今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインはもみ合いの展開が続いていた。しかし、米国の主要インフレ指標の鈍化を受けて利下げ観測が高まり、米国株とともに急上昇した。S&Pとナスダックが過去最高値を更新する中、BTC=1,026万円(66,000ドル)付近まで高騰した。
- 来週のビットコインは米国金利の低下が続けば買いが強まると予想する。米国株の上昇を受けて現物ETFの資金流入が強まるかにも注目。直近、上値としてBTC=1,120万円(72,000ドル)、下値としてBTC=933万円(60,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:主要インフレ指標の鈍化を受け、米国株とともに堅調に推移
ビットコインは、米国における主要インフレ指標の鈍化を受けて利下げ観測が高まり、堅調に推移した。
米国ではJPモルガンやウェルズ・ファーゴなど大手金融機関によるビットコイン現物ETFの保有が明らかになった。また、ゲームストップ株の高騰を受けて暗号資産市場でもミームコイン銘柄が強い値動きとなった。これらを受けてビットコインの買いが一時的に強まる場面は見られたが、ボウマンFRB理事やジャファーソンFRB副議長が年内の利下げ開始について慎重な見方を示したことで上値が重くなった。香港のビットコイン現物ETFから大口出金が確認されたことも嫌気された。
14日に発表された4月米生産者物価指数は、市場予想を上回る伸びとなったものの一部の項目が鈍化し、まちまちの反応となった。その後、15日の4月消費者物価指数が前月比で6ヶ月ぶりに鈍化し、年内の利下げ開始への期待から米国株とともに急上昇した。米国金利が急低下する中、S&Pとナスダックは過去最高値を更新し、ビットコインはBTC=1,026万円(66,000ドル)付近まで高騰した。
今週のトピックス
金融市場
- ボウマンFRB理事、年内は利下げないと予想ーインフレ根強く
- ジェファーソンFRB副議長、インフレ鈍化するまで金利据え置きを
- ゲームストップ株の空売り筋、14億ドル評価損抱える-ミーム株復活で
- 米PPI、4月は予想上回る伸び-一部の主要項目は落ち着き示
- 米CPIコア指数、6カ月ぶりに伸び鈍化-年内利下げへの一歩
- 米国債利回り急低下、9月までの利下げ確率は80%超に-CPI受けて
- ミネアポリス連銀総裁、「もう少し長く」金利を維持する必要がある
- シカゴ連銀総裁、ディスインフレを歓迎-さらなる進展必要
暗号資産市場
- 米ARK、イーサリアム現物ETFの申請からステーキング要素取り除く
- 米大手銀ウェルズ・ファーゴ、複数のビットコイン現物ETF銘柄を保有
- JPモルガン、ビットコイン現物ETFの保有が明らかに
- ArbitrumとBase利用のレイヤー3チェーンDegen Chain、24時間以上稼働停止
- トランプ前大統領、10億円相当の仮想通貨を保有か Arkhamが著名人の所有額を比較
- 香港のビットコイン・イーサリアム現物ETFから最大の資金流出
- ビットコイン大量保有のマイクロストラテジー、MSCI世界指数入り
- 暗号資産投資会社ブロックタワーにハッキング、一部資産流出-関係者
- 米ミレニアム、3000億円近くのビットコインETFを保有
来週の相場予想
BTCは米国金利の低下が続けば買いが強まると予想、現物ETFの資金フローにも注目
4月の米雇用統計に続いて米消費者物価指数が鈍化したことを受けて、市場では9月までの利下げ開始が期待されている。その期待で米国金利の低下が続けば、米国株とともにビットコインも堅調に推移することは考えられる。一方、FOMC議事要旨の中で当局者の利下げ開始に慎重な姿勢が示された場合、米国金利が高止まりし、上値は重くなると予想する。
米国では、一部の大手金融機関やファンドがビットコイン現物ETFを所有していることが次々に明らかになり、ビットコイン現物ETFへの資金流入が戻りつつある。この傾向が米国株の上昇の中で強まれば、ビットコインがさらに上昇することは考えられる。一方、マイナー動向や米国の暗号資産関連企業の取り締まりによって上値を抑えられる可能性があり、引き続き注視が必要だろう。
直近、上値として2024年4月高値付近であるBTC=1,120万円(72,000ドル)、下値としてBTC=933万円(60,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、FOMC議事要旨(5/22)
- 日本、4月全国消費者物価指数(5/24)
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