今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインは、現物ETFの資金流入が回復する中、一時はBTC=1,095万円(70,000ドル)を突破したが上値の重い展開となった。
- 来週のビットコインは米雇用統計等次第で相場が左右される。ブラックロックのETH現物ETFが承認されるかにも注目。直近、上値として史上最高値付近であるBTC=1,158万円(74,000ドル)、下値としてBTC=1,017万円(65,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:現物ETFの資金流入で一時上昇するも上値は重い
ビットコインは、現物ETFの資金流入が回復する中、一時はBTC=1,095万円(70,000ドル)を突破したが上値の重い展開となった。
米国で24日にナスダックが利下げ観測の高まりで史上最高値を更新し、ビットコインも同様に買いが強まった。5月米ミシガン大学消費者マインド指数が下方修正され、インフレ見通しが改善した。トランプ前大統領がSNSで暗号資産を支持する声明を発表し話題となったが相場への影響は限定的だった。現物ETFへの期待からイーサリアムの強い値動きが継続し、ETH=63万円(4,000ドル)付近まで上昇した。その中、ビットコインも一時BTC=1,095万円(70,000ドル)を突破したが、イーサリアムとともに上値のトライに失敗した。マウントゴックス関連のビットコインが大量移動したことが伝わると、売り圧力の懸念から、利益確定の売りに押された。しかし、管財人から弁済はまだであることが発表され、安堵感で買い戻しが強まった。その後、ブラックロックがファンドでIBITを購入していたことや、イーサリアム現物ETFの取引開始に必要なS-1フォームを申請したことなどが報じられ、底堅く推移した。
今週のトピックス
金融市場
- 2%物価目標実現へ「注意深く進んでいくつもり」-植田日銀総裁
- 米消費者信頼感、4カ月ぶりに上昇-インフレへの懸念は強まる
- ミネアポリス連銀総裁、利上げの選択肢を完全には排除せず
- 多くの米インフレ指標、目標レンジに向け回帰中-アトランタ連銀総裁
暗号資産市場
- イーサリアムの次期アップグレード「Pectra」 25年第1四半期を目標に
- 米トランプ前大統領「米国は急成長する仮想通貨業界のリーダーでなければならない、2位はありえない」
- ビットコイン法定通貨化などで情報収集──アルゼンチンがエルサルバドルと会合
- マウントゴックスのビットコインが大量移動 売り圧の警戒高まるも「弁済はまだ準備中」
- 2つのブラックロックファンド、1QにビットコインETF購入
- ブラックロックがS-1申請修正、イーサリアム現物ETF実現近づくか
- ニューヨーク証券取引所、ビットコインオプション商品を計画 CoinDeskと提携で
- マスターカード、P2Pの仮想通貨送金ネットワークを開始
来週の相場予想
BTCは米雇用統計等次第で相場が左右される、ブラックロックのETH現物ETFは承認なるか
来週は米国で発表される5月雇用統計およびISM関連指数の結果が相場全体を大きく左右する。いずれも市場予想を上回った場合は、米国金利の上昇に伴う下落を警戒したい。加えて、再び経済の強い印象が広がるため、6月のFOMCにかけて不透明が強まるだろう。逆に鈍化傾向が続いた場合は、9月利下げ開始への期待から米国金利が低下し、リスク資産の買いが強まると考えられる。
米国においてブラックロックが申請しているイーサリアム現物ETFのS-1フォームが承認されれば、再びイーサリアムを中心に暗号資産の価格が上昇することが期待される。ビットコインの時と同様にSECと申請企業との間でやり取りが繰り返されているため、承認は時間の問題であり、期待先行で買いが継続し、承認後に事実売りが強まるケースも想定される。しかし、米国株高を受けて現物ETFの資金流入も戻っており、下落した場合も買戻しによって底堅く推移すると予想する。
直近、上値として史上最高値付近であるBTC=1,158万円(74,000ドル)、下値としてBTC=1,017万円(65,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、5月ISM製造業景況指数(6/3)
- 米国、5月ISM非製造業景況指数(6/5)
- ユーロ圏、ECB理事会が開催(6/6)
- 米国、5月雇用統計(6/7)
- ユーロ圏、1-3月期四半期域内GDP<確定値>(6/7)
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