今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは、現物ETFへの資金流入とともに買いが強まる場面もみられたが、特定機関による大口売却への懸念が強く、軟調な展開が続いた。
- 来週のビットコインは、マウントゴックスや各国政府、マイナーらによる売却懸念が根強いが、底入れは近いと予想する。米国におけるイーサリアム現物ETFの承認が鍵となるか。直近、上値としてBTC=1,030万円(64,000ドル)、下値としてはBTC=886万円(55,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:各国政府等による売却懸念で軟調継続
ビットコインは、現物ETFへの資金流入が回復し買いが強まる場面もみられたが、特定機関による大口売却への懸念が強く、軟調な展開が続いた。
注目されたバイデン大統領とトランプ前大統領の第一回候補者テレビ討論会は、暗号資産について触れられることはなく、期待外れの内容となった。ソラナが米国における現物ETFの申請を受けて急騰したが、相場全体への影響は限定的となった。
このような中、米国ではPCE指数やISM関連指数が鈍化傾向となり、9月利下げ観測が高まった。これを受けて米国株の上昇が継続し、ビットコインも現物ETFへの資金流入が増加し一時はBTC=1,014万円(63,000ドル)付近まで上昇した。
しかし、マウントゴックスの7月弁済開始に伴うビットコインの売却を警戒する動きがあり、上値は重くなった。また、米国政府やドイツ政府が犯罪等で押収したビットコインを市場で換金しているとの指摘もあり、たちまち売りが強まった。
米国では7月4日までにイーサリアム現物ETFが正式に承認されると予想されていたが、今週はその動きがなかった。これにより失望売りも加速し、米雇用統計の発表を前にBTC=934万円(58,000ドル)付近まで下落した。
今週のトピックス
金融市場
- 米PCEコア価格指数、5月は伸び減速-年内利下げの論拠補強
- パウエル議長、最新データを歓迎-利下げにはさらなる確信必要
- トランプ氏、手元資金でバイデン氏を逆転-4~6月は3.31億ドル調達
- バイデン氏、散々な討論会は過密な外交日程が原因-不安払拭に務める
- 米ISM製造業景況指数、3カ月連続で活動縮小-仕入れ価格低下
- 米ISM非製造業景況指数、6月は活動縮小示唆-4年ぶり低水準
- FOMC、インフレ鈍化のさらなる証拠を待つ-6月議事要旨
暗号資産市場
- VanEckに続き21シェアーズもソラナ現物ETFの上場を申請
- メタプラネット、2億円相当のビットコイン買い増し
- 米・ドイツ政府、ビットコインの大口売り継続
- MiCA準拠で初の世界的ステーブルコイン発行者に──米サークルに許認可
- 米イーサリアム現物ETF、来週にも登場する可能性
来週の相場予想
BTCは各国政府等による売却懸念が根強いが底入れは近いと予想、ETH現物ETFの承認が鍵か
米国では、インフレ鈍化を示唆する経済指標の発表が相次ぎ、利下げ観測が高まる中で米国株の史上最高値更新が続いている。この動きに反してビットコインは売りが先行しており、リスク資産としての投資妙味が薄れつつある。このまま金融市場におけるビットコインへの関心が弱まれば、現物ETFをきっかけに入ってきた資金が流出し、さらに下落することが考えられる。
一方で、マイニングのハッシュレートが7月に入って下げ止まっていることを考えると、4月半減期以降の中小マイナーの撤退が一服した可能性がある。各国政府およびマウントゴックス関連のビットコイン売却も下落トレンドでは過度に懸念される傾向があるが、徐々に売りをこなす中で相場の底が見えてくるだろう。
また、米国のイーサリアム現物ETFの取引が今月中にスタートするか否かによって相場の回復具合が大きく左右されると予想する。承認が8月以降に後ろ倒しになった場合は、ビットコインとイーサリアムともにさらなる売りを警戒する必要があるだろう。
直近、上値としてBTC=1,030万円(64,000ドル)、下値としてはBTC=886万円(55,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、6月消費者物価指数(7/11)
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