暗号資産・クリプト指標:ステーブルコイン総時価総額(Total Stablecoins Market Cap)とは?

ステーブルコイン総時価総額(Total Stablecoins Market Cap)とは?

ステーブルコイン総時価総額(Total Stablecoins Market Cap:TSMC)は、発行されたステーブルコインの合計時価総額と定義されます。

ステーブルコインについて簡単に補足します。一般的に、通貨は価値交換・価値尺度・価値保存の手段として機能しますが、暗号資産ボラティリティが高いために価値交換の手段としては適していません。そこで暗号資産市場における通貨として登場したのが、価値の安定したステーブルコインです。

ステーブルコインには大きく分けて3つの分類があります。1つ目の分類は、Collateral-Backedといって価値の裏付けとなる担保資産が存在するステーブルコインです。担保となるのは暗号資産や法定通貨、コモディティなどがあります。

2つ目の分類として、Non Collateral-Backedと呼ばれる無担保型のステーブルコインがあります。担保資産に依存せず、取引や発行償還のアルゴリズムによって通貨の価値を安定させます。

最後の分類としてPartial collateral-Backedと呼び、部分的に担保資産があるステーブルコインがあります。これはCollateral-BackedとNon Collateral-Backedの仕組みを合わせたものとなっています。具体的には、通貨の一定割合を担保資産によって裏付け、残りを供給量の調整を行うアルゴリズムによって価値を維持します。

図1 TSMCとTVL

図1は、TSMCとTVL(ブロックチェーン上の預託資産額)の推移を表示したものです。TSMCとTVLは全体的な傾向として正相関にあることが分かります。DeFiを中心とするブロックチェーン上のアプリではステーブルコインが広く使われていることが関係しています。

 

図2は、TSMCに占める発行体の内訳です(オレンジ:USDT、濃青:USDC、黄色:BUSD)。これを見ると、USDTは全体として増加傾向にあるのに対し、USDCとBUSDは2022年後半から減少傾向にあります。これは米国における暗号資産規制の強化が影響しています。
今ではUSDTの市場シェアが約7割となっていますが、一つの発行体の市場シェアが大きくなりすぎると、その発行体に万が一の事態があった場合のシステマティックリスクが大きくなります。USDTはオフショアのステーブルコインとして人気を集めているため、国際的なステーブルコインの規制の枠組みができた時に影響が及ぶ可能性には注意が必要です。

 

図3 チェーンごとのTSMC(緑:Ethereum、青:Tron)

図3は、ブロックチェーンごとのTSMCを表示したものです(緑:Ethereum、青:Tron)。暗号資産市場の長らく続いた冬相場によってEthereumをはじめとしたTSMCは減少傾向にあります。一方でTronのTSMCは徐々に増加しています。これはアルゼンチンやナイジェリア、コートジボワールなど新興国で決済ネットワークとしてTronが注目されていることが影響していると思われます。

本日、SBIホールディングスとUSDCを発行する米Circle社の包括的業務提携に向けた基本合意書の締結が発表されました。今後は日本においてもUSDCなどのステーブルコインの流通や、金融機関らによる新規発行の動きが期待されます。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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