今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは、特定機関による大口売却への懸念から下落したが、米国の現物ETFへの資金流入が強まり底堅く推移した。
- 来週のビットコインは米国のイーサリアム現物ETFの動向次第で買い戻し優勢の展開を予想する。共和党大会におけるトランプ共和党大統領候補の発言にも注目したい。直近、上値としてBTC=969万円(60,000ドル)、下値としてはBTC=888万円(55,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:現物ETFへの資金流入が強まり底堅く推移
ビットコインは、特定機関による大口売却への懸念から下落したが、米国の現物ETFへの資金流入が強まり底堅く推移した。
ドイツ政府やマウントゴックス債権者による売り圧力が警戒され、一時BTC=872万円(54,000ドル)付近まで大きく下落した。しかし、6月米雇用統計が利下げ観測を高める内容になり、ナスダックとS&Pの史上最高値更新が続く中で買い戻しが強まった。
ドイツ政府による売却継続が報じられ再び下落する場面はみられたが、米国の共和党が政策文書の中で暗号資産を支持する姿勢を正式に示し、トランプ共和党大統領候補によって暗号資産に対する方針が見直されるとの期待により反発した。また、パウエルFRB議長の議会証言では時期の明言を避けながらも利下げ方針を維持し、米国株とともに堅調に推移した。数億ドル規模の現物ETFへの資金流入もあり、BTC=953万円(59,000ドル)付近まで価格を伸ばした。
その後、6月米消費者物価指数ではインフレ鈍化を示唆する内容となったが、大型株の売りに伴ってナスダックが急落したこともあり、上値の重い展開となった。ブラックロックらがイーサリアム現物ETFの申請書を修正する動きもあったが相場の反応は限定的だった。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用統計、雇用者数と賃金の伸び鈍化-失業率は4.1%に上昇
- 仏下院選、左派連合が予想外の勝利-マクロン氏に二つの選択肢
- パウエル議長、雇用市場のリスクを指摘-利下げ時期ヒント与えず
- クックFRB理事、米データはこれまでのところ経済軟着陸と合致
- パウエルFRB議長、確信は「まだ」-2%への持続的インフレ率低下
- 米CPIは広範囲に鈍化、総合指数が低下-利下げの論拠強まる
暗号資産市場
- マウントゴックス、10年越しに債権者へのビットコイン返済を実施
- 英国で労働党に政権交代 仮想通貨政策の行方は?
- 米共和党が正式に仮想通貨を支持、トランプ氏の発言を裏付け
- ドイツ政府のビットコイン売り1日最多、16,000 BTC以上
- 米ビットコインETF、今週の純流入額はドイツ政府売却額上回る
- ゴールドマン・サックス、3つのトークン化ファンドを年内公開予定か
- ブラックロック、イーサリアムETFの新たな申請書(8-A12B)を提出
来週の相場予想
BTCはETH現物ETFの動向次第で買い戻し優勢を予想、トランプ共和党大統領候補の発言にも注目
米国の利下げ観測が高まる中、米国株の強い値動きが続いている。これを受けてビットコインの現物ETFへの資金流入が勢いを増しており、米国株との正相関の傾向が戻りつつある。ドイツ政府等による売却が継続し上値を抑えられる可能性はあるが、米国株が続伸した場合はビットコインも同様に買いが入るだろう。
マウントゴックスの弁済開始後、債権者による目立った売りは確認されておらず、相場への影響は限定的と予想する。また、中小マイナーの撤退に伴う売りも次第に落ち着き、ハッシュレートの回復とともに相場は底打ちするだろう。
米国では、ブラックロックらがイーサリアム現物ETFのS-1フォームに修正を加える中で、来週にも取引が始まるのではないかと予想されている。正式に上場した場合は相場を押し上げる可能性がある一方で、先延ばしになれば材料乏しくもみ合いの展開が続くと思われる。
その他、来週は米国共和党大会が開催される。党として暗号資産を支持する姿勢を正式に表明し、トランプ共和党大統領候補がどのような発言をするのかが注目される。
直近、上値としてBTC=969万円(60,000ドル)、下値としてはBTC=888万円(55,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、共和党大会(7/15-18)
- 米国、6月小売売上高(7/16)
- ユーロ圏、6月消費者物価指数<改定値>(7/17)
- ユーロ圏、ECB理事会(7/18)
- 日本、6月全国消費者物価指数(7/19)
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