています。まずはこの3つの分類について見ていきましょう。

EMTは、単一の法定通貨を裏付け資産とすることで価値を安定させたトークンのことです。従来の電子マネーとしての枠組みの中で発行されるため、銀行などの信用機関または電子マネー事業者(EMI)のみが発行できると定められているのも特徴のひとつです。このほかにも、保有者からの要請があった際には額面価格で償還を行わなければならないとする償還請求権なども 明記されています

ARTは、1つ以上の法定通貨やコモディティ、暗号資産などを裏付け資産とすることで価値を安定させたトークンのことです。こちらも償還請求権が明記されていますが、額面価格ではなく裏付け資産の市場価格で償還するか、裏付け資産をそのまま引き渡すことによって償還するかのいずれかとなることが 示されています

その他の暗号資産は、EMTにもARTにも該当しない暗号資産全般のことを指しています。このため、ビットコインやイーサリアムなどもその他の暗号資産に該当すると考えられます。

ステーブルコインについては、主にEMTに該当するものとARTに該当するものの2種類が存在すると考えられています。例外として、アルゴリズム型(無担保型)のステーブルコインはその他の暗号資産に該当します。

MiCAの適用については段階的なものとなっており、EMTおよびARTについての規制は2024年6月30日からの適用、その他の規制は2024年12月30日からの適用となることが EUR-Lex(EU法データベース)上のMiCAに関する概要において以前から示されていました。

ステーブルコインの発行体としていち早くMiCAへの対応を表明したのは、USDCを発行する米Circle社です。Circleは7月1日に MiCAへ準拠するためのライセンスを取得したことを発表しています。フランス法人にて電子マネー事業者のライセンスを取得したことによりMiCAへの準拠を達成したと発表しているため、CircleはEMTとしてUSDCやEURCなどのステーブルコインを発行するものと推測されます。

一方で、USDTを発行する Tether社はMiCAに対して懸念を表明するなど、MiCAへの準拠については現時点では消極的なスタンスを取っています。

世界最大の暗号資産取引所であるBinanceは、EU加盟国を含む欧州経済領域(EEA)のユーザーについて、 MiCAに準拠していないステーブルコインの利用を制限することを発表しています。Binance以外の暗号資産取引所についてもEU圏内において同様の制限を開始する可能性が高いと考えられ、今後EU圏内においてUSDTからUSDCへのスワップが活発になることが予想されます。

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イギリスで14年ぶりに政権交代~仮想通貨政策への影響は?~

コメント:青木

イギリスでは7月4日、総選挙が行われ、労働党が保守党から14年ぶりに政権を奪還し、労働党のキア・スターマー氏が新首相に就任することになりました。この総選挙は英国の暗号資産市場にどのような影響を与えるのでしょうか。暗号資産政策に焦点を当てて見ていきましょう。

保守党はこれまで、英国をグローバルな暗号資産ハブにすることを目指し、規制の明確化に努めてきました。2023年には暗号資産を金融商品として認識する法律を可決し、さらに2024年7月には暗号資産と決済ステーブルコインの規制枠組みを導入する計画を立てていました。この規制枠組みは、英国金融行動監視機構(以下、FCA)が暗号資産を監督する体制を強化し、消費者保護と市場の健全性を確保するためのものでした。

具体的には、暗号資産取引所および関連サービス提供者に対してFCAへの登録を義務付けるとともに、AMLおよびKYC規制の遵守を求める内容です。また、消費者保護の観点から、暗号資産の購入や取引において消費者に対するリスク開示を徹底し、適切な投資アドバイスと情報提供を義務付けています。さらに、市場健全性の確保のために、マーケットメイキングや価格操作などの不正行為に対する厳格な監視体制を整備し、取引所の定期的な監査と報告を義務付ける計画です。

一方、今回の選挙で与党となった労働党は、暗号資産に関する具体的な政策を明示していませんが、トークン化、不動産のトークン化、オープンバンキング、中央銀行デジタル通貨などのテーマに焦点を当て、金融の包括性を高める意向を示しています。

この総選挙による与党の交代に伴い、保守党が計画していた暗号資産と決済ステーブルコインの規制枠組みの導入が数か月遅れる可能性があると専門家は指摘しています。

CryptoUKのボードアドバイザーであるイアン・テイラー氏は、アジアやヨーロッパが暗号資産規制で先行していることに対し、英国の規制が遅れることに対して国際競争力の観点から懸念を示しています 。

今回の総選挙は暗号資産市場における英国の地位に多少なりとも負の影響を与えそうです。今後、英国がどのようにこの影響を払拭していくのか、新政権の動向から目が離せません。

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※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

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担当:松嶋

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