#97:TONブロックチェーンのTVLが過去最高額を記録、Tap-to-Earnゲームブームが影響か

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注目トピックス解説

TONブロックチェーンのTVLが過去最高額を記録、Tap-to-Earnゲームブームが影響か

コメント:宮本

6月17日、TONブロックチェーンのTVL(Total Value Locked:合計預かり資産)が6億ドルを超え、過去最高額を記録したとする報道がありました。

TVLはブロックチェーン上に存在する分散型金融(DeFi)サービスに預け入れられた資産の合計額を示したものです。ブロックチェーンごとのTVLを確認することで、どのブロックチェーンがユーザーに利用されているかを把握することができます。

TONは大手メッセージングアプリ「Telegram」を提供する非営利団体Telegram Messanger(以下Telegram)によって開発がスタートしたレイヤー1ブロックチェーンです。当初は「Telegram Open Network」という名称で開発が進められていましたが、独自トークンのICOを争点として米国証券取引委員会(SEC)からの告発を受けたことで、2020年6月にTelegramはTONの開発から撤退しました。

その後「TON Foundation」というオープンソースコミュニティに開発が引き継がれ、2021年に「The Open Network」という名称でメインネットが公開されたという経緯があります。

TONのTVLはメインネット公開後長らく低迷していましたが、2024年3月以降に入り急激な増加を見せています。以下のグラフは DefiLlamaから引用したもので、TONの2024年におけるTVL推移を示したものです。

6月17日現在のTVLは約6億ドルとなっており、Polygon(約8.5億ドル)やAvalanche(約7.2億ドル)、Optimism(約7億ドル)などといった主要EVM系チェーンのTVLに迫る勢いとなっています。2024年3月以前は0.2億ドル前後を推移していたことから、驚異的な伸び率であるといえます。

ここまで急激にTVLが増加した要因として、Telegram上でプレイすることができる、NotcoinやHamster Kombatなどといったゲームがブームとなったことが挙げられます。

Notcoinはクリッカーゲーム(クリックしたりタップすることでポイントが増えていくゲーム)で、金貨の画像をタップすることでポイントを増やしていくシンプルなゲームです。増やしたポイントに応じてTON上の独自トークンであるNOTトークンがエアドロップ(配布)されたことで、「Tap-to-Earn」ゲームと呼ばれるようになりました。

6月17日時点ですでにゲームをプレイすることはできなくなっていますが、TelegramのCEOであるPavel Durov氏の 投稿によると、ボットを含んでいる可能性はあるものの、Notcoinのアクティブユーザー数は5月17日時点で3,500万ユーザーを超えていたとされています。

現在でもプレイ可能なTap-to-Earnゲームとしては、Hamster Kombatと呼ばれるゲームが盛り上がりを見せています。こちらもボットを含んでいる可能性はあるものの、 公式Xアカウントの投稿によると、Hamster Kombatのユーザー数は6月11日時点で1億4200万ユーザーを超えているようです。Hamster Kombatはまだ独自トークンを発行していないため、厳密にはTap-to-Earnゲームではありませんが、 公式サイト上のロードマップでは2024年7月に独自トークンの発行を予定していることが記載されています。

Tap-to-Earnゲームブームを契機として盛り上がりを見せるTONですが、継続的なTVLの成長には持続可能なエコシステムを構築することが必要不可欠です。一過性のブームで終わるのかどうか見極めるためにも、独自トークンの価格推移や、ユーティリティの提供状況にも注目していきたいところです。

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マラソンデジタル、マイニングで生じた放熱でフィンランドの町全体を暖めるプロジェクトを開始

コメント:泉

米国のマイニング企業であるマラソンデジタルは6月20日、 公式Xにてマイニングで生じた放熱をフィンランドの町全体における暖房に活用するプロジェクトを発表しました。

マラソンデジタルは米国の大手マイニング企業で、ビットコインマイニング施設の運用および所有を行っています。また、 ケニア共和国のエネルギー石油省(MOEP)と再生可能エネルギープロジェクトを立ち上げたり、 廃棄物の埋立地から回収したメタンガスによって発電した電力をビットコインマイニングに活用するプロジェクトを立ち上げるなど、環境に配慮した上でのマイニングについても模索しています。

こうした環境への取り組みの一環として、今回新たにフィンランドのサタクンタ州に居住する11,000人に対して、2メガワット分のマイニングで生じた熱を暖房として提供することを発表した形になります。熱の提供方法としては、1か所のタンクでまとめて水を加熱した後に、その水を地下のパイプ網を通じて各住居に提供するというものです。今回発表されたプロジェクトについて、注目するべきポイントが主に2つあります。

まず1つ目は、Web3企業がWeb3に関連しながらも外部の世界にうまく進出している点です。

ビットコインなどのPoWで検証される暗号資産のマイニングについては、大量の電力を使い、さらに熱を発生させるという点において環境への観点から批判されることが多くなっています。マラソンデジタルはマイニング企業の中でも最大級のマイニング量となっており、これに比例して消費している電力や放出している熱の量はかなり大きくなっています。

大量の放熱をインフラサービスとして一般家庭に供給することで、環境問題に取り組みながら、Web3という限られた領域から一般家庭へのインフラというより広範な領域へと進出しているという点は注目すべきであるといえます。

これまでに展開されたマイニングの放熱を利用したビジネスとしては、 ニューヨークのスパ施設である「BATHHOUSE」や、 マイニングができる家庭用暖房ユニット「Heatbit」などが挙げられます。一方で、これらのビジネスはターゲットとするユーザーが小規模で、限られた人が利用しているものにすぎませんでした。対象となるユーザーが多いという点において、インフラにマイニング放熱を活用したことは意義深いといえるでしょう。

2点目は、将来的にCO2を出さない、カーボンニュートラルなマイニングの実現につながる可能性があるという点です。

先述したように、マラソンデジタルは再生可能エネルギーやメタンガスからマイニングに必要な電力を調達しようとしています。また、マイニングによって生じた熱を暖房に利用できれば、本来その暖房のために排出されるはずだったCO2も削減することができます。今回発表した取り組みを合わせることで、マイニングの入口と出口の部分でそれぞれCO2の削減を行うことが可能になります。

ESG投資がトレンドとなった昨今において、このような取り組みをすることで投資家たちの注目を集めることができるため、資金調達の面からも利点があるといえます。また、最近はマイニングに限らず、AIに利用されるデータセンターなどからの放熱も問題視されています。このような背景から、ASICやGPUなどの計算処理から発生する熱を利用するプロジェクトの動向については、今後も注目していきたいところです。

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注目の資金調達(6/17~6/23

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Artfi
日付: 06月17日
調達額: —
ラウンド: Undisclosed
投資家: DWF Venturesなど
カテゴリー: NFTs
プロジェクト概要: アートフィは、ブロックチェーン技術を通じて傑作を発見し、収集し、投資するプロセスを簡素化することで、芸術界を革命化しています。従来、芸術収集は特権階級に限られており、芸術市場と歴史を形作ってきました。アートフィは、芸術所有と楽しみの慣行を分散化することで、この排他性に挑戦しています。ファインアートコミュニティをブロックチェーンに参加させることで、アート愛好家が市場に参加する新しい機会を提供します。このパラダイムシフトは、芸術収集を民主化し、よりアクセス可能で透明にします。アートフィを通じて、個人は世界最高の芸術作品と簡単に関わり、芸術の買い手と売り手の関係を変革します。

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担当:松嶋

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